2本足で歩く人間にとって肩こりと腰痛は宿命です。人が直立歩行を始めるのに必要だった条件の一つは、背骨の形状の変化でした。四つ足動物の背骨がC字型に湾曲しているのに対して、人の背骨は不安定な上半身を支えて歩き出す過程で、C字型から緩やかなS字型に進化していきました。生後1歳くらいまでの赤ちゃんの成長にこのプロセスをなぞって見ることが出来ます。そして直立歩行の進化は、同時に背骨の下の方で上半身を支える腰椎に多大な負担を強いる事になりました。
人間の体は約200個の骨を筋肉・スジ等により、重力と逆らいながら左右対称に身体の均衡を保っています。ちょうど"やじろべい"の様に背中を中心に左右の腕をダラリと下げて楽な姿勢でパランスがとれています。ところがそのバランスが崩れた人は、左右どちらかの腕を下げたり、反対側の筋肉で引っ張ったり、腰を曲げ、頭を傾けたり、何とかバランスを保とうとします。その代償作用が重力と逆らう事になります。よって一番上にある頭が傾けば、重力に対して無理がかかり、骨が歪み、周辺の筋肉などに負担が増えます。ボーリングの球ほどある頭(頭蓋骨)を支えているのは首の骨(頸椎)であり、更に首の骨(頭)のバランスを取っているのが下顎骨なのです。下顎骨は体の中で唯一ぶら下がっている骨で、この下顎のバランスをとることが重力に調和する第一歩なのです。
また首にある筋肉の3/4は直接又は間接に下顎に関係していて、しかもその筋肉は厚みや幅が狭く、咬み合わせが正常でないと、下顎を動かすだけで疲れてしまい、頭を支える役割を、首の後ろの僧帽筋に頼ってしまい、その結果僧帽筋の慢性疲労を引き起こし、筋肉中の血管は押しつぶされて血液循環が悪くなり、老廃物が停滞し、ついには痛みになります。
年のためと思われがちな肩こりや頭痛・腰痛は、重い頭を支えている首・肩周辺の筋肉疲労が原因であり、更には全身に対する頭部のバランス、下顎骨のバランス、かみ合せの不調が肩こりを助長します。 |
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正常な人 |
重心が前方に
ずれた場合 |
骨盤は水平面に30度の角度をとる。腹筋が適度に骨盤を支え腰椎は最も自然な形をとる。 |
筋力が十分にないと姿勢が前傾し、猫背になり、腰椎にゆがみが生ずる。 |
腰痛の原因の一例 |
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