RMS-099 RICK DIAS リック・ディアス(クワトロ=バジーナ仕様機)
 反地球連邦政府組織(A.E.U.G.) 攻撃用モビルスーツ(量産先行型)
リック・ディアス  ティターンズの専制が強まる中で結成された反地球連邦政府組織(エゥーゴ)が最初に自軍専用機として完成させたMS。エゥーゴの設立自体にアナハイム・エレクトロニクス(AE)が大きく関わっており、開発・製造もAEで行われた。基礎フレームは連邦軍の技術を流用して経費節約と開発期間の短縮を図り、かつてAEで開発されながら公式には存在を抹消されたRX-78GPシリーズを開発時の経験や技術も生かされている。一方で、一年戦争時のRX-78"ガンダム"に使用されていたルナ・チタニウム合金を進化・量産化を可能とした新合金ガンダリウムγをアクシズで旧ジオン公国系技術者が開発し、クワトロ=バジーナ大尉(シャア)がエゥーゴに参画したためにこの技術がAEに持ち込まれ新MS開発に大きな影響をもたらした。
 開発時のコードネームはMSA-099で、連邦軍の監視を欺くために連邦系のRMSを機体コードに使用。また、当初エゥーゴの指導者ブレックス=フォーラ准将はガンダリウムγを最初に使用したMSであることから"γガンダム"と名付けるつもりだったが、クワトロ大尉の提案で"リック・ディアス"となった。
 頭部に球形コクピットを持つ特異な構造で、メインカメラは公国系MSのモノアイに似た外観を持つがカメラ自体は駆動せず固定のまま周囲を走査した超広角画像を補整し投影するもので、駆動部分や露出部分が少なく整備性と耐弾性に優れているが何故かその後のMSにはほとんど採用されなかった。
 クワトロ機は量産先行型として製造されたため一部スペックが後発の量産型と異なっていたとされ、ロールアウト当初はクワトロ機のみが赤系のカラーリングで塗装されていた。クワトロ機はU.C.0087年3月のガンダムMk-II奪取事件の際、一度はエゥーゴに亡命したフランクリン=ビダン大尉(ガンダムMk-II開発責任者)が本機を奪って再びティターンズに戻ろうとしたために発生したMS戦で撃墜され、その後クワトロは百式に搭乗することになり、当初は黒系カラーだった量産機が赤系に再塗装されている。
 本来は宇宙空間用MSだが、エゥーゴの地上降下作戦で地上に降りた機体も多く、エゥーゴの地上部隊であるカラバでも運用された。後に空力デザインを改良したMSK-008"ディジェ"が開発されアムロ=レイが使用している。また、背面のブースターバインダーをシュツルム・ブースターに換装したRMS-099B"シュツルム・ディアス"も開発されたが、AEとアクシズの政治的取引により大半はアクシズに渡って運用された。

RYOKAN's Impression
 現在制作中。 「Zガンダム」物語最初に登場したMS。ジオン系っぽいデザインでありつつ新型らしい雰囲気を持ったこのMSがガンダムMk-IIやハイザックより先に登場したのは続編として正しかったと、今になってみると思う。
 ジオン系の流れを汲むMSだが、意外に直線基調で平面が多いデザインである。かなり大きいために、平面で構成された足はかなり目立つ。永野護が最初に描いて没になった「Zガンダム」デザイン案から描き起こされたMSで、このため百式とも胴体や腕、太腿などデザインに共通する部分が多く、設定にもそれが生かされている。作ってみると従来のジオン系MSとも連邦系MSとも共通点は少なく、頭部や上半身の構造はドムに、脚部の装甲の構造はガンダムGP02Aに似ているが、外見的にはかなり別物。
 ところで「Z」でアムロが乗ったディジェはこのリック・ディアスのメカニズムをベースに空力向上を図ってデザイン変更したものというが、どう見ても内部パーツ流用でキットを出せるようなモノではないよなぁ(苦笑)。てかあれで空力が向上してるのかどうかも怪しい。藤田一巳の後日談では本来アムロ用でなくハマーン用にデザインしたものが演出ミスでアムロ用になってしまったらしく、となるとアムロ用には何が用意される筈だったのか気になる。

 クワトロ機のリックディアスは、番組初期のみ登場した黒系カラーの一般型リックディアスよりかなり遅れてMGキットで発売された。クワトロ機は量産先行型だったということで頭部・バーニア・スカートアーマー等に細かな違いがあるという設定になった点はMGズゴックのシャア機と一般機の差に似ているが、番組では一般機も後にすべて赤系に塗り替えられたため、このキットではパーツ選択で一般機にも組み上げられる。ランナー構成を見ても一般機用にクワトロ機用のパーツを追加した形で、一般機の金型を製作する段階で後発でクワトロ機の発売とパーツ追加を想定していたのは間違いないが、ランナー成型時の切り替え部分の位置を見る限りでは、一般機を発売した頃はクワトロ機は選択式にせず専用タイプにするつもりだった感じではある。
 リック・ディアスの大きな特徴は、なんといってもコクピットが頭にあること。通常は胸から腹のあたりにあり、他の例外はジオングやサザビーなど巨大MSにしか例がない。これでちゃんと球形コクピット内部と脱出ポッドをきちんと表現しているから流石にMGである。


■MGシリーズで発売中のエゥーゴ量産MSキット
RMS-099 リック・ディアス (クワトロ仕様) 2004.12
RMS-099 リック・ディアス (一般仕様) 2004.5
MSA-003 ネモ 2006.2