リサイクルが呼んだ、ペットボトルとアルミ缶の闘い
 (2002.07「公遊会 Vol.12」掲載)

 なんだか久しぶりであるが、…え? 3年ぶり!? (^^;)
 ネタはいろいろあったんですけどね、小ネタの大半は俺のホームページの日記でやってしまっていたので、ここでまとめて書くということをしなくなってしまったんですよ。
 考えてみりゃ、3年前はまだ自分のサイトでWeb日記をつけていなかったし(始めたのは99年の秋から)。自分の中で「ものを書く」状況がかなり変わってきているワケですが…、という言い訳はとりあえず置いといて。

 この3年間で大きく変わったことというと、コンビニ等のドリンク陳列棚の構成などもそのひとつだろうと思う。既に3年前にはそれまでの主流だった350ml缶(現在でも自動販売機では依然として主力だが)に代わって500mlペットボトルが主流になっていたが、ここにきて500mlその他のアルミボトルが急速に普及しつつあるのだ。
 ゴミ問題を懸念して長い間1.5〜2リットルの大型ボトルしか飲料用には認められていなかったペットボトルだが、500ml以下の小型ボトルの販売を認められたのが1998年のことだった。飲み残しても再び栓をして持ち歩けること、中身が見えることが重宝され、あっという間に普及した。中身が見えることを利用して無色透明なドリンクがブームを起こしたのもこの頃で、そのきっかけであるJT「桃の天然水」は缶だけの販売の頃から売り上げを倍以上に伸ばしたりしている。もしも小型ペットボトルが存在する時代になってから発売されていたなら、「タブクリア(コカコーラが大々的に宣伝して登場した無色透明のコーラ味ドリンク。1年もたずに販売中止)もあそこまで大コケしなかったかもしれない(笑)。

 ペットボトルの原料は、ポリエチレンテレフタレート(PolyEthylene Terephthalate)と呼ばれる樹脂で、テレフタル酸とエチレングリコールを原料に、高温・高真空下で化学反応させて製造される。この樹脂を溶かして糸にしたものが繊維に、フィルムにしたものがビデオテープ等に使われている。ペットボトルはこの樹脂を型の中で膨らませて製造される。
 ペットボトルの普及により、その生産量は1996年の20万トンから僅か5年後の2001年には44万トンへと倍増した。しかし日本の食品衛生基準法では、ヨーロッパで行われているようなガラス瓶同様のペットボトルの再利用(リターナブル瓶)だけでなく、溶かして再成形しても食品用に二度と利用できないため、繊維にして衣料用などに再利用したり食品以外のパック包装などに再利用されているのだが、その使用量には限りがある。特に500mlボトル登場後は生産量が増えると同時に、認可前から懸念されてきたゴミの量も急増して問題化したため、業界も対策に追われることになった。

 再利用しやすくするために、ペットボトル自体も進化している。緑茶など日本茶系のペットボトルでは、日光による劣化を防ぐためボトルの材質自体を緑に着色をしていたが、これを廃止して代わりに緑色のフィルムで全体を覆うタイプが増えた。また、炭酸飲料の場合は内部に圧力がかかるため、従来は底部を半球形に成形して、安定のため別の部材を底に取り付けていたのだが、これも分別の必要をなくすために耐圧と安定を両立させた上で底部を一体化した構造のボトルが開発された。そのほか、ボトル自体への印刷をやめたり、ラベルを剥がしやすい構造にしたり(ミシン目を入れるなど)、ラベル自体の印刷もリサイクルに向いたものを採用するなど、細かな業界基準が定められている。
 しかし、それでも廃棄されるペットボトルは増える一方で再利用にも限度がある。そういった中で注目を浴びたのが、アルミでペットボトル同様の再栓可能な容器を作る技術だった。

 アルミ缶など金属製品はリサイクルの歴史も長くノウハウも多い。特にアルミの場合、原材料の鉱石から製錬するのに莫大な電力を喰う(アルミニウムの電子構造を思い出してみよう)ので、昔から再利用に積極的だった。一時期は外国で廃棄された使用済みアルミ缶を輸入して原料にしていたくらいだ。ただ、ペットボトルに対抗するには、飲み口にネジ付き栓を付けて再栓できる構造にしなければならない。ということは本体から飲み口へ絞り込むんだ形状にりなければならず、この形状を成形する技術を開発するのが実に大変だったという。

 そして登場したのが、底部が別パーツとなった2ピースで構成されるボトルと、神戸製鋼の子会社が開発した胴部・底部が完全一体型のボトルである。2ピースタイプは、従来のアルミ缶で飲み口側にあたるパーツを底に使用し、上部を半球形に絞って飲み口にしているもの。完全一体型は従来のアルミ缶同様の底で、上部は円錐形に絞り、やや大きめの飲み口を付けている。技術的にはおそらく一体型の方が難しいことをやっているものと思われるが、どうやら胴部の長さに限度があるらしく、410mlという中途半端なサイズしか出ていない。
 一方の前者はアルミ缶の製造技術の応用がきく部分が多いのか、サイズも500mlから350ml以下のものまで長さを変えて様々なサイズが登場している。また、球形部分には塗装がしにくく、アルミの地肌が出た見た目だったが、キリン聞茶ではこの部分も白く塗装し、まるで白磁の陶器のような外観を作り出して一躍ヒット商品になった。最近はビールはもちろん最大ドリンクメーカーのコカ・コーラでもアルミボトルが増えつつあり、今後もかなりの勢いで拡大されていくことだろう。

 アルミボトルの急速な伸びに加えて、最近では、テイジンなど原料PETを生産するメーカー等が、従来の溶かして再利用するのではなく化学的に一度分解してから再生する方法を開発した。これなら日本でもボトルに再生産して使用することができる。現在は試験中だが、このシステムが正式に稼働するようになればペットボトルのリサイクル問題もかなり落ち着くことになるだろうと思う。現状ではコスト面での問題はありそうだが…

 勿論、リサイクルするにはそのシステムに乗せてやらなければ意味がない訳で、いまだにゴミとして処理されている分からの回収率を更に引き上げる策を考えなければなるまい。昔のガラス瓶の預かり保証金のようなシステムをペットボトルやアルミ缶・ボトルでも使えないかなと思うのだが。

  参考資料:PETボトルリサイクル推進協議会サイト(http://www.petbottle-rec.gr.jp/)