時々日記:2005.10.1-10.15

 お帰り
 2005.10.1(Fri)
中里が帰ってきた。まだ星野監督時代にドラフト1位で入団し、高卒新人で1軍デビュー、左右の違いこそあれ今中を彷彿とさせる腕のしなりで独特のホップする快速球を投げてファンを驚愕させ、僅か2試合しか投げていないのに「将来のエース確定」と皆が期待し、またドラゴンズには不似合いな(失礼)イケメンで人気も高かったのだが、期待された2年目以降、不運なアクシデントから肩・肘を相次いで故障に見舞われてしまう。回復も遅れ、一方で新人時代から打撃も非凡なものを見せていたため「せめて野手転向で」という期待をされつつも、皆悲観的な将来しか描けなくなっていた最近だったのだが。
 8月頃に「どうも二軍戦で投げるようだ」という話が出た時も「やっと投げられるところまで来たか〜」という程度の感想だったのだが、その実戦復帰登板でいきなり150km/hを超したものだからネット上のドラファンが狂喜した。そして優勝が決まった直後の昨日、川上と入れ替えで1軍に登録。「どうもシーズン最終戦に先発するらしい」という噂が流れていたが、まさかこのタイミングで登録されるとは思っても見なかった。

そして今日、先発の"サイレントK"石井の後を受けて1点リードされた状況で6回に2番手で登板。京都に住む身では当然テレビやラジオで実況を聴ける訳ではないが、2ちゃんねる等の実況板を読む限りでは、登板がアナウンスされた瞬間、ものすごい大歓声が起こり、明らかにナゴヤドーム内の雰囲気が変わったらしい。…いかん、想像するだけで涙が出てきた。
 誰もが固唾を呑んで見守った復活登板。140km/h台後半の速球でカープの主軸から2三振を奪い、3人で片付けた中里の姿に打線が燃えたか、その直後に奇跡的な逆転を果たした。2死無走者から福留・ウッズ・アレックスで2点もぎ取って逆転、1年目あれだけの投球をしながら届かなかったプロ初勝利の権利を中里にプレゼント。そのあとの継投と追加点でリードを広げ、最後は岩瀬が新記録となる46セーブを挙げて完勝。4年ぶりの復活登板でプロ初勝利が転がり込んできた。いや、泣けた。
 優勝は逃したけど、こんなドラマがあったから、今年はもう優勝なんてどうでも良くなったよホントに。4年間、不安だらけで苦しかっただろうと思うけど、本当に良かった。あそこで空気を読んだ打線とカープ投手陣も偉い(笑)
 けれど、本当の活躍はこれから。8月以降にエース的活躍を見せ背番号20の輝きを復活させた中田や、リリーフで活躍し今日も中里の後を投げた鈴木は年齢的に中里の同級生。1歳上の朝倉や石井、1歳下の高橋やさらに若いチェンなど、若い投手達がここにきて結果を出し始め(朝倉は結果を出したとはちょっと言い難いが…)、来年は1軍投手陣が一気に若返るかもしれない。優勝は逃したものの、来季に期待の持てる消化試合が続くのは嬉しい。

で、今日は「種デス」最終回でしたが…、なんですかありゃ。

 快速電車の赤い色が
 2005.10.5(Wed)
かねてから噂されていたJR中央線(東線)快速用の新型車両E233系電車の登場が正式に発表された。現在JR東日本の首都圏で大量投入が続くE231系の改良版というよりは、見た目的には常磐線中距離用新型のE531系の直流版というイメージ。この正面のデザインはE231系以上に好きになれないが、たぶん正面衝突時の運転席周りの安全性を向上させた結果なんだろうな。
 そういえば首都圏でステンレス車体にオレンジ単色の帯を巻く電車は初めてか。普通鋼製の先頭部分は白塗りで、ステンレスにオレンジ単色の帯だとJR東海の電車の印象が強いのだが(笑)

かつて普通鋼車体に全面塗装の電車の時代は、コスト面の都合もあって通勤車両は単色で塗られることが多く、異なる路線でも同じ色で塗られている場合もけっこう多かったが、ステンレス車体になり路線カラーを帯のフィルムだけで表すようになった現在では、帯の色を2色にするなどしてできるだけ路線カラーが被らないようにしているようで、常磐線直流区間(取手まで)にE231系が導入される際、従来は青緑の単色だったのが営業運転直前になって黄緑を加え2色帯にしたのは、地下鉄千代田線に乗り入れる緩行と区別するためだろう。
 現在、首都圏のJR線のステンレス車両で単色の帯を巻いているのは山手線(黄緑)・埼京線(緑)・京浜東北線(青)・中央-総武線緩行(黄)・京葉線(赤)・常磐線緩行-地下鉄千代田線乗入(青緑)・常磐線中距離(取手以遠:濃青)くらいか。これに中央線快速(橙)が加わる。というか、考えてみると中央線快速が首都圏通勤路線では最後のステンレス車未導入区間ということだったのか。これは現行の201系が中央線快速用に登場して置き換え後、高コストのためにほとんど増備されず代わってステンレスの205系が開発され各路線に投入されたために、201系はほとんど中央線快速専用に近い配属になってしまったというタイミングの悪さの問題があるのだけど。
 ところで中央線快速といえば、なぜか人身事故が頻発して運行が止まることが多い路線としても知られる。これは沿線の環境に原因があるのか駅など設備的な部分に問題があるのか不明だが、理由の一つに「全体を橙色で塗られた電車のカラーリング」が心理学的に良くないのではないかという指摘や研究もされていた記憶がある。今回の車両取り替えで、ステンレス車体に橙色の帯という配色に大きく変わり、正面デザインもずいぶん変わることになるが、何らかの変化が出るのかどうか。

その正面デザインだが、中央線快速電車の特長のひとつが正面の窓下に大きく掲げられた「特別快速」等のヘッドマーク(というのか?)だった。まだ101系が使用されていた頃からの特長で、現行の201系が登場した当初は取り付けられていなかったものの、やはり「わかりにくい」という声が出てきたのか後から自動巻取り式の大型幕を取り付けている。
 だから新車でもこの伝統(?)は残され、それをLEDでやるのかと思っていたのだが、イラストを見ると正面窓上部に通常サイズの行先案内だけで、それをフルカラーLEDにして従来より区別しやすくするということらしい。けど、201系の時の経緯からも再び「わかりにくい」という声が出て後から大型表示を取り付け改造するハメになったりしないかねぇ。
 窓下にはライトも何もなくのっぺりしたデザインなんだから、特急電車並みの大型LED表示器を付けても良かったんじゃないかという気もする。まぁ今回は正面デザインが全く異なるので、特別快速と快速などはともかく緩行線や地下鉄直通と乗り間違える危険は少ないだろうとは思うけど。

かくして、かつてさだましが「檸檬」で唄った「喰べかけの檸檬聖橋から放る/快速電車の赤い色がそれとすれ違う」「各駅停車の檸檬色がそれをかみくだく」のも過去の風景となっていく(ステンレス車体にカラー帯だけではそういう表現はしにくいだろう、流石に)。京都の丸善も閉店してしまうしな。…それは檸檬違い。

 5G iPod
 2005.10.12(Wed)
…とは5ギガバイトの初代iPodのことでなく、第5世代の意味で、つまり深夜に発表された動画対応のiPodのことですが。
 かねてからの予想通りにビデオ対応や黒モデルの登場、容量アップと薄型化で値段据え置きというもので、事前に「One More Thing..」と煽った割には、想定外のものが出て来ずにちょっとガッカリという雰囲気があった。いちばん驚いたのは"5"が登場して僅か1ヶ月でiTunesが"6"になったことくらいかな。
 新iPodの外見の写真はちょっと前からネットに流出していたがどうも信用されていなかった。というのも、本体に対するクリックホイールの大きさなどから、現行サイズより幅の広い印象を受けるために「動画対応で画面サイズが重要とはいえ、この期に及んで本体の大型化なんてするか?」という疑問があった訳で。しかも、17インチPowerBookや14インチiBookを出したAppleだから「…ありうるかも」と思えてしまったり(^^;)

で、実際に出たモデルはその画像でドンピシャだったのだが。
 iPod nanoや初代iPod、iMac G5などと同じように透明なポリカーボネート板で表面全体を覆うような構造になった。2〜4代目iPodでは全部のエッジを大きめのRで丸く落として実際の寸法より小さく見せるデザインになっていたが、これをやめて、表側のエッジは落とさないことで従来モデルと同じ縦横寸法のままで平面部分の面積を拡大した訳だ。
 動画対応で重要になる液晶画面も周囲の「余白」を減らして本体の縦横寸法ギリギリまで拡大する一方で、クリックホイールはやや小さくなった(それでもnanoよりはかなり大きい筈だが)ようだ。それで大型化されたように見えたのね。また、新モデルから別売りのリモコンが使えなくなったが、まぁこれはnanoが既にそういう構造になっていたので予想通りではあった。
 かわりに(?)Dockに接続した時に使うワイヤレスリモコン(iPod Shuffleにそっくり)が登場。これはDockをステレオやテレビに接続した時に、選曲などの操作をDockから行えるというもので、昨日発表された新iMacにも付属しておりリモコンからiTunes・iPhotoのスライドショー・DVD・動画ファイルを操作できるものらしいので機能としてはiPodを操作できるのと似たようなものか。
 なお新iMacは画面上部にカメラ(iSight)が埋め込まれているが、ビデオチャットだけでなく、もしかして内臓カメラがリモコンの受光部も兼ねているんじゃないかなぁ。

ちょっと残念なのは、nanoに続いてノーマルiPodもとうとうFireWire対応が外れてUSB2.0対応のみになったこと。nanoが対応外だったのはフラッシュメモリのせいかと思っていたのでびっくり&がっかり。うーむ、バスパワー電源供給の安定感ではFireWireの方がUSB2.0より良いのでメインはUSBになってもFireWire対応は残しておいて欲しかったんだけどなぁ。ハブなど周辺機器が高いのがネックだったかなぁ。
 あと、個人的にびっくりしたのはiTunes6の登場かな。1ヶ月前のnano発表時に"4.x"から"5"になったばかりなのに、早くも"6"へ。正式に動画対応になったんで、ごちゃごちゃ小数点を付けるのも面倒くさくなったということなのか。ま、ぱっと見ではソースメニューに「ビデオ」が加わった程度で"5"と大差ないけど。

 虎騒動
 2005.10.13(Thu)
阪神電鉄は営業距離も保有車両数も日本の大手16民鉄(以前は14だったが後に相鉄が加わり、現在は営団→東京メトロも数える)の中では最も規模が小さい。営業距離(45km)は最大の近鉄の1/11、車両保有数(約300両)というのも東京地下鉄(2500両超)は例外にしても近鉄(約2000両)の1/6強、関西の他社は阪急が1300両、南海・京阪がそれぞれ700両程度だからとびぬけて少ないことになる。車両最大編成長が6両というのも、関西だけの比較でも近鉄・阪急の10両や京阪の8両に比べると短い。
 逆に客車走行kmあたりの旅客収入は関西トップだが、これは阪神が阪神間の本線以外にほとんど支線を持たないことや車両数が少なく編成長も短いせいもある。全事業収益のうち鉄道が占める比率は4割ちょっとで、これを下回るのは鉄道よりむしろバス事業が主体の西鉄や不動産事業が占める相鉄くらい。世間的にはタイガースの子会社が阪神電鉄のような印象すらある。
 近鉄の志摩スペイン村や阪急の茶屋町再開発のようなバブル崩壊の余波がいちばん小さかったのもおそらく阪神だが、これはバブル期に大きな事業に手を広げるだけの体力がなかっただけという気もするし。
 阪神電鉄は10年前の震災の時に壊滅的な打撃を受けた。神戸地区の路線や石屋川車庫が全壊し、車両の大半が被害に遭い1割を超える数が全損で廃車になっている。震災後数年間は赤字が続いた。その後立ち直って西梅田のハービスなど再開発を完成させ、ここ数年になって第3セクター方式で西大阪線の西九条〜難波の延長工事がやっと実現に向けて動き始めたが、第3セクターという(自分たちの投資がある程度軽減される)方法が提案されるまで40年間ほっといたのは、九条付近の住民反対運動などもあったが、けっきょく自力だけで動く気があまりなかったのかな、という気さえする。途中に震災を挟んだとはいえ、本気だったら準備のためもっと積極的に増資していても良かった筈で、そうしていたら今回のような事態には簡単にならなかったんじゃないかと思うのだ。

で、村上氏が要求しているとされるタイガースの上場だが、個人的にはそんなに無茶な話ではないと思うんだけど。反対意見の大半はどうも単なる感情論にしか見えないし。
 球団株の上場というプランはたしか去年ライブドアも提案していたし、おそらく現在イーグルス等も考えている筈。他の球団でも検討しているところはあるだろうと思う。誰かが「強いうちはいいが、弱くなると皆が株を手放して買収されやすくなる」と言っていたが、確かに海外でもマンチェスター・ユナイテッドがその憂き目に遭ったものの、むしろその心配が一番なくて実現すれば最も成功の見込みの高いのがタイガースなんじゃないのか。
 あの長い暗黒時代、弱いのが分かっていてもみんな甲子園に足を運びテレビで観戦し、あまりの弱さにボヤきつつ罵倒しつつ、それでも見捨てられずにみんな応援してきたんでしょ? そんな人達がタイガース株を買えるようになればみんな喜んで買い支えるだろうし、弱いからってそう簡単に手放すとも思えない。むしろ安定株主が増えるんじゃないの? あれだけ電鉄側が嫌がるのはもっと別の、特に会計面あたりに理由があるような気がする。表に出来ない事情が色々ありそうだしな。まぁそれはタイガースだけでなくどこの球団にも共通するが。
 そんな訳で上場そのものは悪い話とは思わないが、あれだけ反対意見が出るのは提案した人が…だから、という事に尽きるのとちゃうのかなぁ(苦笑)。

その村上氏が筆頭株主として最初の要求が球団株の上場でも資産運用でもなく「阪神電車のカラーリングがジャイアンツを想起させてイヤだから黄色ベースに変更」だったら…ある意味で神なんですが、無理か。(笑)