時々日記:2005.3.1-3.15

 後悔
 2005.3.1(Tue)
今夜が通夜。昨夜はあまり寝ておらず、午前中にいちど研究室に出たものの昼には自宅に戻り、寝直す。夕方に着替えて研究室に出ると、昨年修了したN君が来ていた。そのとき研究室にいた他の学生ともども彼のクルマで式場まで送ってもらうことに。
 かなり早く式場の建物に着いたので、同期で出した供花の支払いを済ませてから式場へ。まだ人も少なかったこともあって、先生の奥様や息子さんに挨拶させて貰う事ができた。自分の名前を告げると、「ああ、何度もお名前は伺っております」とのこと。まぁ10年も迷惑をかけ通しだったから、ご家族の前でも話されていたのだろうか…(どういう形で話していたのか気にはなるが)。あまりご家族のことを話さない先生だったが、自宅では研究室でのお茶の時間の会話や宴会でのことなどを楽しそうに話されていたそうだ。
 始まる時間が近づくと、研究室の先輩や後輩の顔を次々と確認できた。中には今朝の新聞で知ってそのまま遠方から駆けつけた人もいたようだ。通夜が始まる時に頼まれて卒業生数人で会葬御礼を手渡す係になり、通夜の間ほとんどその役をしていたので、自分が焼香したのはかなり最後の方になってから。焼香する手順をド忘れするくらい自分でも動揺しているのを改めて感じた。焼香して手を合わせている間、頭の中には先生に向かって「すみませんでした…」の言葉しか出てこなかった。迷惑を掛け通し、何も恩返しできなかったことを悔やんでばかりだった。

通夜が終わった後、式場のロビーに出ると研究室の卒業生の方々が集まっていた。研究室の名前が今のものになる前からの卒業生とも、最近の卒業生とも面識のあるのは僕くらいなので(誇っていいことではないが…)、挨拶したり声をかけて回った。研究室の講師のN先生から病状について説明を受けたあと解散となり、そのあと同期の2人と3人で京都駅内の店で飲み食い。先生の思い出話だけでなく最近の京大の様子や学位論文のこと、仕事のことなどを話す。
 京都駅の改札で2人と別れたあと、既にバスが無かったので京阪七条まで歩く。一人でとぼとぼ歩いている最中、ふいに涙が出た。こういう時に霊前に向かって「すみませんでした」しか言えないようじゃダメだ。「後はまかせて下さい」とはまだとても言えないけど、せめて心配ばかり残されていかないようにしよう。強く思った。

 感謝と決意
 2005.3.2(Wed)
今日が告別式。でもって夕方には名古屋に向かうので、荷物をまとめて下宿を出発、京都駅のロッカーに預けて(京都駅のすぐ近くの)式場へ。式場前で研究室の先輩や後輩に会い挨拶。今日はうちの研究室の前の教授や更にその前の教授、よその研究室の前の教授なども参列されていた。うちの研究室の先々代の教授は何年か前に叙勲を受けた際の祝賀会でお目にかかって以来だが、杖をつきながらもお元気そうで(たぶん80歳過ぎ)、先代の教授ともどもお元気なだけに61歳で逝かれた先生の無念を思う。
 先生はあと2年で停年退官だったのだが、その時の退官記念最終講義や退官記念パーティーではいい同窓会のようなことができるだろうなと考えていただけに、今回のことで卒業生が集まり、期せずして予定より2年早い同窓会のような形になってしまったのは残念だった。
 昨夜の反省があったので、今日の焼香ではきちんと自分の決意を話しかけたつもりだ。そして「今迄長い間ありがとうございました」と心の中で話しかけ、手を合わせた。

先生と遺族の方々が式場を出て焼き場に向かうのを見送った後、時間のある卒業生の方々とタクシーに分乗して研究室へ。この研究室もあと数ヶ月で改修工事に伴い仮移転するため、10年以上前からあまり雰囲気の変わらない面影を残す研究室を見られるのもこれが最後かもしれない、ということもあったし、先生の思い出話もしようということで。先生方を交えて、昔の写真などを眺めながらいろいろな話をした。
 15時過ぎにお開きとなり、バス-地下鉄で京都駅に。荷物を持って新幹線に乗り名古屋へ。そのあと在来線に乗り換え、金山から歩いて名古屋市民会館へ。ロビー前で従姉と合流して入場。既に会場に入っているみみなを探し、ブツの交換。「おかいものクマ」マペットを受け取った。うーむ、いいなコレは。

そして18:30過ぎ、当初の予定から4ヶ月遅れでコンサート開演。(ネタバレ防止のため詳細は書けませんが…) それにしてもああいうネタで宅間さんをいじるとは思わなかった(笑)。アンコール曲を唄ったあとは「うーむ、これは小田さんかチャゲアスのコンサートのようだ」と思ったり(笑)。

終演後、さっそくSinさんに発見された(笑)。さらにロビーでみみなとも合流したが、お互いにあまり時間が無かったのが残念。この続きはいずれナゴヤドームにて(笑)

 栄に出るのも何年ぶりかなぁ…
 2005.3.05(Sat)
朝、従姉とクルマで栄へ。Apple Store名古屋栄へ向かう。店の雰囲気はもちろん銀座や心斎橋とさほど変わらないが、店舗面積が狭いのでシアターもないし他の2店よりも質素かな。しかしあのガラス階段は…うーむ。しかも心斎橋の螺旋階段と違って階段の真下のスペースにもけっこう人が通るんだよな。
 さて、此処で初めてiPod Shuffleの現物を見た。店のスタッフもみんな首からぶら下げている。このサイズでせめて曲名だけでも表示され液晶画面がついたら完璧だが、この価格にした思い切りの良さの方が凄いだろうな。個人的に希望だが、もしコスト的に解決されて液晶画面がつくようになったら、Shuffleのボタン配置と液晶画面レイアウトを同じにしたノーマルiPod用リモコンも出してほしいところ。リモコン部分の機能は使いづらく、この点ではやはり日本製のMDもしくはカセットプレーヤーの方がはるかに優れていると思うので。闇雲にボタン数を増やさなくても、かつてPanasonicがワンボタンでもプッシュ回数によって機能を分けたような工夫は出来る筈。
 そのあと松坂屋地下の鈴波で早めのお昼。うーむ、これはご飯が進む定食だわ…うまうま。そのあと名古屋駅まで送ってもらい、新幹線で京都に帰還。

 撃沈
 2005.3.10(Thu)
学会発表に向けて1回目のリハーサル。とはいえM2と4回生で学会発表する人は既にほぼ同じ内容で一度発表しているし発表時間の違いや発表時の問題点の修正だけで済むから、まったく新規の発表はDC2人ととM1ひとりの3人。こちらはまだ修正点が多く最後に回してもらったが、やはり問題点ありすぎで撃沈。そもそも発表のストーリーをどういう方向でまとめるのか決まらず、以前に発表した内容のレビューも含めてずいぶん冗長なものの割には新しい結果や結論が問題の多いモノで弱すぎる状態。とにかくダメ出しの雨嵐で、発表資料用PowerPointスライドの2/3を作り直し。ストーリーの流れも大変更することになるから、また寝ていられない日々が続く…。

 撃沈(第二章)
 2005.3.14(Mon)
昼から2度目の、そして最終の発表リハーサルだったのだが、開始時刻になっても間に合わず、先に他の人にやってもらうことに。しかし夕方になって皆終わってもまだ上がらず、結局リハーサルをしたのは22時過ぎ。しかもまたも不十分な点を指摘され撃沈…。まぁ2年やってきて未だにスッキリした結論が出てこないテーマだから簡単に結論が出る筈もないけど、この状態はあまりに情けない…。夜中ひとりで作業しながら、情けなくて悔しくて涙が出てきた。精神的にも体力的にも疲れ切っているな…。

 前夜
 2005.3.15(Tue)

まだ結論が納得できるところに落とせず、発表資料も完成していない…。そんな状態だが今日は明日からの学会会場準備のためスタッフは全員招集がかかっているので行かねばならない。既に一部の学生は会場設営のために出ており、こちらも夕方から説明会のため、それまでは資料作成と解析に没頭。15:30から説明会のため、総合人間学部へ。ここの新校舎「吉田南総合館北棟」が今回の会場。かつてこの場所に建っていたのは京大でも最も汚かった旧教養部A号館北棟で、そのうち半分は旧制三高時代からのものだった。戦前は女子学生がなかったからトイレも男子用しかなく、後から無理矢理入り口を増設して男子用の個室部分を全部女子用に振り分けたりしたため、お腹の調子がおかしくトイレに飛び込んだら個室がなくて大変困った…ということも昔はあったもんだがそれも完全に昔話。折田先生像のオリジナルも消え去ってから久しい。
 そんな校舎のあとに建てられたのは全室プロジェクター完備でもちろん冷暖房完備(俺が学部生だった頃の教養部には冷房なんてなかったぞ…)、内部は吹き抜けのロビーがあり地下にはナチュラルローソンまであるという建物。屋上には旧制三高時代の鐘が復活し昼に鳴り響く。とても京大の建物とは思えない。ま、此処が完成したばかりだから今回の会場にもなったのだけど。考えてみれば前回(札幌、北大)・前々回(福岡、九大)と事務担当する大学が自分の校舎で学会を開催できず別の会場を使用したのはプロジェクターなど設備を自前で完備していないためで、その前(岐阜大)の時はまだ発表にパソコンを直接使えずOHP使用だったし。
 で、着いてみると入試シーズン恒例のニセ折田先生像。話には聞いていたが、今年はスッパマンであった。何故今頃のようにスッパマン…?

説明会に出て、明日のスタッフの割り振り。各会場にうちの専攻/学科の学生が1人、バイトで募集された学生が2人入る形。僕は自分自身が発表を行う部門の会場担当になったので、途中でスタッフ仕事から抜け出してそのまま同じ会場で発表する事に。なんだかなぁ。まぁ自分の関連する分野でずっと会場担当スタッフとして聴けるのはよその分野に回されるよりは有り難いが。

研究室に戻って再び作業。うーん、…明日、どうやっても間に合わない気がする…。逃げようかな…。