平成17年7月13日

ルネ大津住民の皆様へ

                                                               ルネ大津自治会近隣対策協議会                            

                                                                                                         代表者  田中照幸

                                                                             前代表者 矢内 衞

         

                                     近隣対策協議会解散のご挨拶を申し上げます

              〜行政訴訟事件の終結と大津市景観基本条例の制定に関連して〜

 

 平成13年の春、デ・リ−ド社の超高層マンション建設計画が公表され、自治会は近隣対策協議会を結成し、市議会に対する請願、大津市建築審査会に対する審査請求、市当局に対する行政訴訟の提起など、ルネ大津の総力を結集し一連の建設反対運動を押し進めてまいりました。

 昨年夏、大阪高裁で控訴審の判決が確定し、私たちが起こした行政訴訟事件は終局を迎えました。しかしながら、当対策協議会は、この建設反対運動が契機となって制定された「古都大津の風格ある景観をつくる基本条例」と、「その基本計画」の運用基準に不明な点があると判断いたしました。        

 この「基本条例」と「基本計画」は、将来、予測されるルネ大津の建替え問題などに財産保全上、大きな影響を与えるものと思われます。当対策協議会の委員は、上記「基本条例」と「基本計画」の運用上の問題について、市当局の見解をお聴きする必要があると判断し、5月下旬から2回に亘り大津市都市計画部を訪れ、佐々木参事と永吉主任からお話しを伺ってまいりました。
 以下、建設反対運動の総まとめとして、大津市の対応を含めた行政訴訟事件の概要と、「基本計画」の運用に関する市当局の見解についてご報告いたします。

T.審査請求事件とその続審である行政訴訟事件について

1.今回の行政訴訟事件で、大津地裁の裁判長は、市当局に裁量権の無制限な行使を認める一方で, 法解釈と審査手続きの過ちを指摘した私たちの主張に対しては、全く法律的な判断を下しませんで し た。一方、大阪高裁の裁判長は、違法審査の事実には目をつむり建築工事の完了により訴えの利益が失われたとの形式的な司法判断で控訴を棄却しました。現行の行政事件訴訟法で問題とされている行政側に肩入れした司法判断の誤りが今回も踏襲された訳で、公平中立を旨とする裁判制度の否定に繋がる不当判決と言うほかなく協議会の委員一同、無念の思いに駆られております。

2.しかしながら、旧来の審査慣行に何等疑問を抱くことなく、開発優先の建築行政を押し進めてきた市当局を糾弾し、強い反省を促した点で(基本条例案の一般公開直前の前市長の突然の辞任や、新旧建築指導課長の他部局への転出、建築指導課と建築審査会の建設部から都市計画部への移管など、辻褄合わせの対応策を採らざるを得なかった点で)今回の行政訴訟事件は大きな意義を持つ住民運動でした。       

3.今回の建設反対闘争は、私たちルネ大津の住民が総力を結集することによって初めて成し得た有意義な法廷闘争でした。近隣対策協議会の解散に当たり、この点を特に書き添え5年間に及ぶ住民の皆様のご協力に感謝申し上げる次第です。

U.「景観基本条例」と「景観基本計画」の運用に関する市当局の見解について

1.平成16年10月発行の「基本計画・改定版」の20頁には、この「基本計画」を着実に推進していくため、市民参画のもとに平成16年度以降、大津市全域を対象として景観計画と地区ごとの実施計画を策定することと、一定の期間を経た後、進捗状況と時代の要請を踏まえて、この「基本計画」の見直しを行うことが記載されています。 また、これに関連して、この「基本計画」には、商業地域における建築物の高さを 31m未満に規制することが提案されております。

2.建築物の高さ規制は、経年劣化に対応して将来、計画されるであろうルネ大津の建替え計画に対しても影響するところが大きな問題です。近隣対策協議会は、この点について、ルネ大津の権益擁護の立場から市当局の公式見解を求めました。

3.私たちは、まず、「基本条例」に基づく土地の用途区分や高度地区の見直しなど全てが手付かずのまま今後の検討課題として残されている現状において、31mなる数値がどのような法的効力をもつ規制値なのか? それとも今後の建設計画における単なる目標値に過ぎないのか? 市当局の法律解釈についてお尋ねしました。

4.この問い掛けに対し佐々木参事らからは、土地の用途地域や高度地区の見直しが済んでいない現時点において、上記の31mなる数値は、少なくとも法的効力(強制力) を持つ規制値として理解されるべきものではない、との注目すべき見解が示されました。また将来、予測されるルネ大津の建替え計画においては、私たち地域住民と市当 局との話合いによって、あるべき姿が策定されるとの見解も示されました。この見解 は「基本条例」や「基本計画」の規定に拘らず現在のルネ大津の建物の高さは、将来 の建替え計画においてもルネ固有の既得権益として保証されることを意味しています。

5.住民各位におかれましては、上記の事情をご理解頂き、将来、立替え計画が具体化したときには、市当局と十分に協議し、ルネ大津の権益と、におの浜地区の景観保全との並立をあるべき姿とした立替計画を立案して頂くようお願い申し上げます。
 いたずらに既得権益を主張するのは避けるべきところですが、デ・リ−ド社の建設 用地の総面積を上回る広大な用地を大津市に無償提供することによって得られたルネ大津の良好な居住環境は、財産保全の観点からも当然、守って行かねばならない権益です。市当局との協議においても、主張すべき点は遠慮なく主張して行く必要がありましょう。住民各位におかれましては、特にこの点にご留意頂き、今後ともルネ大津の発展にご協力頂くようお願いいたします。略儀ながら、対策協議会解散のご挨拶を兼ね、最終報告に代えさせて頂く次第です。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            以上     

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