傭兵の真実


自分はSAPIOという国際政治経済情報誌をかかさず購入しているんですが

いまその雑誌の中に、ものすごく楽しみにしている連載があるんですよ

題 「傭兵の誇り」 著者 高部正樹さんと言う方なんですが驚くことに

この人現役の傭兵なんです、バリバリ外国で戦争してる人なんですよ

なんの不自由もないこの日本に生まれてわざわざ傭兵やってんですよ

それだけもう俺としては興味津々ですよ、高部正樹さんは自分の経歴だけで

俺のハートをがっちりキャッチしやがりました

でね読み始めると文章の作りがとても知的で面白く傭兵ならでは現場の話は

自分の想像とはまったく違い驚きの連続になります。始めて知ったのは傭兵は

まったく儲からないという事、命がけなんだから高給取りってイメージは

大嘘らしい。給料が出れば良い方で飯は支給されるが収支はマイナスらしいです

まぁよくよく考えてみれば傭兵に高い給料払える国は戦争なんぞしてませんよね

だからこの人

日本でアルバイトしてお金を貯めてまた戦争しに行くんです


戦場は殺るか殺られるかの極限の世界、己の腕のみを頼りに苛烈に生き抜く狼が

あろうことか温泉旅館の住み込みバイトで


「いらっしゃ〜い4名様入りま〜す」とか言ってるんですよ


お客さんもそこで窓拭いてるバイトがまさか戦争のプロだとは絶対分からないでしょう

窓の汚れが残ってて番頭に怒られる傭兵

お客にサービスが悪いと怒鳴られる傭兵

殺しのプロにお客様を喜ばせる気遣いがなってないと叱る女将


筆者の傭兵仲間がこの旅館に事情を知らずにたまたま来てたらビックリするでしょうね

だって自分たちの仲間だった一流の傭兵が、女将に怒られて頭を下げてるんですよ

仲間が服従する女将の階級や戦闘の経歴がすごく気になってしょうがないのでしょう

「そういえばあの女アフガンで見たぞ」なんて1人が言い出し沈黙する男達

緊張の面もちの傭兵達 と 事情を知らない旅館の女将


「ようこそおこしやす〜」

全員「イエッサ!!軍曹」


軍隊式の小走りで部屋に駆け上がる傭兵達

せっかく温泉に来てもちっともくつろげない傭兵達



意外すぎです、傭兵の真実

もう一つ俺が彼の連載で一番ビックリさせられた事があります

みなさんジャングルでの戦闘行動においてなによりも必要とされる物を知ってますか

それはナイフでも鉄砲でも爆薬でもないんですよ、現役の傭兵である彼は言います


それはカレー粉だと


ジャングルで彼が闘っていたときは、軍からまともな食料など支給されないので

食事=その辺にすむ、ヘビ、トカゲ、鳥、とにかく動く動物

なわけです、ですが野生の動物ですからただ焼いただけでは臭くて絶対食べられません

そこでカレー粉の登場です、たっぷりまぶして臭みを消してようやく食べるわけです。

だからカレー粉が無いと彼らは生きていきていけないんです

鉄砲、銃弾、ナイフ、爆薬なんぞより何より大事なカレー粉

軍規に違反した懲罰はカレー粉没収 泣きだす兵士

極限のジャングルで生きる屈強な男達の唯一の弱点カレー粉


てことはやっぱりジャングルに潜む傭兵部隊に補給物資を届ける時に

一番大事なのはカレー粉補給部隊って事です、すなわち一番命を狙われる訳です

補給部隊の中ではカレー粉部隊こそがなにより誇り高い任務なんです

もちろん補給部隊を待ち伏せる敵軍の隊長もまずカレー粉部隊が最初の攻撃目標です

「ここで奴らのカレー粉を絶てればこの戦い勝てる!」と攻撃してくるはずです。

屈強な兵隊達が命がけで闘って奪いあうカレー粉

敵と戦い無事に守り通せた部隊長は栄えあるカレー粉軍曹に昇進です


待ちに待ったカレー粉部隊の到着に沸き返る兵士達大歓迎される補給部隊

運ばれてきた箱を我慢出来ずに開けてみる兵士達

満を持して出てくる


カレーの王子さま


怒り狂う兵士達、さんざんないわれようで肩身の狭いカレーの王子様

「上は俺達の事なんかなにも考えちゃいないんだ」

軍の自分たちへの扱いに憤慨し日頃の鬱憤が爆発する兵士達



ある者は怒り狂いある者は絶望する

そんな重苦しい苦しい雰囲気の中


タイツ姿で微笑み続けるカレーの王子様


まさに極限状態


あとがき

バイトしてたとか収入が無いとかカレー粉がなくてはならないってのは本当です

残りはもちろん妄想ですがね、でもね 面白いでしょ傭兵の真実の姿

こういう現場の話を紹介するしつつも愛国心やアイデンティティとかの話を

傭兵ならではの視点から書いているんですよそんわけで俺はこの連載

 「傭兵の誇り」 が非常に楽しみ毎回待っているんですが

彼は今でもライターになったわけではなく、傭兵の片手間の執筆活動ですから


毎回無事に載っているか これほど心配な連載は初めてです




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