上記の仕組みをもう少し詳しく理解するには、まず携帯やPHSの基本的な流通の仕組みを理解する必要があります。
図のように、メーカーは通信事業者に端末を納入します。この際の代金は、その端末の通常の代金ですから、1台あたり数万程度(個体差がかなりあるかと思いますが)がメーカーに支払われます。
このように端末を仕入れた通信事業者は、今度はそれを一次代理店に卸売りします。直接販売店(ドコモショップなど)に卸すこともあり得ますが、ほとんどの販売店は一次代理店を経由することになります(一次代理店だけでなく、二次代理店、三次代理店を経由することも)。この場合の端末の卸売価格も、その端末の通常の代金です。ただ、事業者はそれで儲けているわけではありませんから、先ほどの納入価格より極端に高いことは少ないと思われます。
さて、ここまでは他の電化製品などの流通とあまり変わりません。特殊なのはここからです。
一次代理店は、契約を獲得するごとに一定の販売手数料(ないし販売奨励金など)を通信事業者から受け取ることができます。そこで、そのような手数料をあらかじめ差し引いた上で販売店に端末を卸します。手数料には、以下のようなものがあります。
・新規契約獲得手数料(ただし6ヶ月未満に解約があった場合には取り戻し)
・機種変更受付手数料
・継続手数料(獲得した契約の利用料に応じた手数料)
・販売台数に応じた手数料(何百台もまとめて販売した場合とか)
・特別手数料(在庫処分やモデルチェンジなど)
※手数料の名目や内容は各社様々ありますので、あくまで参考まで
こうして、あらかじめ販売手数料を差し引いた価格で、販売店に卸されるわけです。その際、先述の通り、端末代金よりも手数料の方が大きい場合には卸売り価格がマイナスになることもあって、そのマイナスが大きい場合には0円で販売されることもあることになります。
ただ、こうした手数料ビジネスには、会計上・税制上の様々な問題があります。上記のように一次代理店がすべて手数料を差し引いて出荷してくれると販売店としては簡単ですが、一次代理店としてはそれが不利だったり煩雑だったりリスクを負ったりすることがあります。そこで、手数料を後払いにする場合や、あらかじめ差し引いてなかったりする場合など、様々あります。