最後のNY観光へ

 ニューヨークも今日でお別れ、明日の朝には飛行機に乗らなければならない。今日はメトロポリタン美術館に行ってからお買い物の予定だ。

 まずは美術館。とても広いのでKちゃんが希望した「アメリカ現代美術」のフロアにたどり着くのに思いきり迷った。その分他のいろいろな展示物も見ることができたので「アメリカ現代美術」まで見終わったところで見学は終了した。全部見ようと思うと1日じゃ足りないからね。

 次はセントラルパークを歩いてみる。リバティー島行きの船付き場がある公園でも感じたのだが、公園の外は車がたくさん走っているのに、公園の中にはリスが走り回っている。自然に溢れた別世界、日本では考えられない風景だ。

池の横でプレッツェルを売っていたので簡単なお昼にすることにした。プレッツェルは強力粉でできたパンで、見た目は2・3個は軽く食べられそうだが、中身が詰まっているので実はとても食べでがある。飲み物と一緒でないと喉が詰まりそうだ。岩塩がまぶしてあって、私の大好きな味ではあったが、途中でおなか一杯になってしまった。

 次は買い物。あこがれのティファニーに行ってみた。この旅行後、いろんな国のティファニーの店を見たことはあるがここは本店、入り口から違う。店もとても広い。全部真剣に見ようとすると時間がいくらあっても足りないので、ざっと一回りしてから指輪の欲しいKちゃんとピアスの欲しい私は別々に行動した。もう一度ピアスのあった所を見回り、気に入ったものを見つけた。ダイヤのピアス。まさに思い描いていた形だった。ピアスなのに試着もOKだったのでつけさせてもらう。うん、やっぱりいい!で、値段を聞いてみた。しばらく悩んで、そして、あきらめた。やっぱりダイヤは高かった。Kちゃんを捜すと、彼女は気に入ったものがないとのことだったのでここを後にして、別の小さな宝石店でそれぞれお目当てのものを手に入れた。

 でも日本に帰ってからもこのピアスは忘れられなかった。あの時気合いを入れて買っておけばよかったのだととても後悔した。それから、外国でティファニーの店を見つける度にあのピアスがないかとのぞいてみるのだが、もう見つけることはできない。

 その後、友達にウィスキーボトルを頼まれていたので食器屋に入り、3種類ほどあった大きさの中で、中くらいのを選んでレジに持っていった。すると店のご主人が、

「これは現物しか在庫がないがこれでいいか?これでいいなら2割引にするよ」

と言ってくれた。文句ない文句ない。うれしくて両手で握手をしてしまった。

 会社や友達、自分へのおみやげも手に入れ、街もぶらつき、ホテル前や部屋の写真も撮り、もう思い残すことはなくなったので晩ご飯の買い出しに出かけた。Kちゃんが

「ビールも飲みたい」

と言い、たくさんの種類の中でディズニーの絵の入った「ROOT BEER」という缶を選んだ。部屋に戻り、ご飯を食べつつKちゃんはそれをぐびりと一口…

「う、まずい…」

「まずいってどんな風に?」

「なめてみたら?これはすごいよ」

「うっ…」

なんと言えばいいのか、アメリカらしい香料ばりばりとでも言うのだろうか、結局ふたりでひとくちずつ口を付けただけで捨ててしまった。さすがの酒飲みKちゃんもそれ以上は飲めなかった。

 話が少々飛びますが、海外2度目の私達がいきなり10日近く日本を離れてしまうということで、きっと日本食が恋しくなると思い、カップラーメンや日本茶、おにぎりせんべいなどの日本の味らしいお菓子をたくさん持参して旅行に望んでいた。結局、日本食が恋しくなることはなく、ということはまるまる余ることになってしまった。全部捨てるのはもったいないし、持って帰るのも荷物になる。そうなると食べないといけない。この夜はご飯の後、お菓子を食べ、深夜にはカップラーメンも食べた。でも全部平らげることはできず、日本への荷物になってしまった。それ以来、海外に行くときに日本食を持っていくことはしなくなった。とは言いつつ、日本茶の缶ひとつだけはどうしても持って行ってしまうのだが…。

最終日は、もう出かけることもできず、ただ空港に連れて行かれるのみ。現金が少しだけ余っていたので、空港内でアメリカンなお配りお菓子を買い込む。これがまたすごい香料で、友達には嫌がられたのであった。