甘味の宝庫2

蛋撻

 香港に行ったら何が何でも食べてしまうもの、そして同行者にも必ず食べさせてしまう ものは蛋撻である。ちょっと前に日本でも流行って「カスタードタルト」とか「タンタオ」 とかのこじゃれた名前で売られてはいたのだが「あれは邪道だ〜!!」と大暴れしていたのは 私だけではない…はず。ホントの蛋撻はバターなんか使ってないぞー!

 蛋撻はお店によって生地がパイ皮かクッキーかに分かれている。私はどちらかというと パイ皮の方が好きだ。そして生地の型の中にカスタードプリンが入っているのだ。もうその パイ皮のサクサク感とつるんとしたプリンの取り合わせと言ったら…!

 生地とプリンのスタンダードなものの他に、果物が乗っかった物や、ツバメの巣が 入ったものもある。ツバメの巣と言えば高価な食べ物でちょっとお目にかかれないような 気がするが、ツバメの巣入り蛋撻なら10ドル程度で買える。一度銅鑼湾のとあるお店で これを見つけてしまい、試しに買ったらアツアツの状態だったのでそのまま店の横に 座り込んで食べてしまった。でもツバメの巣も小さいのしか入ってないし、ツバメの巣も プリンもつるんとした食感なので何だかよくわからないうちに終わってしまった。

 蛋撻は飲茶屋さんやパン屋でも手に入るし、専門店もある。飲茶のページでも 書いたが、焼きたてを見つけたら即買って食べよう。


高力荳沙香蕉

 とある料理店で私達はもうこれ以上食べられないほど満腹になっていた。目の前には まだ料理が余っているのに、どうしても口に入れることができない。それなのにまだ この上にデザートが来るはず、料理を1品減らしておくか、デザートをやめておくべき だったと後悔してももう遅かった。お皿に山盛りのクリーム色のお菓子がテーブルに 運ばれてきた。ひとり2・3個は食べなければ片づかない、でも大きさを見ただけで 「どうしよう…」という空気が漂う。しばらく呆然と見つめていたが、見つめていたところで お菓子が減るわけではない。少しずつでも食べなければ、さすがに全部残して帰るわけには いかない。とりあえずひとつずつ自分の皿に移し、一口大に切って口に運んだ。

 「あれ?食べられる」

 見た目は大きい揚げ団子でグラニュー糖なんかかかっているので、甘くてしつこそうに 見えるが全然そうではない。外の生地はメレンゲなのでフワフワで、その中にあんこと バナナが入っている。揚げてあるのでバナナはとろっとなっていてすっぱ甘い。

 ここの店はちょっとお高めのレストランである。店の看板料理もあってそれらも食べた のだが、結局このデザートの記憶しか残っていない。もう一度あのフワフワの食感を…と 思うのだが、そのために大枚はたくのはもったいない。

 お店に行って、あれだけをお持ち帰りにしたいと言うと殴られるかなあ…? 1個から売ってもらえてアツアツを紙に包んでもらって、食べながら街歩きできたら 最高なのに。


生ジュース

 銅鑼湾に用のある時にはなぜか決まって地下鉄のF出口から出てくる。 一番、街のど真ん中でわかりやすいというのもあるし、出口のすぐ目の前に結構大きな 生ジュース屋さんがあって、着いた時、あるいは帰る前にここでひと休みするのが 毎回恒例のようになっているのだ。店頭にジューサーが並んだ生ジュース屋さんは街角に たくさんあるが、たいていは2・3種類しか置いてない。しかしここはずらっと並べて あるので今日は何を飲もうかと迷えるし、道行く人がちょこちょこ買っていくので中身の 回転もいいような気がする。

 紙コップは大か小が選べて欲しいジュースを指させばコップいっぱいに入れてくれる。 それを道端に立ってきゅーっとやる。暑くてのどが渇いているとき、この冷たさは幸せだ。 私のお気に入りはハニーデューメロン。でもとても甘いので本当にのどが渇いて たまらない時にはこれではよけいにのどが渇く。そんな時にはスイカかキウイあたりが ちょうどいい。

 ジューサーの指さし注文に慣れたら次はその下のショーケースに入っている果物を 指さして絞ってもらおう。これこそ本当に新鮮である。


珍珠[女乃]茶

 普段日本ではほとんど歩かない生活をしているのに、香港に行くとすごい距離を 歩いてしまう。でももちろん基礎体力はないので、ちょこまかとひと休みすることになる。 郊外なら道端などに座り込んでお安くあげることもできるのだが、街中は人が多いので それもなかなかできない。うかつにショッピングセンターの喫茶店になど入ってしまって、 ジュース2杯で晩ご飯代くらいかかってしまって目玉が飛び出そうになったことがある。 周りに座り込める場所もなく、ちょっとひと休みしたいときにはチェーンの甘味屋さんや、 茶餐廳あたりに飛び込むのがお財布にも優しいようだ。

 そんなわけで飛び込んだとあるお店、ここは珍珠[女乃]茶の種類がたくさんある。 基本的には珍珠という黒くてちょっとほろ苦い親指の爪くらいの大きさのグミが冷たい ミルクティーの中に沈んでいる。それをぶっといストローで飲む、というか食べるというか…。 ミルクティーも濃厚でとてもおいしい。

 でも実は新たに街中で安くひと休みできる場所を見つけてしまった。私は尖沙咀に行くと 必ず「City Super」というちょっと高級食品の揃うスーパーに寄ってしまう。 そこの同じフロアには広いフードコートがあって、そこでコーラなど買えば好きなだけ 座っていられるのだ。その時の気分で使い分けができるお安いひと休みのしかたでありました。


まぜまぜアイス

 旺角には「信和中心」という、アニメ好きにはたまらないオタクな店がびっしり 入っているビルがある。よく泊まっているホテルから見えるほど近い場所にあるけれども、 別に私は妙なアニメやH系には興味がないので前を通るくらいだった。しかしおもしろい アイスクリームのお店があると聞いたのでこれはちょっと行ってみないといけません。

 でも店の前のショーケースにはアイスクリームはなく、いろんな色の小さな固まりが 入っているのみ。そしてメニューには果物の名前が並んでいる。システムがよくわからなかった ので果物が3種類セットになっている物を注文してみた。すると店のお姉さんはショーケースの 中から固まりをいくつか取り出し奥でゴソゴソ。そしておお!カラフルなマーブル模様の アイスクリームが出てきた。

 固まりは果物を凍らせた物。それをつぶしてヨーグルトアイスに混ぜ込んであるのだ。 私はイチゴとキウイとココナッツを頼んだのでそれらがごちゃ混ぜになった味でなかなか おいしかった。今度他の物も食べてみたい。私達は店名はよく覚えてないので勝手に 「まぜまぜアイスの店」と名付けて今度混ぜたい果物を考えている。

 ただ場所は旺角ネイザンロード沿い、あの人込みの中で歩きながら食べないといけないと いうのが、落としたり人にぶつけたりしそうでちょっと危険ではある。