強記へGO!
ある時、とある在住日本人に「おいしいベトナム料理のお店がある」と教えてもらった。 しかし彼女も場所はうろ覚えだったようで、「強記」という店名と、この通りのこの辺り というあやふやな情報しか教えてもらうことはできなかった。でも店名さえわかっていれば大丈夫さ! とPOCHIと私は次の日その場所へ向かった。あっさり「強記」は見つかり、店頭で料理を作っていたので、 魚(鯉?)の切り身に高菜のような漬け物を乗せて蒸した料理と排骨飯を頼み、店内に入って食べた。 しかしお腹がすいていたし、聞いていた店名と合っていたのでそのまま黙って食べてしまったのだが、 私達の頭には「?」マークが飛び交っていた。「ベトナム料理ってこんなんだったっけ?」
おいしいんだけど、何か違うような気が…。
日本に帰ってから詳しい人達に聞いてみたところ、ベトナム料理の「強記」は正式名 「強記越南餐廳」といい、ただの「強記」の3軒ほど隣にあったのだということが判明した。 よく考えれば、チェーン店でもないのに同じような名前の店が所々にある香港だ。 別に「強記」自体はなにも悪くないのだが、何か騙されたような気がして次回こそは正しい 「強記」の方へ行こうと固く誓った。
そして次回…
私達はまた同じ通りに踏み込み、ニセ「強記」の前を通り過ぎ、数軒隣の「強記越南餐廳」 に入っていった。メニューをしばらく眺め、お店特製の春巻きと、「フォー」という麺料理と、 チキンカレーフランスパン付きを注文。春巻きは生かと思っていたら揚げてあって、 一緒についてきた葉っぱで巻いて食べても、そのままでもお好みでという風になっていた。 テーブルに置いてある赤いお酢をつけて食べるとたまらないうまさ。 「フォー」もそれ自体はあっさりとしたスープに入った麺なのだが、調味料をプラスして 好みの味に変えていくことができる。チキンカレーはちょっと漢方くさいが後をひく辛さで、 フランスパンもどんどん食べられる。チキンもよく味がしみこんでいるのにしっとりと柔らかい。 ただ骨付き肉なので手を汚さないと食べられないのが難点。
お昼少し前に店内に入ったが、しばらくするうちに近所の会社員などですぐ満員に なっていった。みんな1品と飲み物だけでぱっと食べて出ていくので客の回転がとても速い。 私達がのろのろ食べている間にがらっと客が変わっていく。 この店の横には奥が行き止まりの通りというか広場があって、夜になるとそこにテーブルを 出すという話だったが、軒下だけは昼からテーブルを出し始めた。すごい繁盛ぶりである。
私達はベトナムには行ったことがないのでこれらの料理が本場の味なのかどうかはわからない。 もしかしたら香港人の舌に合わせた「ベトナム風料理」なのかもしれない。 しかし香港で広東料理などの中華料理ばかり食べ続け、「もう中華は食べられない (五香粉のにおいにうえっとなってしまうのだ)」と思った頃にこういう違った味のものを食べると 食欲が復活してくるのであった。
単にカレー味だったからかもしれないのだが…。
ああ、それにしてもあの春巻きの味を思い出すと……じゅる。