香港の魅力
香港は、もう何回行ったのか数えられない。最初は大学の卒業ゼミ旅行、海外に行くことはおろか、飛行機に乗ること自体初めての経験だった。ろくにバイトもしてなかったので、旅行が決まってから慌ててかき集めた少ない貯金はお小遣いに、旅費は卒業後のOLとしての給料をあてにして、1年ローンを組んだ。
そして、離陸し、高度を上げていく飛行機を
「ジェットコースターみたいだ〜」
と言ってゼミの教授に大笑いされつつ、初の香港旅行に望んだ。
数時間後、徐々に高度が下がり、眼下にたくさんの背の高いビルが見えてきたな、と思ったら、ぐーんと旋回して古ぼけた
マンション群の中へ突っ込んでいく。
「うわ〜〜!! 洗濯物が引っかかる〜〜!!」
とドキドキしているうちに着陸してしまった。
飛行機を降りて深呼吸。日本とは空気のにおいが違う。いなか住まいなので、上を見上げるとひっくり返りそうになるほど高いビルも、道に大きくはみ出すどでかい看板も、何もかもが珍しかった。
でもこれはゼミの団体旅行、ずっとガイドさんについて、バスに乗って観光し、何軒ものおみやげ物やさんを連れ回される、例の悪評のツアーだったのだ。おのぼりさん同然の私は、そのうちの一軒で
「これはお安くなってますよ」
と店員に言われてほくほく顔で買った商品が、次の日個人的にふらりと寄った中国デパートで1/3の値段で売られているのを見て激怒した。その時はもう
「二度と香港には来るものか」
と誓ったのだが、ツアーの最終日、2時間ほどの自由時間があったので、ホテルの近辺を散歩したところその考えは180度変わってしまった。
街のパワー、人々のパワー…、うまく言葉では表せないのだが、日本に帰ってきてからも街のざわめきが忘れられなくて、もう一度、もう一度と渡港回数を重ねてきたように思う。2回目に行ったのは雪辱戦と言う意味が大きかったのだが…。
そして、行けば行くほど面白いものを見つけてしまい、深みにはまっていってる私なのであった。
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とある年とそれから1年半後、同じ所で撮った写真。間違い探しができるぞ。
洗濯物が引っかかりそうな啓徳空港への着陸は、1998年7月5日で終わってしまいました。香港へ行く時の最初のお楽しみイベントがこれだったのにとても残念です。九龍城を歩いていて、耳をつんざくような大音響と共に飛行機のおなかを見ることももうありません。
新空港は街からずっと離れた海を埋め立てて、関空のような感じで作られました。近代的な、きれいな空港もいいと思うのですが、ちょっと薄暗い、怪しい感じの啓徳空港もまたそれなりに「香港に来たぞ!!」と感じられてよかったと思うのです。
王家衛監督の映画でよく空港の場面が出てくるのですが、まさにああいうちょっと怪しい感じなのです。
何回も行ったので、それぞれの旅行記というのはどうも書けなくなってきました。香港編は 、思ったこと、体験したことなどをちょこちょこと書きつづっていこうと思います。