蒸し暑い香港もこの時間になると、やや過ごしやすくなってくる。

乗り合いのミニバスが山間の客家の村にたどり着いたのは、日が傾きかけ、
陽光のつくり出す木々や建物の影が、そのシルエットを強調しだす時間帯
だった。

香港新界の粉嶺聯和墟バスターミナルから車で10分程で、客家の
家並みが残る龍躍頭へ到着。

客家人とは、言葉そのものの意味からすると、中国南方の華南地方
先住民による外来者という意味であるが、始皇帝時代からの、中原
(黄河流域)を起源とする漢民族の末裔であり、戦乱と共に中国南方へ
移り住んだ民族であるという。

道教を信仰し、独特の石造りの囲屋と呼ばれる集合住宅で生活する。
勿論現在では新しい現代の住宅も多く建っているが、今も囲屋で生活する
人も残っており、囲屋の近くには必ず道教の廟があり、夕刻ということも
あってか付近に線香の香りが漂っている。今もしっかり信仰がなされて
いるのである。

そして何故か囲屋には決まって大きな犬がいる。
囲屋に近づくと、なわばりを侵す私たちを警戒するように何度か
追いかけられもした。

古い囲屋に緑の山々、そしてその向こうには新興の高層マンション群。
新界地区は新旧の香港が同居している。
客家の村は道教の神々と犬達に守られていた。







ひととおり村を散策して、通りすがりのミニバスをつかまえ粉嶺へ戻る。
今回、ここへ来た目的のひとつは最近地元で評判の客家料理の店が
あると聞いたからだった。

小さな町故、さして探すまでもなく目的の「新漢記飯店」をみつける。
まだ夕食時には早い時間ということもあって空き席がある。

甘辛味の豚アキレス腱炙り焼き、塩卵入りの豚肉と芥子菜のスープ、
トマトと卵の炒め物を注文。インパクトはないものの、どれも家庭で
食べているようなナチュラルな味付け。後で考えるともっと客家菜と
しての特徴のあるオーダーをすべきだったかもと思いもしたが、
トマトなどはしっかりしていて、明らかに日本のものとは素材が違う。

食べ終わって店を出ると、店頭には行列ができている。
やはり噂に違わぬ人気店のようだ。中国版お袋の味の店とでも
いったところか?

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揚げピーナッツと
大根の酢漬け

芥子菜と豚肉、塩卵の
スープは優しい味

黄色いのが塩卵
生姜が効いている

トマトと玉子の炒め物
素材がしっかりしてる

豚アキレス腱炙り焼き
ちょっと甘めの味付け

行列ができている
なかなかの人気店


龍躍頭の天后廟でサッカーに興じていた子供達も今はもうそれぞれの
家に帰って食卓についているのだろう。

あたりはすっかり暗くなっていた。