プロローグ 〜神々の國の誘惑〜
僕自身は、無神論者だと思っている。いや、無神論者であると勝手に思っているだけなのかもしれない。お正月には神社にお参りをし、お盆にはご先祖様のお墓に手を合わせる。クリスマスにはクリスチャンでもないくせに教会の礼拝堂に足を運ぶ。TPOにあわせてお祈りする相手が違うだけだ。祈られるほうにしたら節操のないやつには違いないけど・・・
多くの日本人がそうであるように、僕もキリストやお釈迦様のことはある程度知っているくせに自分の国の神様のことはよく知らない。太平洋戦争終結後、日本はアメリカの主導により新生民主国家としての道を歩みをはじめた。そこでは、GHQによる徹底した民主化教育が施され、国家がその長い歴史により育んできた神話的寓話は非民主的であるということだけで抹殺されてしまった。戦前の子供たちであれば誰でも知っていた神話も今では、あまり知る人もいない。
そんな中、昨年の4月に島根県にある出雲大社から古代の神殿に用いられたと考えられる巨木が発見されたことを思い出し、出雲國に行ってみようと思い立った。
日本神話の多くは、出雲國が舞台となり八百万の神々が登場する。自分の国の神様を知るのにこんなにふさわしい場所は無いのではないか。僕は、神々に導かれるかのように出雲國へと旅立った。
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