プロローグ 〜忘れていた心の情景を求めて〜 『一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ 』 これは、”日本一短い手紙”として有名なもので、戦国時代の武将・本多作左衛門重次が陣中から国許の妻に宛てた手紙です。手紙の中で”お仙”と呼ばれているのは重次の子で後に越前國(福井県)丸岡城主となる、本多成重のことです。丸岡城のある福井県丸岡町はこれにヒントを得て、一筆啓上賞というものを設けました。今からちょうど10年前の1993年のことです。みなさんは最近、誰かに手紙を書いたことがありますか?近頃は、携帯電話やパソコンのメールで済ませてしまう人がほとんどでしょう。斯く言う僕も、手紙なんていつ書いたのか全く覚えていません。自分の思っていることを自分の手で手紙に書く。ちょっと前までは当たり前のことが、今では当たり前ではなくなっている現代。今回の旅では、現代人が日ごろ忘れてしまっている情景を求めて、”日本一短い手紙”の故郷、福井県丸岡町を出発点にして、越前國を旅してみたいと思います。
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