復刻版食堂車メニュー

N 10.02.14

 食堂車の歴史は古く,1899年(明治32年),山陽鉄道が神戸〜三田尻(現在の防府)間の急行に食堂車を設定したことに遡る.食堂車では,一等70銭,二等50銭,三等35銭の3タイプの西洋料理の他に,コーヒー5銭,ビール25銭などが提供された.ちなみに,当時の物価は,白米(10 kg)67銭,そば1銭8厘,あんパン5厘, 大工の手間賃66銭,教員の初任給8円であった.
 官鉄でも,山陽鉄道に遅れること2年,1901年(明治34年)に東海道本線の急行に食堂車を連結するようになった.ここでは,1930年に登場した特急「燕」以降の食堂車の歴史について述べる.

 このページの食堂車メニューは,営利目的でない限り,ご自由にお使い下さい.しかし,このページの食堂車メニューは,古い時刻表に基づき編修したものですので,記載ミスがあるかも知れません.その際はご容赦下さい.時刻表のバックナンバーは日本交通公社の旅の図書館で閲覧ができます.


1930年
 1930年(昭和5年)10月,東京〜神戸間に特急「燕」(11レ)が登場した. 「燕」は,東京〜大阪間を、それ以前の特急「富士」に比して 2時間半近く短縮する8時間 20分(表定速度68 km/h)で走破し、「超特急」と称された.
  「燕」の食堂車は「みかど」が営業を請け負い,洋食を提供した. 食堂の予約は,横浜を出ると車内改札があり,その後,ボーイが昼の定食の注文を取りに来た. 定食は1コース40分のフルコースで,3回転であった. ちなみに,開業日のメニューは,スープ,伊勢エビのゼリーかけ,牛肉の松茸ソース, 七面鳥の蒸焼き温野菜添え,果物,珈琲で〆て1円30銭であった.

表1.1 1930年「燕」食堂車定食メニュー
A定食 一圓
B定食 一圓二十銭
A定食 一圓三十銭
B定食 一圓五十銭
グリルドチキンに野菜三種添え:一圓五十銭
ダブルビーフステークに野菜三種添え:一圓五十銭

表1.2 1930年「燕」食堂車一品料理メニュー
スープ
ハムエッグス
オムレット
ビーフステーキ
ビーフカツレツ
チキンカツレツ
25
35
20
50
40
45
カレーライス
チキンライス
シチュードビーフ
コールドビーフ
コールドチキン
ハムサラダ
30
45
40
40
45
35
プディング
チーズ
紅茶又は珈琲
菓子
果物
パンおよびバター
20
25
8
10
時価
10

表1.3 1930年「燕」食堂車飲み物メニュー
ウイスキー
ビール(大)
ビール(小)
黒ビール(大)
黒ビール(小)
40
45
28
48
30
白葡萄酒(大)
白葡萄酒(小)
赤葡萄酒(大)
赤葡萄酒(小)
和 酒
4.00
3.00
3.50
2.50
48
カクテール
ブランデー
ペパーミント
ポートワイン
スタウト
50
55
40
40
1.00
炭酸水
レモネード
ジンジャエール
三ツ矢サイダー
カルピス
26
26
26
26
15
 当時の物価:白米(10 kg)1円66銭,そば7銭,あんパン2銭5厘,ラーメン,コーヒー10銭, ビール35銭,天丼40銭,山手線初乗5銭,大工の手間賃3円10銭, 教員の初任給45円.東京〜大阪間の航空運賃は30円.



 JTBの時刻表は2009年に1000号を迎えたが,(全ての時刻表を調べた訳ではないので正確ではないが)1956年頃から1968年頃までは,食堂車のメニューが載っている.


1956年
 1956年(昭和31年)11月,東海道本線の全線電化完成.これに伴い, 「つばめ」「はと」は全区間を EF58が牽引し,東京〜大阪間の所要時間は 7時間30分に短縮された.「つばめ」「はと」の客車・機関車は、従来の標準色であった茶色から, 淡緑5号というライトグリーンに塗り替えられ、イメージチェンジした.これらの編成は、 その塗色から「青大将」と呼ばれた.

表2 1956年の食堂車メニュー
定 食 一品料理 飲  物
昼・夕 ランチ 一品70円より
225円まで各
種の料理があ
り,朝のオー
トミール50円
清酒特級1合
清酒一級1合
ビール 中瓶
黒ビール小瓶
国産ウイスキー
舶来ウイスキー
140
110
80
85
80
180
清涼飲料
  各 種
レモネード
コーヒー
紅 茶

45
30
50
40
急行 和120
洋150
190
225
225
特急 285円(5種),330円
480円の5種類
 当時の物価:白米(10 kg)765円,そば20円,あんパン12円,山手線初乗10円, 大工の手間賃730円,教員の初任給7800円.


1958年
 1958年(昭和33年)11月1日,モハ 20系(後の151系)電車特急「こだま」が誕生, 東京〜大阪間の所要時間は 6時間50分に短縮された.1958年は,これ以外に,「あさかぜ」「はつかり」が誕生. 北海道に渡ったC62は「大雪」「アカシア」「まりも」の運用に充く.これらの列車の食堂車のメミューである.

表3.1 1958年特急食堂車メニュー
洋定食
和定食
150,200
150
飲  物


ビーフステーキ定食
プルニエ定食*1
チキン定食
ミート定食
お好み定食
440
285
330
285
330
清酒特級1合
清酒一級1合
     大瓶
ビール 中瓶
     黒(小)
ウイスキー
 国産品 30cc
 舶来品 30cc
140
110
140
80
85

80
180
オレンジジュース
サイダー
レモネード
ジンジャエール
炭酸
コーヒー
紅茶
55
45
30
30
25
50
40
一品料理 50円より225円
まで各種料理
*1:「プルニエ」とは魚介のフライが評判だったパリのレストランの名称.
鮭と帆立のフライ,サラダ,スープ,パン又はライス.


表3.2 1958年急行食堂車メニュー
洋定食
和定食
150
120
飲  物


プルニエ定食
ミート定食
お好み定食
幕の内
225
225
250
285
清酒特級1合
清酒一級1合
     大瓶
ビール 中瓶
     黒(小)
ウイスキー
 国産品 30cc
 舶来品 30cc
140
110
140
80
85

80
180
オレンジジュース
サイダー
レモネード
ジンジャエール
炭酸
コーヒー
紅茶
55
45
30
30
25
50
40
昼ランチ 225
一品料理 50〜225
 当時の物価:白米(10 kg)850円,そば20円,あんパン12円,山手線初乗10円,大工の手間賃730円, 教員の初任給8000円.



1959年
 僅か一年の違いで,定食メニューも充実し,一品料理の具体的なメニューが表示された.翌1960年6月には「つばめ」も電車化され,更に1962年には「つばめ」1往復は広島まで延伸される.

表4 1959年特急食堂車メニュー
定 食 特急 一品料理 飲 物
洋定食
和定食
200
150
スープ
カレーライス
チキンライス
チキンカツレツ
ポークカツレツ
ビーフカツレツ
グリルフィッシュ
ハムエックズ・オムレツ
サーロインステーキ
ハムサラダ
コンビネーションサレダ
サンドウィッチ
カツ丼
80
100
100
150
120
120
80
100
230
100
120
100
100
輸入ウイスキー
国産ウイスキー
ビール 大瓶
ビール 小瓶
黒ビール
スタウト
清酒特級
清酒一級
オレンジジュース
サイダー
炭酸水
珈 琲
紅 茶
180
80
145
80
85
100
140
110
55
45
25
50
40




テンダーロイン定食
ビーフステーキ定食
グリルチキン定食
プルニエ定食
ランチ
幕の内
チキン・ソテー
シチュ・ビーフ
スパゲッティ・グラタン
600
480
350
300

280
200
200
 当時の物価:白米(10 kg)850円,そば35円,あんパン12円,山手線初乗10円,大工の手間賃730円, 教員の初任給8400円.



1964年
 1964年10月,東海道新幹線開業の年である.新幹線の開業に伴い,151系特急が廃止された.鉄道写真を始めた原点である.表5に示すのは,新幹線開業前夜,151系特急の食堂車のメニューである.

表5 1964年新幹線開業前夜の食堂車メニュー
定 食 一品料理 飲 物
洋定食
和定食
250
200
カレーライス
チキンライス
ハムサンドウィッチ
サーロインステーキ
チキンカツレツ
ポークカツレツ
ビーフカツレツ
コールチキン
コールビーフ
海老フライ
鮮魚フライ
スパゲッティ
ハムサラダ
コンビネーションサラダ
うな重(吸物付)
100
100
120
300
180
150
150
200
200
250
100
150
120
150
200
ウイスキー
ビール(大)
ビール(小)
黒ビール(小)
スタウト(小)
清酒特級
清酒一級
オレンジジュース
コーラ
サイダー
レモネード
ジンジャエール
炭酸水
珈 琲
紅 茶
105
155
90
90
100
145
115
55
60
45
30
30
25
50
50




特製ビーフステーキ定食
ビーフステー定食
グリルチキン定食
プルニエ定食
ランチ
シチュー定食
コールミート定食
幕の内(吸物付)
750
600
400
350
300
350
350
300
 当時の物価:白米(10 kg)975円,そば50円,山手線初乗10円,大工の手間賃1800円,教員の初任給16300円.


  
1968年
 JTBの時刻表に乗っている最後の食堂車のメニューである.
 表6.1は,新幹線およびブルートレインをはじめとする特急食堂車のメニューである.表6.2のビュッフェメニューのすし類は「なにわ」「いこま」「宮島」などの東海道・山陽本線の電車急行のビュッフェメニュー,そば類は「立山」「佐渡」「まつしま」「アルプス」などの北陸,上越,東北,中央本線の電車急行のビュッフェメニューである.

表6.1 1968年新幹線,在来線食堂車メニュー
新幹線 在来線食堂車


朝定食(洋)
ランチ
ハンバーグ
ステーキ定食
フライドチキン定食
うなぎご飯(吸物付)
200
420

340
300
300


朝定食(洋)
朝定食(和)
特製ビーフステーキ定食
ビーフステーキ定食
ビーフシチュー定食
グリルチキン定食
プルニエ定食
カツレツ定食
ランチ
幕の内(吸物付)
うなぎご飯(吸物付)
350
300
1200
800
500
400
350
400
300
300
300




カレーライス
チキンライス
スープ
えびフライ
ハンバーグステーキ
ポークカツレツ
スパゲッティ
ハムサラダ
コンビネーションサラダ
ハムサンドウィッチ
ミックスサンドウィッチ
若鶏もも肉の唐揚げ
ご 飯
パン・トースト
チーズクラッカー
ポテトチップス
180
200
100
330
240
250
200
200
200
150
220
250
50
50
70
50




カレーライス
チキンライス
スープ
えびフライ
ハムオムレツ
ハムエッグス
サーロインステーキ
ハンバーグステーキ
ポークカツレツ
ビーフカツレツ
ハムサラダ
コンビネーションサラダ
スパゲッティ
ハムサンドウィッチ
ミックスサンドウィッチ
若鶏もも肉の唐揚げ
ご 飯
パン・トースト
チーズクラッカー
ポテトチップス
180
180
100
330
150
150
500
240
250
300
200
200
200
150
220
250
50
50
70
50




ビール(大)
ビール(小)
黒ビール
ギネススタウト
清酒(特級180ml)
清酒(1級180ml)
清酒(2級180ml)
ウイスキー(特級30ml)
ウイスキー(輸入30ml)
牛 乳
コーヒー・紅茶
オレンジジュース
トマトジュース・コーラ
サイダー・シトロン
炭酸水
170
100
110
110
170
140
100
130
300
40
70
60
70
50
40




ビール(大)
ビール(小)
黒ビール
ギネススタウト
清酒(特級180ml)
清酒(1級180ml)
清酒(2級180ml)
ウイスキー(特級30ml)
ウイスキー(輸入30ml)
牛 乳
コーヒー・紅茶
オレンジジュース
トマトジュース・コーラ
サイダー・シトロン
炭酸水
170
100
110
110
170
140
100
130
300
40
70
60
70
50
40

表6.2 1968年在来線電車急行ビュッフェメニュー
ビュッフェ

朝定食(洋)
ランチ
うなぎご飯(吸物付)
200
250
300




カレーライス
チキンライス
カツ丼
天 丼
ハンバーグステーキ
ハムサラダ
コンビネーションサラダ
ハムサンドウィッチ
ミックスサンドウィッチ
スパゲッティ
ご 飯
パン・トースト
チーズクラッカー
ポテトチップス
180
180
180
180
240
200
200
150
220
200
50
50
70
50


こはだ・たこ・いか・とり貝
あなご.玉子
鮪(赤身)・しゃこ・たい・ひらめ
まぐろ(とろ)・赤貝・みる貝
え び
つまみもの
のり巻き
鉄火巻き
にぎりずし盛合わせ
大阪ずし盛合わせ
20
25
30
35
60
150・200
50
70
100・250
200


もり・かけ
ざる・たぬき
月見・きつね
天ぷら
60
80
100
150




ビール(大)
ビール(小)
黒ビール
ギネススタウト
清酒(特級180ml)
清酒(1級180ml)
清酒(2級180ml)
ウイスキー(特級30ml)
ウイスキー(輸入30ml)
牛 乳
コーヒー・紅茶
オレンジジュース
トマトジュース・コーラ
サイダー・シトロン
炭酸水
170
100
110
110
170
140
100
130
300
40
70
60
70
50
40
 当時の物価:白米(10 kg)1520円,そば70円,山手線初乗20円,大工の手間賃2000円,教員の初任給24100円


参考文献
1)原口隆行,時刻表でたどる特急・急行史,JTB,2001