第拾壱話
ハズだった
梅やんにカギの事を話す
「わかった」
そう言うと梅やんは、教室へと歩きだす
しかし、梅やん
どーやって持ち物検査するんだ?
もしかして…
無理矢理!?
梅やんは、エーイチの机の前に立ち
突然、「エーイチ、カギ盗ったんだって?」
直球かよ!!
横に居るだけで汗がでる
それを聞いた周りもザワツキだした
「そんな事してないよな?」
無言で頷くエーイチ
「クボ、エーイチやってないってよ」
事件消す気か?
梅やん失望した
そう思った時
「じゃ、それを証明するために持ち物検査させてくれ」
!
梅やん
機転なのか
天然なのか
エーイチは、素直に持ち物検査に応じた
エーイチは机の小さな棚から中身を机の上へ置いていく
教科書とノートに挟まれたプルート
「あ!そのカギ…」
傍らから見ていたユメが声をあげる
梅やんは挟まれたプルートを引っ張りだす
その先にはカギ
「エーイチ、これオマエのか?」
「…知らない」
エーイチはうつ向き呟いた
知らないって事はないだろ
カギが出てきちゃ言い逃れは出来ない
でも、エーイチは知らないの一点張り
あれ?
なんか嫌なイメージ
こんな時に?
「クボ、ちょっといいか?」
耳元でサクが言い
廊下へ出るよう促す
いつの間にか昼休みは終わり
他の教室では5時限目の授業が始まってた
小声で話し出す
「何?」
「カギさ エーイチじゃなくて」
ん?エーイチじゃない?
「リョーコかも…」
「はぁぁ? なんじゃそりゃ? なんでよ?」
「前にリョーコが、エーイチの机あさってたの見たんだよね」
嫌なイメージ的中か?
ありうる
リョーコなら、やりかねない
女のコグループによくある
派閥やらイジメやらだ
以前リョーコは、ユメのいるグループにいた
でも、突然ひとりになった
ホント突然
事件が起きたのは、それから数日経ったある日
リョーコは、具合が悪いと早退届けを出し教室を出ていった
が、次の瞬間
リョーコは戸を全力で開け、ものすごい形相で教室に飛び込んできたと思うや否や、ユメに殴りかかった
「テメェ 今、私の悪口言ってただろぉ!」
止めにはいる女子
あまりの事に呆気に取られる男子
怖ぇ
無言のリョーコの彼氏
止めろよ!
んな事があったから、リョーコがユメに対する嫌がらせのためにエーイチの机の中にカギを入れたってのも
ねぇ?
訳わかんねぇ
リョーコがやったって言ったって証拠無いしな
さて、どーすっかな?
「サク… 今の誰かに話した?」
「ん? リョーコの事か? 誰にも話してないよ」
「そうか…黙ットケ」
オレは、悪い顔で言う
サクは、一瞬驚きの表情をする
「ま、梅やんに話したところで証拠無いし、どーしょうもないよ」
「だな でも、エーイチどーすんだ?」
「てんちゅー」
「オマエ…」
サクは、呆れ顔だ
「オレは、聖職者でも慈悲深い神でもねぇーんだよ
実際、3人の友達がエーイチの言い出した存在しないイジメの加害者にされてんだよ
そんなの許せるほど、大人じゃねぇーよ
だからって、自分が正義だって言う気もない
悪なら悪でいい」
数日後
エーイチの机が無くなっていた
梅やんからの正式な発表はなかったが転校したらしい
恐らく今回の事件が原因だろう
感情を制御出来ない思春期
オレの中学時代の話はここまで
みんななら、どーしたんだろうな