Case.13
dai&G-Virus誘拐未遂事件
あれは確か高2か高3の夏の事だったと思う。
当時俺とG-VIRUSは調度タバコを吸い始めた頃で、
よく夜中に家を抜け出しては公園などを徘徊して喫煙を楽しんでいた。
その日、俺とGは大空祭りの会場となる商店街の芝生のベンチに座り、
道路側に向かってタバコをふかしていた。
大空は夜になるとほとんど人通りはなく、その時も
辺りを見渡しても俺達二人しかいなかった時の事だった。
時間にして午前2時過ぎ。
商店街の中に、赤いセダンが入ってきた。
そして俺達のちょうど正面に停車したのだ。
これだけならどうという事はない。俺達の正面には
夜の大空では貴重なタバコとジュースの自販があったからだ。
だが、おかしいのはここからだった。
車から人が降りてこないのだ。
いつまでも俺達の前に止まったまま。次第に不信感が湧き始める。
こんな夜中に俺達みたいな半チンピラの前にずっと車を止めているなんて普通じゃない。
奇妙な緊張感が流れる。
「あ!」
ふと、Gが声を上げた。
「なんだ?」
「アレ・・・後ろの座席見てみ。」
そう言われて薄くスモークの貼られた車内を見つめると、
そこには窓に張り付くようにしてこちらを見る子供がいた。
「「こええええぇぇぇぇぇ!何だよアレ!」」
何故か沸き立つバカ二人。
その後、車は結局何もせずその場を走り去っていった。
こんな夜中に子供を連れて何をしているのか。
何故俺達の前に止まったのか。
何故あの子供は訴えるような目でこちらを見ていたのか。
その真相はわからない。
その後、K-BH宅であれは誘拐だったのではないかという話で盛り上がっていた。
確かに午前2時過ぎに不審な車が子供を連れて行くというシチュエーションにはぴたりと収まる。
だが、その時Gが口を開き、こう言った。
「あの車、運転手見えなかったよな。」
・・・また心霊ですか?(;´Д`)