条件反射








男3人でバイクでツーリングに出掛けた。





友人の一人が仕事を突然ヤメてプーになってしまい

時間を持て余した彼は「放浪の旅」なんぞ考えた。

しかし1人で行ってもつまんねぇって思ったのか、

暇そうにしてる様に見えた私達に的を当てた。




「バイクでどっか行かない?」



「んじゃさぁ、とりあえず西に行かないか?」





こんな感じで始まったもんだから、当然の如く行き先は不明。

3人は軽い気持ちで旅に出た。














「基本は海だろ!」










そんな一言で海に向かうほど、全くもって方向性無し!

しかし着いた先の海は、あたり一面汚くて泳ぐにはちと辛い。

ガラにも無く「景色にひたれる」こともできそうも無い。

それならばと私達はコバルトブルーの海を求めて更に西へ・・・






東京から400kmほど海岸線を走っただろうか・・・

熱くて憎たらしい太陽が、優しく穏やかな夕日にかわっていく。

青いキャンバスをオレンジやピンクに染めながら・・・

とても言葉では言い尽くせないほど綺麗な光景である。

堤防沿いにバイクを止め、ビール片手に昔話に花が咲く。

晩飯ついでに居酒屋に行き、また盛り上がった。

寝場所は陸揚げされている
漁船の陰

打ち上げられた
ワカメに囲まれながら。。。。。








これぞまさしくロマン輝く「放浪の旅」!!








男の旅なんてこんなもんである。







夜が明け、纏わりつくワカメを振り払い、更に更に西へと向かった。

気がつくと距離は700kmをゆうに越えており

紀伊水道あたりまで来てしまった。

距離が距離だけに疲れが出てくるのは当然だが、

昨晩は漁船の陰で野宿だったからか、

さすがにいつもより余計疲れている。















「風呂入って布団で寝たい」











みんながそう思った。

が、しかし行き当たりばったりの旅ゆえ宿の予約なんかしていない。

旅館に飛び込みで交渉してみたが、全部断られた。

まる2日間バイクに乗っていて、ろくすっぽ着替えなんかしていない。






白いTシャツは、凄みのあるグレーに変色

穴開き仕様のお洒落なジーパンが、単なるボロジーパンへと変貌。


ヒゲだって伸び放題。








これじゃ、ロマン輝く「放浪者の旅」どころか、











旅館に取っちゃ



















悪臭漂う「浮浪者の襲撃」!!










断るのも無理はない・・・








何軒か交渉したが、やはりダメだった。

もう、どっぷりと日も暮れ、雨も降り出してきた。











もうこれしかないのか?














普段は酔った勢いで行くところ・・・

初めて行くところは、当たり外れがチト不安・・・

表示の料金とは違う部屋代・・・














そう、最後の手段は




















ラブホテル







男3人ドブネズミ仕様 (泣)









しかも、バイク!! (笑泣)










しかも、ここは和歌山のド田舎。

ホテルというより「旅荘」に近いものがあった。





まず、1人がバイクを降りて入り口のセンサーを手で遮り

フロントに「客が来た」ことを知らせる。





すると、数ある平屋の一戸建ての1つの玄関のランプが点灯した。





私達は入り口に垂れ下がっているビニールの「のれん」に、

首を絡ませないよう、慎重にくぐった。





クルマだと感じないのだが、あの「のれん」って結構重いのだ。





「ポットと煎餅を持ったおばちゃん」が出てきて





あんたらぁ〜3人はダメだよぉ〜

しかも男だけじゃ、ダメだよぉ〜





私達は、おばちゃんにワケを話し

どーにかこーにか、説得をしてOKをもらった。





料金は普段の1.5倍取られたが、しかたない。





薄汚れた赤いジュウタンがひかれた部屋には

今となっては見ることもない

















ミラーボール付き回転ベッド









が置いてあった。








すぐさま、交代で熱い風呂に浸かり、

Tシャツとパンツを洗面台で洗濯した。





ビールが冷蔵庫に2本しか入ってなかったので

「9番」に電話して4本追加をし、

なぜか冷蔵庫で冷やされた「冷たいサキイカ」でカンパイした。





もう3人とも疲れ切っていたにもかかわらず、

回転ベットのスイッチを入れて遊んでいたが、

すぐさま睡魔に襲われた。

しかしベッドに3人はキツイ・・・





1人がソファー寝ることを決意してくれて

私ともう1人がベットで寝ることになった。












「おう、電気消すぜ」










回転ベットがグルグルと上下運動をしていたが、

すでに私の脳味噌は睡眠状態・・zzz







   Z Z z z z z z z







   Z Z z z z z z z









「秀ぇ、なぁ、起きてるか?」











Z Z z z z ・・・ん・んん?











「おれよぉ・・・」











Z z z ・・「なんだよ?うるせーな」










ち○こ勃っちゃった!!」










「あぁ〜ん??」










「秀ぇ、わりぃ・・オレも勃っちゃった!!」














「うぎゃぁぁぁぁぁ・・・・」











条件反射とは恐ろしい・・・















その夜、何が起きたかを証明するものはなにもない。