☆ 白妖鬼 高橋克彦 講談社
ちょうど漫画「陰陽師」を読んでいた時だったので思わず買ってしまいました。とても読みやすくて面白かったです。最後のおちはいまいちかなとも思いましたが、こういう何も考えずにごんごん読める作品もいいなと感じました。(1996.12)
評価・・・★★★
☆ 悪魔のトリル 高橋克彦 講談社
短編集なのですが、うーん、これも今一つ面白くなかったです。どれもぴんと来ないですね。在り来たりすぎると言うか。中では「陶の家」が一番気に入ったかな。陶器のドールハウスを手に入れた人の話で、最後のシーンはぞぞっとしました。(1996.10)
評価・・・★★☆
☆ リヴィエラを撃て 高村薫 新潮社
リヴィエラという謎の人物をめぐる壮大な物語であります。IRAあり、MI5、MI6、CIAありの、それに中国、日本の国益も絡んでがんじがらめ。しかし、あまりに辛く暗く悲しすぎるじゃないですか。しかも感傷的。これじゃ救われないです。個人が幾らはむかったところで国という怪物にはかなわないと言うのでしょうか。それでも戦い続けろと言うことか。でもやっぱり全ての登場人物があまりに可哀想だと思いました。ジャックのあの若さでのあの諦観は悲劇としかいいようがありません。むなしくて落ち込む作品でした。(1997.9)
評価・・・★★★
☆ 闇に用いる力学「赤気篇」 竹本健治 光文社
まさしく世紀末的な小説だなと感じました。カルト教団と超能力集団,先端技術が様々に入り混じり,通常の生活を送る人々を徐々に不安と猜疑の渦に巻き込んでいきます。こうして次第に不安をあおりあげたところで次へ続く,と。早く続きを出して欲しいです。(1999.1)
評価・・・★★★☆
☆ 緑衣の牙 竹本健治 光文社
女子高というイメージがあまりに現実離れしているような気がして仕方ありませんでした。女子高でおきた殺人の結末は,その動機の面で残酷で悲劇的でしたが,こんな風に感じる高校生は実際いるのでしょうか。小説の中だからこそ少女というのはこんなに美しく描かれるのかもしれません。その時代を過ぎた大人には得られない透明さや真摯さが羨ましく思われる為なのでしょうか。本当に痛々しい小説であったと思いました。(1998.10)
評価・・・★★★
☆ ウロボロスの基礎論 竹本健治 講談社
「ウロボロスの偽書」のほうがよかったな。というのも、どうしても中途半端な収束という感じが拭えなかったせいです。私としては収束しなくても良かったと思うし。それに最後の竹本健治の推理というか、あれもなくてもよかったかもと、思ってしまいます。癌云々の話も、ちょっといまいちでしたし。やはり何よりトリック芸者シリーズがないのが寂しかったですね。こんな勝手な事をいうから憎まれるんでしょうか。あの一言はかなりショックでした・・。(1997.7)
評価・・・★★★☆
☆ 凶区の爪 竹本健治 光文社
これはどうしたことだ、といいたいです。旧家とそれにまつわる因縁めいた伝説と、血生臭い連続殺人。横溝正史風の設定では有りますが、いかんせん面白くなかったです。こういうのは書かなくてもいいのではないかと思ってしまうよー。好きな作家だけに悲しいです。(1996.12)
評価・・・★★
☆ トランプ殺人事件 竹本健治 角川書店
「囲碁」「将棋」「トランプ」とゲーム三部作を読んだことになります。この「トランプ殺人事件」は後の「狂い壁狂い窓」へと繋がっていっている作品のように思えました。本格的な暗号の謎解きももちろん楽しめますが、精神科医師天野を通して見ることの出来る、人の心の危うさ、もろさ、また強さが最大のミステリーであったのではないかと思いました。(1996.10)
評価・・・★★★☆
☆ 囲碁殺人事件 竹本健治 角川書店
これまで読んできた中で一番ストレートなミステリになっているなと感じました。その分少しガッカリしたのは確かです。でもこのゲームシリーズに出てくる智久君と須藤さん、典子さんのトリオは面白いです。私は須藤さんが好きだなぁ。ぼんやりしているようで頭がいいし。(1996.9)
評価・・・★★★
☆ 将棋殺人事件 竹本健治 角川書店
いやあ、面白かったです。将棋はほとんど知らないので楽しめるかどうかとても不安でしたが、そんな心配は無用でした。特に詰将棋がこんなに奥が深いとは!将棋とミステリの組み合わせなんてさすが竹本健治ね、という感じです。でもでも角川さん、ゲーム三部作の2作目を最初に刊行しないでよね。うう、まだ「囲碁殺人事件」読んでいないのでした。(1996.8)
評価・・・★★★☆
☆ ウロボロスの偽書 竹本健治 講談社
竹本健治の小説の連載に、他人のしかも殺人犯の文章が混じったり、小説で書いた登場人物が現実に存在したりと、小説と現実の融合が鮮やかに行われます。「匣の中の失楽」とは基本的には似たような手法なのでしょうが、こちらの方が断然面白いですね。作家が実名で登場したり、蘊蓄も楽しいです。読み終わるのが惜しいくらいでした。「ウロボロスの基礎論」も先日手に入れましたので楽しみです。(でもその前に「虚無への供物」を読むつもり・・)(1996.5)
評価・・・★★★★★
☆ 匣の中の失楽 竹本健治 講談社
竹本健治のデビュー作です。少し人物を把握するのに時間がかかってしまいましたが、小説の章と現実の章との区別が読んでいく内に曖昧になっていって不思議な雰囲気を醸し出しています。これが竹本マジックというヤツですか??もうハマってしまいます・・作中の登場人物の名前にも使われていたトマス・トライオンの「悪を呼ぶ少年」を今探してます。(1996.4)
評価・・・★★★☆
☆ 狂い壁 狂い窓 竹本健治 角川書店
題名にあるように、気の狂いそうになるほど重く苦しい気分になる作品でした。読み終わって見れば、これはミステリだったのかと分かるのですが、読んでいる時はそんなことすら気付かなかった私です(^_^;) 出てくる人全てが精神を病んでおり、こちらまで蝕まれていくような感じにおそわれます。舞台となる「樹影荘」自体が、人の精神に悪影響を与える場所なのでしょう。竹本健治さん自身がこの建物に住んでいたというから驚きです(もちろん、以前住んでおられたアパートをモデルに作品を作られたと言う方が正しいのでしょうけど。)非常に読後感の悪い作品でした(決してけなしているのではありません、念のため)(1996.3)
評価・・・★★★★☆
☆ 腐蝕 竹本健治 角川書店
またしても、足下をすくわれる様な感覚を覚える作品でした。設定事態はSFですが、自分の信じている世界はなんと頼りないもので、いとも簡単に崩れさってしまうものであるということへの恐怖が大きくて、やっぱりこれはホラーなのだろうと思いました。この人の作品を読むとどんよりした重苦しい気分になります。読んでいる最中も息苦しい感じです。病みつきになりそう・・この「腐蝕」を読んでいて、萩尾望都の「スターレッド」を思い出しました。あと、全然違うかもしれないけどミヒャエル・エンデの「はてしない物語」も。(1996.3)
評価・・・★★★★
☆ 閉じ箱 竹本健治 角川書店
初めて竹本健治という人の本を読みました。帯にある、「この息苦しさ、暗さ、痛ましさは何か・・」という言葉につられて購入したのですが、おもしろい!!これまで読んでいなかった事を後悔すると共に、これから先の楽しみが増えたことに喜びを覚えました。短編集なのですが、解説にもあるようにアイデンティティの崩壊というテーマの話が幾つも出てきます。自分はいったい何のなのか、この世界は一体何なのか、狂っているのは自分だったのか。「ドグラ・マグラ」を読んだ時の衝撃がよみがえるようでした。表題の「閉じ箱」も不思議な話で、ミステリをこういう風に扱ったものを初めて読みました。とても興味深い一冊です。(1996.2)
評価・・・★★★★★
☆ 死の蔵書 ジョン・ダニング 早川書房
「このミス」の海外部門1位の作品です。古本の掘り出し屋が殺害され、古本好きの刑事がその犯人を追うという話ですが、ハードボイルドの香もするなかなか興味深い1冊でした。この主人公の続編もアメリカでは出ているそうですのでそれも楽しみです。(1997.2)
評価・・・★★★★
☆ ホッグ連続殺人 ウィリアム・L・デアンドリア 早川書房
ニューヨークで連続した殺人事件,その犯人はホッグと名乗り挑戦状を送りつづけていました。犯罪研究家ベイネディッティ教授の推理により導かれた犯人は,意外な人でした。という話なのですが,ちょうどこの頃「古畑任三郎」があって,その中の話にそっくりなものがありました(^_^;)。この小説はかなり有名ですから,三谷幸喜が知恵を拝借したのかもしれませんね。私は結局「古畑」のほうが先だったので小説の面白みが半減してしまった,という感じです・・。(1999.4)
評価・・・★★★☆
☆ ロイストン事件 D.M.ディヴァイン 社会思想社
D.M.ディヴァインという人は、これまで日本では全く紹介されていませんでしたが、 昨年、「兄の殺人者」、「五番目のコード」、そして本作と立て続けに邦訳されました。 私はこの 「ロイストン事件」しか読んでいないのですが、これほどの人がこれほど長い間 紹介されなかったなんて信じられない!!という感じです。( 「ロイストン事件」は 1964年の作品です。私が生まれる前ではないか!!) もっと紹介されていないけどすごい人がたくさんいるんだろうなー・・ 解説にもあるように、犯人が誰であるか、話の筋からすればすぐ解りそうなのになかなか 解らない、そのテクニックは見事であるといえるでしょう。しかも人物の描き方が丁寧で よく肉付けがされていると思いました。 後の2冊もこれは「読まねばリスト」につけ加えたいと思います。(1996.1)
評価・・・★★★☆
☆ 死はわが隣人 コリン・デクスター 早川書房
シリーズものというのはストーリーよりも登場人物の魅力をいかに長続きさせるかと言うことにつきるのではないかと思いますねー。今回のモースはもうだいぶ年もとってきて、しかも糖尿病になったりしてなんとなく弱気になっているような気がします。ルイスに感謝したりしてるし・・。でもやはりクロスワードと女性とお酒と妄想の大好きなモースは健在です。それにルイスはモースが大好きで、この二人の関係もうらやましいですね。次作では元気になったモースに会えるのを期待してます(^_^)。その前にテレビで会えるかも・・??(1998.7)
評価・・・★★★
☆ カインの娘たち コリン・デクスター 早川書房
コリン・デクスター、とっても好きなんです、というか、モース主任警部が好きなんですね。モースとルイスの二人のコンビはホントいいのです。このふたりの上にはあまり小枝はないんですよね。本国イギリスでも、すごい人気らしく(テレビシリーズもあるそうです、観たい・・)、探偵の人気投票(そんなのがあるなんておもしろいですが)でも、ホームズを抜いて1位はモースだったというのを聞いたことがあります。英国政府観光局が出版している「イン・ブリテン」という雑誌には、小説の中でモース主任警部のよくいく場所なんかが紹介されているようです。行ってみたいなあー。(1996.1)
評価・・・★★★★
☆ ゴルゴタの呪いの教会 フランク・デ・フェリータ 角川書店
久々にこういうオカルトもの(というのか?)を読むと面白いですね。一時期の神や悪魔などの存在と、科学との対立というのが流行であった頃の作品です。カトリックのことは分からない(プロテスタントの事も分かりませんが(^_^;))のでエンターテイメントとして読むことしか出来ないのが残念です。でも、神を信じることは心の奥底に小鳥を飼っているようなものだという下りは妙に納得してしまいました。(1997.4)
評価・・・★★★
☆ 悪を呼ぶ少年 トマス・トライオン 角川書店
「匣の中の失楽」に出てくるナイルズとホランドの名前のモデルになったこの小説をようやく読むことが出来ました。やはり期待通りの面白さでした。ナイルズは明るく素直でホランドは冷酷という性格の異なる双子が主人公なのですが,ある日を境に奇妙な事件が起こり出します。双子の見かけの同一性が起こす錯覚が,語りによる騙りというものに大きく影響するのは確かでしょう。それが最後の衝撃的な結末につながっていくのだなと思いました。(1998.10)
評価・・・★★★★
☆ 夢果つる街 トレヴェニアン 角川書店
前回読んだ「バスク,真夏の死」とあまりに雰囲気が違い,最初は戸惑いましが,じっくり読むうちにこの作品も味わい深い小説であることが分かりました。ラポワント警部の哀しみが痛いほど伝わるラストには涙してしまいました。(1999.2)
評価・・・★★★★
☆ バスク,真夏の死 トレヴェニアン 角川書店
これほど哀しい小説があったでしょうか・・。読みながら泣き,思い出しては泣いてしまいました。バスク地方で青年医師ジャン・マルクが出会った女性カーチャの一家には誰にも言えない秘密がありました・・。至上の恋愛小説でもあり,カーチャの家族の愛の深さは比類がないといえると思います。あのラストのすさまじさには今思い出しても泣けそうなほどです。(1999.2)
評価・・・★★★★
☆ 内なる殺人者 ジム・トンプスン 河出書房
一見、親切でやさしい男ルー・フォードの病的なまでの残虐さを描いた作品です。ただ、一人称で書かれているので本当の意味で周りの人々からいい人だと思われていたのかは疑問です。後半の下りでも周りの彼への対する態度が変化しているのが分かるし、主人公もそれなりに感じとっていることが分かります。それでも周りをだませると信じているところがとても恐ろしい。自分が思っている以上に周りはその人の本質を心得ているものだと思うし、彼のその傲慢さが結局命取りになったのではないかと思いました。(1997.8)
評価・・・★★★★