サ行

篠田節子

☆  聖域  篠田節子  講談社

未完の小説「聖域」をめぐる作家と読者の対峙がすさまじくて,とても面白く読めました。また,生者と死者の関係,ひいては人間の存在という大きなテーマをはらんでいます。宗教などは関係なく,死後も魂の存在を信じることで生者と死者の境などなくなるのではないかと思いました。クーンツの「黎明」を読んだときも感じましたが,大切な人を失ったときにそう考えることで癒されるのならそれでいいと思います。さらに作者水名川泉の壮絶な生き方を通して生きることの意味を考えさせてもくれます。ただ,残念なのは未完の小説「聖域」の結末がなかったことです。ちょっとテーマが大きすぎたのでしょうか・・。(1998.8)

  評価・・・★★★☆

☆  神鳥−イビス  篠田節子  集英社

とにかく面白かったです。明治の女流画家河野珠枝の「朱鷺飛来図」の謎を探るべく女性イラストレーターとベストセラー作家が珠枝の足取りを追っていきます。二人のコンビネーションが絶妙で一気に読んでしまいました。これまでの自分の作品を考え直す転機にこんなすごい出来事に遭遇してしまったら、これを芸術家として飛躍するためのチャンスにしたいと考えるのは当然だと思います。私なら発狂するかもしれませんが、人生をかけた人というのは強いですね。(1998.3)

  評価・・・★★★☆ 

☆  美神解体  篠田節子  角川書店

篠田節子といえば女流ホラー作家として有名だと思いますが、私にとっては最初の作品です。読み終わった感想は、こんなものか、というものでした。過度の期待もあったのかもしれませんが、あまり好きではないです。他の作品に期待したいと思います。(1997.1)

  評価・・・★★  

島田荘司

☆  異邦の騎士  島田荘司  講談社

とても面白く読めました。御手洗潔と石岡和己の出会いがこんなのだったとは全く知りませんでした。今までの御手洗潔と印象が違うのはなぜでしょう・・(といっても余り読んでいないのですが)。しかし、記憶というのはその人のありよう全てなのだなと思ってしまいます。自分自身が分からないと言うことは恐ろしいことですね・・。それから、現在自分と折り合いの付けられない私には、あの最後の結末にはなんとなく救われたような気がして、少し明るい気分になれました。(1997.7)

  評価・・・★★★☆     

☆  龍臥亭事件  島田荘司  光文社

御手洗潔がいないのに事件に巻き込まれてしまった石岡和己・・さぁどうなる?、と思いつつ読んだのですが、やっぱり御手洗大先生がいないと何も出来ないのでしょうか・・事件の真相よりも、津山30人殺しの都井睦夫の真実の姿(?)を語ることが主であったようにも思えます。楽しめなかった訳ではないんですけどね・・(1996.4)

  評価・・・★★☆     

殊能将之

☆  ハサミ男  殊能将之  講談社

これははまりますね。ここ最近最大のヒットです。ハサミ男がとてもキュートで素敵。
騙りも効いていて良かったです。 (1999/12)

  評価・・・★★★★     

鈴木光司

☆  らせん  鈴木光司  角川書店

ずっと前に「リング」は読んでいたのですが、「らせん」を読むに当たって2冊一気に読みました。私としては「リング」の方がこわかったし、面白かったですね。こういう形で続いていたとははっきり言って思っていなかったし少し期待はずれでもありました。ウィルスの増殖とビデオのダビングが似ているなんてどうしても違和感が残ってしまうし、納得できない気がします。私には説得力になかったし、リアリティが感じられなかったです。(1998.5)

  評価・・・★★☆     

ダン・シモンズ

☆  エデンの炎  ダン・シモンズ  角川書店

かなり楽しく読めました。ハワイの巨大リゾートの開発が太古の神を目覚めさせるという話です。小説自体は,面白くどんどん読んでしまいました。しかし,ダン・シモンズの異国の神々を畏れる気持ちがこういう話を書かせるのでしょうが,しかし本当の地元の人々はこんな風に書かれてどうなんだろうと心配になってしまいます。作り話といってしまえばそれまでですが,なんとなく下卑た感じに描き過ぎのような気がしてしまいました。(1999.2)

  評価・・・★★★☆   

☆  うつろな男  ダン・シモンズ  扶桑社

終盤まではかなりおもしろかったです。テレパスの夫婦の話で、特別な能力をもつもの同士深い愛情と絆で結ばれていたのに、妻が脳腫瘍で亡くなり、夫のジェレミーは生きる力を失ってさまよい、様々な経験をしながら絶望と虚無の世界へと落ち込んでいくのですが・・。量子力学やカオス数学などが文学者に大きく影響を与えたというのは良く分かります。わたしですら、おおこんな考え方があったのかと衝撃を受けたくらいですし。でも、あのラストはちょっと安易かなと思ってしまいました。(1997.10)

  評価・・・★★★   

ジョン・ソール

☆  魔性の殺意  ジョン・ソール  扶桑社

うーん、あり来たりのストーリー展開ですね。これがあのジョン・ソールなのでしょうか・・・。これまでの金太郎飴から脱却を図っているのかしらん。でも昔のジョンソール節が失われているのが悲しいです。ここらでまた怨念どろどろのゴシックホラーぽいのを書いて欲しいなぁ・・。(1996.10)

  評価・・・★★☆   

☆  幼虫の棲む谷  ジョン・ソール  扶桑社

ジョン・ソールの新作です。恐怖の金太郎飴作家とは知りながら出れば必ず読んでしまいます。虫の嫌いな人には、ちょっと気持ち悪いかもしれません・・(私も嫌いです)ジョン・ソールの話は救いがない物が多いのですが、(この子だけは助けてあげて!、と思っても絶対助からないんですよね)今回も例に漏れません・・(1996.5)

  評価・・・★★★