☆ とらんぷ譚 中井英夫 東京創元社
トランプになぞらえて13話ずつの「幻想博物館」「悪夢の骨牌」「人外境通信」「真珠母の匣」と,2つのジョーカー「影の狩人」「幻戯」からなる54話が収められています。「幻想博物館」「人外境通信」は短編集で「悪夢の骨牌」「真珠母の匣」はそれぞれで1つの話になっています。私が好きなのは「幻想博物館」と,「影の狩人」でしょうか。特に後者は私の好きな吸血鬼がテーマというのもあるのですが,その趣向がすばらしいなと思いました。いずれにしても幻惑的な語り口とその幻想的なストーリーがあいまっていてとても面白い短編集でした。(1999.1)
評価・・・★★★☆
☆ 虚無への供物 中井英夫 講談社
アンチ・ミステリの代名詞とも言える作品ですね。井戸の底の3兄弟と薔薇と不動、そして密室殺人。動機も面白かったし、推理合戦も良かった。とても面白かったですが、私は竹本健治の方がやはり好きだなぁ。(1996.6)
評価・・・★★★☆
☆ ガダラの豚 中島らも 集英社
これはなかなか面白かったです。3冊の文庫になっているのを読んだのですが、特に1冊目が好きです。ミスター・ミラクルの奇術と超能力についての考え方の部分は興味深かったですし。2冊目のアフリカへ渡ってからの部分も楽しかったのですが、3冊目はちょっと話が急展開しすぎのような感じを受けました。これはもっと長い話にしてもよかったのではないでしょうか。結末部分も無理矢理のように感じました。そこがちょっと残念に思います。(1996.12)
評価・・・★★★★
☆ 人体模型の夜 中島らも 集英社
プロローグ、エピローグが一番怖いかも・・。あまり怖いと思う話はありませんでしたが、中島らもだけあってなかなか面白かったです。いちばん怖いと思ったのは「貴子の胃袋」かな。中国で犬のフルコースを食べるというテレビ番組を見てから、貴子はベジタリアンになり、最後には・・という話です。「翼と性器」もぞっとしました。でも好きなのは「健脚行-43号線の怪」ですね。(1996.9)
評価・・・★★★
☆ 人狼城の恐怖 第一部ドイツ編 二階堂黎人 講談社
第一部ということなのだからこれでいいのでしょうねぇ。やはり第二部フランス編、復讐編と読んでから感想を書くべきなのでしょう(早く続きを出して下さい!!)。ただ、もともと二階堂黎人の文章自体が好きではないのは確かですけど・・(^_^;)(1996.11)
評価・・・★★
☆ 頼子のために 法月綸太郎 講談社
探偵法月綸太郎の作品を読むのは初めてではないかと思います。この探偵、ちまたではかなり評判が悪いようですが、私はあまりそんな印象は持ちませんでした。娘を失った父親の手記の部分も面白かったし、救いのない結末もそれなりに楽しめました(結構後味は悪いですけれど)。(1997.1)
評価・・・★★★
☆ ドラキュラ戦記 キム・ニューマン 東京創元社
「ドラキュラ紀元」は,ストーカーの「ドラキュラ」でヘルシングがドラキュラにもし負けていたら,という設定を前提に書かれた小説で,なかなか面白く呼んだ記憶があります。そして,これはその続編です。もちろんドラキュラ伯は健在で,人々は,吸血鬼となったアンデッドとそして人間のままのウォームが混在しながら,時代は第一次世界大戦を迎えるというホラーマニアには垂涎の物語なんですねー。そしてもうひとつの魅力が,古今東西の実在の人物,または虚構の人物が入り乱れてこの小説に登場するということなんです。その辺が知っている人は知っている,というマニア受けする所以なのでしょう。しかし,この続編そのものについて言えば,こういう前提は前作から引き継がれたものであるわけで,私としてはさほど面白さは感じませんでした。やはり物語自体が力不足だったということでしょうか。でも,このシリーズは読みつづけるだろうと思います,きっと。(1999.3)
評価・・・★★★