☆ 鎮魂歌-不夜城II- 馳星周 角川書店
衝撃の不夜城の続編です。健一があんなになってるなんて驚きでした。性根の腐った元刑事の滝沢や、暗殺者の秋生がだんだん人間的に見えてきて感情移入してしまうのですが、そうすればするほど、得体の知れない存在である健一の人間性を全く失った冷酷さが際だちますね。最後はこちらまで冷え冷えとした思いにさせられてしまいます。映画では金城武が演じるそうですが、なかなかはまっているかも。こちらも観てみたいです。(1997.10)
評価・・・★★★☆
☆ 不夜城 馳星周 角川書店
ハードボイルドは読まない方ですが、「このミス」の国内作品で1位と言われると読まないわけにはいきません。本当におもしろかったです。話の展開もさることながら劉健一、夏美の生き方もすごいです。誰でも逃れられない世界とそこを生き抜くためのやり方があるんですよね。その辺がなんとも痛くて切なかったです。救いようのない結末もすごいなと思いました。(1997.2)
評価・・・★★★★
☆ 臓器農場 帚木逢生 新潮社
病院を舞台にした医療サスペンスです。臓器移植をテーマに病院の裏にある世界と人間の狂気を描いたものでした。展開もおもしろく、内容も考えさせられる作品で特に主人公の看護婦規子の強さに胸を打たれました。こういう作品を読むと医者というのも胡散臭いものだなと感じてしまいますが、この規子や的場医師のような人もいるのだと思えることが救いです。(1997.1)
評価・・・★★★☆
☆ 屍の聲 坂東眞砂子 集英社
土着ホラーとでも言うのでしょうか。ありそうでこわいっす。
でも「雪蒲団」は私には意味不明でした。 (1999/10)
評価・・・★★★★
☆ 桃色浄土 坂東眞砂子 新潮社
大正時代の高知県の漁村で異人が珊瑚を見つけたことから欲に走った村の若者が暴走していくのですが、人間の強さや弱さを考えさせてくれますね。りんは、強いと思います。自分の意志を貫くことのすごさを感じました。彼女はきっと桃色浄土にたどり着けたと思います。健士郎の成長していく姿も印象的でしたし、さねの「いつも何かにしがみついていて自分が溺れていることに気づいていない」という言葉は心に刺さるものがありました。(1998.3)
評価・・・★★★★
☆ 蛇鏡 坂東眞砂子 文芸春秋
「狗神」「死国」と、地方にまつわる伝承をもとにした伝奇物です。一気に読んでしまうほど面白かったのですが、これまでの2作とストーリーが似すぎているように思いました。舞台こそ四国でなく奈良県ですが、あるきっかけで良からぬものが甦る恐怖、そこに自分の愛する人が巻き込まれてしまっているという設定、救われぬ結末などなど。そこが残念です。(1997.7)
評価・・・★★★
☆ 死国 坂東眞砂子 角川書店
坂東眞砂子の作品は「蟲」「狗神」と三冊目です。四国八十八カ所を死者の年の数だけ左回りにまわると死者が甦るという伝承を軸に描かれた伝奇ホラーですが、とても怖く、そして哀しい話でした。あの主人公にとっては本当に辛い出来事であったろうと思います。それまで対等と思っていた友達の本当の気持ちを見せつけられて。夜中に読んだこともあってその後なかなか寝付けませんでした。夫の実家も四国なのですが、「四国は死国なんだってよ」って言ったら呆れていました・・。(1996.9)
評価・・・★★★☆
☆ 狗神 坂東眞砂子 角川書店
高知のある山村の狗神筋の一族の女性が主人公です。なんとも、不運で可哀想な女性でした。あまり同情はできませんでした。あんな境遇だったら、さっさと村を出て、新しい生活を始めればいいのにと思ってしまう。自分で自分を不幸にしているような感じがしました。でもこういう、閉鎖的な村とか、憑き物という話は大好きですね。最後も結構、怖いです。高知弁がふんだんに使われていて、高知出身の友達もこんなふうにしゃべっていたことを思い出しました。(1996.2)
評価・・・★★★☆
☆ どちらかが彼女を殺した 東野圭吾 講談社
以前,ニフティで話題になっていたと思うのですが,今回文庫になって初めて読みました。ある女性の死がその兄によって自殺でないと確信されてから,彼の単独での犯人探しが始まります。犯人と思われる人物は彼女の恋人であった男と,彼女の親友でありながらその彼を奪ってしまった女のいずれかなのですが,いずれも犯人と断定できる決め手が無いんですね。それで,小説では結局最後まで犯人を特定されませんでした。最後まで読んで本当に犯人がわからないと思っていなかったので,とても驚きました。まあ,それで無い知恵を絞って考え,本もよみなおしたりしたのですが,結局本の袋とじ部分で暗示されていた犯人と,私が思った犯人は別人のようでした・・(^_^;)。実験的にこう言う小説を書いたのでしょうが,実際犯人が示されないというのはどうなんでしょ・・??私自身は,わくわくして本を読んで最後には安心したいわけなので(謎は明かされるという意味で),あまり好きではありませんね。話題作りにはいいかもしれませんが・・。(1999.7)
評価・・・★★★
☆ 分身 東野圭吾 集英社
読ませますね。構成が非常に上手いと思います。北海道の子が東京、東京の子が北海道を舞台に行動し、最後に北海道で会うという(それまでのすれ違いの演出も心憎いばかりです)のはなかなかスリリングで面白かったです。クローンという設定自体は使い古された感じもしますが、上手い味付けで充分楽しめました。(1996.12)
評価・・・★★★☆
☆ SINKER 沈むもの 平山夢明 徳間書店
幼女誘拐連続殺人事件を追うキタガミ刑事は他人の内部に沈んで他人をコントロールする能力を持ったビトーに捜査協力をすることになった・・。かなりハードボイルドなタッチで書かれたサイコサスペンスですが、どうにも「羊たちの沈黙」を意識している部分が強すぎてあまり好きにはなれません。こういうサイコものを書くにはどうしてもレクター博士のような人物が必要なのでしょうか??(1997.2)
評価・・・★★★
☆ 陀吉尼の紡ぐ糸 藤木稟 徳間書店
吉原に程近い神社で起こる神隠し。その後,その神社で死体が発見され,事件は異界と現実の間を行き来し起こっていきます。第一印象としてはやはり京極夏彦の影響,ということなんですが,彼の領域までは至っていないという感じですね。展開事態も面白いし,なかなかそういう方面の調査もされているとは思うんです。面白くなかったかといわれれば,面白かったとしか言えないのですけど,いかんせん小説というのは文章を描く力量というのが大切なのでしょう。この本を読んで,京極夏彦のすごさを再認識したといっても過言ではありません・・。(1999.7)
評価・・・★★★
☆ 砂のクロニクル 船戸与一 新潮社
イラン・イラク戦争を背景にクルド民族独立の運動を描く壮大な物語です。イラン革命体制内に生きるサミル・セイフ、復讐のみに生きるその姉、クルド独立運動に生きるハッサン、そしてその独立運動の為に武器を運ぶ日本人ハジと、その仲間(?)たち、そして語り部であるもう1人の日本人ハジの壮絶な生き方に圧倒されました。私は特にサミル・セイフが好きで、まさしくイデアに生きイデアに死んだ完璧すぎる程の生き方でした。初めてハッサンに出会ったときの台詞といい、最後にハッサンに対峙したときといい、もうあまりにかっこよすぎます。生き方のモデルとしてはああ言う結末が良かったのかもしれませんが、私の願望としては、あれで死んで欲しくなかったです。もっともっと様々な壁にぶつかりながらさらにさらに成長していく姿がみてみたかったです。(ちょっと入れ込みすぎですね・・(^_^;))(1997.8)
評価・・・★★★★☆
☆ 闇の祭壇 ショーン・ハトスン 早川書房
レジャーセンター開発のために偶然発見されたケルトの遺跡には大変なものが封印されていたという話なのですが、邪教集団ありのブルテリアの闘犬ありと、もうぐろさ満載です・・。結末も大変後味が悪くて、最近この手の胸の悪くなるような描写の多い小説を読むのはつらくなってきました(^_^;)。(1998.3)
評価・・・★★★
☆ スラッグス ショーン・ハトスン 早川書房
おそろしいなめくじのパニック小説です。家になめくじがいないだけまだましですが、近くに姿をみただけでパニックになりそう・・ビデオもあるそうですが、とても観る勇気はありません・・(1996.7)
評価・・・★★★
☆ 魔界の家 ジェームズ・ハーバート 早川書房
なかなか面白く読めました。ミッジとマイクという恋人同士が購入したコテージには不思議な力があり、幸運が続いたかと思うと奇妙なことが起こりだします。「魔法」というものの両面性をうまく描いているなと感じました。終盤の魔法合戦(?)みたいなところはちょっと納得しがたいけれど、人知を越えた力というものの存在は実際のところあるのだろうと思ってしまいます。でも「魔界の家」という邦題とグロテスクな表紙の絵は、ストーリーと全然合っていない感じがします(^_^;)。(1998.5)
評価・・・★★★☆
☆ レッド・ドラゴン トマス・ハリス 早川書房
「羊たちの沈黙」に先立つ作品です。以前、映画「羊たちの沈黙」を観た後、この作品も一緒に読んだのですが、会社の先輩に貸すことになったので、久々に再読しました。 ダラハイドは、レッド・ドラゴンになる為に殺人を繰り返します。しかし、レバと知り合い、ダラハイドの心は分裂してゆきます。祖母の影から逃れられなかった哀れな彼の眼前にレバのような人がもっと早く現れていればと思いました。異常連続殺人犯の心の葛藤を描いている点で、私は「羊たちの沈黙」よりも好きです。犯人を追うグレアムの姿にも心打たれるし、もちろんレクター博士の存在も絶大ですが、ダラハイドへの思い入れの方が強いです。(グレアムの姿に沙粧妙子が重なってしまった・・)(1996.2)
評価・・・★★★★
☆ 女優志願 ディヴィッド・ハンドラー 講談社文庫
待ちにに待ったホーギーの新作です。今回は、ハリウッドで離婚騒動を起こしている大監督の 自伝を書くことになります(ホーギーはゴーストライターなのです)が、例によって殺人事件 が起こります。虚々実々の人物が入り乱れてどこまでが架空でどこまでが本当がわからなくな ってしまいます。私にはよくわからない名前が多かったのですが、それでも十分楽しめます。 おしゃれな都会派の小説とよくいわているようですが、そんな言葉では不十分でしょう。 シニカルでいて優しい、誇り高きホーギーの魅力満載といったところでしょうか。(1996.1)
評価・・・★★★☆