☆ 黒猫館の殺人 綾辻行人 講談社
これで「館」シリーズを一応読んだことになるわけですが(もう新作が出ていたりして(^_^;))、この「黒猫館」には伏線の多さが際だち、逆にメインのストーリーにあまり面白みを感じられなかったように思いました。法月綸太郎の解説が面白かったです・・。(1998.5)
評価・・・★★☆
☆ 眼球綺譚 綾辻行人 祥伝社
ホラー短編集です。気分の悪くなるような作品が多かったのですが、「呼子池の怪魚」だけはちょっとほっとするような感じでした。印象的なのは「再生」「バースデー・プレゼント」「眼球綺譚」ですね。以前、誰かが「綾辻行人は結構いっちゃっている」と言っていましたが、今回ばかりは私もしみじみそう感じてしまいました(^_^;)。いずれの作品にも「由伊」という名前の女性がでてきますが、こういうやり方っておもしろいですよね。竹本健治の「千尋」ものでもそう思いましたが、全く別の人物として登場しているにもかかわらず、実は同一人物で時空を越えた存在であるかのような錯覚を感じるせいか、なんとも不思議な感覚を味わえます。(1998.3)
評価・・・★★★★
☆ 黄昏の囁き 綾辻行人 光文社
子供の頃の罪の復讐のために次々と殺人が起こります。犠牲者の弟と、予備校の教師がたどり着いた真相は意外なものでした。追いつめられた心が自分の罪悪感と他人の罪悪感をすり替えて、自分の罪のために他人へ復讐していくその心理は複雑すぎて理解出来ないと思えましたが、時間をおいて考えるにつれ、そういうこともあるのかもという気もしてきます。私がなんのかんのと言いながら綾辻行人を読んでしまうのは、自分にも通じる(と思われる)その繊細さ、痛々しさのせいかもしれません。(1997.7)
評価・・・★★★
☆ 殺人鬼II 逆襲篇 綾辻行人 新潮社
うう、前作に続きグロイです・・。ミステリ的な仕掛けは前作に比べるとあまり感じられませんね。3作目もあるような終わり方でした。あまり読みたくないような気もしますが、やっぱり読んでしまうんだろうな・・。顔を背けながら読む小説なんてこのシリーズくらいです(^_^;)。(1997.3)
評価・・・★★
☆ フリークス 綾辻行人 光文社
「夢魔の手」「四0九号室の患者」「フリークス」という精神科病棟を舞台にした3つの中編から成っています。一番感じるのは正常、異常とは何か、ということです。どの作品の主人公も正常のように思えていたのに、最後にはそうではなかったのかと驚愕してしまうのです。正常とみなされている人とそうでない人との違いって何なのだろう・・。きっと違いはないのでしょう。誰も自分が狂っているとは思っていないのでしょうから。(1996.9)
評価・・・★★★
☆ 暗闇の囁き 綾辻行人 光文社
大人と子供の間には深い溝があるのだなぁと思いました。自分の子供が信じられないということはすごい悲劇ですよね、その子供にとっても親にとっても。ちょっと納得できない部分もあるのですが、かなり好きな作品になりそうです。(1996.9)
評価・・・★★★☆
☆ 時計館の殺人 綾辻行人 講談社
綾辻行人の館シリーズの中では最も良くできている作品では無いでしょうか。時計館の扱い方も、4人の子供たちのことも犯人の動機にしても本当に面白かったです。今まで「十角館の殺人」が一番でしたが、こちらの方が好きかもしれません。でも「十角館の殺人」の衝撃も捨てがたいのですが・・(1996.8)
評価・・・★★★★
☆ 殺人鬼 綾辻行人 新潮社
あの綾辻行人がこんなものを書いていたなんて!というのが正直なところです。目を背けたくなるような残酷なシーンの連続で、あんな胸の悪くなるような描写にお目にかかったことがありません。ホラーというよりスプラッタですね。気持ち悪いけど恐くはないという奴です。しかし、新本格といわれる綾辻行人らしい大きなトリック(?)が仕掛けてあり、読みながらなんか変だなと思いながら、結局それが何なのか最後まで分かりませんでした。やはりこの人はミステリの人なのだなと思いました。(1996.2)
評価・・・★★★
☆ 喜劇悲奇劇 泡坂妻夫 角川春樹事務所
なんとも突拍子も無い話で,タイトルも回文なら,小説の小見出しも回文,殺される人たちも回文になる名前を持っているということなんですね。作者の,奇術や回文(おそらく落語とか)などへの気持ちの深さを感じます。軽い話と思っていたら,結構後半は重苦しいテーマをもっていたりして(ラストがなんとなくものたりない感じもしましたが)とても楽しめました。(1999.7)
評価・・・★★★☆
☆ 自来也小町 宝引の辰 捕者帳 泡坂妻夫 文芸春秋
読み口のよい短編集でした。こういう日常の中のちょっとした事件(時代は江戸ですが)を通して、良くも悪くも人間性のでるような物語は面白いですね。語り口も話の雰囲気に合っていてとても読みやすくて良かったです。辰の采配も粋でかっこいいです。宝引の辰捕者帳はシリーズがあるようなのでそちらも読んでみたいと思いました。(1997.12)
評価・・・★★★
☆ 砂時計 泡坂妻夫 光文社
普通に生きる人の日常に起こりうる謎(?)を描いたミステリの短編集です。ただし舞台となるのは紋章上絵師や奇術師など一般の人にはあまりなじみのない世界ですが。でもその分、情緒もあり、なかなか楽しめました。一番印象に残っているのが「真紅のボウル」という奇術師の生涯を描いた一編で、こういう一生を送れる人は、周りはどうかはとにかく本人は幸せなのだろうと感じました。
(1997.5)
評価・・・★★★☆
☆ 乱れからくり 泡坂妻夫 角川書店
泡坂妻夫の作品は初めてですが、なかなか面白かったです。からくり人形などについての話も興味深かったし、探偵社の女性があねごという雰囲気でかっこよかったです。後半にちらっとあった主人公のロマンスは必要なかったのではないかなー。どうも私はどっぷりはまった恋愛というものが苦手なので、その部分がなければもっとよかったのにな、と思ってしまいます。でも他の人はその方が面白いのかもしれませんが・・。(1996.11)
評価・・・★★★☆
☆ 異形博覧会III怪物晩餐会 井上雅彦 角川書店
うーん・・。 (1999/11)
評価・・・★★
☆ ディオダディ館の夜 井上雅彦 幻冬社
深夜TVのホラー映画という雰囲気。暇つぶしにはいいかも。 (1999/8)
評価・・・★★
☆ ハイドラの弔鐘 井上雅彦 KKベストセラーズ
なんとなく不思議な感じの話でした。同じ「ようこ」という名前を持つ女性が現れて,しかも彼女たちは生きていず,そして恨みに思う男たちに復讐を果たす,という。単純に考えれば,一種の幽霊話のようなものかもしれませんが,同じ名前を持つということで同一性をもてるいうのは小説ならではのとても面白い試みだと思いました。(1999.5)
評価・・・★★★
☆ くらら 怪物船團 井上雅彦 角川書店
私は小学生の頃から怪奇映画,怪奇小説が大好きなのですが,井上雅彦のこの小説はその頃のわくわく・どきどき感を思い出させてくれますね。これでもか,というくらいに楽しませてくれます。まさしく怪奇の遊園地・見世物小屋という感じです。細かい事を言えばあれはどうなってるの?とか思うところもありますが,久々に楽しい(?)ひとときでした。(1999.2)
評価・・・★★★☆
☆ 竹馬男の犯罪 井上雅彦 講談社
サーカスという世界の独特の雰囲気がとても良かったです。サーカスというのは現実と不思議な世界との架け橋のような感じですよね。フェリーニやブラッドベリも好んでサーカスを題材に使ってましたけれど、それに匹敵するくらいおもしろかったと思います。磨理邑雅人が登場する話をもっと読んでみたい人はかなりいると思うのですが、井上雅彦はホラーオンリーなのでしょうか。ミステリーとしての謎解き部分はちょっと今ひとつだったように思いますが、この雰囲気はとても好きです。(1997.11)
評価・・・★★★☆
☆ 恐怖館主人 井上雅彦 角川書店
あまり面白くなかったです。前作「異形博覧会」に面白い作品は全て掲載尽くされているのではないかと思うくらいです。前作レベルを期待していたのでかなりがっくり来てしまいました・・。(1996.11)
評価・・・★☆
☆ 異形博覧会 井上雅彦 角川書店
様々なホラーが読めます。ホラーのお好きな人にはたまらない1冊ではないでしょうか。海外のモダンホラーぽい物、クトゥルー物、奇妙な味わいのある物、などなど。「俺たちを消すな!」「おどろ湯の事件」「海魔の吼える夜」などが面白かったし、「よけいなものが」「残されていた文字」などの実験的ともいえる作品も面白かったです。これまで井上雅彦の小説は全然読んだことがなかったのですが、これからいろいろ読んでみたいです。有名な「竹馬男の犯罪」もこの人の作品だったなんて知らなかったなぁ。(1996.9)
評価・・・★★★★
☆ あくむ 井上夢人 集英社
中編5作から成るホラー集なのですが、どれもいまひとつだったなという感じです。怖いわけでもなかったし、取り立てて面白いとも思えませんでした。「ゴールデンケイジ」が一番良いという話を聞いていたのですが・・これもちょっと・・。傑作と言われている「クラインの壺」にもはまれなかった私ですので、相性が良くないのかもしれませんね(^_^;)(1996.9)
評価・・・★★☆
☆ 刑事失格 太田忠司 講談社文庫
阿南の考え方には息が詰まるところがあるし、そんな風に考える必要もないと感じます。その頑固さ愚直さは気の毒に思えるほどです。こういう風にしか生きられないのでしょうね。彼自身のせいで親友は亡くなったわけではないけれど、それでも一種の罪悪感のようなものが常に頑なな態度をとらせているのかもしれません。婚約者の死についても自殺と認められずがんじがらめになっていたのでしょう。そして新たな出会いも悲惨な結末に終わり、正当防衛とはいえ実際に人を殺して、まさしく贖罪の生活を送る「Jの少女たち」に繋がって行くのだなと思いました。(1998.3)
評価・・・★★★
☆ Jの少女たち 太田忠司 講談社文庫
小説でコミケやジュネなど題材にしたものを読んだのは初めてです。最初はそんな展開になるとは思わなかったのですが。人を殺して以来、人との関係を絶ち贖罪の日々を過ごす元警察官阿南が、孝昭という少年を通して自らが今を生きることを決心する復活の物語となっています。この阿南という人は今までにない等身大の主人公である気がします。前作の「警官失格」も是非読みたいです。(1997.2)
評価・・・★★★★
☆ 不安な童話 恩田陸 祥伝社
いきなり自分が誰かの生まれ変わりと言われたら,とまどうしかないですよね。主人公はそうして事件に巻き込まれていくわけですが,これまでの恩田陸の小説とは感じが違っていて純粋なサイコミステリみたいな雰囲気になっています。その辺が物足りなくもあり,という感じですね。ただ,この人は,誰もが感じたことのあるような事を,独特の感性と雰囲気で描ける人だと思うので,これからも読んでいきたいと思います。(1999.5)
評価・・・★★☆
☆ 球形の季節 恩田陸 新潮社
とても奇妙な小説でした。誰もが行けるわけではないけれど,確かにある異界の空間がその町には存在しているのです。誰でも一度は思ったことがあるんではないでしょうか。ここではないどこかへ出かければ,違う人生が待っていると。でも,出かけてしまった彼らをその場所で待ちつづける人たちもいるということなのですよね。この小説はファンタジー,あるいはホラーとも読めるかもしれない(ここでのどこかは正に異界だから)けれど,そういう人間の変わらない気持ちを描いているような感じもします。読んだときには,なんとなく物足りなく思えたラストでしたが,今,思うと主人公みのりの気持ちがなんとも痛く感じられます(私が実家を出たときの母の気持ちってこうだったのかな,とか)。(1999.3)
評価・・・★★★☆
☆ 六番目の小夜子 恩田陸 新潮社
ある人からお借りしました。もう絶版になっており古本屋でもあまり手に入らないようです。高校に昔から伝わる伝説を描いています。高校生活の描写にほほえましく場面も多いのですが、中盤の学園祭の場面はものすごく怖いです。読みながら動悸が早くなってしまいました。確かにこのシーンだけでも読む価値がある作品です。(1996.8)
評価・・・★★★☆
☆ クムラン エリエット・アガカシス 角川書店
恥ずかしながら,エヴァンゲリオンで初めて死海文書という名前を知り,この小説で,その重要性を知った次第です。しかし,重要性といってもユダヤ教信者でもキリスト教信者でもない私にははっきりいってピンとはこないですね。どうしても無関係な世界の話としか思えなかったので,あの結末には,どう思っていいのかよく分からない変な印象を持ってしまいました・・。しかし,失われた死海文書を巡ってその関係者が磔刑にされていく殺人事件と,それに巻き込まれていく主人公アリーの宗教観・世界観の変化等は,小説としてとても興味深かったです。(1999.1)
評価・・・★★★☆
☆ ナイトワールド F.ポール・ウィルソン 扶桑社
「リボーン」「闇の報復」がようやく翻訳され、やっと「ナイトワールド」が読めます(^_^) 何でもありという感じでとても楽しめました。やはり人間も捨てた物ではないなと思わせてくれます。もうホラーというくくりでは言い切れないですね。立派なエンターテイメントと言えると思います。しかし、全部翻訳されるまで待っていて良かった・・(^_^) でないと、ビルやキャロルがどういう経緯でこうなったのかが分からないところでした。(1996.4)
評価・・・★★★
☆ 闇の報復 F.ポール・ウィルソン 扶桑社
やっと翻訳されました(^_^) ナイトワールドサイクルの最後の未訳本でした。洗脳ってこういう風にするのかという感じです。ダニーに関する件にはぞっとさせられました。「キープ」「マンハッタンの戦慄」「触手(タッチ)」はそれぞれ独立したストーリーとしても楽しめますが、「リボーン」と、この「闇の報復」は「ナイトワールド」への序章という雰囲気が拭い切れません。この本のみ読んだ方は「?」と思うかもしれませんね。(1996.4)
評価・・・★★
☆ リボーン F.ポール・ウィルソン 扶桑社
「ナイト・ワールド・サイクル」第4作目です。これまでの3作はそれぞれ全く独立した話でした。 この作品はこれら3作と「ナイト・ワールド」との橋渡しとなるべきもののようです。ですから、「リボーン」の最後も、まだまだお楽しみはこれから、といった雰囲気がありありです。
この作品は、「ローズマリーの赤ちゃん」、「オーメン」をミックスしたような感じになってます。 (「ナイト・ワールド」が早く読みたい、でも・・。早く「Reprisal」を訳して下さい、扶桑社サマ・・)(1996.1)
評価・・・★★★
☆ フロスト日和 R・D・ウィングフィールド 東京創元社
もう、最高です。ぼんくらだの役立たずだのと罵られながらも、常にマイペースで突き進むフロストは本当にすばらしいの一語ですね。物忘れのひどさにはまいりますけれど。警部から巡査に降格してデントン署にやってきた、未だに警部気取りのウェブスターとのコンビもまた面白かったです。最初は馬鹿にしていたフロストのことを最後には警部ときちんと呼ぶあたりちょっとじんとしたりして。まだ邦訳されていないフロスト物があるらしいのでこれまた楽しみです。(1998.2)
評価・・・★★★★☆
☆ 人形の目 バリ・ウッド 早川書房
人に触れただけでその人の過去・未来が分かるイヴが,連続殺人犯の事件現場を透視してから,事件に巻き込まれていきます。彼女の特殊能力があるゆえの辛さが非常に良く描かれていたし,彼女が透視した殺人犯の暗い過去によって,殺人犯と心が通じ合う瞬間が訪れたときもとても感動しました。暗く哀しい物語でした。私はこう言う小説を読むせいであまりサイコキラーに対して嫌悪感を抱かないのかもしれません。もちろん,現実に殺人は良くないとは思うのですが・・。(1999.2)
評価・・・★★★☆