本の感想(2004)
天啓の宴 笠井潔 双葉文庫
笠井潔が「虚無への供物」「ウロボロスの偽書」を受けて書いたメタフィクション形式のミステリー。
やっぱこういうのって好きなんだなぁ。
実際のとこちゃんと理解できているのかはアヤシイけど、
騙され続けることに妙な快感を覚えるというか。
しかし、「天啓の宴」なんていう現実にない魔書というのは人を惹きつけて止まないもんですね。
(2004/10)
陽気なギャングが世界を回す 伊坂幸太郎 祥伝社
用意周到な銀行ギャングたちが金を奪われてしまい、事態は思わぬ方向へ・・。
軽い感じでさくさく読めます。
しかし、だんだん文章が鼻についてきたんですよね・・。
「重力ピエロ」など傑作と呼ばれる作品たちがまだまだ待ってるのになぁ〜。
(2004/10)
キマイラの新しい城 殊能将之 講談社
ミステリーの枠を楽しく逸脱してしまっている感じ。
非常に楽しませていただきました!
稲妻卿のキャラは絶品です。
やっぱりアントニオはかっこよく石動はだらしなく、という図式は変わりないのね。
(2004/9)
夜啼きの森 岩井志麻子 角川ホラー文庫
津山30人殺しを題材にした小説はいくつか読んでいるけど、
周囲の村人の視点から描くというのってなかなかなかったのでは?
当時の閉鎖的な村の陰鬱な感じがたまらんです。
(2004/9)
ミッドナイト・ボイス ジョン・ソール 新潮社
あまり目新しくもない題材ではあるけど、搾取され行く子供たちが頑張っていたので嬉しい。
映画化されるそうですが、楽しみです。
(2004/8)
ラッシュ・ライフ 伊坂幸太郎 新潮社
時間の関係にしばし混乱させられるけど、
それぞれの物語が最後に収束していくのが面白く、緻密に練られているなぁと感心してしまった。
読み返して伏線をたどるのも楽しい。
まあ「オーデュボン」の時のような感動はなかったんだけど。
(2004/7)
箱の女 G・K・ウオリ ハヤカワ文庫
本の裏にある「暗黒の”箱の世界”を描いたサスペンス」というつもりで読むと、
とても肩透かしを食らった感じを受けます。
よくよく考えればなんとも怖い世界、小さなキリという町のその住民たちの狭い世界にゾッとするんだけれど、
淡々とした文体のせいかとても文芸的な感じがして、ちょっと苦手なんですよね・・こういうの。
(2004/7)
復活の儀式 T・E・D・クライン 創元推理文庫
この世ならぬ邪悪なものを復活させるべく密かに準備を進める謎の老人。
登場人物は訳も分からず、老人にいいように操られているというわけなんですねー。
なーんかこういう邪悪な存在とか儀式とかワクワクしちゃう。
結構あっけない最後ではあったけど、そこに至る過程がとても面白かったです。
マッケンやラブクラフトを題材に用いてたり、マニアックな著作がこれでもかと出てくるのもかなり楽しめました。
(2004/6)
オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎 新潮文庫
私にとって奇跡の一冊と言えそうなほどハマってしまった・・!
しゃべる案山子、嘘しか言わない画家、殺人を許された男、などなど奇妙な人たちが住む島で起こるミステリー。
この島には何かが欠けている、ってその謎がわかった時のあの爽やかーで幸福な素晴らしい瞬間!
もう泣いちゃったよ・・。こんな幸福感はじめてかも。鳥肌もんです。
草野正宗の詩の世界に通じるものがあると思うのは私だけだろうか。
スピッツに出会えたこととこの作家に出会えたこと、同じくらい私に幸せをもたらしてくれました!ありがとう!
(2004/6)
マンハッタン狩猟クラブ ジョン・ソール 文春文庫
これが、あのジョン・ソールの小説??という感じ。それだけでもう新鮮な驚き!
無実の罪で捕まった主人公が地下のトンネルに拉致され、逃げ切れれば助かるという人間狩りのお話なんだけど、
地下に住まざるを得なくなったホームレスたちの描写の詳細さに比べて、人間狩りの部分が少なかったように感じました。
臭いものには蓋、人間の屑はどうなってもかまわないというエリートたちの選民意識の薄汚いこと。
でもそんな人たちが世界の中心なんだよね、実際。
ジョン・ソールには珍しくそれほど後味の悪さを感じなかったです・・。
(2004/5)
αΩ[アルファ・オメガ] 小林泰三 角川ホラー文庫
「ウルトラマン」のパロディっぽいけど、「寄生獣」の感じもあるんだよね。
ハードな理論は全く分からないけどやっぱ小林泰三は一筋縄ではいかないなぁ。
ぐちゃぐちゃなスプラッタの描写はさすがだし。これはもう一気読みの世界です!
最後の「ガ」の本名もかなり受けてしまいました。
(2004/5)
木島日記 大塚英志 角川文庫
歴史というのは都合のいい部分だけが語り継がれてるんだろうな〜。
実際にはこんなことがあっても不思議ではないという怪しい感じがステキ。
まあ多少キャラクターが鼻につくところもあるけど、なかなか面白かったです。
(2004/5)
白い部屋で月の歌を 朱川湊人 角川ホラー文庫
表題作の方はとても美しい話で泣けてしまいます。まあオチとしては甘い感じはするけど。
もう一編の「鉄柱(クロガネノミハシラ)」、こっちの方がインパクトが強かった。
左遷された町には公共の自殺場所があった・・。
読後はしばらく呆然としてしまった。生きるって何なんだろうと考えさせられる。
(2004/4)
NAO
& WARA HOMEPAGE