本の感想(2000年)
陰陽師 付喪神ノ巻 夢枕獏 文芸春秋
このシリーズは大好きですねー。晴明・博雅コンビはホントに絶妙っす・・。
「鉄輪」の生成の鬼となった女の切なさもさることながら,
「ものや思うと・・」の壬生忠見や鬼の心が痛くて,
私も縁側で一杯やりたくなりました(^_^;)(2000/12)
十月のカーニバル 井上雅彦監修 光文社
やっぱ,井上雅彦は監修というのが一番合ってるんでしょうか。
面白い作品をこれだけよく集められるなと感心します。
秋里光彦の「かごめ魍魎」は,子供はこうやって大人になってしまうのかと
なんか寂しい気持ちになってしまいました・・。(2000/12)
レフトハンド 中井拓志 角川書店
普通のウィルスパニックもんだと思って敬遠していたのですが,なかなか味がありますね。
登場人物のキャラクターも個性的で,語り口もなんか真面目なんかどうなんかよくわからないし。
左腕も不気味なんだけどなんか可愛いし。
奇妙なすがすがしさがあって良かったと思います。(2000/11)
文字禍の館 倉阪鬼一郎 祥伝社
漢字のもつ不気味さというか,文字って怖いなと思いますね。
視覚的な効果も面白かったです。(2000/11)
奇憶 小林泰三
祥伝社
この人にかかるとパラレルワールドも一般に想像される(というか私が思う)ものと全く違ってますねー。
しかし,主人公のだらしなさ,あれほど極端ではないにしてもそういう部分て私にもかなりあって,
結構どきっとしてしまいました。やっと自分の愚かさに気づいたときにはもう遅いってね。
救われない気分です。(2000/10)
夢遊病者の死 江戸川乱歩 角川書店
奇妙な味わいのある作品を集めた短編集です。やっぱり古い感じはしますけど,
そこも魅力ですよね。「毒草」なんか当時の様子がうかがえておもしろかったです。(2000/10)
肉食屋敷 小林泰三
集英社
今までこの人の作品に感じていた嫌な感じ(いい意味での)があまり感じられなかった気がします。
正直言ってあれ?って思ってしまった。
もっと邪悪なものお願いします・・。(2000/9)
暗黒神ダゴン フレッド・チャペル 東京創元社
解説にある死と復活・再生の話はとても興味深かったです。
ラブクラフトものをそんな風に見たことはなかったので・・。
確かに主人公が恐怖の果てに迎えた結末は意外にも爽やかさすら感じたし,羨ましくさえありました。
(2000/9)
高橋克彦版四谷怪談 高橋克彦
講談社
原作に忠実に書いたというこの四谷怪談ですが,小説として読むとなんとなく変な違和感を感じてしまいます。
なんで伊右衛門はあんなに自分勝手の極悪非道なのか,岩はなんであんなにすさまじく復讐するのか,
また変に人間関係も複雑で,そんな血縁関係ご都合主義じゃないかと思えるほど。
まあ,でもこれが芝居という形であれば,結構はまるのかもしれないですが。(2000/9)
石の目 乙一 集英社
結構期待して読んだのですが,なんか肩透かしをくらったという感じ。
お話があまりにもストレートすぎる。文体にもあまりはまれなかったし。
このくらいの小説なら私にでも書けそうって思ってしまった・・(^_^;)。(2000/9)
美濃牛 殊能将之
講談社
主人公はえらく影が薄いですよねー。その他の人がインパクトあり過ぎなのか・・。
俳句の会はなかなかの趣向で気に入ってしまいました。
しかし,石動の責められ方ってなんか切なくなりますね。
私もそういうところがあるんで,自分の事言われているようでした・・。(2000/8)
翼ある闇 麻耶雄嵩 講談社
「新本格」といわれる小説を読むのは久しぶりですね。以前だったらもっと楽しめただろうなー。
読む側の私の意識が変わってきているという事でしょうか・・。
でも,何度も起こるカタストロフィはなかなか面白かったですし,
趣向も良かったと思います。(2000/8)
續・日本殺人事件 山口雅也
角川書店
「巨人の国のガリヴァー」も良かったですが,「実在の船」にはまいりましたねー。
なーんか変だなと思いつつ,こういうオチだったのねと妙に納得・・。
「不在のお茶会」のときよりインパクトありました。(2000/8)
梟の巨なる黄昏 笠井潔
講談社
ひとつの物語を複数の人の視点で物語る展開は,やっぱり面白いですね。
でも,あんな結末とは全く想像できなかった。
最後の「銀の腕輪」になるまでは現実的なミステリだと思っていたので・・。
また,笠井潔の思想的な部分も垣間見れるという,私にとっては結構お得な一冊でもありました。(2000/8)
バトル・ロワイヤル 高見広春 太田出版
いやー,これは面白かった。まさしくエンターテイメントというべきでしょうねー。
大東亜共和国という名のパラレルワールドの日本では無作為に選ばれた中学3年生のクラスで
最後の一人になるまで殺人ゲームを行っていたという設定は荒唐無稽でありながらも結構魅力的。
設定だけの妙味といえばそれまでかもしれないけれど,話の展開も早いし,
金八先生とかの俗悪なパロディやロックの話なんかも
この作者と同年代の私としては結構楽しめました。
でも,映画にするんだったら,この人数で話を進めるのはちょっとつらいかも・・。(2000/7)
腐蝕の街 我孫子武丸 双葉社
近未来がリアルに描かれていて,まさに20年後はこんな感じかもしれないなと思いました。
ブレイン・スパみたいな機械を本当に安全だと思っているような人間ばかりになっちゃうのかな。
自分が年取ったとき,実際こんな世界になっていたら嫌だなー・・。
でもストーリーはとても面白かったし,続編も読みたいです。(2000/7)
隕石誘拐 鯨統一郎
光文社
ストーリーのテンポがよくてあっという間に読んでしまいました。
知っているようで知らなかった宮澤賢治に関するいろいろな説もなかなか面白かったです。
ただ,レイプなんかの描写が私としてはちょっと耐えがたかったですが・・。(2000/7)
御手洗パロディ・サイト事件 島田荘司
南雲堂
島田荘司の本はあまり読んでないので,ちょっと分からないとこが多かった・・。
全部読んでればもっと楽しかったろうな。でも本筋の結末はちょっといまいちぽかったです。(2000/7)
ハンニバル トマス・ハリス
新潮社
今までレクター博士=理解不能の怪物というイメージだったのですが,
人間としての博士を全面に押し出した感がありましたねー。
それでも今までのカリスマ的魅力が減ずることはなかったし,
やっぱレクター博士には怪物という名がふさわしいのでしょう。
ああ,でもあのラストは意外。でもやっぱりといえばやっぱりという感じかなぁ。
この作品の映画化では,クラリスはジョディ・フォスターではないようですね。
クラリスは彼女のイメージで読んでいたのでちょっと残念,かな?でも映画も楽しみです。(2000/7)
キッド・ピストルズの妄想 山口雅也
東京創元社
このシリーズ中,一番好きかも。パラレル英国での,それぞれの妄想に根付いた三つの事件。
これを解決してくれるのが我らがキッドとピンクなんですけど,
やっぱキッドの外見とは違う頭の良さはすばらしいです。もちろんピンクの暴走ぶりも・・(^_^;)。
私の大好きなノアの方舟をモチーフしにた「ノアの最後の航海」もまあ良かったけど,
やっぱり「永劫の庭」でしょう。感動的でした。これはもう殿堂入りと言っても過言ではないっす・・。(2000/6)
遥か南へ ロバート・R・マキャモン 文芸春秋
脱ホラー宣言をしてからマキャモンは読んでなかったので,とても久しぶりです。
世間からちょっと外れた男女のロード・ノヴェルで,これは映画になったらもっと面白そう。
フリントはスティーブ・ブシェミあたりで,アーデンはパトリシア・アークエットなんてどう?
ダンとペルヴィスはちょっと思いつかないけど・・。(2000/6)
夏草の記憶 トマス・H・クック 文芸春秋
どうも消化不良な感じです。私の理解力の無さの所為かなんかよくわかりませんでした・・。(2000/3)
孤独の歌声 天童荒太 新潮社
泣きたくなるくらい良かったです。
サイコものなんですけど,孤独に対峙する3人の姿が痛いくらいで,心の奥にある何かにぐっと刺さる感じ。
他に書くのが難しいです。何を書いても何かが違うようになりそうで。
ずっと心に残りそうな小説でした。(2000/3)
異本 西遊記 光瀬龍 角川春樹事務所
西遊記というだけで心惹かれてしまいますね。話の展開も早いし語り口も軽妙楽しかったです。
昔テレビで見たのとは設定は違っていますがそれはそれ,本当にワクワクしました。
ロードムービーって好きなんですが,それってやっぱり西遊記の影響かも・・。
金角銀角のひょうたんが異世界へ通じているっていうのも私の心をくすぐります(^.^)。(2000/3)
アド・バード 椎名誠 集英社
面白かった!描かれているのは絶望的な未来なんだけれど,マサルや菊丸,キンジョーなど登場人物が
とても魅力的だし,なによりいろんな生き物(?)の姿やその名前などのディテールもすごく面白かった。
なんとなく晴れやかな感じもする希望の持てそうなラストも良かったと思います。(2000/2)
どすこい(仮) 京極夏彦
集英社
超ナンセンス,超くだらない。でもこう言うの結構好きかも。とってもメタな展開がすごくいいです。
かなり私好みです(^_^;)。しかし,馬鹿小説だの品性下劣だの下手だのと
自らを散々蔑んでいるその裏にはかなりの自信を感じてしまいますね・・。 (2000/2)
風刃迷宮 竹本健治
光文社
なんかだまされたような気がしてしまう。ウロボロスとかは収束しなくてもOKなタイプだと思うけど,
牧場クンのシリーズでは難しいですね。こちらの先入観もあるのでしょうけど,
ちょっと納得できないです・・。 (2000/2)
会津斬鉄風 森雅裕
集英社
幕末時代の小説はあまり縁がなかったのですが,作者のこだわりと美学を垣間見れるようでよかったです。
もう一度読んで堪能したいですね。かっこよすぎです。 (2000/1)
フーコーの振り子 ウンベルト・エーコ 文芸春秋
秘密というものはどこにもないのに知ったかぶりで見栄を張るなんて大馬鹿じゃないですか。
そんなことで人生を閉じてしまったベルボも大馬鹿だ・・。いくらカゾホンがベルボは彼の振り子を
発見できていたといったところでそれは気休めにしかならないのに。
生涯,卑怯者だと己を苛んできたベルボに対してとても複雑な気持ちを抱いています
(・・極度に感情移入してしまうことってたまにあるんですよね・・)。 (2000/1)
NAO
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