#010 ハードとソフト
http://www.muji.net/

ついに'00年秋、新会社「ムジ・ネット株式会社」が設立される。オンラインによって新たな事業を展開するらしい。予定されている事業は、集合住宅、専用仕様車、国内ツアー、フラワーギフト、Internet接続サービス、などである。

そりゃそうだね。「無印良品」というブランドは、単なる"物"だけでなく、「シンプルで無駄を省いた」という基本コンセプトを軸にすれば、あらゆる分野で使い得るブランド名なのだからこういった事業の拡大もおかしくないよね。でもどうだろう?ある程度の境界線は必要なんじゃないだろうか。例えるなら、"SONYが作ったチョコレート"を食べるのに感じる違和感のようなものかな。(ピンとこない?)

このような新規事業はいわばハードの拡大と呼べるが、今の無印の現状ではハードよりもソフトの方が大事なのではないだろうか。
ソフトとは?

以前店頭で車椅子の客を見かけたが、通路の狭さや商品棚の高さが障害となって買い物しづらそうだった。もちろんよく教育された店員は手助けをする。だが、本来はその人が自分の力だけで買い物できる店がベストだろう。
無印良品がまず着手すべきはこういったことだと思う。つまり客行動の観察だ。マーケティングや"声のキャッチボール"も結構だが、もっと目線を低くして実際の店頭での客の反応をきちんと見て欲しい。そこには服のサイズが切れていて舌打ちしている僕が居るはずだ。(苦笑)

僕は、新規事業が積極的戦略で、ソフト面の見直しが消極的戦略だとは思わない。むしろソフト面がおぼつかないままハードばかりに気が廻るのは"いかにもフラフラしている企業"に見えてしまう。オンライン事業なんて今さら珍しくもないんだから、ソフト面を整備してからでも遅くないと思うよ。

※とまあエラそうなことを書いたものの、商品評価を中心とするこのサイトの内容はまさに"ハード至上主義"であって、自分の主張と矛盾しているわけであります(苦笑)。ソフト面についてはこのコラム欄や店舗ガイドで書いていくので御勘弁を!

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