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心房細動のある患者さんは脳塞栓を防ぐ為にワルファリン(商品名ワーファリン)
という抗凝固薬をのみ続ける必要があります。このクスリは塞栓の予防にとても
有効ですが、用量調節 のため頻繁に血液検査が必要で、他の医薬品や食べ物
によって効果が変動しやすいという煩わしさがあります。納豆や青汁が食べられ
ないのも、つらいところです。
そんな患者さんにとっての朗報が、新しい抗凝固薬の登場です。
ダビガトラン(商品名プラザキサ ベーリンガー)は、経口トロンビン阻害剤で
安定した抗凝固作用があり、他の医薬品や食品との相互作用の心配も少なく
てすみ、細かな用量調節の必要もない薬剤です。18000人を対象にした
2年間の調査では、心房細動の患者さんにダビガトラン110mg (1日2回)を
投与すると、脳卒中と全身性塞栓症のリスク(年に1.53%)は、十分に管理
されたワルファリン群(年に1.69%)と同等で、大出血リスクはワルファリン
群より有意に低いことがわかりました。
150mg(1日2回)を用いた場合には、脳卒中と全身性塞栓症のリスクはワル
ファリン群より有意に低下(年に1.11%)しましたが、大出血リスクはワルファ
リンと同等になりました。ちなみに心房細動を何も治療せずに放置すると、年に
4.5%のヒトが脳塞栓を発症するとされています。ダビガトランは平成22年10月
に心房細動を有する患者の脳卒中予防薬として米国FDA(米国食品医薬品局)
に承認されていましたが、日本でも平成23年春に発売されました。
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