第2話 乗降客

列車にせよエレベーターにせよ、
こちら関西地方で暮らしていると、箱物の乗り物の乗降時のマナーには毎度閉口してしまう。
つまり、降りる人がいるのに、我先に乗り込もうと体を滑り込ませてくる輩が多いのである。

とにかく、こちらの人間は老若男女並ばない。
列車のホームできちんと並んでいる光景を見かけることの方が圧倒的に少ない。
それぞれが適当な位置に身を置き、列車がホームに滑り込んでくる途端に
我先にと、その乗車口付近にあちらこちらからワラワラと集まってきては、
先に述べたように、降りる人の迷惑など構わず我先に乗り込んでいくのである。
更に酷い場合には、明らかに多数の降車客がいると分かるのに、扉の前に仁王様の如く立ちはだかり、
「わしが先に乗るんや。わしが乗ってから、お前らは降りんかい!」という感じの人も多い。
これは先の通り、老若男女、風袋に関わりのないところに深い悲しみを覚える私がいるのである。

自分さえ良ければそれでいいのか、君達は?(溜息)

対して、降車客としては、アメリカンフットボールのタックルよろしく、
肩を怒らせて身構えて降りようとしないことには、『我先人』達に押し戻されてしまうのである(涙)。
そして、混雑した車内では、扉付近で頑張って進路を開けようとしない人達や、
中央部で降車客の流れに逆らってその場に留まろうとする人達がいるのでややこしい。
一旦先に或いは一緒に降りて、乗車しなおせば乗降もスムーズに行われるのに.......。

従って、結果として列車の運行に支障をきたすことが多く、ダイヤが乱れてしまうのである。
全くもって情けない。

よく言われるところの関西人特有の損得勘定なのか?
「他の皆もやってるやんか!」という、単純で稚拙で間抜けな身勝手さ全開ということであるのか?

そんな奴らの顔を見る度に、
疲れているから早く乗って座席を確保したいんだろうな......とは、決して私は思わない。
時に、私が列車待ちの最前列に立った時には、
降車客を先に通そうと扉の脇に身を置いて通路を開けているのにも関わらず、
「何してんねん。はよ乗らんかい!」とばかりに、後ろから押されることすら実際にあるのだ。
後ろに立つ人が私を通り越して先に乗り込んでしまうこともあるくらいなのである。

確かに、JR・私鉄に関わりなく、ローカル駅では乗車口を示す案内がホームにないことも多い。
これがこうした貧弱なマナーの最大の原因と思いたいが、やはりそうでもないのかな?

一部の心無い人の為に......とは、しばしば耳にするフレーズではあるが、
果たしていかがなものであろうか?



不愉快極まりない公共マナーの一例より。 [ 2002.4.14.SUN. ]


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