||||| 「一夜で広がる噂」 |||||


あの子(とあーるナース)、そろそろ髪を切った方がええなぁ。ボサボサやん。
......などとは、深夜の徘徊中に交わされる不良患者の戯言である(笑)。

時に、退屈で不安な病棟生活での鬱憤晴らしには、当日に起こった小さな出来事や発見、そしてドクターやナース等の医療従事者との接触についての感想や不満が話題に上ることがある。

それも、仕方がなかろう(......と自己弁護)。
所謂、サラリーマンの酒は、上司や同僚、或いは会社の悪口を肴に盛り上がると言われるが、我々不良患者も同様である。
それぞれに共通する話題は趣味の領域を同一にするのであればともかく、或いは個人的な馬鹿話で周囲を盛り上げるにはその話題の選択が難しい場合があるからで、どうしても病棟生活に関わるところに話題は集中しがちとなるのだ。

「あいつ(とあーる中堅ナース)、なんやねん。感情的になって、わしらに当り散らすん、止めて欲しいと思わへんか?詰所で何があったんか知らんけど、いきなり病室に入ってきて怒鳴るんは勘弁して欲しいわなぁ。わしら何も悪いことしてへんやん(......深夜の徘徊では、十分に迷惑をかけているとは思われるが;苦笑)。」
......(一同、真顔で頷く)
「あれも(とあーるベテランナース)酷いでぇ。口の利き方、何とかならんかなぁ。患者や家族の神経逆撫でやんか、あれじゃー。それに、部屋担当の日でも、ほとんど顔見せへんし。」
......(一同、また真顔で頷く)
「まあしかし何やな。坐薬入れさせたら、○◎さんやね。もう一発やで(笑)。手元なんか見てへんもん。ぐっと入れてくれるんが、段々快感に......(以下自粛)。」
......(一同、爆笑しながら頷く)

我々が暮らす病棟からはかなり離れた所での会話が盗聴されているのではないかと疑念を持ったのは、こうした話が夜な夜な繰り返される翌日、或いは翌々日には、それらが改善されていることから始まったのである。
先の髪の毛ボサボサ嬢は綺麗にセットして出勤して来るし、ベテランさんはいそいそと患者の世話をし、会話も穏やかになったのである。香水女と中堅さんは、最後までそのままだったけれど(笑)。

細かい話はまだまだあるが、ナースも人の子。特に深夜勤務の際の眠気覚ましや、婦長、副婦長がいない気楽さで、我々と同じく一日のエピソードを交換してストレスの解消にしているのであろう。それ位は分るというものである。
特に私の場合は、病室が詰所の前だったので、準夜勤のナース達の騒がしさはよく聞こえてきたものであった。「うるさい!」と一喝する居残りのドクターもおられたが、結局は一緒になって馬鹿話などに興じておられたし(苦笑)。

それでは最後に、ちょっと参った私の話など。
とあーる中堅さんとの会話で、彼女の年齢を当てたことがあった。
その夜、どうもその話で詰所が賑わった様子ではあったが、本人が忘れかけていた頃になって、「ねぇねぇ、あたしの年ってわかるー?」とお聞きになられる方々が続いたのには閉口したものであった。

お願い、あんまりいぢめないでね......しくしく(涙) と言ったか言わぬか(笑)。

ほんと、女性とは、年齢の話題は禁物ですね(苦笑)。



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