||||| 深夜の徘徊 |||||


単調な入院生活の為に、ついに呆けてしまった挙句の徘徊ではない(苦笑)。

21時の消灯後、すぐに眠れるわけもなく、
テレビを見るにもつまらぬ人達は、
向こう三軒両隣り、並びにご近所の皆様お誘い合わせの上でというか、
暗黙の了解の内に三々五々と喫煙所に集結することとなる。
この旧病棟には1箇所しか喫煙所がないので、
当然様々な科目の患者達が集まることになり、足げに通っている内に
自分の病棟以外の患者とも自然と顔見知り(=お友達)となるわけである。
そうなれば、別段煙草が吸いたいという能動的な理由はなくとも、
そこに行けば暇つぶしの話し相手がいるかもしれない......と
期待が募る挙句に自然と足が向いてしまうのであった。
集う多くは、我々整形外科病棟の連中が明るく楽しい話題で大いに盛り上がるので
その輪に入ろうとする方が多かったようには感じたが、果たしてどうだろう?

結局は、同じ境遇にある整形外科患者同士が最も仲良くなってしまうのであるが。

さて、この旧病棟の喫煙所は病棟裏口入って直ぐのところにあり、
夜は静かであるのは良いが、隙間風が入り込んでかなり寒いのである。
従って、少しでも暖かい所へと暖を求めては、
更に他の患者に遠慮なく騒ぐことができる場所を求めては、
我々極一部の不良整形外科患者は院内を彷徨うのであった(笑)。
で、見つけた安住の地が新館は2階にある外来の待合。
暖房が効いて実に心地良いし、何せ静かである。
それにジュースの自動販売機があるから、その明かりが取れるし、
当然、話が盛り上がって咽喉が渇いた時には飲み物を買うことができる。
更に、その空き缶を有効活用して灰皿代わりに......(良い子は真似をしないように!)。
残念であったのは、待合に設置されているテレビのスイッチが自動制御されている為、
16時30分以降はテレビ観賞ができないことである。

時に同階の診療科に深夜近くまで医師が居残っていることがあり、
さすがに静かに話そうとするのであるが、
次第に遠慮がなくなり馬鹿騒ぎと化してしまうのであった。
「何事かっ?!」と医師が飛び出してくることもあったが、注意はなし(苦笑)。
また、同じく臨床検査部は夜通し医師や技師が待機している様子ではあるが、
自動販売機の飲料を買いに来た際に我々を見かけてもお咎めはなかったのである。
例外は、院内巡回中の警備員が「ご苦労さん。」と声をかけてくるだけ。
暇で暇で退屈を持て余している我々の何処が『ご苦労』なのかは知らない。
確かに、旧棟に住む我々が、
歩行器や車椅子を使ってわざわざ新館まで遠征しているのであるから、
その点においては、正しく『ご苦労』なのであろう(笑)。

いや、それだけではないかもしれない。
こうした暖かく適度な明かりの下で、
我々不良整形外科患者は密かに自主歩行訓練を行っていたのである。
とある人工関節を入れた方などは、
その歩く姿をリハビリ担当者にすら見せたこともなく、
退院間際にしっかりと歩くところを見せて、
「先生やナースを驚かせたんねん!」と息巻いておられました。
実際、その通りに決行されて、周囲を笑わせておられましたが(笑)。

警備員や医師には所属病棟をチェックされて、
水面下では病棟の婦長が注意を受けていたのかもしれないが、
自由気侭な深夜の時間であったことは間違いないところである。

本当に楽しかったなぁ......。



Copyright(C) 2000-2002 猫ぢぃ All rights reserved.