売店で働くオバチャン達は、医師やナースに次ぐ第3の医療従事者である......と思う。
何故なら、「腰椎椎間板ヘルニア アドバイス/入院準備物」での冒頭に取り上げたような、痒いところに手の届くアドバイスを貰えたりするからである。
完全看護とは言え、身の回りの世話はナースには頼み難いし、且つ彼女らも忙しさを言い訳に快くは手を貸してはくれないのである。洗濯然り、売店への買い物然り。
まあ、この問題は如何に雰囲気を盛り上げて気安さを演出するかということでもあるのだろうが、とかく女性を使うのは難しいと思う次第でもある。患者の使い走りは給与に反映されないからかも知れないが。
これが、洗濯代行1回につき手当て1,000円とか売店への買い物代行1回につき手当て500円となれば、また結果は違うのかも知れない(笑)。
さて、その売店のオバチャンであるが、流石に勤続年数が長い方々は、経験則から症状や手術内容によっての入院生活に必要不可欠な物品取り揃えに大きな力となってくるわけである。
「おにーさん、今度入院するん?なんで?......あ、そう。ほんなら、これとこれに......。」
ほほう......。
「あ、それはそんなにいらんやろー。これはどないするのん?あったら便利ってみんな言うで。」
みんなって、誰のことじゃ......(苦笑)。
要するに、暇な入院患者やそのご家族が暇つぶしがてらに売店で立ち話をしていくのであるが、オバチャン達はその際の相手や会話をデータベース化して整理し、記憶としてインプットしていくのであろう(笑)。
例えば、私ならば。
動けるようになれば、毎日、朝食前に朝刊を、夕食前には夕刊を買いに行くのであるが、私の顔を見た瞬間に「今日はまだ来てへんねん。またおいでー。」となる。
また、朝は新聞と缶コーヒーを一緒に買うことを日課としていたから、顔を見て私だと分った瞬間に「はい、340円。」となるのである。従って、時に悪戯心でキャンディーやチョコレートを一緒にレジに差し出したりすると「さんびゃく.....ありゃりゃ(あうあう)。」となるのが面白かった。
そこで思わず私はニヤリと口の端を歪めて笑いを噛み殺す由であるが、相手も然る者、「やりやがったなー!」という風情で微笑みながら私を見据えるのであった(笑)。
そんな愛着のある売店ではあったが、私が退院してからの初の外来が長引き午後にまで跨ってしまったので、仕方なく売店でパンと缶コーヒーを買って昼食代わりにしようと赴いたその時である。
レジに購入物を差し出して支払いを済ませようとした際、オバチャン達と目が合ったのであるが、いつもスウェットの上下を着て病棟をウロウロしていた私ではなく、スーツを着て澄ましている私に漸く気付いた時のハッとした表情は今も忘れないでいる。
オバチャン、そんな珍しいものを見るような目でわしを見るなー!(泣)
それに、何をそんなに驚いてるんやー!?(涙)
恰好よかったのでしびれちゃったのかにゃ?(爆)
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