||||| 3時間待ちの3分診療 |||||


『3時間待ちの3分診療』とは、けだし名言である。

診療予約を取るものの、時間通りには診察されず外来待合で待たされ続け、
診察室に通された時には待ち疲れてしまい、医師との会話を行う気力が失せて、
言われるがまま、碌に質問すらできずに診察室から追い出されるように退室する。
「今日、私は何をしに来たのだろうか?」
と自問自答した挙句の果てに自責の念に駆られては、
我慢の限界のトイレに駆け込み、用を足しながらこっそり涙を流しているのである。
......そうなのである。
いつ何時、自分の名前がマイクで放送されるかと
一日千秋の想いで順番を待つ身としては、
迂闊にトイレなどには行ってはならないのである(涙)。

外来の患者、しかも新患の場合、
大学病院なら、しかも入学試験の偏差値が異常に高い所なら安心だから、
国公立の大病院ならそれ相応の優秀な医師が勤務しているからと、
或いは近所にそれらがあるから儲けものであると気軽に外来にやってくるのだろうか?
そして、老人達は、
老人医療費の安さと暇を持て余す為に各外来診療科を梯子していくのだろうか?

確かに、大病院であれば専門科目も多く、検査機器も一通り揃ってはいるし、
多種多様な疾患を診察するが為の、
様々な症例研究が進んでいることは事実だと思われる。

「だからと言って、いきなり外来に来るなよー。」

近所のかかり付け市中病院なり診療所なりでじっくりと診察を受けてみて、
そこでは手が負えない、或いは専門医がいる病院でなければ治療が出来ない。
そう、結果的に大病院で治療を受けなければならないとなった時に初めて、
紹介状を書いて貰って来院するのがお作法なのである(と思う)。

さて、ある日の夕刊に掲載されていた医療関係の話題であるが、
ついに診察待ち時間を知らせる電光掲示板が
とある新設病院に導入されたようである。
他にも先駆けて導入している病院があるのかも知れないが、
そこには患者の氏名と待ち時間が掲示されているのであった。

実はこれが言いたかった訳であって。
人が集まってくるのであるから待ち時間が長くなるのはいたしかたない。
が、予約制を敷くには患者のことを余りに配慮していないのではないかと
常々疑問に感じていたのである。
身体の調子が悪いから病院に行くわけで、
自分の順番が来るまで静かに心を落ち着かせ痛みや不調を堪えているのであるが、
診察順を読み上げるナースのマイク音声が他の診療科とミックスされて、
時に頭が痛くなるし、音声を聞き逃さぬように神経も張り詰めてくる。
更に、遠くでは会計の呼び出しのマイク音声までが響いてくる始末である。
こんな状況の中、自分の名前がアナウンスされるのを聞き逃さず、
じっと待っていなければならないというものは、かなりの苦痛を伴うもの。

要するに、大病院というところは五月蝿く、また患者には優しくないのである。
これは精神衛生上、非常に良くない。

民間の市中病院では、外来が混雑したり、午後診の医師が未着の時には、
外来で待つ患者に医師やナースが状況の説明をしに診察室から出てくるではないか。
これはちみっと嬉しいものなのでありますよ、大病院の関係者様。
大病院では営業努力などしなくても患者がわんさかやって来るのであるから
応対する方も大変なのは容易に想像がつくが、
こうした気遣いもしていただく努力を持ち合わせて欲しいものである。

最後に。
3分もあれば医師とのコミュニケーションには充分な時間でもある。
長く待たされるとイライラするのではなく、その待ち時間を利用して
自分が聞きたいこと、訴えたいことを頭の中で整理しておくようにしたいものである。

でも、あの喧騒の中じゃ無理かな......(苦笑)。



Copyright(C) 2000-2002 猫ぢぃ All rights reserved.