山県三郎兵衛の防戦術


山県三郎兵衛でござる

防戦は弾正なり、修理の方が向いていると思うのだが・・

侵略が敵国の生産力を奪うことを目的にしているのに対して
防戦は反対に防ぐことを目的としております

百戦百勝することより戦わずして勝つが上策
なれど、戦わずして天下を一つには出来ませぬ

しかしながら防戦で得られるモノはほぼ在りませぬ
言わば、上様の覇道には無用の戦になり申す

なれば「戦わずして勝つ」は防戦にこそ活かすべきでしょう

下克上の世の中なれど、朝廷の権威は未だ健在にござる
ここは調停を上手く戦わず戦闘終結を計ることを上策といたしまする

朝廷と幕府のどちらかに頼むことになりますが
よほど朝廷との間が芳しくない限り、朝廷が宜しいでしょう

幕府は能動的に関係を深められるますが
朝廷は受動的でしか関係を深められませぬ
場合によっては幕府の方が良いやも知れませぬ

しかしながら「調停」も万能ではありませぬ
第一に、調停の使者が必ずしも到着されるとは限らないこと
第二に、到着が遅れ、戦況が悪化する可能性があること
第三に、敵軍が使者に接触した場合は調停できないこと
等がござります

そこで中策として武力による撃退も用意する必要があります

防戦は実は難しい様で攻撃側より有利な点が多くござります
第一に、必ず強行が一度は使用できる
第二に、国を把握していれば敵の行軍が確認できる
第三に、攻撃側と守備側では目的が違う

強行は拠点の数だけ使うことが出来ますれば
守備する側としては必ず使うことが出来る筈でござる

攻撃側では城の位置や、守備側の行軍は分かりませぬが
守備側はそうではありませぬ

第三の目的の相違が最も守備側が有利な点となりまする
攻撃側は城の陥落が目的でござる
野戦で守備側を殲滅し、然る後に城攻めを行う等
守備隊の全滅は欠かせませぬ

守備側は只一小隊、攻撃側総大将を倒せばそれで勝利となりまする

勝利しても得るものが少ない防戦では大将のみを狙うことこそ
戦術レベルでは最も有効にござる

また、守備兵が少なく、敵が一個大隊程度であれば
一小隊のみが出陣し、敵との距離を保ちながら
逃げ回ることによって戦わずして勝利することも可能でござるが
領内での長期戦は民衆の支持を失い、兵糧の消費も激しくなり申す
また敵将が影を多用する場合もこちらが宜しいかも知れませぬ

最後に申し上げたく存じます
最も上策な防戦は戦略レベルにあることをお忘れなく願いまする

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