私は過日(12月10日)著書「八禰宜山の雨」の記載内容の確認と了解を頂くため
 に日本最高の歌人であり国文学、民族学の大家でもある国学院大学名誉教授、    
 日本芸術会員、岡野弘彦氏を訪ねた。

 岡野氏は間近に迫った天皇陛下のお誕生日のお祝や新春の歌会始め等の御準備で
 大変お忙しい中、半日以上の長い時間を都合してくれてこの本に対する感想や伊勢、
 切原の歴史や習慣、特殊な地域性などのお話を住み慣れた伊豆の風景と重ね合わせ
 ながら語られた。

 特に昭和25年柳田国雄と折口信夫に随行して剣峠を越えられた思い出を大島を
 浮かべる遥かな水平線を遠望しながら
 「思い出したよ、思い出したよ、あの時の会話の内容まで思い出したよ」
 と少年のように目を輝かせながら熱く語られた。
 「先生、あの時1歳で切原の田んぼの畦でハイハイをしながら先生に手を振ったのは
 私ですよ」と冗談を言うと「そうかね、君だったのかね」とこちらも又冗談で笑顔を返された。

 持参した切原のみかんを大そう喜ばれ、お返しに歌集「美しく愛しき日本」を下さった
 先生はこのあと皇太子ご一家や秋篠宮ご一家の授業なども控えておられるそうで更なる
 創作もあり初対面の私のために貴重なお時間を下さったことは感謝しきれない。
 
 「先生風邪ひかんよう、いつまでもお元気でなっ」と言うと
 「その伊勢のな言葉いいよねえ」と目を細め玄関先まで出てこられ私を見送って下さった。

       平成25年12月14日  小山 久徳