八景山キャンプを捜すために山の中に入ったが、残念ながら見つからなかった。もう、
ここまで来るとあたまにきた。今日は寝ないと決めた。しかし、多少休もうと思い単車を止めて海を見た。
朝焼けがせまって瀬戸内が明るくなってきた。
この風景のなかで、俺は、夕食のときの何故、バイクに乗るのかという言葉が思い出された。
確かに、こんなひどい状況になってまで、バイクに乗るのかと思った。確かに、俺は、このとき迄、
真剣にその意義を考えたことがなかった。道があり、風か吹いてバイクがある。孤独を楽しんで、
見知らぬ人と話をする。そして、人間の限界に挑戦する。ここちよい緊張感を味わう。整備して、
より良い走りを楽しむのか。バイクは、人生を楽しむためのアイテムなのか、単なる道具でしかないのか。
そう思って、愛車のTDR250を見た。朝焼けをバックに、単車が俺に話かけてきたょうに感じた。
とにかく走ろうよ走ってみればわかるさ。次のターゲットは、
四国の西に飛び出す半島ではなかったのではないか。バイクにまたがってキーを回して、
おもいっきりキックする。心地良いエンジンの音と振動が、疲れた俺の全身に伝わった。
その振動が血液を循環させるようだった。そこで、初めて気がついたのであった。
バイクは、俺の心でもあり、人生でもある。お前は、行きたいという俺の意思をかなえる体の一部だと思った。
人間とは限界を極めるとなにか悟りに近い心境になるともわかった。誰しも、感じると思うが、
バイクと人間が一体となったときに、すばらしく気分がいいことを感じると思う。
5:30 長浜
しばらく、ルート378を走るとさすがに、眠いものである。また、
キャンプ場の看板にさそわれて行ってみたが、キャンプできそうなところでなかった。
瞽女峠の手前にて、さすがに眠いので、道路のわきで目を閉じて休んだ。
そして、30分ぐらいしたら、そこへ一台の軽トラが止まるので、目をあけた。
その車から、ひとりのおっさんが降りてきて、荷台の段ボールを海に捨て始めた。
なんで、こんな奇麗な景色の所で、不法投棄するのかと思った。地元の人は、
自分たちのすてきな景色を自らが、汚すのに実に悲しい気分になった。
休む止めて、峠のコーナーを攻めてルート197に出た。
8:00 三崎町
この半島の幅は、長さにくらべて実に狭い。こんな、狭いところにも民家が多くあったのには、
驚かされた。晴天の中でメロディーラインの終わりで、ようやく開店したスタンドで給油した。
8:30 佐田岬
駐車場には、単車が一台止まっていた。疲れているが、灯台までゆきたくなったので、歩いてみた。
山道をぬけて、眼下に灯台が見えた。その下には、三角形の屋根で奇妙なバンガローがあった。
しかし、ここまでは、下り坂なので、帰りが多少心配になった。キャンプ場から、
灯台までは上り坂であった。結構、汗をかいたが途中から、岩の色の変化が気になった。
なんと緑色をしているではないか、その緑と木々の緑がとけあってじつに奇麗であった。
やがて、展望台の上にたった。そこには、様々ならくがきがしてあった。
その中のひとつに、もう都会のジャングルに戻りたくないと書いてあった。展望台からは、
白い灯台の全ぼうが見えた。緑色の岩と白い灯台に、九州がよく見えた。周防灘と宇和海もよく見えた。
確かに、都会には戻りたくなくなるなと俺は思った。感動する景色のせいで、
いつしか帰路の坂道のだるさは、心地好い疲れとなってしまった。往復1時間で、駐車場にもどったら、
さっきの単車に、外人さんが荷物を積んでいた。軽く手をあげて、彼にあいさつした。
先に、彼は走り去った。ルート197に出る前に、一方通行の信号でまた彼のバイクに追いついてしまった。
ぶっちぎってやりたかったが、日本のライダーを神風と呼ばれるのが、しゃくにさわるので、ついていった。
それでも退屈なので、ウエストポーチから、カメラを取り出して、走りながらシャッターを切った。
中には、こんなとんでもない日本人がいるんだぞと彼は感じたであろう。クックック...
10:30 伊方町
半島の付け根で、外人と分かれた俺は、くねくねした道を走った。そしたら、突然、
前方の海上に奇妙な光景を目にして、単車を止めてカメラを取り出した。
さすがに、このコーナーでは、走りながらの撮影は出来ない。赤と青の船が海上をすれちがうのであった。
しかも、同じ大きさのフェリーらしい。
12:00 宇和島
睡魔がこわいので、リアス式海岸をあきらめて、八幡浜市から56号へ抜ける近道を通ることにした。
しばらくすると前方に、カッコだけのレプリカ野郎が2人いたので、ぶっちぎてやった。彼らは、
むかついて追いかけてきた。しかし、神がかった俺に、今の彼らのテクでは追いつけなかったらしい。
ルート56は、単調な上に渋滞がはじまった。しかたなく宇和島にて、昼食を取ろうと思った。
そして、ステーキ屋さんに入り、大好きなハンバーグを食べようと思った。アメリカ風のお店には、
カウンターに数人の家族連れがいて、なにかしぶそうな顔をしていた。なんだ、
ライダーをそんな目で見るんじゃないよとむかむかしてきた。さあ、飯だと思ってメニューを見た。
あれ、ハンバーグがないじゃないか、渋滞と暑さのせいで喉がかわいていたので、
メニューを見る前に水を飲んでしまった。大変な失敗であった。しかも、メニューには最低の品で、
4千円であった。こいつら、俺等、バイク乗りを馬鹿にしているなと思った。
そこで、千円高い5千円のコースにした。さらに、無知な人間と思われるといやなので、
お店のマスターに、ここの肉は宇和島牛の肉ですねとたずねた。こんどは、
マスターがちょとびっくりした顔で、いいえ、肉は、近江牛ですといった。
どうりで高いわけだと思った反面、なんで、宇和島で近江牛たべなきゃいかんのと思った。
そして、準備ができる前に、それまでカンターの一部と思っていたところに、こんどは油を塗り始めた。
もしかして、案の定、マスターが鉄板の上で、あざやかに肉を切りコジョーを振り始めた。
馬鹿野郎、そんなパフォーマンスが見たいんじゃないと俺は思った。でも、高いという先入感があったので、
肉はとてもおいしかった。先に来ていた家族づれは、結局、俺と同じコースであった。
そして、会計を済ませて釣りをもらうときマスターがにこにこしていた。むかついて、外に出た。
渋滞も多少解消していた。そこで、俺はさっきの客のしぶ顔がわかった。彼らも、
神戸から来たワゴンに乗り込んでいった。おそらく、あの家族も、なんととんでもないお店に入ったと思ったので
はないか。せっかくの家族団らんが、店構えに反した高級料理に悪徳商売だと思った。
ああ、あの家族も、ファミリーレストランの感覚で入ったのだなとも思った。
せめて、店先に高級ぐらい書けよとも俺は思った。さて、それで釣銭を財布に入れようとして、
千円釣銭が多いので驚いた。俺は、すかさずバイクに乗ってその場を去った。
16:30 足摺岬
宇和島をぬけたら、すっかり車の台数が減った。かたわらの道歩くお遍路さんが、やたら目についた。
宿毛市からは、ルート321に入った。海辺の道では、風が強かった。土佐清水市から、風が強いので、
海辺の道を止めて、足摺スカイラインを走った。実に、静かであっが、異様に雲が速く流れていた。
やまなみを降りて、断崖の上の足摺岬に出た。
眠さと雨をさけるために、スカイラインで、十数台の車をぬいてしまった。民宿について、
風呂に入り、早めの夕食を取って、すぐに、爆睡してしまった。