DVD映画鑑賞記1



愛の地獄   原題:L'ENFER

監督:クロード・シャブロル
 出演:エマニュエル・ベアール(ネリー)
     フランソワ・クリュセ(ポール)
     アンドレ・ヴィルムス
     ナタリー・カルドーヌ

  ストーリーは、リゾート・ホテルのオーナーになったポールはネリーと結婚し、息子も出来て幸せな生活を送っていた。しかし、精神を病んでいく ポールには、妻が青年やホテルの客達と密通を重ねていると思い込む様になる。
  嫉妬に狂ったポールの妄想なのか、真実なのか?。次第に現実と妄想の区別がつかなくなってきたポール、愛の結末は…。
  殆んどエマニュエル・ベアール中心に観てしまいました。冒頭の三つ編みお下げ髪の姿に少々引いてしまいましたが、やっぱり素敵だなあと満足して しまいました。
  現実と妄想が入り乱れますが、妄想シーンのエマニュエル・ベアールの美しさと妖艶さにクラクラしてしまう。水上スキーをするシーン、窓辺に佇む シーンが印象に残ってしまう。
  ポールが夜、鏡に向かって独り言を言う所から、徐々に被害妄想と精神分裂になっていく姿が哀れでもある。みんなが映像を楽しんでいるのに、必死に 現実を見ようと努力するのに、結局はぶち壊してしまう。
  お客との関係も段々と崩壊して窮地に陥ってしまうのは、観ていて辛い。何故ポールはこうなってしまったのだろうか?。妻が美しすぎて、常に不安と 嫉妬深かったからなのか。
  ネリーもかなり誤解される行動や態度を取っている。本当に妄想は真実であったのか、本当の部分は良く判らない。医者の診断で、精神病院に行く事 が決まったが、行くのはネリーとポールは主張する。
  ネリーと思わせてポールが行くのかと思ったら、中途半端なラストにガッカリ。そこで終わるの?。確かにポールの行動は恐いのだが、フランスという お国柄なのか恐怖感も押さえ気味。
  結局、愛の地獄とは誰にとっての地獄だったのか?。ネリーとポール双方にとっての地獄なのだろう。愛が深いほど嫉妬も深くなり、狂気となって自ら を地獄に追いやる。
  残念なのは、パッケージにある解説と内容が合っていない様な感じである。ストーリー的にも目新しさが無い。唯、やっぱりエマニュエル・ベアールに 尽きると思ってしまった私であった。



すべての美しい馬   原題:ALL THE PRETTY HORSES

監督:ビリー・ボブ・ソーントン
 出演:マット・デイモン(ジョン・グレイディ・コール)
     ヘンリー・トーマス(レイシー・ロリンズ、親友)
     ルーカス・ブラック(ジミー・ブレヴィンズ、旅で出会った少年)
     ペネロペ・クルス(アレハンドラ、牧場主の娘)
     サム・シェパード(フランクリン)
     ブルース・ダーン(判事)

  ストーリーは、祖父の死と母の意向で牧場が人手に渡ることになったジョンは、親友のレイシーと共に馬に乗ってメキシコを目指す。メキシコには、 大牧場がありそこで自分達の夢を実現させようとする。
  辿り着いた大牧場で仕事を得たジョンは、牧場主の美しい娘アレハンドラと出会い惹かれる。牧場主に見込まれたジョンだが、アレハンドラとの恋は 彼女の伯母から禁止される。
  だが二人の愛は燃え上がり幸せな日々が続くと思われたある日、ジョンとアレハンドラを引き裂く事態に直面する事になる。警察に捕われ、ジミーの 死、刑務所での過酷な生活、アレハンドラとの別れと目まぐるしく状況が変わっていく。
  最後の彼の選択は、自分達の馬を取り戻して故郷に帰る事だった。しかし、そこには過酷な現実が待ち構えているのであった。ジョンの運命は、旅の 果てに何が待っているのだろうか?。
  アメリカのベストセラー小説の映画化というより、ペネロペ・クルスとマット・デイモンが出演している映画として興味があった。タイトルからして、 「すべての美しい馬」という良さそうな響きがあるし、恋愛映画と思っていた。
  友人とメキシコを目指す途中で、ジミーという馬に乗った少年と出会う。この少年が雷雨で自分の馬と銃を失って、牧場で見つけた自分の馬を取り戻す エピソードは、無茶するなあ位にしか考えていなかった。
  少年と別れて目指す大牧場に到着、ようやく働ける事になる。そこでペネロペ・クルス演じるアレハンドラが登場する訳だけど、颯爽と馬に乗って いる姿で登場する。やっぱり第一印象が素敵なのであった。
  4日間で16頭の馬を調教する仕事が与えられる。ハードな仕事であり暴れ馬から投げ出される事もしばしばだが、周りの人々が暖かく応援してくれる 。この作品中、一番ほのぼのとして充実していた様に思える。ロデオの様に躍動する馬と人が印象深い。
  ジョンは厩舎で寝泊りする様になり、そこでアレハンドラと次第に親しくなっていく。悪い噂が立つ事を恐れて伯母は付き合いを止める様に説得するが、 ジョンにとっては納得出来ない事だった。しょうがないなあ、若いし相手がアレハンドラだから。
  ここから物語が急展開してしまう。ジミーの1件で馬泥棒の嫌疑をかけられ、留置所に入れられる。ジミーの事を無視出来ず取引出来なかった為、 刑務所に送られるが、その途中でジミーは殺されてしまう。
  ジミーも自分の銃を取り戻す為に、殺人を犯していたから自業自得である。普通ならジミーを見捨てても非難されないと思うのだが。ジョン達は それが出来なかった。
  ジミーの顔のアップと銃声2発が鮮烈過ぎて、忘れられない。舞台を刑務所に移して、死の危険が迫る。ここだけでも別の作品に感じられる様な エピソードである。食事中に周りの人が壁際に立って、静まり返る。緊張感が高まる。
  そこで生死を賭けた闘いが始まる。ジョンの反撃が凄まじい、死んでいても不思議でない。運良くジョンとレイシーは解放されるが、ある人の助力に よるものだった。
  アレハンドラとの再会。あれだけ苦労して死の淵から生還してきたから、恐い物無しでアレハンドラを強引に連れ去るかと思ってしまった。でも列車に 乗るアレハンドラを見送るしか出来ない。悲しい別れだ。
  今度こそ本当にブチ切れた感じで、ジミーを殺した警官を連れて自分とレイシーとジミーの馬を奪いに出掛ける。銃撃戦になって太腿を撃たれながら、 逃走するジョン。西部劇的エッセンスで、ドキドキしてしまった。
  この後に、親切が重要な意味を持ってくる。親切は相手の為だけでなく、周り回って自分の為になるのだった。ようやくアメリカに戻ってやれやれと 思ったのだが、物語はすんなりと終わらない。
  不審な馬を連れていた為、裁判で自分の無実を証明する必要になる。無実を勝ち取って、判事の家を訪ねる。自分の事を素直に話すジョンに判事が 君は悪くないと言ってくれる。何だか救われた気になる。
  最後に馬を連れてレイシーの元を訪ねる。シンプルな程のラスト・シーン。人の運命の儚さ、あの時ジミーと会っていなかったら、あの時雷雨に遭って いなかったら。この先、ジョンはどういう人生を歩むのだろうか?。





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