「ファウストフェスティバル2003」に行ってみた

 先日、Rana’s HOME PAGEのRanaさんから突如メールを頂戴した。何と文芸誌『ファウスト』創刊記念イベント「ファウストフェスティバル2003」の招待状が当たったのだが、自分では行けないのでよかったらお譲りします、との事。開催日は9月20日。メールが来ていることに気付いたのが18日深夜。ギリギリだったが急遽返事を出し、Ranaさんに無理矢理招待状を送ってもらった。Ranaさん、すいません・・・
 そんなわけで、台風の中行ってきました。記憶のみに基づくので間違いも色々あるかもしれませんが、ご容赦ください。

オープニング

 
まず太田編集長からの挨拶。そしてメッセンジャー・佐藤友哉が舞城王太郎と西尾維新からの祝電を配達。舞城からの電報は、例によって「ファッキンユアマザー」という言葉を交えた妙な英語。西尾維新からは至ってまともな祝電。と思ったら、「魔法少女りすか」の宣伝あり。ジ●リによるTVアニメ化をもくろんでいるらしいので、関係者の方、いかがでしょうか(何が)。

第一部 「大説とゲームの向こう側!?」
清涼院流水&飯野賢二トークライブ(司会:太田克史)


 ご存知の方にはお察しがつくだろうが、とりあえず絵ヅラ的に濃ゆい第一部。清涼院は言うまでも無く、メフィスト賞受賞作家。例によって大説をぶちまけるかと思ったが、案外普通(ファンの皆様すいません)。飯野は『Dの食卓』等のゲーム作者として有名だが、今回初小説が『ファウスト』に掲載された。今までの飯野のイメージとはかなり違う作風なのでちょっと驚いたのだが、あれは「挨拶みたいなもの」だそうだ。自作はもうちょっと本来の作風に近いとのこと。実は4年前に180枚ほど小説を書きかけたことがあったのだが、そのまま放置しっぱなしだとか。
 話す内容は決まっていなかったとかで、まったりとしたムードの中話が進む、というか、進まないというか。太田編集長は予想外に緊張しているらしく、司会進行は滞りがち。他の人より遅れて会場入りした飯野に切れそうになっていたとか。「ファウスト」的企画をやりたいという構想は3,4年前からあったとのこと。文芸誌界の現状についてちょっと話があり、「ファウスト」についてはとにかく「採算の取れる文芸誌を作りたい」という気持ちがあったそうだ。
 ネタが無い状況を盛りあげようと、飯野と清涼院が「太田=舞城」説を展開。「自分で自分の電報読んじゃったりしてねぇ」「あっ、舞城さん!」などと飛ばしていた。ファウスト執筆陣も舞城には会ったことがないそうで(太田も年に2,3回しか会わないとか)、皆興味津々らしい。飯野の知人は、ファウスト発売後に「(飯野の)小説は面白かった。所で何とかして舞城に会えないか」というFAXを送ってきたそうだ。その他には、清涼院の小説の作り方はむしろゲームシナリオ製作的とか、小説を書くのとゲームを作るのとは全然感覚が違う(飯野談)とかという話題が。そうこうするうちオチがないまま第一部終了。

第二部「本物のDTPをめざして」
紺野慎一(インタビュアー:太田克史)


 20分間の休憩を挟んで第二部。「ファウスト」の段組、フォント等を手がけた凸版印刷の紺野氏へのインタビュー。正直、紙面を読むだけの側としてはDTPだろうが何だろうが、読みやすくてかっこよければ問題ないわけで、出版や印刷業界の関係者の方が興味がある話だったのでは。さすがプロ同士、話はさくさくと進み、そつなく終了。

第三部「激変する文芸」
東浩紀&佐藤友哉&滝本竜彦トークライブ(司会:太田克史)


 そして最も危うい感が漂っていた第三部。東は妙にテンションが高いが、いつもあんななのか。主に太田と東のやりとりで対談が進む。たまに佐藤や滝本に話をふってみるが要領を得ない。いやそれ以前に何でこういう場が最も苦手そうな人達が壇上にいるのか。ファンサービスとはいえ人選ミスではないのか。滝本はじっとうつむきっぱなし。佐藤(何とスーツ姿)は落ち着かなさそうにペットボトルと格闘したり、ミネラルウォーターをグラスに注いでみたりしていた。佐藤がスーツ姿にもかかわらず靴下が白なのが気になってしょうがない。就職活動始めたばかりの大学生かよ。白はやめろ白は。もうものすごく注意してあげたかった。どうやら苛められキャラが定着したらしく、色々といじられている。「鏡姉妹の飛ぶ教室」はそろそろ作者急病になりそうだとか。勘弁してくれ。
 テーマ無視で話は(太田と東の間で)盛り上がる。太田は乙一獲得に燃えているらしいが、周囲からはダメ出しが。何でも、太田、乙、佐藤、西尾で飲みに行った時、かなり酔った太田は佐藤に延々と説教をし、乙を大変ひかせていたらしい。後日、太田は西尾からメールで注意されたらしい。もう大人なんだからそういうのはやめようよ。
 それはともかく、東の「『ファウスト』の作家陣が「分かりやすすぎる(身内で固めている、同系統すぎる)」という感想は、1,2年前ならなかったはず。それだけ状況の変化が早かったとういうこと」「ゲームやネットが、漫画・アニメに替わって小説を支えるようになってきている」という指摘は面白かった。ネットの普及によって文体や小説の形態が変わってきているのではとのこと。「ファウスト」執筆者の滝本もネット関連の文学賞出身の作家だ。話を振られた滝本は「他の賞では一次選考も通らなかった」と苦笑。佐藤も「(メフィスト賞以外では)一次以前の問題・・・」だったそうだ。やはり急速に文芸界の状況は変わってきているのだろうなぁ。今回立ち上げられた「ファウスト賞」の応募資格者を’80年代生まれとしたのも、舞城や西尾の小説を読んで小説を書くようになった人達が、どういうものを作ってくるかを見たかったから(あとは人数制限)だそうだ。もっとも東によれば「(’80年代生まれ以外も)ウソついて送ればいいんだよ。送らなきゃダメだよ」。そして「俺も送ろうかな、17歳女子として。そしたら太田さんが「東さんすごいですよこの作品!しかも17歳女子高生で僕と同郷なんです!」って」。
 そしてやっつけ仕事的に対談終了。太田によれば「滝本さんと佐藤さんは、舞台裏では文学について真面目に語り合っていて感心感心と思っていたのに」、二人とも全然ダメダメでした。面白いことを言おうと熟考していたらしいが。

 その後、質疑応答を経てイベントは終了。出演者の皆様、お疲れ様でした〜。「ファウスト」的には新世代の作家に期待しているのだろうが、イベント終了後に感じたのは「人間、歳の功ってあるよな・・・」。やっぱり20代(まあ、性格的な事情も多々あるだろうけど・・・)と30代じゃ経験値が違うよ・・・。喋るのが本業でない20代青年をいきなり壇上にあげても、そりゃ喋れないよな・・・
 来場客の半数近くが80年代生まれだったというのにはちょっと凹む。サイト管理者が結構多かったり、その中でも「はてな」利用者が相当多いんじゃないかというあたり、客も結構偏っているような気が(笑)。ファウストメルマガを取ってなかったのは、多分私ぐらいでは。ちなみに、開場待ち時間中、私の後ろに並んでいたグループが、ネット、更に言うならメフィスト関係で超有名なサイト管理者さんのグループだったらしく、知っているHNがぼろぼろと。妙に緊張しました(笑)。

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