くら的2002年ベストもの。
本については、今年読んだものとして既刊新刊問わず。
映画は今年公開されたもの。
CDは今年発売されたもの。
ではどうぞ。’02ベスト10読書編
<オールジャンル編>
@『彼女(たち)について私の知っている2,3の事柄』 金井美恵子
A『私たちが孤児だった頃』カズオ・イシグロ 入江真佐子訳
B『私たちがやったこと』レベッカ・ブラウン 柴田元幸訳
C『暗闇の中で子供』舞城王太郎
D『水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪』佐藤友哉
E『独特老人』後藤繁雄
F『郵便的不安たち♯』東浩紀
G『オルファクトグラム』井上夢人
H『葉書でドナルド・エヴァンズに』平出隆
I『今日も映画日和』和田誠 川本三郎 瀬戸川猛資@は辛辣さがたまらなくツボ。ABの私たちシリーズ(笑)はどちらもハイレベル。訳も良い。ミステリCD、批評集Fはおそらく同系列。極めて個人的に近年最高レベルのヒット。EHは内容だけでなく装丁も素敵。Gはエンターテイメントとして明らかに上手い。Iは映画への愛ゆえに。
そしてもう1パターン。
<ミステリ・ハードボイルド編>
@『火蛾』古泉迦十
A『オルファクトグラム』井上夢人
B『クビシメロマンチスト 人間失格零崎人識』西尾維新
C『水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪』佐藤友哉
D『世界は密室でできている』舞城王太郎
E『シルクロードの鬼神』エリオット・パティスン 三川基好訳
F『雨に祈りを』デニス・レヘイン 鎌田三平訳
G『青い虚空』ジェフリー・ディーバ 土屋晃訳
H『それでも警官は微笑う』日恩恵
I『ウィニング・ラン』ハーラン・コーベン 中津悠訳こちらは割と新刊が多い。@はその本格に対する志に。Aはオールジャンルでも書いたがとにかく上手く、ワンアイデアに終わっていないので。Bはキャラ使いのあざとさに。Dは『ライ麦畑でつかまえて』へのオマージュだがCはアンチテーゼ。Eは舞台がチベット、探偵が僧侶という珍しいミステリー。FGは今油がのっている作家の新刊。Hは今後が楽しみな新人作家のデビュー作。Iは私のお気に入りであるマイロン・ボライターシリーズの最新刊。
’02ベスト映画編
洋画5本邦画5本の計10本。<洋画編>
@息子の部屋
Aまぼろし
Bバーバー
Cマルホランド・ドライブ
D歌え!フィッシャーマン
@は地味ながらも家族を突如失った喪失感を描いた名作。Aはテーマは@と同じながらも、更にディープ。Bは私の愛するコーエン兄弟の新作。奇妙なハードボイルドさが。Cはデビッド・リンチの本領発揮というべき甘美な悪夢の世界。Dはノルウェーの男声合唱団を追ったドキュメンタリー。「人生はブラボー」というコピー通り、素敵なおじ様&お爺様方だった。<邦画編>
@ハッシュ!
A青い春
Bピンポン
C殺し屋1
DUNLoved
@は人生って悪くないとおもわせてくれた傑作。Aは松本大洋のマンガが原作。疾走感が溢れる。Bも原作松本大洋。ペコが!そしてスマイルが!そういえばCもマンガが原作だった。昨年一番エグかった三池監督の快作。Dはそれは愛なのかと考え込まされた1本。
そして番外編。
<あんたが大賞>
少林サッカー
もう他の映画とは比べられない位のすごさ(笑)。素晴らしい!勢いは昨年最強だったと思う。
★’02ベスト音楽編
洋楽CD5枚、邦楽CD5枚(全てアルバム)を。<洋楽編>
@UDERWORLD「A Handred Days Off」
3人から2人になったUNDERWORLD。でも心配無用!そのセンスとクオリティは健在だった。 今までの躍らせるテクノとはちょっと違い、リラックスできる、とにかく気持ち良い1枚。世界がわーっと広がるような、開放感でイメージが膨らむ。ビデオクリップも爽快感があったなぁ。ライブに行けなかったのが悔やまれる。ライブで聴いてたら踊りまくっていただろう。
ATHE FLAMING LIPS「YOSIMI BATTLES THE PINK ROBOTS」
輸入版を購入したのだが、CDジャケやらレーベル面やらに、「君は一番美しい顔をしている」「君のしっている人は皆、いつか死ぬ」と何故か日本語で書いてあり、何だか妙な雰囲気。YOSHIMIとは、ソウルフラワーユニオンという日本のバンドのメンバーの女性の名だそうな。物語性のあるアルバムだそうで、通して聞くと、確かに映画を見ているような流れを感じる。美しさと荒々しさを兼ね備えていて、こんなに良いバンドだったか!と再認識。
BAimee Mann「Lost in Space」
私が今一番好きな、海外の女性シンガーソングライター。シニカルでありながら優しいアルバム。人生の悲哀みたいなものが漂っていますなぁ(笑)。私が持っているのは輸入版だが、紙ジャケが絵本ぽくなっていて可愛い。歌詞カードとは別にマンガがついているんだけど、これがまた良い感じにわびしい。郊外のベッドタウン居住の中流層の悲哀、みたいな感じ。
CCOLDPLAY「A RUSH OF BLOOD TO THE HEAD」
このバンドについては、UKバンドをつまらなくしたという批判もあるが、私は好きだ。確かに斬新さやとんがった部分には欠けるかもしれないが、とにかくメロディが美しいので、それだけでいい気がする。幅広い層が楽しめそうな1枚。ジャケもファーストアルバムより良くなった。クール。
DRichard Ashcroft「Human Conditions」
元Verbのボーカリストの2作目。1作目は陰鬱さに満ちていたが、今回は一気に開放的に。1作目ほどのインパクトはないが、甘いラブソングなんぞがあったりして、Ashcrohtのプライベートは幸せなのかもしれない(最近結婚したらしいし)。ストリングスを多様しており、アレンジが良い感じだった。ちなみに私、この人の顔がすきなんですが(笑)。
<邦楽編>
@くるり「THE WORLD IS MINE」
〜知らん間にこの世界すら君のものじゃなくなってた そんな顔しなさんな 旅はこれから〜(アマデウス)
’02年ぶっちぎりの1位。くるりの最高傑作。先行シングル「WORLD’S END SUPERNOVA」で相当やられていたのだが、アルバムで更にやられてしまった。この人たち、アルバムごとに良くなっていて、順を追って聞くととても面白い。今作では歌詞の言葉遊び的側面が強くなっていて、曲から歌詞の意味をなるべく落とそうとしているような様子だった。音的にもかなり実験的だと思う。変化を恐れない彼らに幸あれ。
Aスピッツ「三日月ロック」
〜あきらめないで それは未来へ かすかに残るけもの道〜(けもの道)
正に快心作。スピッツの良さが最大限に生かされたアルバムだと思う。草野マサムネのセンスにはまったく驚かされる。バンド歴としてはベテランの域なのに、何でこんなに初々しい曲が書けるんだ!メロディはもちろん、歌詞も鋭いなぁということを今回改めて感じた。そういえばこの人、ラブソングでも直接的に「愛している」という詞はあまり書かず、「匂いそうなI LOVE YOU」(遥か)程度に押さえる。こういう所が好きだ。捨て曲なしの名盤。
BSUPERCAR「HIGVISON」
〜胸に愛のライト 敵はいない 敵はいない〜(NIJIIRO DARKNESS)
先行シングル「YUMEGIWA LAST BOY」は、映画「ピンポン」の主題歌だった。すっかりテクノ方面に行ってしまったSUPERCAR。テクノ好きとしては大歓迎だが。曲も歌詞も、とてもピースフルだ。光に包まれるようなキラキラ感がある幸せな1枚。(ただ、ライブの出来はあんまり良くなかったんだよな・・・一部の客はすごいのっていたけど、取り残されてしまった)
C「HAPPY END PARADE 〜tribute to はっぴいえんど〜」
〜さよならアメリカ さよならニッポン〜(さよならアメリカさよならニッポン)
タイトルのまんま、日本語ロックの草分けバンド「はっぴいえんど」のトリビュートアルバム。なんと2枚組み。元ピチカード・ファイブの小西康陽や曽我部恵一、スピッツやくるり、はたまた山下久美子や、はっぴいえんどのメンバーであった細野晴臣まで、老若男女のミュージシャンが参加していて超豪華。元曲はもちろん良いが、はっぴいえんどへの愛が感じられる、良いトリビュートだったと思う。個人的にはBLACK EYE’S RIVERの「無風状態」と永積タカシの「春らんまん」にしびれた。
Dsyrup16g「coup d’Etat」
〜ねえ そんな普通を みんな耐えてるんだ〜(ハピネス)
シロップ16g、「クーデター」と読む。’02年にメジャーデビューを果たしたバンド。青くて痛い(悪い意味ではなく)歌詞を書く若手バンドは数あれど、このバンドには更に突き抜けた鬱屈さと痛々しさがある。人生に対して諦観しているが、どこかで助けてくれと叫んでいるような切迫した感じが全編に満ちている。最近の若手バンドの中では一番良かった気が。お勧め曲は「愛されたいなんて言う名の幻想を消去して」という何ともやさぐれた歌詞で始まる「My Love’s Sold」と、シングルカットされた「天才」。