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プロローグ
11月の小雨降る最終土曜日の午後4時10分、私は、40リッターのノースフェイスのバックパックを右肩にかけ折尾駅東口に降り立った。なぜか、・・・気持ちは、すこぶる昂揚している。10年来の友人に会うかのような錯覚さえ感じる。この瞬間をどれほど待った事だろう。駅前のロータリーを見ると私を迎えに来てくれた、シルバーグレーの車が私を見つけてこちらの方へゆっくりと滑り出し私の前に停まった。ドアが開く・・・「久しぶり〜♪」この瞬間から、思い出に残る2日間がはじまった。
第一章<出会い>
それは、BBSの書き込みが原因だった。「映画を観ながら鍋でもしたいネ♪」。私は、一度クモ亭を訪れているので、あの大きな画面と音響で映画を観たら楽しいだろうな〜と言う単純な動機だった。「じゃ〜やろう」と言ってくれたクモさん。映画で結構マニアックな話しをしていたので2〜3人でも集まればいいやと思っていたのに、ふたを開けてみると9名の参加。私は、野暮用で午後の列車で来たのですが、ケンパクさんとめんそ〜れさんは、早く着いて、ケパサ隊長の指揮のもと北九州ラーメンを堪能。私とは、クモ亭で合流。めりさ君も既に到着している様子。そうとう電波を出しまくっているとか、・・・興味津々である。しばらくするとブースカさんとガリちゃんが到着。tomokiさんは遅れて参加の電話があり。しかし、この参加者をゆっくり見回すと・・・まだ知り逢ってから長くて半年、短い人は、逢のもまだ2回目。それなのに、ずっと以前からの知り合い。・・・・というより友人達のような感じがするのは、私だけなのか?!クモ亭の台所でワイワイ言いながら鍋の準備を手伝っている、いい大人達が子供のようにはしゃいでいる。何がここまで私達の心の琴線に響いたのか?・・・ま〜難しい事は考えまい。とにかく、この出会いに感謝しよう。この場所を提供してくれたクモさんに感謝しよう。また、この出会いのタネを撒いてくれた、あまちゃんに感謝しよう。そして、悔いを残さないように楽しもう。
第二章<準備>
tomokiさんを除く全員が集まって準備に取り掛かる。大きい土鍋とそれよりやや小さい鍋には、既に羅臼産の分厚い昆布が浸かっているもう直ぐ沸騰しそうだ!。野菜を切るクモさん。豆腐を切るケンパクさん。食器類を運ぶめんそ〜れさん。それを並べるめりさ君、ウロウロしているブースカさん。ゴジラのフィギアにくぎ付けのガリさん&麺喰。総指揮をとっているケパサ隊長。それぞれが、それぞれに動きながら準備は進む。そうこうしていると鍋が沸騰した。蓋をとり、昆布を取り出す。うあ〜っと喚声が上がる。見事な分厚い昆布。鍋から漂う、昆布出汁のいい香り。思わず口の中に唾液がたまり、お腹がキュ〜っと鳴る。切った具材を鍋にぶち込む。そこで、「えっ」っと考えた。ぶつ切りした辛子明太子をそのまま鍋に入れるクモさん。後は、牛肉と豆腐を入れるだけ・・・・ん〜それだけ???大丈夫だろうかと不安感が心を横切る。まっクモさんが作るのだから、間違いないだろうと自分を納得させる。他の鍋には、河豚アラとかなと河豚の切り身、と白菜、椎茸、春菊が入れられる。テーブルの上には、フグ刺しが並ぶ。ヤク味、レンゲ、取皿、箸等が、今か今かと出番を待っている。部屋の中にはいい匂いが漂いはじめてきた。良く冷えた缶ビールが皆に配られる。さあ〜いよいよ乾杯だ。
第三章<宴その一・乾杯>
カセットコンロでいい匂いを放つ、明太子鍋の土鍋が一つとグツグツと食べごろの合図のように湯気を昇らせる河豚チリ鍋が2つ。食器類が大型のテーブルに並んだ。さっそく、冷えた缶ビールが各々配られる。いよいよ待ちに待った乾杯だ。私が上蓋のプルトップに指を掛け引っ張っていると、前後左右から勢い良くブシュッ!ブシュッ!っと言う心地よい音が響いてきた。その後にシュワーっとコップに注ぐ音が続く、待ちきれない者は、そのまま缶ビールを片手に顔の高さまで持ち上げ乾杯のコールを待つ。その間僅か、数秒なのだけれど、数十秒いや、数分間にも感じられる。ロケット打ち上げの秒読みを待つ、宇宙飛行士もこんな緊張感なのだろうか・・・・・?今日の主催者クモさんが満を持して、『乾杯!!』のカンと言いかけたところで、皆一斉に『乾杯!!!』の大合唱が、・・・・まるで年末によく聞くどこかのホールで歌われる第九の合唱より力強く部屋中に響き渡る。隣同士、前後同士でコップが鳴る。久しぶりの再会に皆の顔が綻ぶ。遠距離恋愛の恋人に逢ったように皆の笑顔が踊る。ゴクゴクとビールを喉に直接流し込む音が鳴る。さぁ〜いよいよこの宴のスタートだ。
第三章<宴その二・鍋>
皆の目の前で大きい土鍋とそれよりやや小さ目の土鍋二つから、昆布出汁のきいたいい香りの湯気がグツグツと言う音とともに部屋に充満している。皆の熱気と3台のカセットコンロのせいで部屋は暑いくらいなので、窓を少し開けた。・・・・それぞれが、それそれの思いを語り始めている。私は先ず、やや小さめの土鍋に薄い桃色が珍しい『明太子鍋』を食することにした。具は、明太子、牛肉、豆腐。仕上げに刻みネギをたっぷり振りかけただけのシンプルさ。・・・・レンゲで1〜2回具をすくって器に移す。明太子の匂いと牛肉の匂いが微妙に交差する。明太子が袋から盛上り薄いピンク色した粒状の卵がこぼれそうにしている。お箸で摘み口に放り込む。・・・・・「旨い!!」磯の香りというかなんというか、舌の上に、ほのかなに残る昆布の味と食べなれた明太子の味、牛肉の旨みが微妙なハーモニーを奏でる。もしも私に、羽が生えていたら恐らくフワット飛び上がり30秒ほどホバリングしていたかもしれない。
これは、意外な発見だった。私もオリジナルの鍋料理を2〜3つは持っているが、これは、今までに想像もしなかった取り合わせ。異次元の味。作り方は至ってシンプルだそうで・・・・・。
ここで、レシピを紹介。
1.土鍋(鍋ならなんでもOK)に水をはり、昆布を入れ。ひと煮立ちしたら、火を止め昆布を取り出す。
2.(辛し)明太子を適当な大きさに切って入れる。分量は一人50g見当。
3.豆腐と牛肉をを適当な大きさに切っていれる。牛肉の量は、一人30〜50g見当・豆腐の量は適当。
4.野菜が好きな方は、野菜等を入れる。煮立ったらOK
もう一つの鍋は、同じように羅臼産の昆布で出汁をとったスープに、フグのアラとかなと河豚の切り身、椎茸、白菜、春菊を入れた、これもまた、シンプルな鍋。普通は、河豚鍋があると他のものには、目もくれず、ひたすら、河豚を食べるのに、今回は違う・・・・皆「明太子鍋」に群がっているところが、面白い。「明太子鍋」がとうとう2回目を作ることになった。その間にやっと「河豚鍋」に皆が手を出した。やはりこれも美味しい。柔らかい白身が骨からさっと剥がれ、口の中でスープと共に踊る。熱い湯気を半開きにした口から吐き出しながら、喉を通す。熱いものが通り過ぎていったら次は、冷たいものが欲しくなるのは当たり前で、まだ、河豚の白身を飲み込んだばかりの熱い口の中へ今度は、冷たいビールをダイレクトに喉に流し込む。・・・・・苦いホップの味を感じる前に冷えた液体の感触が心地よい。喉を鳴らして第一陣のビールを喉のもうひとつ奥に送り込んでやる。やっとホップの苦さを感じることができる。この間僅かコンマ何秒〜1秒程の世界だが、スローモーションのように、ゆっくりと、そしてより鮮明な輪郭を保ちながら時間が過ぎてゆく。
第四章<酒>
参加者に、ひと通り酒も食べ物も行き渡り、色々な話しが交差して空中を飛ぶ。酒は、ビールから焼酎&日本酒に変わっている。ちょうどこの頃に、酒博士tomokiさん登場!!焼酎は、幻と言われている芋焼酎の『魔王』。日本酒は、山口産の純米大吟醸『獺祭(だっさい)』の磨き三割九分の一升瓶。同じ『獺祭(だっさい)』の磨き二割三分の五合瓶。米が殆ど仁丹状態まで磨きをかけた大吟醸。最初に三割・・・を呑む。凄い口当たり。フルーティな香りが鼻腔をくすぐる。しばらくして今度 は、二割・・・の『獺祭(だっさい)』を呑むんでみる。ん〜この口当たりはなんだぁ!!さっきの三割・・・が、普通の吟醸酒に思えるほどの、味・香り・芳醇な口当たり。皆、声にならない声をあげている。ここまで衝撃的な純米大吟醸を呑んだのは初めてだ。恐らく、私だけではないはずだ。皆の顔が段々と緩む。tomokiさんやクモさんが、このお酒の話しをしているのに、殆ど聞いていないだろう。私を含め、酒の薀蓄より呑むほうが早いと思っている連中だ。次に、にごり酒の『西の関』が・・・もう酒の試飲会かと思わせるような雰囲気。あちら、こちらから「旨い!」と声があがっている。隣を見るとブースカさんは、一人でよく呑んでいる。「麺喰さん呑んでる?」って 酒の瓶を持ち上げたから、注いでくれるのかな?と思い。コップを出すと。なんと自分に注いでしまった。ブースカさんもう既に出来上がっている。まだ乾杯から1時間しかたっていないのに。である。で席順は、私を中心として、右回りで、ブースカさん→tomokiさん→めんそ〜れさん→ケパサさん→ケンパクさん→めりさ君→ガリちゃん。今年の6月に福岡の『座魚』で佐賀組・久留米組・福岡組・北九州組の合同オフ会に参加してからまだ役半年。面白い事に同じ北九州組でもクモさんやケパサさんもその時に初めて会ったようだ。当然佐賀組も北九州組とは、初対面。福岡組のへのさんと久留米組のコイタさんには、前月。5月の佐賀での「麺馬鹿一代サミット」でお会いしていた。いったいどんな麺馬鹿達と知り合えるのか、98%の期待感と2%の不安感を持ちながらの出会いだったが、よもやこんなに楽しめる人達だったとは、今まで知り合えなかった時間がもったいない等と考える。なんとケンパクさんやガリちゃんとは数回(2〜3回)程度しか逢っていないのだが、これもまた不思議。いつも会っているような感覚に陥ってしまう。ようするにここには、時間と距離を超越した人間関係が成り立っているようだ。デジタル化した世の中といっているようだが、所詮は人間が創り出したモノ。人間の心までは、デジタル化できない。佐賀・福岡・北九州と普段の生活は離れているけど、いざ!オフ会では、旧知の仲と化する。この愛しい麺馬鹿達に改めて乾杯!
第五章<この男爆笑につき>>
時間も22時頃になった、ケンパクさんの帰りの列車の最終便が出てしまうということで、tomokiさんが送って行く事になった。帰る準備を整え。別れを惜しむ・・・が、ケンパクさんは明日、家族サービスが控えている。今日も仕事と言って、北九州まで来たらしい。バレなければいいが・・・・。と何故か自分の事のように心配する。(後日、ヨメの罠に簡単にひっかかり、バレたようだ。)・・・外に出てお見送りをする私とクモさんとガリちゃん。ここで確認しておくと居残り組は、私、クモさん、めんそ〜れさん、ケパサさん、ブースカさん、ガリちゃんの6人だ。めりさ君は、徒歩でよろよろと「お世話になりました〜」って言い残して帰って行った。めんそ〜れさんとブースカさんは、部屋に残っていた。・・・tomokiさんの車にケンパクさんを乗せて出発しようと、県道を7〜8mほど走ったところで、突然私達の後ろから、部屋に居るはずのブースカさんがディバックを担いで、「待ってくれ〜!!」と唐突に現れ、車を追いかけ出したではないか。もちろんブースカさんは、まだ帰る時間ではなかったし、帰るとも言っていなかったのに、である。それも車が走り出した刹那である。それをガリちゃんが「貴方はまだでしょ〜!!」と言いながら追いかける。ブースカさんに必死でしがみ付く。・・・・ガリちゃんコケる。しかし、ブースカさんは、ガリちゃんを引きずるように。走る車を追いかけようとする。その光景に皆大爆笑。tomokiさん思わず車を停めるが、皆の笑いながらの「言っていいよ。」コールで首を傾げ、笑いながら再度走り出す。まさに師弟関係がなせる禁断の技だ。車が出るまで後ろで様子を伺っていたブースカさん。それを確認して「追いかけなければいけない」と思うガリちゃん。絶妙のタイミングで飛び出すブースカさん。それに負けじとコケながらも引きずられるガリちゃん。この男達、面白すぎる。
証言者談
「皆がお見送りをしていたが、寒かったのでそのまま部屋にブースカさんと二人でいました。皆の別れの挨拶をしている声が聞こえてきました。するとブースカさんがスッと立ち上り、何かに取り憑かれたようにディバックとコートを持って部屋を飛び出して行ったのでビックリしました。」
めんそ〜れ
やはり計画的実行犯である・・・・・・。
エピローグ
室内に、戻った6人は先ほどの喧騒にまだ笑いが止まらずにいた。ガリちゃんは、指から血を流していた。「そこまで、して私たちを笑わかそうとしていたんだ。身体をはった、ギャグだったんだ。」と皆が感心している。恐らく、何回も打ち合わせをして、リハをやり、今日この日に備えていた二人に拍手を贈りたい。
そうこうしていると、とうとう、ブースカさんも、訳のわからない文句を言いながらケパサさんと共に帰路についた。静まり返る室内。やっと本来の目的である映画鑑賞ができる。私が持参した「ブルース・ブラザース」をいくつかあるデッキにセットする。・・・・・ダッダッダーン♪とテーマソングが流れる。・・・スクリーン式のVEGAに見慣れた最初のシーン。刑務所の空撮が左から右に流れる。私は横になりながら鑑賞。残りの3人はソファーに座っての鑑賞。時計は午前4時をまわっていた。始まってから、40分が過ぎたころモーレツな睡魔が襲って来た。・・・・・・気が付いたら朝だった。何故か別の部屋でおまけに、布団に寝ていた。一瞬自分が何処にいるのかわからなかったが、ケパサさんの声でやっと意識がはっきりしてきた。幸い隣には誰もいなかったのが、救いだった。裸の女性ならまだいいが、裸の男性がいたらとんでもない事態に陥っていたに違いない。ガリちゃんとクモさんは、既に起きていて。例のソファーに座ってケパサさんと話しをしていたがめんそーれさんはまだ寝ていた。・・・・クモさんに話しを聞くと3人は、全部観たそうだ。私一人が寝てしまったようだった。・・・・・よってこれ以上は、残念ながら書けない。
とりあえず。クモシアターは、ここで終了。・・・・「なんと情けない終了なんだ!!!」と心で叫ぶが後の祭りである、そして・・・・一夜の祭りが終わった。 |