「ランからパスへ」−フラッグフットボール−  〜わしら同志会の体育実践〜    


1.はじめに
 昨年に続いて3年生を担任することになった。今年度は、研究部からフラッグフットボールでのグループ学習研究が進められていたので、今年の3年生でもフラッグフットボールを行うことにした。さいわい、同僚のM教諭は、体育科の専攻で、ホンモノ?のフラッグを調達できるということであったので、学校でもライスボールを購入してもらい、彼女が以前勤務していた学校から同じボールを借り受け、クラスの子どもたち二人に1このボールを用意することができた。
 授業については、前年度は、4対4のラン攻撃までで授業を終えたので、今年度の目標は、ぜひパス攻撃をいれてみようということになった。そして、できるだけ多くの授業をビデオで記録していこうということにした。
 学習計画は、支部研究部が提案していたものを参考に3対3のラン・パスを使った攻撃でのリーグ戦を最終目標にした。
 学習計画前半のラン攻撃(全14時間)の詳細は、M教諭の実践記録で参考にしていただくとして、この項では、学習後半のパスを入れた攻撃、そして、ラン・パスを使った攻撃の学習を述べたいと思う。


2.目標
・友だちと協力して作戦を立てたり、練習計画を立てることができる。
・作戦での自分の役割がわかり、できる。
・ボール操作などの技術を友だちと教え合うことができる。
 

3.授業の実際

(1)2−1の練習
 朝の会の時間に班長、コーチ会議。内容は、『自分たちで授業を作ろう』ということで、準備運動計画などを決めた。
<キャプテン・コーチ会議内容>
・準備体操の手順
・パスキャッチ練習 
・2−0の練習 
『レシーバー』という呼び名と、守り(守備側)は、QBのフラッグをとるのではなくて(3−3のラン攻撃では、QBのフラッグをねらった)、ボールをもっている人のフラッグをとること。パスだけを使う約束などを説明した。

○第1時
 みんなに、パス攻撃の内容を説明。
「パスを使ってタッチダウンにもっていく。」 練習にはいると、自然と守りの型が3つ出てきた。一つは、レシーバーにぴったりマークする型。一つはQBサック(後日、子どもたちには「QBアタック」と教えた)する型。もう一つは、QBとレシーバーの中間で守るという型である。ラン攻撃の時には、ガードとQBが正三角形状に位置していたため、今回もはじめは、その位置でスタートしていた。これでは、QBにアタックされた場合にすぐにフラッグをとられたりしてパスをうまく出せなかった。
 また、守備で、パスされたボールをはじいてもいいのかどうかで子どもは混乱していた。こちらの説明不足であった。
 それで、QBをずっと後ろまで下げることにした。スナップのイメージである。
そして、インターセプトで攻守を変えるということはせずに、パスされたボールをはじくか、キャッチすれば1回の攻撃が終わることとした。もちろん、キャッチミスも同様である。
◆今日、フラフトをやっていて、相手がうしろにいったから前にいってパスをうけとることができた。
◆レシーバーのときは、ボールをとれる人じゃないとだめだとわかった。
◆わかったことは、QBは必ずレシーバーにパスするから、守りの人は、レシーバーの近くにいること。
◆キャッチするときは両手をむねにむける。なげるときは手をうしろにひきすぎない。アドバイスのおかげでパスキャッチがうまくできた。      

○第2時
 パス攻撃は、けっこう広いコートが必要になるので、ラン攻撃の時のように体育館を4つに区切ってやっていたのでは、十分な練習ができない。それで、スタートラインをさげてQBを守りから遠くに離し、コートを縦長に広げた。また、タッチダウンパスはなくして、タッチダウンラインの手前でもらって走り込むというルールを確認した。
 グループノートのめあてのらんには、今回から教師側が「せめ」と「まもり」の練習目標を書くことにした。
今日の目標は、
せめ:レシーバーの動きに合わせてパスをする(投げる所を決める)
守り:レシーバーのマークの仕方を知る

子ども達には、『レシーバーは、パスをもらうためにどう動いてどこでパスをもらったらいいか。』『守りの人は、どうやって守ればいいか。』ということを班で考えようと説明した。
 各班では、第1時でも見られたが、カギ型に移動してパスを受けたり、守備の前にさっと出てパスを受けたりという攻撃が見られ、守りも、パスが渡った時点でフラッグをねらったと思われる作戦が見られた。その反面、どう動いていいかわからずにじっと立ってパスを待つレシーバーもいた。
◆レシーバーが立ってるとこよりちょっと遠くにとばせばいいと思う。
◆レシーバーが自分のうしろに行くと守りはQBを見るからうしろにいってぎゃくにいけばいいかも
◆QBの時、ねらいをさだめて投げてみると、とって走ってタッチダウンしてくれた。うれしかった。
◆今日は太田とパスキャッチの練習をした。20本受けた。そのとっくんのせいか?で、しあいの時に、キャッチしたら走っていった。タッチダウンしたと思ったけど、せっしょくプレイだった。きびしいなと思った。
◆QBがなげるのがおそかったらそれをとってもいい?もしとってよかったらこれを作せんにつかいたい。今日私の投げたやつを百済君がとってタッチダウンしてうれしかった。
◆パスをしてもらう時は、うしろにいきすぎなく、横にずれればいい。
◆相手をうしろに行ったときいきなり前へ行こうと思ったが、行かれたから回り込んだ。今日は、きのうやってみた作せんをしたけどしっぱいした。くやしかった。
◆さいしょ、相手がボールをなげてはじいていいことは、わかったけど、そのボールをキャッチしていいかわからなかったけど、めぐにおしえてもらった。

(2)3−2の練習
○第3時 教室
○第4時 体育館

 守備の作戦と攻撃の作戦を黒板で説明した。「約束」としておいた。また、必ず守りではQBサックすることを「約束」としておいた。

<攻撃の約束>
1.一人はレシーバー、一人はQBをガードする。
2.一人はレシーバー、もう一人はレシーバーを守るガード
3.二人ともレシーバー


<守りの約束>
1.両方ともQBサックにいく
2.一人がQBサック、一人はレシーバーをマーク。

 体育館での第4時では、はじめに子どもを配置につかせて説明をした。ガード、レシーバーの役割を決め、パスをもらう位置も作戦として決めるように指示した。そして、最初に守備の作戦を1番(二人ともQBサック)と決め、攻撃作戦1番を使って実際にやらせた。
 次に、守備の作戦を2番に決め、攻撃作戦は2で、「レシーバーとレシーバーをガードする」で行った。そのあと、チーム練習に入り、その後、集合して、分かったことを発表させた。その中で、「攻撃作戦の2がむつかしい。レシーバーにつくガードの位置が」そして、「QBが早く投げすぎるとだめだから、焦らずに」という意見も出された。次回はちがう作戦も試そうということで終わった。
◆作せん2は、レシーバーとまもりの間にガードが入り、レシーバーがとればガードは道を作り、タッチダウンさせる。
◆パスするときレシーバーのことも考えてパスする
◆今までで一番いい練習だった。みんなうまくなっていた。
◆わかったことは、レシーバーはQBの投げれる所でキャッチする。
◆QBにガードがくるときあせらずなげたらせいかくになげれた。

○第5時 
 第5時の始まる前に、朝の会の15分、教室で説明を行った。
 攻撃の約束3で、二人ともレシーバーの場合を黒板で説明した。このとき、守備は、二人ともレシーバーをマークすることとした。そして、今日の練習は、攻撃の3つの約束、守備の2つの約束をためすこと。そのとき、相手の守備や攻撃を予想して作戦を決めよう。一つの攻撃が終わったら、作戦がどうだったか検討しようというのを学習のめあてとした。

<子どもたちへの説明…ビデオから>
『自分とこの作戦は、実は相手がレシーバ二人で必ずくると思ったんやけどもじつはちがう かったと。たとえば、その時に、じゃあ二人ともQBねらえという作戦をとっていたときに、じつはですね、ガードが一人QBのところにおって、悠々とレシーバーにパスをきめ られちゃったという場合もあるわけです。こ れは作戦の失敗です。守りの。反対にいえば 攻撃の作戦が成功したということ。作戦で、 たてたやつが失敗するか成功するかを勉強し てください。偶然うまいこといってしもたと いうのは、あんまりよくない…。』

 実技指導しながら練習。とくにレシーバーがマークをはずしてパスをもらう方法を考えた。また、作戦を考える時間をだいたい30秒ぐらいと決めた。そして、1回の攻撃が終わるごとに、チームを集めて作戦のできを確認していった。
◆パスの方だったら2人レシーバーにいったら、守りの人がQBの方をねらってくるかくりつもあるから、気をつけないとだめだ。
◆今回は、レシーバーと守りがかさなった時は、守りが前に、レシーバーが後ろに。レシーバーがとりにくい場合、レシーバーが横にずれるということがわかった。
◆レシーバーの時、守る人の横にいけばQBがなげやすい。
◆わかったことは、守りのときどうせめてくるかよそうすることだ。


(3)ラン・パスの3−3練習
○第6時 
 いよいよランもパスも使って行う練習に入った。グループノートも少し変わる(攻撃ごとにランかパスかを記述する)ので、班長たちを集めて記入方法を指示した。また、とくにレシーバーが動いて(マークをはずして)パスをもらうことを確認した。
◆わかったのは、レシーバーが投げる位置にきたら、なげること!
◆今日はランの練習をした。動くかべでやるとすごくやりやすかった。チームの人ができるようになってよかった。

○第7時 保護者参観あり
 風邪でダウンの子が増え、合同で練習するチームを作った。

<K班 作戦会議 ビデオから>
ND 作戦は、だからパスする時に動くやつと
KZ 相手がランで攻めてきた時にちょっと考えとこ
ND 相手がランで攻めてきたときに
ND 3人やからさ まんなか向きに移動したらいいんとちがう、守りは。
KM うしろから回ってもいいんとちがう。はさみうちして、一人は。
ND ここに左、右、守りがいるとして、レシーバーの時はどうする?
KM 守るしかない
ND それか、はじくや。
KZ はじく、はじく
ND ゆい、たのむで、はじく。
NM はじいてな、はじいたやつとられたらど  うする?
ND ランでいったら。
IM  かべをつくる。

(作戦図を書いて検討)

 この日から審判を初めて入れた。スタートライン、1点ライン、タッチダウンラインである。(班の人数によってちがう)審判には、どこでフラッグがとられたかをしっかり見ることを指示した。ミニゲームを実施。
◆3たい3は、ランの方がやりやすい。パスは、相手が3人で、レシーバーが2人だからボールがとりにくい。そして、一人がQBを守りにいったら、レシーバーが一人になって、一人のレシーバーが3人の守りの人に守られるから、とるかくりつがない。たまたま、金澤君(マッチョ班)のボールが西本君にとられてタッチダウンされた。なぜかというと、レシーバーを守っていなかったからだ。
◆今日の1しあいめの2回せんで、わたしがQBでパスこうげきでタッチダウンできた。
◆今日はタッチダウンできなかったし、ボールをなげるときも動かなかった。はんせい。
◆ぼくがQBで西本君がレシーバーの時うまくパスができた。
◆百済君のフラッグをとろうとしたらとれなかった。あと少しだったのにくやしーい。

○第8時
<金澤班 作戦会議 ビデオから>
KM ランの方が多いの。ランの方が多い方が、前、2点とったもん
ND こっちではパスが多くて
NM パスの方がいいやん、成功したな
ND 前の練習では一人は二人をまもって、一人は道を作んねな。QBをじゃますんねな。
(間)
ND QBはもっと前に行っても
ND ここ、手ひろげんねんで
KM えー。ここやらんの
ND レシーバーこうやって手ひろげんね ここにいけへんから
ND  こういう二人、どの守り方する?これなしで
KZ 手をひろげて相手がこっち動いたらこうして、またこっち動いたら・・
KM この二人は?
KZ  相手がきたらとんねん
ND レシーバーがな、ここでもらうとしたら、ここに二人まもりがくるとするやん、こうやって動き回って・・


 この時間は、各班について、ガードの方法を指示してまわった。QBサックがすばやくくるので、QBはうしろに下がっておく。あまり遠いところでパスをもらわないようなことも考える。
 ゲームらしくなってくる。次回はフラフト大会
◆今日Y君が、右にいくと言ったから右に道を作ったら、いきなり左にいった。今日はレシーバーにしてもパスが来なくさいあくだった。
◆今日、Y君がQBの時ラン攻撃で、YとFがかべでぜんぜんついていけなかった。
◆今日も見学した。作せんがきまってもうまくいかないことがわかった。パスがうまくなった。
◆今日は練習のとき、初めてタッチダウンした。しあいでもOTがしたし、ラッキー
◆Wのフラッグとれそうだった。

○第9時(フラフト大会1日目)
○第10時(フラフト大会2日目)


 本来はここで終わっているはずだったのだが、もう少し広いコートで、陣地を前進させるゲームをやらせたいということから、2週間ほどあとにもう一度フラフトを行った。

○第11時(運動場で初めて行う)
 3回の攻撃でタッチダウンをねらうゲームに変更。ダウンしたところから始めるルール。

○第12時(運動場)
○第13時(運動場)


4.実践を終えて

 最初のラン攻撃のみの学習から数えて24時間(運動場3時間も加えると27時間)の長い単元となった。途中に校内公開授業研究会やフリー授業参観などを入れてなかなか密度の濃い実践となった。 今回の実践では、前年度に行ったランだけのゲームとちがい、パスを入れたことによって、投げる、受けるの技術が加わった。それにより、グループ練習の時の「教え合い」活動が前にもまして活発化(パスキャッチの技術が作戦成功のカギ)した。そして、その「教え合いの」活発化は、技術のさらなる伸びを促し、みんなの技術が上がることにより、作戦の成功率が高まり、それは、作戦会議での発言者の数を増やすことにつながっていった。(金澤班の作戦会議)。
 3年生では、パス攻撃はどうかと思っていたが、この実践で、やはりパスがあってこそという思いが強くなっている。ただ、3−3で終わるということに関しては、4−4,さらには5−5まで行っていないのでなんとも言えない。しかし、実践2回目ということでいえば、3−3のラン・パススタイルというのが、どの子にもわかりやすかったのではないかと思っている。
 学習していく中で、特にボール運動の苦手だった子が、家でドッジボールを買ってとせがんだり、ライスボールの模型?を作って宝物にしていたり、意欲的にゲームや練習に参加していたりする姿が見られた。そんな子の一人の作文を紹介して終わる。

最後のフラフト (M)
 
今日は、3年生最後のフラフトです。でも、AさんとW君が休みでざんねんだったけど、I君とE君といっしょにがんばった。でも、わたしはうまいことできなかった。ランはできた。パスはできなかった。今日の試合で全部パスだった。なぜパスかわからないけどやった。うまいことは、あまりできなかった。試合のと中に、E君とぶつかってちょっときずがあった。そういえば、前の体育の時、W君とぶつかってけがをしたことがある。W君とけがをしたのが左足。E君でけがをしたのが、右足。そういえばけがだらけだった。でも、いっしょうけんめいした。負けたけどがんばった。
 フラフトで気がついたことがある。わたしは、このフラフトでボールがすきになってた。はじめは、ボールがこわくてうけとめれないけど、いまは、とれないけどこわくなくなってきた。フラフトでボールがこわくもなくなっていた。ものすごくうれしいです。春休みになっても、フラフトじゃないけど、ボールで遊びたいです。そして、またフラフトをしていろんなことをおぼえたいと思います。ぜったいフラフトができる時がきたら、かならずしたいです。



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