有田和正先生 語録 パート1
 

 

 向山洋一氏,野口芳宏氏,そして有田和正氏は,おそらく不世出の3名人であろうと思う。

およそ,授業の名人は,片々の技術に多くの目が注がれがちであるが,

実のところ,その本質は,その人の生き方そのものにある気がしている。

いわば人生観であり,そこに,教師として同じ志を共有したい,同じ道を歩みたいと強く心惹かれてやまないのだ。
だからこそ,名人と称され,師とあおぐのである。

 

 ここでは,有田先生の有田先生たる代表的な語録を挙げてみたい。

 

(1)追究の鬼を育てる。

「教材開発」「授業のネタ」「はてな?」などの言葉を教育界でメジャーにしたのは,まぎれもなく有田先生である。

 有田先生の「はてな?帳」の実践は,よく知られているところである。

子供は好奇心の固まりである。

その好奇心を心地よく揺さぶり,育て,追究することの面白さを充分に体得させていくことで,子供は追究し続ける。

 それにしても,「鬼」を育てるのであるから,その指導力たるや並ではない。

 有田先生の優れた指導を持ってして,初めて子供は「追究の鬼」と化すのだ。
 

(2)授業は布石の連続である。

 「布石の連続」とは,毎日の一時間一時間の授業をきちんと行い,子供に着実に力を付けていくということである。

「布石」とは,囲碁から生まれた言葉であるが,

布石があると,腕は確実に上達していく。

授業もまた然り。

計画的・継続的にその時その時の基礎となるものをきちんと指導し,鍛えていくことが肝要なのである。

(3)スイカはおいしいところから食べる。授業もまた同じ。

 スイカを食べるとき,端から食べる人がいるだろうか。

 大抵,まん中からガブリと食べる。

 有田先生は,授業もまたそれと同じであると言う。

 おいしいところをドーンと与えるからこそ,子供は食いつき,熱中し,追究し続け,満足感を味わうのだ。

(4)材料七分に腕三分

 授業は,教材の質にあると言う。質が悪ければ,子供は全く食欲をそそられない。

 常に新鮮なネタを用意し,それを料理し,発問を工夫することで子供は熱中して学びの虜となるのだ。

(5)知識は眼鏡である。知識がなければ物は見えない。

昨今,基礎基本の重視が強く叫ばれているが,

有田先生は,ご自身が現場で教壇に立たれているときから,このことを実践の中で終始言い続けておられた。

 基礎的な知識がなければ,いつまでたっても「あれども見えず」のままなのである。

(6)一時間で一回も笑いのない授業をした教師は逮捕する。

 有田先生は,常にユーモアのセンスを磨くことを教師修行・人間修行のひとつとして実践されてきた。

 一番大事なユーモアは,「笑うこと」だと言い切っておられる。

 笑えると言うことは,面白いことを理解できる大事な能力なのだ。

 上記の言葉も,ユーモアを交えて我々教師へそのことを教えてくれている。

(7)努力は人に見せるものではない。

 一流と言われる人は,みなそうである。

 有田先生は,今でもこの姿勢を貫かれている。

 有田先生の魅力の中枢は,実はこの人生観にある。

(8)鉛筆の先から煙が出るスピードで書きなさい。

 あまりにも有名すぎるので,ノーコメント!


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