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恋するロンドン日記

7月11日

大好きなイギリスの先生を追いかけてくるはずだったロンドン。
なのに肝心の先生はニュージーランドに行ってしまい、でも今さら
予定を変えることもできず失意の中でいやいややって来たロンドン。

なんてぜいたくな、って思われるでしょうが今回ばっかしは
ほんとにイヤだったんです、ロンドンに来るのが。

来る前はともだちに、先生に会えなくてもロンドンに行きたい、
とか、ロンドンに行くのは先生に会うことだけが目的じゃない、とか、
色々ごちゃごちゃ言ってたんですが、実際に先生に会えません、
ってことになってみると、がぜんロンドンなんか(なんか呼ばわり)
全く行きたくなくなってしまいました。

なーんだ、私がロンドンに行きたかったのはやっぱりただ単に
先生に会いたかったからなんじゃん、ってことに気がついて、
まったく、自分の中身のなさにあきれました。

先生と出会う前の私は、こんな男のことしか頭にないような
空っぽな人間ではなかったはずなのに、、、。

でも最近、私には外国人のおともだちが出来て、
それが私がイギリスの先生へ複雑な気持ちを抱いてるときと
時期が重なってしまったものだから、いったい彼が好きなのか、
それともただ単に寂しいだけなのか、自分でもよくわからなくなって
しまったこともあって、今回この時期に外国に来ることになったのは
やっぱりかえってよかったのかも、って思うようになりました。

I hope the distance will give me some clarity,,,

今回の滞在はインターネットで見つけたイギリス人のおじさまの
一人暮らしのフラットに居候。
ちょっとどきどきしながらハロッズから歩いて10分のフラットを
訪ねると、そこには上品なおばあさまが一人。

フラットの住人であるおじさまは世界を飛び回る出版会社の
社長さんで、今日は忙しくてフラットには帰れないから
代わりに彼のお母様であるこのおばあさまが私を迎えに
来たとのこと。

このおばあさまはいかにもイギリス人らしいヴィクトリア時代の
貴婦人ってかんじで、お茶はいかが、ディア?だの、お買い物に
一緒に行きたい、ダーリン?だの、なんやかや世話を焼いてくれる。

ここでこのおばあさまとずっとお話ししてれば私の英語力も
ずいぶんと伸びるんだろうな、とは思ったけどさすがに私もちょっと
疲れてたのでそれは遠慮し、ハロッズまで散歩がてら買い物に
行くことにしました。

ロンドンの街を歩いていると、この前来たのがまるで昨日のようで、
でもよく考えてみれば実際に前回ロンドンに来てからまだ半年も
経ってないわけで、でもその半年たらずのあいだに私は
仕事して、ともだちと絶交して、先生に振り回されて、仕事を
辞めて、アメリカに行って、そこで人と出会って、その人と別れて、
日本に帰ってまた誰かと出会って付き合い始めて、
先生と一生のお別れをして、、、っていろいろあり過ぎてこの前
ロンドンに行ってからまだ半年も経ってないなんてちょっと信じられない。

この日はあんまり天気もよくなかったこともあって、
そんなことを考えていたらとっても寂しくなってしまいました。
こんなんであと24日間、私やってけるのかな。

Walking around makes me think lots about what's been missing.
It's pretty depressing actually but inspirational in its own way
so it cant be all bad.

私は旅行で何が好きってグロッサリー・ショッピングをすること。
ハロッズのフード・コートはめまいがするほど豪華で
沈みがちな私の心も自然とうきうきしてきます。

でもイギリスの物価の高さはあいかわらずで、
日本では200円で売ってるトロピカーナのオレンジ・ジュースが
500円だったり、つまんないサンドイッチが600円だったり、
ここで毎日買い物してたら私、確実に破産します。

ハロッズのフードコートの店員さんはみんな、緑色のリボンが
ついたパナマ帽に緑のエプロンをしていてこれがとてもかわいい。

もし好きな仕事を選べるんだったら私ここで働きたいな。


7月12日

先生にも会えないことだし私はやっぱりこっちで学校に
行くことにしました。
で、今日は朝から学校めぐり。

私は大学生のときに2ヶ月間、ホームステイをしながら
こっちの学校に通ったことがあるんですがそのときは大失敗。

まだ海外旅行にも慣れてなかったから地球の歩き方の留学編で
見つけた学校を留学斡旋業者に頼んで手配をしてもらった
んですが、こっちに来てから、そういう日本に広告を出している
ような学校はめちゃくちゃ高いということと、なにも日本で
見つけておかなくても、こっちにくれば日本以上に
英会話学校なんてあるってことに初めて気がついたんですよね。

で、今回はインターネットと、こっちの日本人向けの
フリー・ペーパーに載っていた学校をいくつかピックアップして、
見学に行って来ました。

まず1校目。

ここはベイカー・ストリートにある英会話学校。
45時間で2万8千円という超破格さで、インターネットで見た分には
ここが一番安かった。

でも日本人が多いのか、スタッフの人も日本人が多くて、
その上その人たちがちょっとヤなかんじ。

取り合えずレベルチェックを受けることになり
選択問題のペーパーテストにショート・エッセイを書く。

受付のお姉ちゃんに持っていくと、スコアは47/50で
アドバンス・レベル、で、ショート・エッセイも素晴らしい、という
ことで私は一番上のクラスに入ることになりました。

でもネイティブの人とのインタビューなしで決めちゃうなんて
ちょっとびっくり。だいたいテストをチェックしてくれた
お姉ちゃん自体がスペイン語ネイティブで、私より英語が
ヘタなくらいだったのに。

でもアドバンス・レベルに生徒は3、4人しかいないから
絶対お得よ、と勧められる。
で、とりあえず月曜日にトライアル・レッスンを受けることにして帰る。

2校目。

コベント・ガーデンにある英会話学校。
ベイカー・ストリートは私のフラットからは乗り換えなくちゃ
行けないけどコベント・ガーデンだったら1本で行けるし、
街自体も楽しいので、どちらかというとこっちにある
学校のほうがいいかな。

受付に行ってみると頭の良さそうなとっても事務的なお姉さんが
迎えてくれて、でも、彼女のスクリーン・セイバーが
デビッド・ベッカムだったのでちょっと笑っちゃった。

ここはカラン・メソッドっていう変わった教え方で英語を教えて
くれる学校らしく、なので体験レッスンは3日間、6時間分も
あります。で、料金は45時間で2万9千円。

レベルチェックは夕方からだというので予約だけして
とりあえず次の学校に。

3校目。

ここもコベント・ガーデンにある英会話学校。
でも駅からちょっと歩いたところにあってとってもさびれたかんじ。
受付の人はあいさつもしないし、忙しいのか説明も
立ち話で済ませるやる気のなさ。

一瞬帰ろうかと思ったんだけどなんとここの授業料は
60時間で1万9千円。安い、安すぎるわ。
なのでどうせ2校目のレベル・チェックまで時間があるし、
ここでもレベル・チェックを受けて行くことにする。
しょせん、テスト好きな私なのよね。

で、まずペーパー・テストを受けてみるとこれまた簡単。
さっきの愛想のない受付のお姉ちゃんに持っていくと、
49/50で、さすがのお姉ちゃんも、わー、すごい!と
驚いてくれる。
うーん、でも大学を出てる日本人だったらこれくらい
余裕で取れると思うんだけどな。

ここの学校はちゃんとインタビュー・テストもするらしく
そこからアカデミック・ディレクターの所へ行けと言われる。

でそのアカデミック・ディレクターは30くらいのオタクっぽい
お兄ちゃん。
まず自分のことを話せ、と言われて困ってしまう。
こういうとき仕事をしてない私はとっても困ります。

ええとええと、って私がずっと悩んでいると、今はどこに住んで
いるの?と聞かれたので、大家さんの話をする。

インターネットで見つけたイギリス人のおじさんとフラット・シェアを
してるんだけど、大好きなイギリス人の先生から、
インターネットで知り合える人なんて、レイプ犯か殺人犯か、
アメリカ人(!)だけなんだよ、って言われて来る前はすごく
怖かったけど、でも行ってみたらいい人だったからよかった、
って話をしたらアカデミック・ディレクターは大爆笑。

で、続いてインターネットの話になり、私が自分の英会話日記の
サイトを持ってて、英会話学校のグチや先生の悪口を
常にインターネットに発表してる、って言ったらまた大爆笑。

ええ?じゃ、これもそのサイトに載るの?と聞いてきたので
「もちろん。あなたもインターネットのさらし者になるのよ」と言ったら
こんなに面白いインタビュー・テストは初めてだよ!って
アカデミック・ディレクターはうひゃうひゃ言って大喜び。

それからは映画の話や検閲の話になってテストそっちのけで
二人で話し込む。で結果的にはアドバンス・レベルになり
火曜日に体験レッスンを受けることになる。

学校はさびれてるけどアカデミック・ディレクターはいい人だった。
私のことをとっても気に入ってくれたみたいで、
途中で一瞬、ナンパされるかと思ったくらい。
ちょっとドキドキしちゃった。

で、時間になったのでテストを受けに2校目に戻る。

ここのテストは変わっていて、なんと集団でテスト。
それも筆記はなしでオーラルのみ。

カラン・メソッドっていうのは、とにかく受け答えを早口で、
なおかつフル・センテンスでする、というメソッドで、
Is this pen expensive? Is this pen expensive?
って聞かれたら、No, that pen isn't expensive. That pen is cheap.
って2回ずつ早口で答えるというもの。

とにかく異常なまでの早口で言わなくちゃいけないので
日本語でも語尾を伸ばしながらだらだらしゃべる私にとっては
これはツライ。なおかつロンドンの人は必ず短縮形を
使うから、自分たちも使え、とのこと。

そういえばNOVAでもロンドン出身のKeに常に短縮形を使え、
って言われてるんだよな。

発音とかつ舌が悪い私にはすごく勉強になるかも。

で、レベル・チェックということになり、オーラルだけで
どうやってやるのかと思ったら、まず現在形を過去形に直す、
ということを一人ずつ当てて行って、それぞれ生徒が
口頭で言って行く。

teach→taught think→ thought hang→ hungってそれぞれ生徒が
言っていったんだけど、私はよりにもよって、shine なんかを
当てられてしまい思わず、shined って言ってしまいました。
知らなかった、shine の過去形って shone なんですね。

で、それから現在進行形、過去進行形、現在完了、過去完了、
すべて口頭で即興で文章を作らされ、できないと、ファイルを
渡され受付に行くように言われる。

そう、文法がだんだん難しくなっていって、答えられない時点で
その人のレベルが決まるというサドン・デス形式なんですね。
厳しい!

最初は6人いた生徒が一人減り、二人減り、最後の過去仮定完了
(?もし何々していたら今頃は何々してしまっていただろう、って
いう文)には私とハンガリー人の女の子だけが残りました。

考えてみれば、たとえ文章でそれが書けても口頭で言えなければ
実際には使えないのと同じことだし、即興で早口で言えれば
それがナチュラル・スピードなわけで、この厳しいテストには
最初めんくらったけど、理にかなってる。

で、結局最後まで残れたんだけど、でも私たちは細かい前置詞を
間違うことが多いから上から2番目のクラスということになりました。

そのあと単語のテストをされたんだけど、
scold って知ってる?とか、settle って知ってる?とかめちゃくちゃ
簡単な言葉を聞かれて、当然私は知ってるので説明したら
ものすごく驚かれたのでびっくりしました。

ヨーロッパの生徒はあんまり言葉を知らないんだそう。
でもなんたって私はウォーキング・ディクショナリー、
いろいろ調子に乗って答えてたら最後に先生から、じゃ、idle と lazy の
意味の違いは知ってる?って聞かれて、それは知らなかったので、
知らない、と答えると先生は、Good, これで僕が何か教えられる
ことが出来たよ、とにっこり。

厳しそうだけど私の弱いところにすごく勉強になりそう。
ここの学校には月曜の午後に体験しに来ることになりました。


7月15日

今日は学校の体験レッスン日です。

1校目。

生徒は4人しかいない、という話だったのに
行ってみるとなんと生徒は13人。

13人って、あーた。NOVAだったら5クラス出来ちゃうよ。

先生は小太りで見事なおかまちゃん。(それもインテリアの
デコレートが大好きという、まさかと思うベタベタさ。)

クラスを盛り上げようとしているのか、先生が異常なハイテンションで
話すので、ハイテンションで話されると子供扱いされてるみたいで
嫌いな私はかなり引く。もうこの時点でかなり帰りたくなってきた。

でもタダなんだから、と思い直し、なんとか1時間半ガマン
することにする。
授業はフレーザル・バーブやイディオムについて。

英会話学校で単語を勉強する意味って私は全くないと思う。
英字新聞には辞書に載ってない言葉も多いので
そういう単語はネイティブに聞かなきゃわからないけど、
intervene とか、coherent とか、辞書引けばわかる単語を
わざわざクラスで習うなんて時間とお金の無駄じゃない?

案の定、今日やった単語は全部私は知ってる単語。
この学校に来るのはもう絶対にやめようと思いました。

休み時間にトイレに行くと日本人の生徒さんに話し掛けられる。

クラスには日本人の生徒が6人いて彼女もその一人。
トライアルなの?とか、どのくらいいる予定なの?とか
めちゃくちゃ親切でびっくり。世の中には優しい人がいるもんだな。

次の時間は会話クラス。
この時間の先生は、知的な外見でとっても素敵なんだけど
やっぱりどこかおかまっぽい人。

イギリス人のオトコの人って、どこかしらおかまっぽく見えるのは
何故なんでしょう?普段、私が、がさつなくらい男らしいオーストラリア
人とばかり接してるからそう思うだけなんでしょうか?

今日のテーマは文学について。

私の会話パートナーがイタリア人の女の子だったので、
『神曲』って素晴らしいよね!って言うと、彼女はなんと『神曲』が
大嫌いなんだそう。

イタリアでは『神曲』は全員が読まなきゃいけない大古典で、
学校で3年間もずっと読まされるからほとんどの人が
それで嫌いになってしまうんだそう。

もったいない。でもどの国でも古典なんてそんなもの?
で、彼女は何が好きかというとなんと吉本ばななちゃん。

ばななちゃんがイタリアで人気だっていうのは知ってたけど
ほんとだったんだ。私がイタリア文学の『神曲』が好きで、
彼女が日本文学の吉本ばななが好きだなんて面白いかも。
授業がつまんないので、彼女といろいろ話し込む。
こっちのほうがよっぽど勉強になったかも。

授業が終わったのでさっさとと帰ろうとすると
先生に話し掛けられて感想を聞かれる。

超つまんなかった。知らないことを学ぶことがまったくなかった。
英会話でこんなに退屈したのは初めて。

なーんて日本人の私にはそんなこともちろん言えないので、
『先生は良かったんだけど、なにぶん生徒が多すぎるので、、、』
と言葉を濁すと、今週一杯で生徒がどっといなくなって
来週からは4人でそこには日本人が一人もいなくなるから
来週から来るといいよ、と言われる。

4人かあ。
今日授業を受けてみてあらためて『英会話は少人数に限る。』
と思ったのでそれはちょっと魅力かも。

でもヘンな話、結局やることは、文法やって、会話をやって、
普通の英会話と変わらないから、たとえ私がここに3週間
通ったとしても絶対英語力は伸びないだろうと思う。

今日の朝、滞在中の予定を組んでみたら長いようでいて
見所の多いロンドンだから意外と時間が足りないことに
気がついたこともあって、いっそのこと英会話学校に通うのは
やめちゃおうかな、

そんなことを考えながらトイレに行くと、またもや日本人の
クラスメイトに話し掛けられる。

言っておきますが、私は決して話し掛けやすい外見では
ありません。それどころかとっても恐い外見で、
黙っていると、何怒ってるの?とよく聞かれるくらいです。
怒ってないのに。

だからここの学校でやたら話し掛けられたのにはびっくり。
みんな、どこに住んでるの?とか、ここがいいよ、とか、
いろいろ親切にかまってくれる。

学校は今イチだけど、生徒はいい人たちだなあ。
今日は久しぶりに日本語しゃべっちゃった。
こっちに来てから一度日本にいるおともだちに電話をかけたんだけど
その人は外人さんだから、やっぱり英語で話したし。
日本でもどこでも、私最近、日本語を話してないかも、、、。


午後からはコベント・ガーデンに移動して
謎の英語教授法(?)カラン・メソッドで教えてくれる学校の
体験レッスン。

カラン・メソッドってのは結局のところシャドウイングを
異常な早口でやりつつ質問文に答えるというもの。

全て教科書に沿ってやるので、むだなフリー・カンバセーションは
全くなし、文法を黒板に書くこともなく、なんとシャドウイングで
文法そのものを覚える。つまり先生が、『since と for の使い方は
、、、』って早口で言ったら、生徒はそのまま『since と for の
使い方は、、、』って繰り返すのです。

とにかく異常な早口なので、ヒアリングが大得意の私でさえ
聞き逃すこともしばしば。おかげで超緊張して聞くことになり
これだけ集中して授業を聞いてれば、そりゃ英語も
しゃべれるようになるだろー、というかんじ。

基本的に、先生の言ったことを一人づつ生徒が繰り返すので
先生の目が行き届かないところで生徒同士がヘタな英語で話す
こともないし、生徒のレベルの違いで授業が妨げられることも
ない。これはいいかも。

でも唯一残念なのは自由に話せる余地が全くないこと。
全て教科書に書いてあることだけを繰り返すので、
自分で英作文して話す必要が全くないんですよね。

で、体験レッスンを終えて、レベルチェックのときに
一緒になったハンガリー人の女の子といろいろ話す。

この女の子はわざわざ私と同じクラスになるためだけに
時間を変更して今日来てくれて、英語がとっても上手。

で、彼女と、どこの学校がよかっただの、ホームステイ先の様子は
どうだの、いろいろ話してたときに、ハタと気がつきました。

日本人が全くいない学校に行くと、一緒に遊んでくれる人が
出来ないから、ちょっとは日本人がいる学校に行きたいなあ、
なんて私は今までずっと思ってたのですが、気がついてみれば
私って、もう外人さんと平気でともだちになれるくらい
英語がしゃべれてたんですね。

そりゃもちろん日本語を話すほどはしゃべれないけど、
普通にしゃべるぶんには問題がないから
言葉のバリアで外国人とともだちになれないってことはない
んだってことに初めて気がつきました。

すごい。英語が話せるってこういうことなんだわ。
NOVAの授業では話すことが決まってて、ターゲット・グラマー
を使わなくちゃいけなかったり、考えたこともないことを
ひねりだして話さなきゃいけなかったりいろいろ縛りがあるから、
自分がどのくらいしゃべれるのかってよくわかんなかったけど、

世界中の人とこんなふうにしゃべれて、
私の世界っていつのまにかこんなに広がってたんだわ。


7月16日

風邪で鼻水じゅるじゅる頭はぼーっとなりながらも
行ってきました、60時間で19000円というバカ安学校の
トライアル・レッスン。

ところが授業開始の9時になっても先生が来ない。
クラスには、モデルみたいなきれいなヨーロッパの女の子2人と、
ものすごいヘンな顔した日本人が1人。

5分待っても10分待っても先生は来ない。
でもそれは別にいいんだけど何が嫌だったって
生徒3人が全く何もしゃべらなかったこと。

普通、こういう状況だと何かしゃべらない?
でも誰も何も話さないので、しょうがないから私は気まずい思いを
窓の外を見てやり過ごす。やなかんじー。

そのうちに生徒がぽつぽつと来だして、(時間通り来いよ)
最終的な生徒は8人。日本人が3人で全員女。

でも最後に男の子が一人来たと思ったら、なんとこの人が先生。
ぼさぼさの髪にポロシャツとジーンズだったから
てっきり私は生徒かと思っちゃったよ。

私の後ろに窓があって、道路工事の音がうるさかったから
開いてた窓を閉めたら、いきなり先生が、『お前は誰だ?』
って聞いてきた。

、、、、。

お前は誰だ?ってほかにもうちょっといい聞き方が
あるんじゃないの?

30分も遅刻してきてなんのあいさつもなし。
そのうえ、どうして俺のクラスには女しかいないんだ、
1日8時間毎日女とばっか話してるから
だから俺は結婚する気になれないんだ、
こんな仕事俺はもういやだいやだ、と愚痴り始める始末。

でも私にはこの先生のクラスに女の子しかいない理由が
わかります。なぜってこの先生はむちゃくちゃ渋くてなおかつ
母性本能をくすぐるタイプの超いい男だからです!

サム・ニールを長髪にしてメガネをかけさせたかんじ。
その外見じゃそりゃクラスに女の子が集まるってもんでしょう!

中身も、私の好きな皮肉なユーモアたっぷりの人で
私はこの先生をいっぺんで好きになっちゃいました。

が!それなのに!

こんなときに限ってクラスが最悪。

一応このクラスはアドバンスクラスなのに、
先生が何を聞いても生徒は誰も答えない。

それも質問が難しいんならまだしも
やってることは超簡単。
今日やったのなんて、『文を強調する副詞を覚えましょう、
very really totally great,,,』だよ!

信じられない!

でも生徒も生徒なら先生も先生で、

garrulousって言葉を知っているか?(私は知っていた)
俺は昨日初めて知ったよ。(えっ?!)
perpetrated の意味は、、、(commitedでしょ)
ええとええと、、、、おもむろに先生用のあんちょこを持ち出す
(うそ!)

こんなクラスじゃやってけません。
結局私は授業で一度も発言することなく終わりました。
だって全部わかってるから質問することなんてないんだもん。
先生も生徒はしゃべらないもんだと思ってるらしく
生徒に振ったりしないし。

わー、最悪だ。
でも先生自体はすっごく良くって私はこの先生と
ちゃんとお話ししてみたい、って心から思いました。
でもだめ、こんな退屈な授業あと1時間だって耐えられん。

それでもこの先生とはどうしてももう一度話してみたかったので
受付に行って、この先生のプライベート・レッスンを
受けれないか聞いてみる。

プライベート・レッスンって通常1時間5000円で
最低10時間からだからめちゃくちゃ高いんだけど、
それでも私はこの先生の授業をちゃんとした形で
受けてみたかったんですよね。

で、受付に行って聞いてみると、受付のやる気のないお兄ちゃんは、
プライベート?んなのやってねえよ!と、めちゃくちゃ失礼な態度。
これには私も頭に来て、結局あいさつもせず残り2時間をぶっちする
ことに決め学校の扉を
バーン!と開けて出て行くと、
そこになんとたばこを吸っている先生が。

かばんやらなにやら全部持っているので、私がクラスから
立ち去ろうとしているのはどう考えても明らか。
あいさつしようかとも思ったけど、いやいや、"He couldn't care less."
と、思い直し、そのままずんずんと歩き出す私。

でも一瞬自分の決断に迷って後ろを振り向いたら、意外にも
先生もこっちを見てて、私の決心が突然ぐらぐらと揺らぎだす。

もしかしたらここでこの先生と出会ったことってめちゃくちゃ
意味があるのかな。
しばらくぶりに出会ったちゃんと話してみたいって思った人なのに、
ここで立ち去ったらきっともう二度と会えない。

ただでさえ、大好きなイギリスの先生と別れるときに泣けなかった
ことを既に一生分後悔してるのに、今ここでたった2時間の我慢が
出来なかったことで、この先生と二度と会えなかった、って
これから一生悔やむことになったらどうしよう?
それに私、これ以上、二度と会えない人を増やしたくない。

戻るべき?このまま立ち去るべき?

でも私の時間とお金を無駄にして、結局私がこの先生と会えるのは
全部合わせても39時間。この人と会える時間が1時間から
2時間になったとしても、それがたとえ39時間になったとしても、
別れるときのつらさは変わらないはず。

だったら今ここで別れても同じことなのでは?
結局一期一会ってこういうことなのかもしれないし。
素敵な人と、一瞬でも出会えたことを忘れることなく心にしまい、
その事実を思い出すことなく強く生きる。

私も大好きなイギリスの先生との別れを経験して、
ちょっとは大人になったのかなあ。

いや、待てよ、別れるのがつらいからって知り合うのを
尻込みするなんて絶対ばかげてる。
39時間でも1時間でも別れるのが結局つらいんなら
39時間会えるほうが絶対いいじゃん!
だいたい39時間もあったらいくらなんでも少しは
先生の人となりを知れるだろうし。

がーん、私、またもや人生の選択に失敗したのかな。
やっぱりこの学校に入学すべき?

わからん!

午後に続く、、、。


カラン・メソッドの学校に行って2回目の体験レッスン。

ここの学校は口移しのみで英語を教えるので、先生が毎回
変わります。先生にかかわらずどんなアクセントにでも
通用するようにです。これはNOVAと同じ理由ですね。

で、今日の最初のレッスンは育ちのよさそうな
タンタンと同じ髪型の、とってもかわいい先生。

カラン・メソッドのレッスンを受けるのはこれで3時間目なので、
(体験レッスンは1日2時間、全部で6時間ある)
どうやら先生によって教え方に差があるのがわかってきました。

生徒が先生の質問に答えるときに、ある程度生徒に任せて
好きなことを言わせる先生と、テキストどおり全く同じことを
言わせる先生。

このかわいい先生は、答えまで全部言ってくれちゃう人なので
自分で英作する必要がなくて楽ちん。
でもその分、授業の進め方はめちゃくちゃ早いです。

おかげで授業があーっという間に終わる。
この学校のレッスンで退屈する時間って全くないです。
それどころか授業内容が異常に充実しているので
2時間レッスンを受けるとぐったりするくらい。

このレッスンで、私はこの学校に来ることに決めました。
(決してこの先生がかわいかったからではナイ)

次の先生は最初のレッスンで会った先生。
この先生はメガネをかけてて痩せてて、少女マンガに出てくる
生徒会長さんみたい。クラスで2番目に人気が出るタイプ。

この先生は質問を2回言うだけで、あとは基本的に生徒に言わせる
やり方。最初に当たったときは手加減をしていてくれたのか、
私でもそれなりに大丈夫だったんだけど、今日はめためた。

やばい。どうしよう。そう思うとさらに焦っちゃって、
どもるし、かむし、言えるのはとんちんかんな答えばかり。
そのうち先生の話すスピードが私にだけ遅くなってきて、
私は見事、クラスの落ちこぼれ決定!ってかんじ。

ひえー、英会話学校でこんなに出来ないのって初めてかも。
おかげで家までどーんと落ち込んで帰る。
幸か不幸か午前中の先生のことなんてすっかり忘れる。

一期一会をまさに実感。
(え?使い方が違う?)


7月17日

きのうのあまりの自分のふがいなさに、午前中ほかの学校に
通って勉強しようかと思ったんだけど、どうせ普通の学校に通っても
カラン・メソッドで上手にレスポンス出来るようにはならんだろー
と思い結局やめる。

学校は14:30から16:30まで。
朝のうちに観光して、昼は勉強して、夕方は家に帰ってごはん。
なんと素晴らしいスケジュール!

の、はずだったんだけど、今日起きてみたらなんと朝の11時。
あちゃー。貴重な1日を無駄にしてしまった、、、。
でもゆっくり寝たおかげか早くも風邪が治る。
私ってほんと健康に出来てる。神様ありがとう。

ところで私が今泊まっているのはホテルではなく
普通のアパートです。
インターネットで見つけたイギリス人のおじさんのアパートに
間借りしているのですが、このアパートが大当たり。

場所はハロッズのそばでどこに出るのにも超らくちん。
スローン・ストリートでぶらぶらしたり、
ハイド・パークでひなたぼっこしたり。

でも何がいいって、大家さんのおじさんがいつもいないこと。

大家さんのおじさんは自分で出版社を経営してて毎日忙しく、
朝は6時には出て行って、夜帰ってくるのはいつも10時過ぎ。

その上、現在離婚調停中とかで、別居中の奥さんのところにいる
子供のところと行ったり来たりで、週末にいることはまずない。

おかげで私はこのナイツブリッジにある高級アパートを
ほとんど独り占めで使っています。

大家さんは離婚もまだなのに既に彼女がいるトム・ウィルキンソン
似のいい男なんですが、以上の理由で私はほとんど会ったこと
がなく、(夜おじさんが帰ってくるときには私はもうすでに部屋で
寝ているので、ドア越しに、ハーイ!って言うだけ)

なので私は彼のことをひそかに、『足長おじさん』と呼んでいます。



私の部屋。地下にあるのにとっても明るい。
左にあるのは私と一緒に世界中を旅するVAIO。


7月18日

今日こそは早起きしようと思ってたのに、起きてみると既に10時。
あちゃー、またやってしもうた。
しょうがないので、美術館に行く予定を変え、今日はハイド・パークを
散歩することにする。

大家さんが1週間の出張に出ているのでアパートは私ひとりきり。

なので、ドア開けっ放しでお風呂に入ったり、(だっていちいち
ドアを閉めるのめんどくさいんだもん)ゆでたスパゲッティを
そのままなべから食べたり、(皿を洗うのめんどくさいしさ)
大声で椎名林檎を歌ったり、私はやりたい放題。

もしうちの親がこの現場を見たらきっと泣くであろう、、、。

そんなこんなで11時になり、ハイド・パークでアヒルに
煽られながら本を読んだあと、バスに乗ろうとすると、
なぜか来たバスがめちゃくちゃ混んでいる。

イギリスは紳士淑女の国なので、バスや地下鉄がちょっとでも
混んでたら普通無理して乗り込みません。
特にバスなんて、バスの中で立てる人は5人まで、とか
具体的に決まってたりするし。

なのにそのバスは異常に混んでて、立ってる人も
5人どころじゃなくて日本の通勤電車なみ。

どうしたんだろうとは思いつつも、学校は14:30からだから
別に急いでないし、いいや、次に乗ろう、とそのバスをやり過ごしたら
なんと次のバスも超満員。

その次のバスも次のバスも次のバスも満員で
30分くらい待ってから、はたと今日が地下鉄のストライキ日
だってことを思い出す。(気付くの遅すぎ)

昼間にこれでは帰りの時間は大変なことになる、と
一度家に帰って夕ごはんの準備をして、(帰りに
買い物なんかしてたら絶対に帰れなくなるから)

学校まで直通のバスは全く乗れそうもなかったので、
ちょっとでも乗れそうなバスを何度も乗り継いで
少しずつ学校に近づいていき、なんとか14:20に学校に
たどり着く。

でも、普段はバスで学校に行くのに1時間くらいかかるんだけど
今日はほとんどバスに人が乗り込めないので、バス停に
止まることがなく、結果的にあっという間についちゃった。

で、教室に行ってみるとなんと生徒は私一人。
げっ!みんな地下鉄のストライキで来れなかったのね。

カラン・メソッドはとにかくしゃべり続けなので、
生徒が一人だと自分だけが話し続けることになって
めちゃくちゃキツイ。

最初の先生はタンタンと同じ髪型のかわいい先生。

誰もいないから最初になんか世間話をするのかと思ったら
なんの無駄話もなくいきなり授業。

そっそんな、今日は私一人なんだからそんなに焦って
早口にしゃべらなくても。
って言いたいところですが、早口で教えるのがこの学校の
システムで、無駄話をする時間も元々ないし、生徒が一人だって
容赦はありません。

一体どのくらい早口かと言うと、普通のネイティブが話すスピードは
1分間に150から180ワードなんですが、カラン・メソッドでは
1分間に240ワード話します。異常でしょ?

で、息も絶え絶えになりながらあっという間に50分が過ぎ、
やっと終わったー、と思ったらタンタンが、まちゃみはどこに
住んでるの?と聞いてくる。

『???ナイツブリッジだけど、、、』

またもやナンパ?
私はどうやら最近フェロモンが流出してるらしく、男の人に
声をかけられることがやたらと多く、一瞬この先生にもナンパされる
のかと身構えてしまいました。(うれしいけど、私は日本に彼がいる
からあなたとは付き合えないわ、それにもうすぐ日本に帰らなければ
ならないし、、)なんて英作文を心の中でせっせとしていると、

『じゃあそんなに遠くないね、気をつけて帰ってね』

あー、地下鉄のストのこと。私は普段から地下鉄を使わないので
ストライキのことなんてまたもやすっかり忘れてました。
私ってバカなのかもしれない。1時間前に苦労して学校に来たことを
既に忘れてるなんて。

それにしてもよかった、焦ってヘンなこと言わなくて。

でもあいかわらずタンタンはかわいい。
もう一度住んでる場所を聞いてくれたら私、"YES I DO !"
って答えちゃうのにな。

ところでこの時間で私は初めて、イギリスでは、language が、
ランゲージ、じゃなくて、レイングエッジ、って発音されることを
知りました。あと、数字の twelve も、私の発音じゃダメダメらしく
何度も直されました。

やっぱり一人だと細かいところまで直してもらえるから
うれしいな。もともと私は今回、発音を直したいっていうのが
大きな目標だったし。


2時間目の先生は、生徒会長さん。

すぐ授業に入るのかと思って準備していると、またもや先生から
どこに住んでるのか聞かれる。
さすがの私も10分前のことは覚えていて、今度はナンパだとも
思わずちゃんと受け答えが出来ました。

そしたら意外にも先生が、調子はどう?と聞いてきてくれたので、
正直に、"I am a tad sick"、と言うと、
先生がものすごく心配し始めちゃったので、これはいかん、と思い、

"I think I caught a cold. So we can't kiss today."
とふざけると、先生がものすごくびっくりしちゃって、

なんといってもこの学校では無駄話をする余地は全くないから、
冗談を言う雰囲気でもなくて、一瞬、あ、まずかったかしら?
って私はびびったんですが、先生は大笑いしてくれて、

"Not today, but maybe tomorrow."
と、ウィンクしてくれる。
あー、よかった。

この先生は元々ある程度生徒の自主性に任せて
話させてくれるので、授業に入ってからも、質問の答えから
いろんな話に発展したりしてすごい楽しい!

授業は、まず口移しで英文を覚えさせられて、そのあと
リーディングで発音を直されて、次に先生が読む英文を
ディクテーション、最後に明日の予習、という流れなんだけど、

私はこのディクテーションがめちゃくちゃ得意。
クラスの子たちにとっては、ディクテーションが一番難しい
らしいんだけど、私はもともと単語を知ってるからセンテンスで
言われれば次に言われる言葉は言われる前から想像つくし、
ちゃんと綴れるし、何よりNOVAでやってる授業は毎回、
ディクテーションが基本だものね、そりゃ得意ってものよ。

なので、特に今回は一人でディクテーションしてたものだから
すらすらできちゃって、先生に、間違えたところ一つもないでしょ、
って突っ込まれる。

普通、英文科卒の人が30時間ほどやってやっと間違え
なし、のレベルになるらしいんですが、私は最初から
間違えなし。

いやー、私、もともとディクテーションって得意で、、、
と言うと、先生に、まちゃみはきっと英文をたくさん読んでる
んでしょ?と聞かれる。

ええ!そりゃもちろん!
で、その話から文学の話で盛り上がり、先生が将来、作家に
なりたいと思ってることを知る。

素敵ー。
メガネをかけてて、学校の先生で、将来作家になりたいって
思ってるなんて、私の理想3原則を全て満たしてるじゃないの!

で、話を盛り上げようと、私も将来、文章を書く人になりたいの、
とついつい言ってしまい、実際どんなの文章を書いてるのか聞かれ、
インターネットにこの日記を公開してることを言ってしまう。

あなたももちろん登場していて、
"I named you the cutest one."
って言ったら先生は真っ赤になってうつむいてしまう。

かっかわいい!
ほんというと『クラスで2番目に人気』だから、"the second cutest"
なんだけど、こうなったらこの先生が一番かわいくなってきた。

で、そのあとは明日の予習をするはずだったんだけど、
先生がせっかくだから文学の話をしようと言うので、
先生の好きなジョージ・オーウェルの『1984』の話をする。

私は『1984』って全部は読んでないんだけど、話自体は
知っているので、『ロンドンにはそこら中、監視カメラがあってまるで
『1984』の世界じゃない?文字通り"Big brother is watching"』
って言うと、先生が、そうでしょ?実際あの話はロンドンが
舞台だからまちゃみも絶対読んだほうがいいよ、と勧められる。

それから二人で、将来ノーベル文学賞をどっちが先に取るか
賭けをする。私が文章はやっぱり日本語で書くって言ったら
英語で書くことを強く勧められる。先生はポーランド人だけど
英語で文章を書くコンラッドが好きなんだそうな。

最後に先生が、僕は将来作家になりたいけど、この仕事も
もちろん好きで、それは興味深い人たちと出会えるから。
まちゃみもそのうちの一人だよ、と言われ私はめちゃくちゃ
うれしくなる。

おかげでバス停まで1メートルくらい浮きながら歩いて行くと、
そこには大通りまではみだした人たちの集団がこんもり。

あ。

私ってほんとにバカかもしれない。
またもやストライキのことを忘れてました。

ひえー。こんなに人が。
やっと来たバスにもほとんど人は乗れず、俺が先に待ってたのに、
と、乗れなかった人がバスの車掌さんと大声でケンカし始める。

しぇー、イギリス人が大声でケンカするなんて。

とりあえず乗れそうなバスに乗り、遠回りだけど、
一度バスのターミナルまで戻って始発に乗ることにする。
で、行ってみたターミナルにはさらに多くの人がこんもり。
こんなんで乗れるのかかなり心配になってきた。

私の乗りたいバスが車庫から動き出したので、バス停で心構えを
して待つと、何人かの人が突然、車庫に向かって走り出した。

イギリスの多くのバスはオープン・デッキなので、
動いてるバスでも勇気があれば乗れちゃうんですね。
それでこのままバス停で待っていてはいつまでたっても乗れないと、
何人かの人たちが動いてるバスをめがけて突進し始めたのです。

こうなってはもう集団心理で、もうみんな我先にとバスに向かって
走り始めて、もちろん学生時代、常に体育は10段階評価で1だった
私もバスに飛び乗りましたよ。恐かった。

でも私は後ろの方にいた分、すぐ乗って座れたけど、(早い話が
私はずっと待ってた人たちの横入りしたってことなんだけど)
なんとか乗客を見捨てて動こうとするバスと、人を押しのけてでも
必死に乗ろうとする乗客をバスの2階から見ていたら、
ものすごく恐くなりました。

なので、バスの中では生徒会長のことを考える。
考えれば考えるほどステキ。

、、、、。

はっ!何考えてるんだ、私ってば!
これ以上、人間関係を複雑にしてどうする!
Don't fall in love with him. Don't fall in love with him.,,
呪文のように唱えないと、私ってすぐ人を好きになっちゃうんだよな。



7月19日

私が日本の何が恋しいって、それはアイス・ティー。

こっちの人はアイス・ティーって飲まないんですよね。
私はコーヒーが飲めないので、(アイス・コーヒーは何故かある)
冷たいもので飲めるものって言ったらコーラくらい。
でもなんたって私は甘いものが嫌い。

それでいつも飲むものには苦労してるんですが、
(うう、冷たいウーロン茶が飲みたいよ)
学校の近所にかわいらしいカフェがあってそこでは
絞りたてのフルーツ・ミックス・ジュースが飲めるので、
この日、勇気を出して一人で入ってみました。

そのジュースの名前は、"Juices for health and beauty"。
でも発音の悪さには定評がある私、こんな長文絶対通じません!
大きい声で言ってみても、発音を変えてみても全くダメ。
何がいけないの?!

挙句の果てには従業員のお兄ちゃんたちみんなが集まって
全員で私が何を欲しがっているのか推測し始める始末。

『ピザかな?いや、ベーグルかも。それともコーヒーか?』

全然違ーう!

自分が言ってることは通じないけど相手の言ってることは
全部わかるこの悲しさ。

お店にいたほかのお客さんも一緒になって、私の
言うことを聞き逃すまいとしてるのを背中にひしひしと感じながら、
もう『コーヒー』、って言っちゃおうかな、なんて私はちょっと半べそ。

で結局、ジュースには果物系ミックスと野菜系ミックスの
2種類があって、それぞれの素材の横に数字がたまたま
書いてあったのに気付き、(↓こんな風に)

1、オレンジ・アップル・バナナ・ペア、、、
2、トマト・ピーマン・キャベツ・キャロット、、、

『ナンバー1、プリーズ!』

って言ったら通じました。
おかげで店中の人たちがほっと肩を撫で下ろして、、、

そのあともみんな、『空いてる席で座って待ってろ、ダーリン。』
とか、『氷は入れたほうがいいのか?マイラブ?』
とか、めちゃくちゃ優しい。

大家さんに、イギリスはどうだ?って聞かれたときに、
『みんなとっても優しくて、、、、』って答えたら、
大家さんはものすごく驚いて、『え?冗談じゃなくて?』

そう、イギリスの人は基本的に部外者に冷たいんですよね。
で、私はどうしてこんなに優しくしてもらえるんだろう?
と思ってたら、(それは私が若くてかわいいから。なんちゃってウソ。)
それは私が頭悪そうだからなんですね。

手取り足取り心配してくれるのはうれしいんだけど、
ちょっと情けないような気も、、、。


下の写真は私のお気に入り、(上に出てきたカフェとは別)
イギリス生まれの喫茶チェーン店、プレタ・マンジェ。





料理がまずいと言われるイギリスにあって、
ここのサンドイッチはとってもおいしい!
でもなん1コ、600円。
信じられる?コンビニのサンドイッチが600円!
新橋だったら600円で立派な定食が食べられますぜ。

でも何が一番びっくりって、このお店は閉店が異常に早いこと。
お店の場所にもよるけど、うちの近所のサウス・ケンジントン店は
なんと3時には閉まってしまいます。
3時って、。 あんた、銀行じゃないんだからさ。

私はここの、ギリシャ風ヨーグルトバナナトフィがお気に入り
なのですが、学校行ってからではお店が閉まってしまうので、
行く前にいつも買って学校に持っていきます。

ここのお店では比較的、日本人でも許せるおすしを売ってる
んですが、上記の理由で私はまだ一度もここのおすしを食べた
ことがありません。さすがに昼間になまものを買って、1日
持ち歩く気にはなれず、、、。

3月くらいに新聞で日本にもプレタマンジェが上陸!
って記事を読んだんですが、どうなっちゃったんでしょうね。
ブーツは結局撤退しちゃったけど、プレタマンジェは
絶対受けると思うんだけどな。閉店時間をもう少し遅くさえすれば、、、。




上の写真は私のアパートの外観。

プレタマンジェを見てもわかるように、ロンドンの物価は
ハンパじゃなく高いです。
安いものと言ったら、パンと、(食パンはほんとに安い)、
キットカットくらい。(冗談みたいだけど、キットカットは本当に
安いです。)

で、私の住んでるアパートのそばに、インペリアル・カレッジ
という大学があるので私はいつもそこの食堂に、学生みたいな
顔をして食べ物を買っています。

さすがに学生用だけあって補助が出るのか、安いのです。
サンドイッチも200円、という常識的な(日本人にとって)値段。
いつかこのご恩はどこかで必ず返します。
インペリアル・カレッジ様。



7月20日

今日は土曜なので、バスでオックスフォードに行ってきました。

2月に来た時にもオックスフォードは行ったのに、
今回また行ったのは、先生の母校をちゃんと見たかったってのと、
(前回は先生がどこのカレッジに行ったのか知らなかった)
私なりに先生に対する気持ちに決着をつけたかったから。

ロンドンからオックスフォードまでバスで往復3時間。

ペンブロークの壁をなめて、(ふふふ、当然今回も壁を
なめさせて頂きましたよ、詳しくは2月13日の日記参照)、
大好きな先生のことは、私の心の裏庭に、不燃物と一緒に
埋めました。

I want to spill my blood, heart and tears in my soul searching
for new meanings and purpose to give to life,,,


7月21日

今日はNOVAでお世話になってたSのお家に
遊びに行ってきました。

Sの家というのがロンドンから電車を2回乗り継いで3時間半、
なんと今でもメジャーな輸送機関は蒸気機関車、
というとんでもない田舎にあって、

よくこんなところから東京に出てきたなあ!
と、逆に私は感心しちゃいました。

でも久しぶりに会ったSは痩せててかわいくなってて、
まるで私は、『自分の振った彼女がめっきりかわいくなって幸せな
花嫁になり、その結婚式場でバイトする司法試験に3回連続で
落ちている俺』って気分になりました。

楽しかったけど、1日英語しゃべってたら疲れちゃった。


7月22日

今日は学校帰りにクラスのおともだち、アニタちゃんと
お茶してきました。

アニタがどこでもいいよ、というので、金曜に行った
ジュース・カフェに行くと、お店のお兄ちゃんが私を見るなり、
『よー、元気か?今日も1番にするか?』

げっ、、、。覚えられちゃったのね。
『いや、今日は2番でお願いします、、、。』
うう、恥かしい、もうこのお店来れない、、、。

ジュースを飲んだあと、アニタとイギリス英語の発音を
真似しながら、駅まで帰る。

アメリカ英語にどっぷり浸かった私は先生たちの格好の的で、

ムービーはシネマ、ヴァイタミンはビタミン、
キャントはカーント、と、ことごとく直されて、

『イッダズン・マラー』なんて言った日にゃあ、
『マラーじゃない、マターだ、マター!』、と怒られる始末。

イギリス英語ってほんと難しいよ、、、。


7月23日

今日はなにげに私の誕生日。

誕生日だからって誰も知らないロンドンでは特に何をするわけ
でもなく、今日も普段どおり学校に行きました。

私が行ってる学校は、同じセンテンスを毎回毎回繰り返し
毎日毎日同じレッスンを繰り返すので、2、3日レッスンを休んでも
前回から全く授業が進んでなかったりします。

だからって私は休まないけど、(だってそれでも私は楽しいし!)
ほかの生徒さんたちはそれを退屈だと思うのか、かなりの頻度で
休みます。

全員が出席すると8人いるクラスなんだけど、
いつも生徒は、多くて2人か3人。
今日の生徒も、私とポーランド人のモニカちゃんだけでした。

レッスンの中に、14歳の男の子にだったら何をプレゼントするか?
っていうのがあったので、あ、実は今日、私の誕生日なんだけど、
というと、先生とモニカが、お誕生日おめでとう!と言ってくれる。

うふふ、ハッピー・バースデイって言われるのってうれしいな。

そのあと何故かフリートークになり、もうすぐ先生が辞めることを聞く。
この先生はいつも冗談ばっか言ってる先生で、私はとっても
ニガテだったんだけど、でも辞めるとなるとちょっと残念かも。

なんで辞めるかというと、この学校は繰り返しばっかりで
1日働いてると頭が狂いそうになるから、だそう。
そりゃそうだろうなあ。

テキスト以外の話は全くなし、生徒同士の会話もダメ、
生徒は授業中、先生に質問しちゃダメ、と、
普通の学校だったら考えられないような方針だものね。

でも先生は、どうせ辞めるんだし、と、授業なんてもうどうでも
よくなっちゃったみたいで、今日はディクテーションもなければ、
リーディングもせず、ずーっとおしゃべりばかり。

今日はまちゃみの誕生日だから特別ね!
って、そんな特別、困るんですけど。


2時間目は私の大好きな生徒会長さん。

実は私、金曜日に、この生徒会長さんが結婚してるということを
知ってしまいました。
おかげで金曜日はショックで私、日記の更新が出来なかった
ほど。(ちょっとうそ。)

そうは言ってもやっぱりこの先生は私のお気に入り。

モニカが最初に、今日はまちゃみの誕生日なんだよ、と、
先生に言ってくれたので(ありがとう!モニカ!)早速先生から
イタリアなまりの英語で、お誕生日おめでとう!まちゃーみ!
って言われる。

うれぴー。

そのあとの授業でも、今日はまちゃみの誕生日だから
プレゼント代わりにディクテーションはなし!おめでとう!まちゃーみ!
とか、今日はまちゃみの誕生日だからこの質問はまちゃーみに!
おめでとう!まちゃーみ!とか、
とにかく先生から、誕生日おめでとう!って言われまくり。

帰り際にもう一度先生から、お誕生日おめでとう!
まちゃーみ!と言われ、その上そのときはウィンク付き。

きゃーっ!とろけそう!ウィンクはやめて!

先生の絶妙なタイミングのウィンクに腰が砕け、(外人ってウィンク
するの上手いよなー←ウィンクと口笛が出来ない私。)
ふらふらしながら出て行くと、ラウンジのところで再び先生が
待っていて、

『今年1年がまちゃーみにとっていい年になりますように。
お誕生日おめでとう!』、とダメ押しでもう一度言われる。

覚えてるだけで今日この人に、『誕生日おめでとう!』って
7回は言われました。誕生日おめでとう!って言われるのが
こんなにうれしいなんて初めて。

ひゃー、もうダメだ。私、この人にほれてもうた。
頼む、私の誕生日プレゼントに奥さんと別れてくれ。


7月24日

1時間目はひさしぶりにタンタン。

外国人がネイティブだと間違われるほど完璧に英語を
話すようになることは可能か?って質問で、
モニカが、え?ムリじゃん、少なくともフランス人には絶対ムリ!
と、言い切ったのを受けてタンタンが、

僕は可能だと思うよ、英語は5つの母音のほかに音がたくさん
あるからそこがちょっと難しいけど、でもそれさえマスター
すれば、英語なんてすぐしゃべれるようになる。
だからこの前も、ランゲージじゃない、レイングエッジだ、
って何回も教えたんだよ。このメソッドでやっていけば
必ず英語なんてしゃべれるようになるから大丈夫!と、にっこり。

そうか!そうだよね!
タンタンが無駄話することって珍しいからなおさら感動しちゃった。
これからも舌をかみつつがんばろー!

2時間目は、レベル・チェックをしてくれた、アラン・リックマン似の
おじ様。っていうことは今日は生徒会長さんに会えないのね。

カラン・メソッドは基本的に質問も答えも決まってて、
それを何度も繰り返すことによって最終的に英文をまるごと完璧に
覚える、ってのがゴールなんですが、さすがにずっとやってると
飽きてくるしつまんないので、私はなるべく違った答えを言うように
しています。

たとえば、Preparatory "IT" の構文を作れ、っていう質問では
"It is very difficult to understand what he says."
が基本の答えなんですが、それじゃつまんないので私が答えたのは、
"It's almost hard to believe you are not married."

強調するための助動詞を使った文を作れ、っていう質問では
"You never will learn if you don't listen." が答えなんですが、
それを、"You never will see me naked again !" にしたり。

そんなことをやってたらそれが先生たちの印象に残ったみたいで、
そのうちに先生たちが、次に私が何を言うか楽しみにし始めた
らしく、さあー、今日はまちゃみはどんなことを言うかな!
まちゃみに聞いてみましょう!なんて言われるようになってしまいました。

でも1回や2回なら面白いことも言えるけど、カランでは毎日毎日
同じ質問が繰り返されるので、さすがにネタも尽きてきて、

もし誰か撃つんだったら誰を撃つかって質問で
最初はジョージ・W・ブッシュ、って答えて、次はルパート・
マードックって答えたんだけど、さすがに昨日は思いつかなくて
苦し紛れに、『ウィリアム・シャトナー』って言ったら
バカうけでした。

明日は誰って言おうかな、、、。


7月25日

私が借りてるフラットの持ち主は、普段はカントリーサイドに
住んでるおばあ様で、ここの住人のおじさん(彼女の息子さん)
がいないときは田舎から出てきて何やかやと世話を焼いてくれます。

彼女にはメイドがいて、週1回フラットの掃除をしてくれるんですが、
今日はその掃除の日で、たまたまおじさんがいなかったので、
おばあ様がフラットにいて、私も出かけるのが遅くなったので
まだ部屋にいて、メイドのメアリと3人で話すことになりました。

メイドのメアリと言っても彼女自体60才をとおに超えてる
おばあさんなんですが、見事なクイーンズ・イングリッシュを
話す二人の話を聞いていたら、不思議の国に迷い込んだ
アリスみたいな気分になりました。

おばあ様にこれからどうするの?って聞かれて、
またここに帰って来たい、こんなに素敵なところはない、
"Though there are many beautiful places, nowhere on earth
has the same magic as this city."

って言ったら、おばあ様から、よかったら9月からまたここに
戻って住んだら?って誘われる。
8月まではおともだちにフラットを貸しちゃうけど、9月からだったら
空いてるから喜んで、とのこと。

え!9月から?どうしよう!住みたいな!
でもこっちに来るんなら最近出来た彼とは別れなきゃいけないな。
NYにも住みたいけど、NYじゃきっと1ヶ月も住んだら飽きるしな。

そしたらメアリが、まちゃみもこっちに知り合いがたくさん出来たん
でしょ?だったら絶対こっちに住んだほうがいいわよ、って言う。
戻ってきなさいな。私が待ってるから。

『私がここで待ってるから。』
素敵な言葉だな。思わず涙が出そうになる。

テイト・ブリテンに行こうと、サウス・ケンジントンの前で
バスを待っていると、どこかで見覚えのあるチャイニーズの
女の子が歩いてくる。

チャイナ・ドレス姿の彼女はイギリス人の男の人の腕にぶらさがる
ように歩いてて、かなりベタベタ。
誰だっけ?

と、記憶のアルバムをぱたぱたとめくると、
それは最初に見学に行ったおかまの先生がいる英会話
学校で、となり座ったスーザンちゃんでした。

すごい!1000万人以上住んでるこのロンドンで、
一度会っただけの人に偶然再会するなんて。
それに学校はベイカー・ストリート、ここはサウス・ケンジントン。
ものすごい偶然だわー。

スーザンはちゃんと私のことを覚えていてくれて、
学校のこととか、しばらく立ち話する。
でもそれよりなにより何に驚いたって、スーザンの彼!

学校でも私の彼が、なんて言っていたのを聞いていたので、
彼がいるのは知ってたけど、まさかそれがイギリス人で、こんな
いい男だとは。

外国に行くとどんな日本人でももてるというけど、(日本でも外人さんは
それだけでもてるものね)、それはチャイニーズでも同じだったのね!

スーザンでこんないい男をゲットできるんなら私だって。

なーんて一瞬考えちゃいましたが違います。
スーザンは私と違って性格がいいから素敵な彼をゲットしたんですね。


1時間目

教室で一人で授業の準備をしていると、アラン・リックマンが
入って来て、めちゃくちゃ低い声で、「ハロー、まちゃみ」
と、声をかけてくる。

これはなんでかというと、私がきのう "get on one's nerves"
っていうイディオムで、"The tone of English men's voices"
って言ったから。

ベッカムでもわかるように、イギリス人の男の人の声は異常に
高いです。イギリスの天気、とか、交通渋滞、とか
最初は私もそういう無難な答えを言ってたんだけど、
ネタが尽きてきたのでこう言ったら

先生にはそれが衝撃だったみたいで、そのあとは何かと言っては
ちくちくといじめられ、私もいいかげんしつこいから
You can't keep punishing me for what I said in a class !
って言ったのに、まさか今日まで引っ張るとは。

さてはアラン・リックマン、私のことを気に入ったな。なので、
"Your self-deprecation is just the appetiser of your charm."
って言ったらアラン・リックマンはさらにバカウケしてました。
ふふふ、私もイギリス人を皮肉で笑わせられるようになったか。

で実際のこの時間はもうすぐ辞めるからやる気をなくした講師。
おかげで下品な冗談で授業が終始し、ごめん、これが僕から
最後のまちゃみへの誕生日プレゼントだから!

って、おいおい、私の誕生日なんてもう2日も前に終わってるし、
んなプレゼントだったらいらないっつうの!

でも今日偶然この人のミドル・ネームが私が生涯で愛した
たった二人の外人と同じ名前だということを知る。

KAORUさんのところのVOICEで会ったTさんに続き、
私の好きなXXXXXという名前の男は必ず素敵、っていう定説は
これでもろくも崩れ去りました、、、。


2時間目。

私の大好きな生徒会長さん。

私、レッスン中に私はこの人にひいきされてるって、ひしひし
感じるんですけど、それは私の願望による妄想でしょうか?

でもほんと、学校が毎日楽しい。
私が行ってる時間はヘンな時間だからか、クラスメイトは
いつもバラエティに飛んでて、こんな風に世界中の人たちと毎日
話せて私は幸せ。

ううう、やっぱりロンドンに戻ってきてこの学校に本腰を入れて
通おうかな。そしたら私、すごくよくしゃべれるようになるような
気がする。

そんなことを考えながら、再びジュース・バーに行って
1番ジュース(勝手に私がそう名付けて、既にそれで通じるように
なってます。)のテイク・アウェイを頼むと、従業員のお兄ちゃんに
元気かー!と抱きしめられる。

なんだかよくわかんないけど、とりあえずうれしい。
着いた初日は誰も知らなくて好きな先生もいなくて
悲しくて泣いてたのに、今ではここに別れたくない人が
たくさんいるのね。



7月26日

1時間目

ちょっと早めに着いたので授業が始まるまで受付で待っていると
そこに生徒会長さんともうすぐ辞める人が。(この呼び方は
ちょっとヒドイですね。彼の名前はトレバーと言います。)

まちゃみはきのう何をしたの?ってせっかくトレバーが
聞いてくれたのに私は昨日何をしたのかすぐには思い出せず、
ええとええと、としばらく下を向きながら悩んで、そうだ、
そういえばテイト・モダンに行ったんだ!と、顔を上に上げると
なんとトレバーは既にインターネットに夢中。

げっ。
I passed the point where you're interested, haven't I ?
と聞くと、違うよー、まちゃみの答えを気長に待ってたんだよ!
それよりまちゃみのHPのアドレス教えてよ!

え?!

あー!さては生徒会長バラしたな!
いや、でも教えたところで日本語でしか書いてないし、と言うと
トレバーも生徒会長もすごく悔しがって、読みたい!英語に訳して!
とダダをこねる。できませんって、そんなこと。

それからは受付のお姉さんも一緒になって、この学校を
私のサイトを使って宣伝しよう、って話で盛り上がる。
学校の宣伝をするのはかまわないけど、そのために自分のHPを
宣伝するのが嫌だな。だってNOVAで私が限定されたらどうしようと、
考えるだけでときどき眠れなくなるほど小心者の私なので。

そんなこんなで時間になりクラスに行くと今日は私一人。
先生はアラン・リックマン。

かわいそうなことに先生は先日ゴハンを食べてて舌をかみ
早口でしゃべれなくなってしまったので、今日はボキャブラリー
を中心にカンバセーションをしましょう、ということに。

発音とシャドウイングがメインのこの学校ではオチこぼれの
私だけど、ただのおしゃべりだったらまかせて!
いっくらでもしゃべれちゃうわよん!

するとアラン・リックマンは、まちゃみがHP持ってるってほんと?
っていきなり聞いてくる。
一人の先生に言うと、全ての先生に伝わってしまうのは
NOVAに限らずどこでも一緒なのね。

えへへ。ほんとでーす。ちなみにあなたはアラン・リックマンって
名前で私のHPに登場してきます。
そう言ったらアラン・リックマンは大喜び。

先生全員にあだ名をつけてるの?じゃアンドリューはなんて名前?
ってアラン・リックマンが聞いてきて、え?アンドリューって誰?
って思ったらそれは生徒会長さんのことでした。

いや、実は彼には The cutest one って言ったけどほんとは
Class president って名前で、でもやっぱりここはお世辞を
言うべきではないかと思って彼にはウソをつきました。

って言ったらアラン・リックマンはさらに大笑い。

それからアラン・リックマンがどうやって今の奥様と結婚したか
っていう話。

彼の奥様は彼がイタリアで英語を教えてたときの教え子。
最初はお互いに全然しゃべれなかったのに、自分が彼女のために
イタリア語を覚えて、彼女が彼のために英語を覚えて、
少しずつ近づいて行ったんだという。

会う前日に辞書を使ってお互いに手紙を書いてきて
それを元に会って話すのがデートだったんだって。
素敵。

それから気持ちを言葉で伝える限界と重要性について話す。

この学校は授業中に先生の人となりを知ることって出来ないから、
こんな風に話せてうれしいな。なんかイギリスに来て初めて
ちゃんとしゃべったような気がする。深い深い話。

でも途中でアニタが入って来て話が途中になっちゃった。
残念。

2時間目が終わって帰ろうとするとアラン・リックマンに
話しかけられる。
『まちゃみは来週もロンドンにいるよね?日曜日に出発?
まっすぐ日本に帰っちゃうの?』

ふっふっふー。さてはおヌシ、俺にほれたな。
なーんちゃって。
でももし私がいなくなるのを少しでも残念に思ってくれてる
んだったらうれしいな。

そしたら出口のところでもう一度アラン・リックマンに呼び止められる。
さっきの話がすごく面白かったから来週よかったら一緒に
飲みに行かないかとのこと。

え?ほんとに?
もちろん喜んで!

というわけで来週私はアラン・リックマンと飲みに行くことに
なりました。楽しみ。


うきうきして帰る途中いつものジュース・バーに寄る。
今日は野菜系の2番にしてみました。
するとお店のお兄ちゃんたちに、どこから来たの?と話しかけられる。

え?東京?じゃ、日本語しゃべれるの?コニチハ。アリガト!
日本語でさよならってなんて言うの?サヨナラ?

こっちに来てから3週間近く全く日本語をしゃべってなかったから
久しぶりの日本語にまごついちゃった。

いつものとおり、どうもありがとう、って言って出て行くと、
お店のお兄ちゃんたちみんなで盛大にサヨーナラー!と言ってくれる。
うれしいなあ。

フラットのそばで水を買って通りに出ると、台車に乗った水の
ケースが目に入る。

私はやたらと道でモノにぶつかります。
別にぼーっとして歩いてるわけではないのですが、
何かが目に入るとどうしてもそれを目で追ってしまうので
それにぶつかってしまうのです。

自転車が向うから来ると、あ、自転車だ、と思ってずっと見てしまい、
自転車に乗ってる人は私が自転車を見てるので、当然
私がよけるだろうと思ってよけてくれないから、私は最終的に
自転車にぶつかってしまうという、、、

でもあまりにも私が自転車にぶつかるので、私のお兄ちゃんが、
そういうときは自転車から目をそらすといいんだよ。そうすると、
自転車に乗っている人が向うからよけてくれるから。
って教えてくれたので、以来自転車にぶつかることはあまり
なくなったんですが、(でもあいかわらず人にはぶつかる。)

それで今回もこのまままっすぐ歩いて行くと台車にぶつかっちゃう
から水のケースに注目してよけつつ歩いてると、なぜか
水も私がよけた方向に向かってくる。

あれ?どうしてだろ?水を見ているからいけないのかな?と、思い
今度は逆方向に思いっきりさけてみると、やっぱり水も私がさけた
方向に向いてくる。

何度避けても水が私の前方をじゃましてくるので結局水にぶつかって
その時点で初めて水から目をそらして台車を引いてる人を見てみると、
ものすごーくイイ男が、ハロー!とにっこり私を見つめている。

なーんだ、私をからかってこの人が私の行く先をじゃましてたのね。
そんなややこしいことをしなくても聞いてくれれば
電話番号を教えたのに。なーんちゃって、うそ。

明日はアニタの誕生日パーティーに行ってきます。


7月27日

今日はパディントンから電車で1時間ちょっとの
バースってところに行ってきました。

この街は、ローマ式お風呂とロイヤル・クレセントというきれいな
集合住宅で有名です。

私が行くところを決める規準は、そこに美術館があるか、
(博物館はキライ)、もしくは美しい教会があるか、の、二つなので、
どっちの基準も満たしてなかったバースには全然
興味がなかったんですが、

2月にイギリスに行ったとき、バースに行かなかったって
NOVAの先生たちに言ったら、「バースに行かないなんて!」
と、ものすごく驚かれたのと、今回来た当初、ロンドンに
来た目的を失ってしまって24日間も何したらいいのかわからない、
ってSにメールを出したら、「バースに行かないで、することがない
なんて言わせない!」って言われたので、こりゃバースに
行かないわけにはいくまい、と思って行くことにしたのですが、

この日は残念ながら薄曇りで肌寒いくらいでした。

まずは駅のインフォメーションで、どうやらここにはサリー・ルン・
バン(サリー・ルンさんが発明したパン)という銘菓があるらしい
ということを知って、

実は私、イギリスには何度も来てるのに、いまだかつてハイ・ティー
というものをしたことが一度もありません。
甘いものも好きじゃないけど実は紅茶もそんなに好きじゃない
んですよね。

でもこのパンフレットに載ってるサリー・ルン・バンはとっても
おいしそう。スコーンの上にクリーミーなバターがのってて
その上にフルーツジャム。

寒いのもあって、これに紅茶を飲んだらおいしいだろーなー、って
さすがの私も思いました。

で、早速行ってみることにしパンフと同じものを頼んでみたら、
出てきたものはスコーンじゃなくて、これがただのでっかい
丸いパン!

バレーボールくらいの大きさの普通の丸いパンを半円形に切って
トーストしてバターがつけてあるだけ。
で、横には普通のジャム。

、、、、。

いや、でももしかしたら食べてみるとおいしいのかも!
そう思い直してドキドキしながら一口食べてみると、
これが激マズ。

パンにあらかじめつけてあるバターがバターじゃなくてマーガリン
なので、超油っぽい。
まずい。こんなまずいもの久しぶりに食べたってくらい
まずい。でも地方の銘菓なんて多かれ少なかれこんなもの?

気を取り直してローマ風呂の見学。それからカテドラルを観て
ロイヤル・クレセントを観たらもう飽きちゃいました。

つまらん!
なんで外人はみんなここが好きなんだ?!
日本で外人がやたらと日光に行くのと並んでナゾだ!

で、早々にロンドンに帰って来てピカデリーでアニタと待ち合わせ。

アニタは夜、私とは違う学校に行ってて、そこのお友達たちと
今日誕生日パーティーをするというので、そこに私もおみそで
よんでもらったのです。

行ってみると日本人は私一人。ってあたりまえか。
ポーランド人と、トルコ人と、イタリア人に、ハンガリー人に
ブラジル人。

それぞれ紹介してもらうときにブラジル人の男の子にいきなり
両頬をキスをされ、そういうのに慣れていない私はめちゃくちゃ
こわばってしまう。ぎゃー!

アニタには私の誕生日にカードをもらってたので、今日彼女に
日本の和紙で出来たジュエリー・ボックスを誕生日プレゼント
としてあげると、アニタはすっごく喜こんでくれて、

「どうもありがとう!すっごくうれしい!まちゃみにキスしていい?」
だめー!

近くのバーでみんなでお酒を飲んで、アニタのともだちたちは
みんなイイ人ですっごく楽しかったんだけど、このあとみんな
踊りに行くというので、まったく踊れない私はここで先においとま
することにする。

それでみんなにじゃあね、とあいさつすると、じゃあお別れに
ハグ、と言われ、またもや私はぎゃー!

ロンドンはすごく楽しい。
イギリス英語には苦労してるけど、外国暮らし自体にはなんの
問題もなくて、お金さえあればいくらでも住めると思う。

でも本格的に外国に腰を落ち着けるんだったら
この外人特有のあいさつに慣れないと。

私、ほんと、これニガテなんです。だったら口にして、って
言いたくなるくらい、ほほにされるのがニガテ。

そもそも仲のいい講師と街で会っても逃げ回るくらい恥かしがり屋
の私に、外人さんとハグなんて出来るわけがない。
でも口にキスは平気なのよね。このへんの差はどう違うのか
自分でもよくわかりませんが。


7月28日

気がついたらもう長いと思ってたロンドン生活も残りあと1週間。
来週の今頃にはもう飛行機に乗っているのね。
そう思うと今この1分1分が貴重です。

今日はまずロンドン・ブリッジのマーケットに行ってみようと
朝からバスに乗ると、これが暑い!めちゃくちゃ暑い!
ロンドンのバスは日本みたいにクーラーがきいてません。
でもロンドンだろうが東京だろうが夏はやっぱり暑いのです!

うちからロンドン・ブリッジに行くにはまずビクトリアに出て
それからウォータールー行きのバスに乗り換えるんですが、
ビクトリアに着いた時点でもう汗だくだく。

だめだー、こんなんではたどりつく前に死んでしまう、と、
やっぱり地下鉄で行くことにし、で、地下鉄でロンドン・ブリッジまで
行ったものの、地下鉄の駅から外に出てみるとさらに暑さは倍増。

あ、あっつい、、、。

しばらくは歩いてはみたものの、あまりの暑さにへたばり、
こんなんではどこに行ったって何も出来ないと思い、今日は計画を
変更してオースティン・パワーズを観ることにしました。

つまんなかった。
貴重な時間を暑さに負けて失ってしまった。
明日からは恥も外聞も捨てて、日傘を持ち歩くことにしよう。
それにしても暑いよ〜。


7月29日

待ちに待ってた月曜日。
普通の人は土日が待ち遠しいんでしょうが、
学校が楽しくてしょうがない私は月曜日が待ちきれません。

時間通りに学校に行くと、学校の入り口でタンタンと生徒会長が
たばこを吸っている。
生徒会長がたばこを吸うのは知ってたけど、タンタンも吸うのね。
こうなったら私もまたたばこ吸っちゃおうかしら。
そしたら一緒に話せるものね。

てへてへ、と、とりあえず照れながらあいさつをするとタンタンから
「ハーイ!」との国宝級のエンジェリック・スマイルが返ってくる。

くーっ!
かわいいッス。もうたまんないッス。
ああ、ここに写メールがあったらすかさずこの笑顔を写真にとって
ともだちに送っちゃうのに!

そんなことはさておき、アニタが金曜教室にカーディガンを
忘れたというので代わりにレセプションに取りに行く。
土曜日のパーティーのとき、彼女から月曜日に学校に行けるか
わからないから代わりに受け取っておいてね、って
頼まれていたのです。

するとレセプションでは生徒と談笑するアラン・リックマンが。
彼とは今日一緒に飲みに行くことになってるので、
それがなんとなく恥かしい私は彼に見えないようにこそこそ
入っていく。

そしたらレセプションにいたトレバーが私を見つけて
「ハロー、マイダーリン!まちゃみ!」とよりにもよって
大声で私の名前を呼んでくれる。

サンキュー、トレバー、さんきゅー、、。

すると案の定アラン・リックマンが不安そうに私に近寄って来て、
「まちゃみ今日大丈夫?お茶一緒に飲みに行ける?」と聞いてくる。
「あ、はあ。行けます。大丈夫です。なんでもないです。」

すいません。私、恥かしいんです。別に無視したわけではないんです。
NOVAのルールに慣れた私にとって、先生に誘われるのって
やっぱりドキドキ。そのうえそれをレセプションで話すのなんて
いいんかい?ってかんじ。

1時間目は大好きな生徒会長さん。
教室には先客で15歳くらいの男の子が。
ちっ、こいつさえいなければ生徒会長と二人きりだったのに。
なーんちゃって、でもこの男の子もめちゃくちゃかわいいから許します。

で、聞いたらこの男の子はなんとポーランドのチェス・チャンピオン
なんだそうだ。すっすごい!

私はクリスチャンなので皇室や王室の人を尊敬したりしませんが
唯一無条件に尊敬してるのがチェス・チャンピオン!
だってチェス・チャンピオンってスーパー・コンピューターにも
頭脳で勝っちゃうのよ。まじですごいっす。

案の定この男の子は英語も上手。
頭がいいからきっとすぐ英語もしゃべれるようになるんだろうな。

それから授業になったんだけど突然生徒会長から
「なんで俺が生徒会長なんだ!」と聞かれる。

えっ?すごい。全て話しが筒抜け。
「当たり前じゃないか!職員室で話すことっていったら
まちゃみのことばかりだよ!」

、、、。

ささやかながら話題を提供できて光栄です、、、。

今日は関係代名詞の限定用法と非限定用法。
チェス・チャンピオンの男の子は今日が初めての授業なので
今日は私が両方の例を出すことに。

テキストでは、
The book which I gave you was not mine.
Paris, which is the capital of France, is a very large city.
なんですが、この私がそんなツマンない答えを言うわけには
いきません。なので、

限定用法は
You are the teacher who I like the most.

非限定用法は
Elizabeth II, who by the way is my pal, has been standoffish
lately. She hasn't returned my call. I don't know why.

と言ったら先生にバカうけ。

「ほらね、そういうことを言うから僕たちは君の話をせずには
いられないんだよ。」

そのあとは授業そっちのけで、まちゃみはいつ日本に帰るの?
それで学校に来るのはいつが最後なの?仕事があるから日本に
帰らなくちゃいけないの?と質問責め。

ふふふ、さてはおぬしも俺にほれたな。
いや、働いているわけではないので別に日本に帰らなきゃ
いけない理由はないんだけど、飛行機のチケットが30日MAX
だからもう帰らないと、、、。

というと生徒会長さんがものすごく悲しそうな顔をしたので、
「あなたがチケットを買ってくれるんなら喜んで残るけど!」
って言ったら生徒会長さんは、
「もちろん、じゃあ僕はまちゃみのために1万時間残業するよ!」

そんなことしてくれなくても離婚さえしてくれれば私は残るのに。
なーんてことはもちろん言えないので、
"That's very nice of you. Although I don't believe you."


ここからアニタが合流して、2時間目は初日の2時間目を
受け持ってくれた人。
この人はめちゃくちゃ話すのが早いです。
2時間目のクラスはちょっとレベルが低めの人が集まるので、
私とアニタ以外の生徒さんたちは授業が全然わかってなさそう。

そういうわけであっというまにレッスンが終わり
アラン・リックマンがレセプションで待っててね、というので
私はアニタと一緒にレセプションでしばらくおしゃべり。

アニタも一緒に飲みに行く?と誘うと、アニタは
「いや、お二人のおじゃまはしたくないので」

えー、ちょっと待ってよ〜、デートじゃないんだからさー!
そんなこと言われるとプレッシャーがかかるじゃない!
って話をしているところにアラン・リックマン登場。

「エリザベスが最近まちゃみに冷たいんだって?」

、、、。
早速話したのね、生徒会長、、、。

で、結局二人で飲みに行ってみるとなんとアラン・リックマンが
バツイチだということが判明。
え?ってことはこれってもしかしてデートなの?

『まちゃみは普通の日本人と違ってとってもオープンだ。』
いや、それはただ単に私がおしゃべりなだけで。

『日本人の女の子は何を考えてるのかわからないけど、
まちゃみの考えてることはわかる。』
いや、きっとそれは私が単純だからで。

『まちゃみは人を好きだって言える勇気のある人だ。』
いや、っていうか私それは誰にだって言ってるんですけど。

『まちゃみは普通の日本人と違って話すときにたくさん
手を動かすんだね。』
いや、それは私が英語がヘタだからついついボディ・ランゲージに
頼っちゃって、、、って言ってる途中でグワシっと
アラン・リックマンに手を握られる。

あーっ!
『手を使わないでしゃべってごらん。』

えーっ!しゃべれません!っていうかまずいよまずいよ!
先生が私の手を握ってるよ!

『ふっふっふー。さてはおヌシ、俺にほれたな。』
なーんて冗談で思ってたけど冗談じゃなかったのね!

先生が私の手を握ってじぃーっと私を見つめている。
えーっ!これってやばいよやばいよ!
わーっ!


7月30日

私は人よりはちょっとだけ英語を話すのでよくどこかに留学してたの?
って聞かれるのですが実は一度も留学したことはありません。
うちの家族は全員めちゃくちゃ仲がいいので家族と離れたくなかったし
学校のともだちとも別れたくなかったのであえて今まで留学はしてなかったのです。

でも2月3月の日記を読んでもらうと、もしかしたら
わかるかもしれませんが、この頃私はものすごく人間関係に
悩んでいて、息もできないほどつらい思いをしてました。

結局大好きだったイギリスの先生とクラスメイトのあいだに
はさまれて、友情って何?人の気持ちって何?なんて
ものすごく幼稚なことに悩んでたんですが、バカな私にとっては
それでもオオゴトで毎日毎日泣いてました。

タイミングの悪いことにその頃私のともだちも忙しくて
誰にも話せず、毎日毎日ほんとにつらかった。
で、そのとき思ったのです。

私はともだちと別れたくないから今まで留学してなかったけど
そもそも考えてみれば私にともだちなんていないじゃん!

で、それからは行動が早い私。
アメリカに行くかイギリスに行くか、
アメリカに行くんだったらやっぱりワシントンDCで政治の
勉強だろうな、そう思って、5月に下見に行ってきたのです。

ところが、行ってみたワシントンDCはかなり精神的に
つらいところでどうしても私は好きになれず、その上私はそこで
ある人と出会ってその人が好きだと思ってしばらくデートを
してたんですが、結局、イギリスの先生に冷たくされたことに対する
穴埋めとしか彼のことを見てないことに気がついて
その人をものすごく傷つけて終わりました。

で、留学するんだったら絶対NYにしようと心に決め、
その前に大好きなイギリスの先生に会うために、
(結果的には会えなかったけど)1ヶ月だけロンドンに
来ることにしたのです。

ところが短期の予定だったここロンドンにたくさんともだちが出来てしまった。

きのうまでは次は絶対NYだ、NYに行こうって思ってたんだけど、
この日、私が世界で一番美しい建物だと思うビッグ・ベンを見ていたら、やっぱりロンドンに住みたい、って思ってしまいました。

こんな美しい街ってない。
あと4日で帰ってそしたらもうここには帰ってこない、
そんなこと絶対考えられない。

この日はそんなに暑くなかったこともあって
1時間くらいずっーとビッグベンを眺めて考えてました。


時間になって学校に行く途中、そうだ、たばこだと思い出し、
生徒会長と連れたばこをするために、めちゃくちゃ高い
たばこを買っていく。(なんとイギリスではたばこが1箱
1000円もするのだ。)

するとラッキーにも生徒会長が入り口のところで生徒の一人と
たばこを吸っていて、私は喜びいさんで早速買ってきたたばこを
生徒会長に
じゃあん!と見せる。

私がたばこが嫌いなことを知っている生徒会長は
なんでまちゃみがたばこなんかを持ってるの?と驚いている。

何言ってるの?私はヘビー・スモーカーなのよ!火を貸して!
と言うと生徒会長はうそつけ、俺はそんなの信じないよ、
だいたいたばこの持ち方が間違ってるし、と、たばこの持ち方を
手取り足取り教えてくれる。生徒会長の手が私に触れる。
うう、うれしい。これなら1000円の価値があるというもの。

うー、ごほごほごほ。
やっぱり私にはたばこなんて吸えないわ。
でも一応平気な顔しながらたばこを吸っていると
『あ、そうだ!』、と、生徒会長がいきなり、
『アラン・リックマンからまちゃみへの手紙を預かってるんだ。』


え?手紙?

手紙って何?衝撃を受けている私を残し、ちょっと待っててね、と
生徒会長は手紙を取りにいってしまう。


え?手紙?なんで手紙?どんな手紙?

すると生徒会長が持ってきてくれた手紙は、メモみたいなはしきれ
じゃなく、ちゃんと封をしたびんせんに入った手紙。

何これ、
超深刻じゃん!
こんなめちゃくちゃ深刻そうな手紙をよりにもよって生徒会長に
渡すなんて。

とてもじゃないけどこわくて生徒会長の前では開けられませんでした。
私の気持ちを知ってか知らずか生徒会長は、じゃ僕は
もう行かなくちゃ、と戻ってしまい、おかげで私も手紙の衝撃と
たばこの影響でフラフラしながら教室に行く。

1時間目の先生はお調子者のトレバー。
まずきのうは何したの?とトレバーが聞いてきて、隣の女の子が
パブに行ったって言うので、私も、と言うと、トレバーが
『アラン・リックマンとでしょ?マッサージしてもらった?』

、、、、。

アラン・リックマンの本業は実はシアツなのですが
なんか今のトレバーの質問にはそれ以外の深い意味があった
ような気がするのは私の被害妄想?
少なくとも一緒に飲みに行ったってのは知ってるのね。


2時間目はきのうの早口の先生。

account って言う言葉にはストーリーっていう意味もあります。
じゃあまちゃみ、きのうのまちゃみのaccount をしろ、と当てられる。

げげげ。よりにもよって私が当たるなんて。
それともこの人も実は何か知っててわざと聞いてきたのかな。

"I went out to have a drink with Alan yesterday.
I got drunk very badly and became a drunken slut."

と言ったらみんなが引いてしまったので、
Which is not true. I made that up.
って言っておきました。


夕方アニタが行ってるもう1つの学校に遊びに行く約束をしていたので
それまで近所のジュース・バーで時間をつぶすことにしました。

するとお店のお兄ちゃんがそばによってきて挨拶をしにきてくれる。

で、しばらく一緒に話していると、こうやって話すのって楽しいよね、
ってお兄ちゃんが聞いてきたので、そうね、楽しいわね、って
言うと、お兄ちゃんによかったら今日このあとお茶でも飲みに
行かないかい?と誘われる。

え?それってデート?

よく考えてみればこのとき断るべきだったんだろうけど
まあ、いつも行ってるジュース・バーのお兄ちゃんだし、
お兄ちゃんはお酒を飲まないというので最悪でもきのうみたいな
ことにはならないだろうと気軽な気持ちでOKしました。


で、行ってみたユーストンにあるアニタの学校はアドミがめちゃくちゃ。
時間通りに授業が始まらないし、教室も決まってないから生徒は
自分のクラスを探してさまよってるし、生徒名簿もないから
生徒でもない私がクラスにいても先生は気がつかない。

クラスはこの日16人いたんだけど、この中でちゃんと授業料を
払ってるのはきっと半分以下だと思う。

で、この日のテーマは仮定法で、お金があったら、っていう話。
私とペアになった子は日本人で、とっても英語が上手いんだけど、
私が一番こうなりたくないな、っていう英語を話す人。

乱暴に話せばそれが英語らしく聞えるって思ってるタイプで、
テキサス辺りの頭の悪いコミュニティ・カレッジを出た人の
英語みたい。

本気でそう思ってるのかそういう風に言えば外人らしく聞えるって
思ってるからそう言ってるのか、とにかく世の中はお金よね、
お金さえあればどんな夢だってかなうし、
私はどんなにお金があっても余るって思うことはないわ、
なんて言うので、私は絶句してしまいました。

お金の話は本当に私を悲しくさせる。

それを聞いてた先生がここの二人はお金があってもあっても
満足できないって思ってるのよね、なんてクラスの前で言うので、
さすがに私もこれは黙っていられないと思い、

『私はそんな風に思ってない。
みんなお金があったら世界旅行がしたいとかいうけど
だいたい世界旅行なんてお金がなくたって出来るじゃない。お金が
ないからできないなんて言うのは自分に勇気がないことへの言い訳
だと思う。そもそも世界旅行ったって一体どこまで旅行するつもりなの。
毎日旅行してたら結局それが日常になるだけの話じゃない。
お金がないから自分の人生が満たされてないってもしあなたが
本気で思ってるんだったら今のあなたに足りないのはお金じゃない。
あなたにはもっと大事なものが足りてないのよ。』

と一挙に言うとみんなシーン。

やべえ。やっちまったか?

でもここでちょうどブレイクになり、私はカフェのお兄ちゃんとの
デートがあるからおいとますることにする。

アニタにきのうのことを聞かれたので、実は、、、と話すと
アニタは超驚いてた。そりゃ驚くよなー。私も驚いたもの。

でついでにジュースバーのお兄ちゃんにナンパされたから
今からゴハン食べに行って来る、と言うとアニタは
うひゃうひゃ言って大喜び。
"Go! Japanese Girl! Go! Knock him dead!"

今日はキスしないように気をつけとくよ、、、。


待ち合わせの場所に行って見るとお兄ちゃんが私に
駆け寄っていきなり頬にキス。ぎゃー。

このお兄ちゃんはイタリア人で、レストランに行っても椅子を
ひいてくれるはなんでもおごってくれるわ、何かと言っちゃあ
君はきれいだって言うわ、ザ・イタリア人!ってかんじ。

ごはんを食べたあとレスター・スクウェアを歩いていると
そこにお花屋さんがあって彼にいきなり手を握られて、
『僕がまちゃみに花を買うことを許してくれるかい?』

えっ?!
あ、いや、そんな気持ちだけで結構です!

『君に花を買えないならじゃあ僕はどうやったら
君をハッピーに出来るんだ?』

私、ハッピーですっ!じゅうぶんハッピーですっ!

『それはわかってるよ、そうじゃなくて君をハッピーに出来ないなら
どうやって僕がハッピーになれるんだい?』
と抱きしめられる。ぎゃー!


誤解のないように言っておきますが、私はこのイタリア人の
お兄ちゃんにもアラン・リックマンにも、私には日本に彼がいること
を言ってあります。

それなのになぜ?
私ってそんなに頭悪そうに見えるんでしょうか?

きのうの夜別れるときにアラン・リックマンから、僕はまちゃみが
とってもセクシーだと思う、もう僕にはまちゃみはそういう風にしか
見れない、だから君とはともだちにはなれない、僕との関係を
どっちにするか君が決めてくれ、って言われました。

私が悪いのかな。
思わせぶりな態度を取ってるつもりはないんだけど(生徒会長に
対してだけは除く)、どうしてこう毎回こういうことになってしまうのか。

私がセクシーだからともだちにはなれない、って一瞬ほめ言葉の
ようにも聞えるけど結局、そういう対象としてじゃなかったら
私なんて人間として付き合う価値がないってことよね。

私はめんどくさくなってしまい、イタリア人の彼には
もうおうちに帰りたいって言いました。
彼は私が住んでるナイツブリッジまで送ってくれて

最後は絶対キスが来る!って思ったんだけど、私の強烈な
『お願い!今日はキスしないで絶対キスしないで』光線が効いたのか
『君が9月に戻ってくるのを楽しみにしているよ』、って
抱きしめられただけで終わりました。
おかげで私はほっと胸を撫で下ろす。


、、、、。

こんなの絶対バカげてる。
私、ここで一体なにやってるんだろう?

私がロンドンに戻ってきたら絶対アラン・リックマンは
それが答えだと思うよな。

めんどくさいな。
もう誰も知らないところに行きたいな。
ニューヨークに行こうかな。

でもきっとニューヨークに行っても私は同じようなことを繰り返して
悩むんだろうな。ワシントンDCでしたように。ロンドンで今しているように。
誰も知らないところに行ってもきっと私は私にしかなれないのね。

今日の授業中、たばこを吸ってた私を心配して生徒会長が
クラスをのぞきに来てくれたときの顔を思い出す。

Tell me, Who I have to be to get some reciprocity,,,


7月31日

私がロンドンに来てから3週間、今日初めて雨が降りました。
2月に来たときもロンドンでは一度も雨が降らなかったので
私にとっては実はこれが初めての雨。
大好きなイギリスの先生が昔、ロンドンは雨が降ってても素敵だ
って言ってたけどほんと。ロンドンは雨が降ってても素敵です。

今日の1時間目もトレバー。

えー、またー?もう飽きちゃったよ。
というわけでこの時間私はめちゃくちゃやる気なしモード。
学校は金曜で終わりだから全部合わせてももうあと5時間しかない。
もしかしてもう生徒会長さんとは授業では会えないのかな。
そう考えると一挙に悲しくなる。

私は全然やる気がなかったんだけどトレバーはノリノリで
このクラスってほんとに面白いよ、毎日担当がこのクラスだったら
俺はこの学校辞めなかったのにな、なんて言ってて、
光栄だけど、もしそうなったら私がこの学校を辞めてるよ、
なーんて私はひとりごちてしまいました。


ブレイクでモニカがたばこを吸いに行くと言うので
Can I join you?
と言って私もついて行く。

私がたばこを嫌いな知っているモニカは私がそう言ったのに
ものすごく驚いて、たばこを吸うなんてバカだまぬけだ、辞めろ、
いつから吸ってるんだ?え?きのう?何考えてるんだ!
と私が吸ってるあいだずっと横で説教。

自分は辞めたいのに辞められなくて苦労してるから
私のためにほんとに辞めた方がいいと思ってくれてるらしい。

私だってたばこは嫌いだけどでもこのたばこを吸ってる人たち
特有の連帯感はたまんないわよね。
実は黙ってたけど私も吸うんだよね、と、アニタも加わって
違うクラスの生徒さんたちも一緒になってみんなで
私にたばこの吸い方を教えてくれる。

うふふ、楽しいなあ。
ロンドンの片隅で世界中の人と一緒にたばこを吸うなんて。

この学校の何が好きって、絶対国同士で固まらないこと。
それなりに私以外の日本人は結束してるみたいだけど、
この学校は固定したクラスがないので、わけへだてなく
クラスで会った人とはみんなともだちになっちゃうのだ。

でも調子に乗って吸ってたら足腰が立たなくなるほど
気持ち悪くなってしまい、私だけ先に教室に帰ることに。
うう、まじで気持ち悪いわ。

教室は3階でからだをひきずるように階段を這い上がって
行くと途中でラウンジに座っていた生徒会長と目が合う。
なので自分が吸ってたマルボロを先生に投げる。

『私はもう今日で禁煙するからいらないわ。』
すると生徒会長さんはすごく喜んで、そうだそうだ、まちゃみは
吸っちゃだめだ、と言ってくれる。
ほんとはもっと話したかったけどダメ、気持ち悪すぎ、、、。


2時間目もきのうと同じ早口の先生。

この先生はうちのクラスの人には恐れられてるみたいだけど
私は大好き。だって私に好きに話させてくれるんだもん。

でも今日は人数が多かったせいかあんまり授業が
上手く進まなくて最後に先生が落ち込んでいたので、元気付けようと

あなたが先生だと授業がいつも面白いわ、というと
先生はちょっと驚いて、僕もまちゃみを教えるのは毎回楽しいよ、
なんて言ってくれる。うふふ、それは絶対うそだと思うけどうれしいな。


このあとは、きのうのイタリア人にとっておきの野菜ピザを
まちゃみにごちそうしたいから絶対今日来てね、と言われていたので
アニタを誘って行くことにする。

でも帰り際生徒会長がたばこを吸いに行こうとしているの発見!
「ちょっと話したいことがあるんだけど!」
と言って無理やり一緒について行く。

「何?何か悩み事?」
生徒会長の青い目が心配そうに私を見てる。
ただ話したかっただけで特に話したいことがあったわけでは
ない私はそんなことを聞かれて超あせり、

思い余って唯一口から出てきたのが、
「壁をなめたことってある?」

、、、最悪。

私ったら何言ってるのかしら。
そのあとはまちゃみはたばこなんか吸っちゃだめだ、
とまたもや説教され、話は終わる。
生徒会長と一緒のときくらいもうちょっと気の利いたことが
言えたらいいのにな。


そのあとはアニタとカフェでピザを食べながらお互いの
恋愛話に盛り上がる。

私の生徒会長さんへの気持ちを知っているアニタはいろいろ
心配してくれて、私はそんな気はなかったのにアラン・リックマン
とこんなことになってしまい、私の何がいけなかったんだろう?
なんて話していると、

私がアイスティーが飲みたくて苦労してることを知っているイタリア人が、私にお手製のアイスティーを持ってきてくれて、お味はどう?と
聞かれた私は、『甘さと酸っぱさがちょうどよくてまるで
あなたみたいね。』、なーんて言ってしまう。

はっ!
これがいけないんじゃん!
どうして私は心にもないことを言っちゃうんだろう。
考えてみれば今日の早口の先生にだって、
たいしてそう思ってるわけでもないのに平気で、
それも面と向かってほめてしまう。

そりゃ誤解されたって文句は言えないよなー。
でも私はこういうことを言わずにはいられないの。
だって私がちょっとおおげさに言うことでその人の1日が
ハッピーになるんだったらこんな簡単なことはないじゃない?

それからはアニタが違う学校で言い寄られてる話。
なんと彼女はパーティーで私にいきなりキスしてきたブラジル人に
毎日強烈に口説かれて悩んでるんだそうだ。

でも悩んでるのは口説かれて迷惑、だからじゃなくて、
どうやって彼を本気にさせずに彼と体だけの関係を持つか、
ってことに悩んでいるらしい。何それ?!

アニタにはハンガリーに結婚したいと思ってる彼がいるんだけど、
彼は自分にとって初めて出来た彼だからこのまま結婚しては
絶対一生悔いが残ると思い、このロンドンでアドベンチャー
を体験することに決めているんだそうだ。

えええーっつ!
それってびっくり!私には考えられません!
でも確かにブラジル人の彼は私でもちょっとふらっとしちゃうくらい
かっこいいんだよな。私の好みじゃないけど。

まじっすか?!
このあとのアニタの話もびっくりすることばかり。
日本人とばっかり付き合っていては聞けない話だよなあ。
というわけでこの日はアニタと恋愛話で盛り上がり
楽しい夜となりました。

でも最後アニタと別れるときまたもやアニタが、
「まちゃみにキスしていい?」って聞いてきて、
私はやっぱりダッシュで後ろ向きに逃げてしまいました。

今回こっちに来て、私でも外人さんとともだちになれることが
わかったけど、このキスだけはどうしても慣れない。
あいさつのキスを教えてくれるところがあったら私、
通っちゃいそうよ。


8月1日

1時間目は再びトレバー。
この日もあいかわらずふざけまくり。

私があきれてむっとしていると、
なんでまちゃみは俺のことを見つめているんだ?まちゃみ、
まさか俺のことまで好きになったりしないよな?
(俺のことまで?ほかに私が誰を好きだって言うの?)

それで私が、『あと5分もしたらあなたのことを好きになっちゃいそうよ』
と言うとトレバーは、今日は忙しいからあとにしてくれる?
って、はいはい。

2時間目は大好きな生徒会長さん。

あんなに私に優しかった生徒会長さんが最近私に冷たい。
それはアラン・リックマンが私宛ての手紙をこの人に渡すように
頼んでから。

そもそもなぜアラン・リックマンが私に手紙を書いてきたか?
それはアラン・リックマンは火曜日の午前中に仕事をしたあと
リバプールにサッカーの試合を観に行く予定が入っていたので、
火曜の午後以降にしか来ない私とは木曜まで会えないから、
ロマンチックなことに彼は手紙を書いてきたのです。

それでもやっぱり私はこの人の授業が一番好き。

この人の授業を取れるのももしかしてこれが最後かも、
そう思いながら生徒会長さんを見つめていると、
俺をそんな目で見るな、と生徒会長さんから無言の
訴えが、、、。

私はちょっと傷付いて教室から出て行くとレセプションのところで
アラン・リックマンが私を見つけてとろけそうな笑顔で私の
ところまで飛んでくる。

お願い、私をそんな風に見ないで。

今日は8時半まで仕事だと言うので
8時半にコベント・ガーデンで会うことにする。


明日アニタは学校に来れないというので今日でアニタとは
最後。ユーストンまでアニタを送っていって、それでも
名残惜しくてアニタと思わず抱き合ってお別れをする。

私がハグがにがてなのを知っているアニタは、まちゃみが
ここまでしてくれるなんて、ってめちゃくちゃ感激してくれる。
大事なことはそう簡単に口にするもんじゃないって
イギリスの先生は言ってたけど、このことだったのね。


8時半になってアラン・リックマンとミート。

アラン・リックマンは私を見てとろけそう。
でもこの人の想いにどう答えたらいいのかわからない私は
ついつい彼に冷たく当たってしまう。

まちゃみは月曜日にこう言ってたんだよ、
その気持ちはうそじゃないんでしょ?こうも言ってたんだよ、
覚えてる?

確かに言った。それは覚えてる。
でもそう言われても私はどうしていいかわからない。

私は月曜日この人に"I like you." って言いました。
でもそれは私が普段、AやMに言ってる気持ちと同じで、
「お父さん、大好き!」レベル。

英語では "I love you,"はよっぽどのことがない限り
使っちゃいけないってのは知ってたけど、"I like you." まで
そんなに深い意味があるとは知りませんでした。

"I like you."が使えないんだったらどうやって
私がこの人をいい人だって思ってるって
伝えたらいいの?

"You have to consider the quality and validity of the emotions
you can do express."

『言葉で伝えられる気持ちの限界を考えろ』
またもやイギリスの先生の言ってた言葉を思い出す。
私の大好きなイギリスの先生が言うことっていつも正しいのね。

"I don't choose my words that carefully."
でももしそんなつもりじゃありませんでした、って
言ったらそれはそれでうそになってしまうし、
でももし私が本気で好きだって言ったらどうなるの?
私はあと2日たったら日本に帰らなきゃいけないのに
そんな私にどうしろって言うの?

煮え切らない私の態度についにアラン・リックマンは怒って
私をレスタースクウェアに一人残して帰ってしまう。

『俺は紳士だからよかったようなものの、まちゃみのような
態度は人に誤解されても文句は言えないから気をつけないと
ダメだ!これからは酒場の席で男に心にもないことを言うな』

がーん、、、。

英語って難しい。
いや、英語に限らずコミュニケーションって難しい。

木曜日のレスタースクウェアは人ごみとネオンで昼間のよう。
一人で歩いてるといろんな人に声をかけられる。
一緒に飲もうよ、こっち向いてよ、どこ行くの?

やめて、私をそんな風に見ないで。
私って最低、、、。


8月2日

ロンドンに戻ってくるべきか、NYに行くべきか。
最近の私が考えると言ったらこのことばかり。
この日学校に行く途中のバスの中でも、私はこれから
一体どうしたらいいのか、日本にいる彼のこと、きのうの
アラン・リックマンとの出来事、自分の将来のこと、
あれこれ考えても全くわからずどんよりしていました。

ロンドンは大好き。でもそもそも私は留学がしたかったわけじゃなく
大好きなアメリカのポップ・カルチャーに好きなだけひたりたい
ってのが9月からNYに行こうと思ってた理由なので
ロンドンに来ても私の欲しいものは得られない。

でもやっぱりロンドンに帰って来たい。
ともだちも出来たし、私はほんとうにこの街が好き。

でもどうしても踏み切れない。
何か理由が欲しい。何か私がここに帰ってこなきゃいけない理由が。


そんなことをぼーっと考えながらバスに乗っていたら
突然くしゃみがでてきました。
そのときです。
私がロンドンに戻って来ようと決めたのは。


そのとき私の隣に座っていた女の人が
"Bless you"
と私に言ってくれたから。


くしゃみをして誰かが"Bless you"って言ってくれたら
ロンドンに戻って来よう、なんて思ってたわけではありません。

その女の人が言った"Bless you"も何かが特別だったわけでなくて、
私が横を向いてその女の人に "Thank you" って言おうとしたら
その女の人は全くの無関心で私の顔さえ見ていなかったくらい。

きっとたぶん彼女にとっては"Bless you"は誰かがくしゃみをしたら
無意識に口から出てくるなんでもないフレーズなんだと思います。


でもだからこそ思ったのです。

ロンドンに戻って来よう。
ともだちがいるからじゃない、ましてや好きなイギリスの先生に
会いたいからじゃない、誰がいても誰がいなくても、このロンドンの
この優しい人たちがここにいる限り私はここに戻ってくるんだ。
そう思ったのです。


私は感動して、たった今私に起きたこと、私がこの隣の女の人の
おかげで決められたことを、彼女に言わずにはいられませんでした。

『すいません、奥様、たぶん突然こんなことを言っても
理解出来ないかと思いますが、実は今あなたは私の人生を
変えたのです。

私は9月から留学するつもりで、でもNYにするかロンドンにするか
決められずずっと悩んでいました。でも今、奥様が私に、
"Bless you" って言ってくださったとき、私は決めました。

ロンドンに戻ってくることにします。
それはなぜなら私はこの美しい街と美しい人々が好きだから。
奥様が私に"Bless you"って言ってくれたとき、その優しさに
私は動かされました。』

と、ここまで一挙にまくしてたらその女の人に、honey, but wait,,,
って言われたんだけど、でもどうしても私は今のこの気持ちを
わかってもらいたくてそのあとも私がいかにこの街が好きか
ってこと、私がどんなにここで素敵な人たちに出会ってそのことを
いかに感謝しているかってことを興奮ぎみ話し続けていたら

その、40才くらいのボニー・ハント似の女の人が、

『ハニー、ハニー、ちょっと待って。ちょっと落ち着いて少しだけ
私の話を聞いて。私があなたの何かのお役に立てたんなら
私もうれしいわ。でもね、ごめんなさい。ハニー。
私はイギリス人じゃなくてNY出身のアメリカ人なの。』

えーっ!


そっそんなバカな!
そんな偶然ってあり?!

確かに観光客の多いロンドンだけど、私の隣に座って
"Bless you" って言ってくれた人がフランス人とかイタリア人とか、
ましてやテキサス出身とかカルフォルニア出身じゃなくて
よりにもよってNY出身って、その確率って一体何億分の一?!

私はあまりの偶然に大笑いしちゃいました。
これは結局、私にNYに行けっていうこと?
あはは!わからん!

で、私は思いました。
"I love my life."

私の人生ってほんと面白すぎ。
きのうの夜はアラン・リックマンにレスタースクウェアで
見捨てられて文字通り路頭に迷ったけど、
大丈夫。私の人生、捨てたもんじゃありません。
というわけで朝とは打って変わって明るい気持ちで学校に向かう。


学校に行くと生徒会長さんがビルの入り口でたばこを
吸っている。

ロンドンはそのたばこの値段の高さになぜか比例するように
喫煙率が異常に高く、たばこを持って歩いてると
いろんな人が火を貸してくれます。
へたするとホームレスの人まで火を貸してくれちゃったりして
私はずいぶんこれでロンドンナーとおともだちになりました。

でもこの日はなぜかまわりにたばこを吸っている人が全く
見つからず私はたばこをくわえたまま学校に着いてしまいました。

それを見た生徒会長さんがすかさず私の口からたばこを抜き取り
自分のたばこケースにそのたばこを入れる。

『どうしてなんだ?まちゃみ?俺にはまちゃみが理解できない。』

それは私があなたが好きだから。
大嫌いなたばこを吸ってでもあなたのそばにいたいのよ。

とはさすがの私にも言えなかったので、

『最後の思い出にウソでもいいから、「君と先に出会ってたら
僕は君と結婚していたよ。」って私のビデオに言ってくれないかしら?』
と頼むと先生は、

『仮定の話か、仮定の話だったらなんでも出来るよね、
僕も君とはいつか会えるような気がするよ。
たとえば来世とかでね。』

火曜日に手紙を渡してもらって以来、生徒会長さんは
私に冷たい。

『まちゃみは今日で最後なんだよね。』
『そうよ、もし私が好きなら"You have to grab me now."』
と、言うと生徒会長さんは

『どうしてまちゃみはそういうことを言うんだ。
写真を撮りたいんだったらみんなで撮ろう。』

と吐き捨てるように言って私を置き去りに行ってしまう。
どうして?なんでそんなに冷たくなってしまったの?


教室に行くと先生はアラン・リックマン。

先生はお願いだから俺を傷つけないでくれ、って顔して私を見てる。
Who is hurting who?
傷つけたのはあなたなの?私なの?もうわけわかりません。

でもそのあとアラン・リックマンは精一杯の笑顔で私に
あいさつをしてくれて私はそれで泣きそうになる。

久しぶりに受けた彼の授業はやっぱり良くて、
私がこの人となんでお茶を飲みに行ったのかを思い出させてくれる。

あまりにもいろんなことがいっぺんに私の周りに起きたので
大事なものを見失ってたけどやっぱりこの人はいい先生だ。
そもそも私はこの人にお茶に誘われたときうれしかったはず。


"Watch one's step"という慣用句には、文字通り足元に注意
っていう意味と、用心する、っていう比喩的な意味があるんだけど
最初に当てられたチェス・チャンピオンの子が、足元に注意、
っていう意味しか言わなかったので、私は、

『きのう優しいイギリス紳士が私にWatch your step、そうじゃないと
誰かが私の心を傷つけるから、って教えてくれました。』

って言おうとしたらアラン・リックマンが、

『"Watch one's step" にはもう1つ意味があって、たとえば、
「日本人の女子生徒とデートするときは"Watch your step"
日本人の女の子は心にもないことをデート中男の人に
平気で言うからね。」という風に使います。』

と言って私にウィンク。
げっ。
参りました。


2時間目は早口の先生。

今日このレッスンで私、最後なの、もうみんなともお別れ、って
ちょっとぐすんぐすんしながら言ったら
なぜか先生は信じてくれず、そんなこと言ってどうせ
まちゃみは月曜日来るんだろー、じゃあまた来週な!
って大笑いしながら帰ってしまう。

そっそんな、ほんとなのに。


というわけで私は一人残され、呆然として帰ろうとすると
教室の外にアラン・リックマンがいて、今日はこれで終わりだから
ちょっと待ってて、とのこと。

建物の出口に行くとそこにはトレバーが。

『まちゃみは今日で終わりなんだろ?
ロンドンに来たときは絶対また遊びに来いよ。
まちゃみを教えるのはほんと楽しかった』
と抱きしめてくれる。

わーん!帰ってくるよ、必ず帰ってくるよ!

それを見た早口の先生が、え?ほんとにまちゃみ、
今日で終わりなの?(だから言ってるじゃん!)
そんなこと言って月曜来るんだろー、でも万が一まちゃみが月曜に
来ないときのため言っておくけど(だから来ないって!)
まちゃみは僕を本当に楽しませてくれたよ。
みんなと連絡を取り続けなよ、じゃあね!

ジーン、、、。


そこへアラン・リックマンが登場。

泣きそうな顔をしている彼に私はまず謝る。

ごめんなさい、きのう私はあなたにひどいことをしました。
月曜日に私があなたに言ったことはうそじゃないです。
私はあなたが好きです。そしてたぶん明日もあなたが好き。
でも明後日もあなたが好きかどうかわからない。
だってそれは誰にもわからない。そうでしょう?

これで彼が私の気持ちをわかってくれたのかはよくわかならない
けど一緒にパブに行っていろいろ話す。

で、そのときに彼が生徒会長さんとは大親友で、
私とのことを全部話していたことを初めて知る。

『まちゃみと月曜日にPassionate kisses を交わしたって
言ったけど。』

げー。

そんなことも知らずに私は変らず生徒会長さんには
あなたが一番好きだ、って言い続けてました。

そうか、そうだったのか。
生徒会長さんが私にずっと言い続けてた
『どうしてなんだ?まちゃみ?俺にはまちゃみが理解できない。』

ってのは、まちゃみは俺のことが一番好きだったはずなのに、
なんでアラン・リックマンとキスなんてしたんだ?
彼が好きならなんで俺に変らずそういう態度を取り続けるんだ、
って意味だったのね。

がーん、、、。

月曜日が取り戻せるんだったら私は最初からやり直したい、、、。


8月3日

最終日。
今日はNOVAの元講師Sが私のロンドンのフラットに
泊まりにやって来ました。

テート・ブリテンで私とSの好きなルシアン・フロイトを観た後
コベント・ガーデンに行って、そのあとちょっと時間があったので
ジュース・バーのイタリア人に最後のお別れを言いに行きました。

SはNOVAでフランス語をちょっとだけ習っていたので、じゃあイギリスに
英語の勉強をしにきて私とともだちになったミシェールってことにしよう、
ってことでイタリア人に紹介したら、なんとイタリア人がフランス語が
ぺらぺらだっていうことが判明。

X▽?□!!*☆?△
(↑私はスペイン語選択だったので何言ってるのか全くわからず)
と、フランス語でSに話し掛ける。

Sは泣きそうな笑顔で笑ってごまかしてました。
悪いとは思ったけど大笑いしちゃった。

さあもう時間だというときにもう一人のイタリア人のお兄ちゃんが、
今夜はまちゃみのロンドン最後の夜なんだからお祝いしなきゃ
ダメだ!お前、シャンペンを買ってまちゃみを連れ出してやれ!

するとイタリア人が小さな声で、今夜僕と二人で会ってくれる?
と、ダンボールの中の捨て猫のような目で私を見ながら誘ってくるので
もちろん答えはNOだけど、いってもたってもいられず
私は彼を思いっきり抱きしめてしまいました。

『必ず帰ってきてね。9月になるのを待ってるよ。
僕がどこにいるかはわかってるよね。』

うんうん、帰ってくるよ。必ず帰ってくるよ。

それを見てたSが、まちゃみはあのイタリア人の男の子のことが
好きなんだね、と言うので、そうか、そうだな、私は
私なりにあのイタリア人の男の子が好きだったんだな、
ってことに初めて気がつきました。

じーん、、、。
よかった、最後にお別れを言うことができて。


観光したあと夜フラットに戻って荷物のパッキングをしていたら
思わず涙が出そうに。

24日間、ほんとうに楽しかった。
ロンドンにはもう一度戻ってきたい、でもニューヨークに行くにしろ
ロンドンに行くにしろ、日本にいつか帰る以上、私はまたこんな
風に泣くんだな、24日間でこんなにツライんだったら
留学なんてしたらどれくらい泣くんだろう?そんなの嫌だな、
留学なんてするのやっぱりやめようかな、

そんなこと考えながらうるうるパッキングしていると
そこに大好きなイギリス人の先生からメールが。

日本最後の日に私と会う約束を破って、私にさよならを言う
チャンスさえ与えてくれずに私の心をずたずたにした人が、
1ヶ月もたって突然メールをくれるなんて、それもよりにもよって
私のロンドン最終日の夜にメールをくれるなんて。

メールには一言、

ill mail something more when i escape this island. if ur still in London, go to Sir John Soane's Antiquary, near the law courts. love XXXX

とだけ。


ジョン・ソーン博物館に何があるっていうの?
彼は私にそこで何を観てもらいたいっていうの?

わからない!
そして今は夜の11時。
もちろん博物館なんて閉まっています。
そして私は明日の朝出発なので明日行くことも出来ない。


今から行ったって何も観ることはできない。
でも今ここで行かなかったら私、絶対後悔する!

さっきまで泣く寸前だった私は、
"I know this sounds so lame but he rocks my world this way."
と言って驚いてるSを残してフラットを飛び出し
雨のロンドンをタクシーで飛ばしました。


私は絶対ここに帰ってくる。

タクシーの中からロンドンの街並みを観ながら
"I don't miss anything."
そう思いました。

何故なら私は絶対ここに帰ってくるから。

私は絶対ここに戻ってくる。


8月4日

今日でほんとにロンドン最後。
荷物をかたずけタクシーが来るまでジュースを飲みつつSと話す。

日本に帰るのがうれしい?
それともロンドンから離れるのがさびしい?

そうSに聞かれて、でも私の中ではそのときにはもうロンドンに
帰ってくるつもりだったので、さみしくもないしうれしくもない。
日本には足りなくなった化粧品を取りに戻るようなもの、
って言いました。

というわけでSとも、じゃあ今度は9月ね、なんて
気軽にお別れをする。

結局きのうパッキングしてるときに一瞬泣きそうになっただけで
ロンドンにいるあいだ、一度も泣かなかった。
泣き虫の私にしてはこれはすごいことです。

晴れやかな気持ちで私はヒースロー空港に向かう。

チェックインしてゲートに入るセキュリティ・チェックで
自分の順番が来るのを待ちながら、アラン・リックマンのことや
アニタのこと、生徒会長さんやイタリア人の男の子のこと、
日本に帰ったらどうしよう、そんなことを考えていたら
どこかから赤ちゃんの泣き声が。

私にはおいっこが二人いるので特に赤ちゃんの声を
うるさいとも思わず全く気にしていなかったんですが、
でも確かにその赤ちゃんは私のうしろのほうでずーっと
泣きっぱなしで、そしたらそのときセキュリティのおじさんが、

"We need the baby through !!!"

って前に通して上げたのです。


"We need the baby through"

もしかしたらそれは通常のプロシージャーにあるのかも
しれないし、紳士の国では当たり前のことなのかもしれない。

でもなぜかそのとき私はその言葉にぐっと来てしまって
最後の最後で抑えていた涙が止まらなくなりました。


こんな小さな優しさで泣くなんて、私の人生どこか
間違っている。そう思いつつも涙は止まらない。
驚いている周りの人たちをよそに私は子供のように
大泣きをしてしまいました。

この気持ちがなんというものなのか私にはわからない。
イギリスの先生やアニタやアラン・リックマンに私がもう一度
会えることが出来るのか私にはわからない。
ほんとは自分の将来のことを考えるととっても不安。

でもたとえ9月にロンドンに行けなくてもハンガリーに行けば
アニタに会えるし、アラン・リックマンがブラジルに行くなら
私はそこへ会いに行く。イギリスの先生が今インドにいるよって
教えてくれたら私はすぐにでもタクシーを飛ばして、
タージ・マハールの前で彼と待ち合わせる。

私の人生はきっとこうなんだ。
日本に帰ったら終わりだなんて思わない。
私は自分がどこにいても、たとえその人たちがどこにいても、
私が会いたくなったらすぐにでも私の愛する人たちのところへ
会いに行く、そんな人生を送るんだ。



終わり。