IVアメリカの人種差別について

 

 アメリカ合衆国における移民への差別はなぜなくならないのだろうか。

 

アメリカ(アングロ=サクソン系)の家族制度

  親子、兄弟間の関係は自立的

→“自由”という意識は高いが、平等という意識は低い。

 

・聖書における不平等主義

意識的に不平等であるとした宗教システム。

カルヴァンの救霊予定説には「神が永遠不変の決定によって、各人をどのようにするか定めたその決定をわれわれは予定と呼ぶ。というのも神は、万人を同じ条件の下に創られたのではなく、ある者を永遠の生命に、それ以外の者を永遠の劫罰へと命じられたからである。」とある。

  

 

    独立宣言と民主主義

平等主義と民主主義の誕生。

「われわれは以下のことを自明の真理と心得るものである。すなわち、人間は平等なものとして創られたこと、人間の創造主はいくつかの奪うことのできない権利を人間に与えたこと、それらの権利の中には生存の権利、自由の権利、幸福の追求の権利があることである。」

→カルヴァン的不平等主義を過去に捨て去り、自由と平等がアメリカの建国原理であると考えるようになる。

 

⇒アメリカの民主主義:平等という理想を追い求めているが、無意識的に差別的な行動をとる。

 

例)黒人への差別

黒人も同じ人間と考える(絶対的に人間は平等であり、人類は同質であるという)。一方で、黒人を嫌悪し、隔離しようとする無意識的な差別観。

 

―19世紀まではアメリカの白人と黒人の間には圧倒的な文化水準(例えば識字率など)の差があり、黒人の「劣等性」にある意味で根拠があった。

 

黒人識字率:1870年〜1900年 20%→55% 

イタリア人識字率:1871年〜1901年 31%→53%

 

イタリア人は白人カテゴリーへ。黒人の教育水準が白人のそれと比較しうるようになっても、文明化しただけでは人間と承認されず、身体的外見がアメリカ文明にとって人間の不平等を根本的に定義する要素として優先される。

 

民族の融合は文化的同調と婚姻によって成る

婚姻は排他的に一つのカテゴリー(白人カテゴリーなど)の内部で行われるという概念

1992年 黒人アメリカ人で同じ人種カテゴリーのものと結婚した比率

       男性 95.4%  女性 97.7%

                 矛盾

白人アメリカ人の世論調査の変化

黒人と白人は同じ学校に通うべき:  1942 32% 1982 90%

公共交通機関における隔離への反対:1942 46% 1970 88%

人種間結婚を禁止する法律に反対:  1963 38% 1987 73%

 

→これら意見から実際の行動に目を移すと、人種隔離の強迫観念が相変わらず存在。例:黒人ゲットーや白人の中流階級の子供が私立の学校に行くことなど

 

インディアンとアジア人

最初は婚姻隔離の対象であったが、第二次世界大戦後に変化。1990年にはインディアン系の女性の54%が白人と結婚している。

 

民族集団ないし人種集団外のものと結婚したものの割合

       1980年のカリフォルニア

 

 

日本人

17%

36%

韓国人

6%

27%

フィリピン人

20%

27%

メキシコ人

18%

22%

ヴェトナム人

4%

19%

中国人

11%

14%

黒人

10%

3%

 

アメリカは、独立宣言や民主主義の原理により平等を掲げてきたが、アメリカの家族制度における兄弟の不平等性やカルヴァン主義など、もともと備わっている差別的心性が、少なくとも誰かが異なる人間の役回りを演じなければならないことを要求する。アメリカの白人は、本質よりも外見に優位を認め、内面的なものの存在を認める能力がある程度欠如している。それが現在に至るアメリカの差別の根本的原因である。