Amtrakアメリカ横断2

2008/07/21

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●シカゴ〜ロサンゼルス2泊3日

 シカゴからロサンゼルスまでは2泊3日の旅です。出発の20分前にラウンジに戻ると、
「Southwest Chiefご利用のお客様は、ラウンジ受付前までお集まりください」
というアナウンスがありましたので、荷物を持ってラウンジ前に行きますと、20名ほどの人が同じように荷物を持って集合しています。
 係員がガイドよろしく、
「私の後に付いてきてください」
と引率の先生のように話しています。乗客はぞろぞろと案内役の女性に付いて移動を開始し、ホームに向かいます。ホームには、出発の準備を終えたSouthwest Chiefが待っていました。
 私たちの寝台車は、最後尾でしたので、すぐに乗車です。客室乗務員は「BOBさん」という人で、シャワーや食事、カフェ、トイレなどの場所や利用法に付いて説明してくれました。ニューヨークからの列車には、コンパートメント内にトイレがありましたが、Southwest Chiefでは、トイレはちゃんと外にあります。そのため空間的にはほんの少しですが広く感じます。乗り込んですぐに下部の椅子を平らにし、足を伸ばせるようにベッドにしました。
 シカゴを定刻3:15分に出発したSouthwest Chiefは一路ロサンゼルスを目指します。旅程の後半はRoute66と平行するように走ります。
Naperville, IL
Mendota, IL
Princeton, IL
Galesburg, IL亡. Seminary St. &ヲ
Fort Madison, IA (Keokuk)
La Plata, MO (Kirksville)
Kansas City, MO
と列車は進みます。この区間は緑も多く、コーンの畑でしょうか。実を付けたコーンが刈り入れを待っているようです。夕食は食堂車で摂ります。私たちの席は進行方向右側でしたので(列車が南に向かっているので)、大草原に沈む夕日を浴びながらの食事でした。
 同席したのは年輩のご夫婦で、夏期休暇の旅行だそうです。ここでの会話も、
「どこまで行くの?」
「楽しんでくださいね」
といったものでした。

●喫煙ラウンジは名ばかりの荷物置き場のような場所

 ニューヨークからの列車に設置されていた喫煙ラウンジは、スナック売り場の車両に設置されていて、隔離されているとはいっても、空間的にはそれほどの圧迫感はありません。しかし、シカゴからの列車に設置されている喫煙ラウンジは名ばかりで、列車の1F部分のスペースが当てられていました。広さはニューヨークからの列車に比べ倍以上の大きさですが、何となく薄汚れた印象があります。集まるメンバーはほとんど同じで、一人の男性は、私たちがラウンジに行くと、必ずいるのです。自分の席にいるよりこの喫煙ラウンジにいる方が長いのではないかと思われるほどです。
 長髪を後ろでポニーテールのように束ねたこの男性は、多分南部の出身だと思うのですが、訛りが激しく、何回も聞き返しながらの対話です。にこにこ笑いながら話す人懐っこい方で、コーチ(座席)席でロサンゼルスの一つ手前まで行かれるとのことでした。
「列車や飛行機はほとんどが禁煙となってしまっていますが、そんなに喫煙者が少なくなっているのでしょうか」と私。
「そんなことはないよ。大都市にいる連中が勝手に嫌煙を叫んでいるだけで、田舎に行けばレストランだって、禁煙席を持っているところが少ないくらいだから...」
と彼。
「でも、西海岸だけは別。うるさいったらありゃしない。でも、道を見てごらん。煙草の吸い殻がいっぱい落ちているだけでなく、街には灰皿がたくさんおいてあるから。だから、嫌煙なんて、かっこつけているだけじゃないかな、と思うんだ」と話を続けてくれました。
 しかし、確実に喫煙者に対する待遇が悪くなっていることだけは確かですね。

●緑の街から砂漠の街へ

 2日目は
Kansas City, MO
Lawrence, KS
Topeka, KS
Newton, KS (Wichita)
Hutchinson, KS
Dodge City, KS
Garden City, KS (CT)
Lamar, CO (MT)
La Junta, CO
Trinidad, CO
Raton, NM (Denver)
Las Vegas, NM
Lamy, NM (Santa Fe)
Albuquerque, NM (El Paso)
Gallup, NM (MT)
Winslow, AZ (MST)
Flagstaff, AZ (Grand Canyon, Phoenix)
Williams Jct., AZ
と通過します。
 ほとんどの駅が乗降のために停車するだけですので、列車から降りて、といった時間はありません。ただ一つ、Albuquerqueでは30分ほど停車時間があります。しかし、時刻表には30分となっていましたが、列車が遅れているため、15分ほどの停車でした。Albuquerque駅はちょうど工事中で、年明けには新しい駅舎が完成するようです。このAlbuquerque駅では、ホームにネイティブアメリカンの人たちが店を出していて、手作りのネックレスや指輪などを展示即売しています。ラスベガスなどにもネイティブアメリカンのショップがありますが、手作り製品は大変高価です。しかし、生産者が直接販売していることもあって、Albuquerque駅での価格はかなり大都市のお店から比べると安くなっています。展示されている大半の商品価格は20ドル以下ですので、気に入ったアクセサリーなどが見つかれば大変お買い得ですし、おみやげにするには最高でしょう。
 このAlbuquerque駅で列車が停車しているときに、長い柄の付いたモップを持った女性二人組に出会いました。列車の窓を拭いているのです。駅では燃料の補給、水の補給など、残りの旅程に必要なものが次々と積み込まれます。このあたりからRoute66と平行するようにAmtrakは走ります。しかしもっとも列車からみたいと思っていた地域は残念ながら、夜中ですので、景色を楽しむことはできません。

●あっという間の2泊3日

 ニューヨークからですと、3泊4日の列車の旅ですが、想像していた以上に短く感じられるものでした。シカゴからの列車は飽きるかな、と思っていたのですが、あっという間に時間が経過します。昼は車窓を眺めて過ごします。
 家内は、
「食事が終わって一休みするとまた食事だね」
と話していました。
 手元にある時刻表と停車する駅名を照らし合わせると、3時間近く遅れていることになるのですが、実際は1時間遅れです。そう、時差の関係です。たとえば西行きの時刻表では、
Garden City, KS (CT)→6:57
Lamar, CO→7:15
となっています。ですので、時刻表では、18分しか掛からないことになります。反対に東行きは、
Lamar, CO→9:21
Garden City, KS (CT)→11:41
で、2:20分掛かることになります。
実際には1:20分ほどですが、タイムゾーンの変わり目には注意しないと、とんでもない勘違いをすることになります。車で走ったときにはタイムゾーンが変わるたびに1日1時間短くなったのですが、列車での旅はこの反対で、1時間ずつ1日が長くなります。
Kingman, AZ (MST)
Needles, CA (PT)(Las Vegas, Laughlin,Lake Havasu City)
Barstow, CA
Victorville, CA
San Bernardino, CA
Fullerton, CA
Los Angeles, CA
と最終日は進み、最終目的地のロサンゼルスに定刻に遅れること約1時間で到着です。

●列車での旅行は気分もゆったり

 これほどゆったりとした旅行を体験したのは、生まれて初めてでした。長女が18歳の時ですから、もう10年ほど前になります。高校を卒業するその年、今回が、家族全員で旅行するのは最後になるだろうと思って、年末から正月に掛けて、オーランド、ニューヨークに旅行したことがありました。また、仕事で海外に出たときなど、時間があれば、仕事が終わった後に小旅行を行ったこともありましたが、移動はほとんど飛行機を利用していました。
 旅行の目的そのものが、移動ではなく、目的地に滞在(観光)することでしたので、移動手段は、できるだけ速いもの、を選択した結果でした。しかし、今回Amtrakを利用して、移動手段も旅行(楽しみ)の一部であることを再認識しました。まだまだ客船による旅行までの経済的なゆとりを持つことができません。が、いずれは客船による船旅も体験したいと思っています。
 話が横にそれてしまいましたが、列車の旅は前述したように、移動手段としてというより、移動そのものを楽しむことができます。日本の新幹線など、窓も開かない(Amtrakも窓は開かないのですが)、しかも定刻通りで、隣に座っている人と一言も会話を行うことなく下車する、こんな利用者を思い浮かべ、彼我の違いにちょっぴり驚いてしまいました。こと食堂車では、4人のグループ以外は相席が当たり前。これまでどんなに混んでいても相席を体験したことのなかった私にとって、新鮮な体験でした。そして、席を同じにした人たちの優しさが今でもはっきりと思い出されます。
 ニューメキシコの赤い大地に夕日が当たり、その赤さがさらに強烈に目に飛び込んでくる。そんな車窓を眺めながらの夕食は格別で、私も同席していたメキシコ系のご夫婦も、慌ててカメラを取り出し撮影です。お二人とも私たちの倍はあろうかという大柄のご夫婦でした。
 私たちと彼らが席に着くと、給仕の人が注文を聞きにきます。押し黙って4人がメニューを眺めていると、目の前の奥さんが、
「昨日は何を食べたのですか?」
と聞いてきました。
「私は鳥を食べましたが、おいしかったですよ」
と応えると、
「じゃ、それにしようかしら」
と。
「お二人は昨日何を食べたのですか?」
「私は魚でした」と奥様。
「私は肉を」とご主人。
こんな具合に話が始まり、家族のこと、旅行のことなど話が弾みます。気がつくと2時間近くの時間が経過している。こんな風に食事が進むのです。TVの流れる中で食事をしている日常から大きく離れた食事時間ですが、私たちが子どもの頃の食事時は、こんな風じゃなかったかな?と昔を思い出していました。
 

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最終更新日 : 2004/09/01