P2Pの進化は止まったのか? 第二回

 

 前回のレポートでは、P2Pは3年前と比べてそれほど進化していないのではないかという「疑問」を各アプリケーションごとに列挙してみた。表面的に見ればP2P技術を使ったアプリケーションは、前回のレポートに書いてある通りに感じられるかもしれない。

 しかし、本当にP2Pの進化は止まってしまったのだろうか? このままP2Pはwinnyのようなファイルシェアリングツールがアンダーグランドで普及するだけで終わってしまうのだろうか?

 結論から先に言うと、私はP2Pの進化は止まっていないと考えている。前回はあのように書いてしまったため、少し誤解を与えてしまったかもしれないが、前回あえてP2Pアプリケーションについて「進化が止まっている」かのように書いたのは、現状のP2Pがどのように思われているを知ってほしかったからだ。前回のレポートにも書いたとおり年末から年始にかけてP2PやIT業界に詳しい何人かの人たちとお話をさせていただいたのだが、彼らの多くはファイルシェアリングツール以外のP2Pアプリケーションが停滞していると考えており、中にはファイルシェアリングツール以外では、P2Pに未来は無いとさえ思っている人もいた。

 実は、前回のレポートで書いたP2Pアプリケーションについての「疑問」は、お話させていただいた人達の意見を私がアレンジして少し悪意をこめて、書いたものだ。あのような書き方をしてしまったために、私がP2Pに対して悲観していると誤解されてしまったかもしれないが、P2Pが現在どのように感じられているかわかっていただけたと思う。

 P2P技術の現状はwinny等のファイルシェアリングツールに関する情報が多く、他のP2Pツールに関する情報はあまりにも少ない。そのため、ファイルシェアリングツール以外のP2Pアプリケーションに関して報道される機会が少なく他のP2Pアプリケーションの「進化が止まってる」ように感じられる方も多いのではないだろうか?

 しかし、P2Pを利用したアプリケーションはグループウェアや分散コンピューティングといった従来のアプリケーションは確実に進化しており、さらにワイヤレス端末を利用したP2PソリューションやP2P技術を使ったストリーミング技術などが徐々に普及している。

 次回はP2Pの特徴を振り返りながら「従来のP2Pがそれほど進化しないように見えているのか?」かを考えていきたい。

 

 

 

作成 横田真俊

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