1 携帯電話による音楽配信が始まる。 ここ最近、携帯電話による音楽配信の動きが一段と具体的になってきている。 特に NTTドコモが、ソニー、松下通信工業、米IBMとともに、PHS 64Kbpsデータ通信を使った音楽配信の実験を2000年4月に実施すると発表したことは携帯電話による音楽配信の 動きを加速させたと言っていいだろう。 ドコモでは、この音楽配信サービスを「MMDサービス(Moble Media Distribution Service)」と名付けており、2000年春からサービスが提供される「W-CDMA」方式でのサービスも計画に入っている。(1) 2000年4月の実験は、コンテンツ提供会社による音楽データを、実験参加各会社が用意するプラットフォームを通じてPHSに搭載した記録媒体にダウンロードし、そのデータを携帯音楽プレーヤーで再生するという形で行なわれる。 今までは、ヘッドホンステレオで音楽を聴くにはMDやカセットテープ といった音家具を記録する「物」が必要だったわけだが、今回のこのサービスが 一般化すれば、音楽のデータそのものを購入する事になる。 「データを記録するために、メモリースティックやSDカードが必要に なるのなら今までと変わらないのでは?」という疑問もあるかもしれない、 しかし、我々が音楽を記録した「物」から「音楽のデータ」そのものを買う事に なれば、大きく変化する点が複数ある。 例えば、今まで「音楽」を買うには、当然CDショップなどで、CDを買わなければ いれなかったが、このサービスが始まれば、いつでも何処でも携帯電話やパソコンと いった情報端末で音楽を聴く事ができる。 また、CDショップでCDを買う場合、自分の欲しいCDが品切れのためなければ、自分が聞きたい「音楽」を手に入れる事ができなかったが、このサービスはCDやカセットテープといった「物」を通さないで、データを取り扱うので品切れの心配がない。 また、比較的大きいショップしか売っていないような「音楽」でも、データ配信 なら手に入れられる事が可能であるし、またCDショップでは一部の曲しか 試聴できないが(2)、データ配信ならアーティストにもよるが試聴できる曲が増える さらに、データベースと連動し音楽の検索も可能になる、 そうすれば曲名がわからない時でも、アーティストの名前やタイアップしている 商品の名前また歌詞の一部から、自分の探している商品を探す事ができるし、 好きなアーティストの旧作の曲をすぐに見つける事ができるし、ランキングに 登場した曲で聞いたことがない曲でもすぐに試聴でき、気に入ればすぐに購入する事が できる。 2 携帯電話でのオンラインショッピング インターネットが一般に普及し、ネット上で買い物をする事、いわゆるオンライン ショッピングの利用率が増加してきた。 「インターネット白書99」によるとオンラインショッピン グ経験者がインターネット利用者の44.1%と、 昨年の20.4%から倍増した。 今後の購入意向についても「 あり」とした人が57.6%と半数を超え、 オンラインショッピングが普及・ 定着しつつあることを感じさせる。(3) しかし、オンラインショッピングでの決算方法はクレジットカードを採用している場合が多く、クレジットカードを持っていない子供が商品を買うか買わないかは 親次第となっている場合も多い(4) もちろん、必要であれば親がクレジットカードを子供に貸し与えて自由にネット上の買い物をさせることは難しくはない。しかしインターネット上には未成年者にとって有害となる商品も多いため、 親が全く監視せずに子供達に自由な買い物をさせることにはリスクがある。 また決済限度額も親の権限で自由に設定できる仕組みも必要だ 今後のオンラインショップにとってティーンエージャーが極めて優良顧客になることは間違いない。Jupiter Communications社によると、'98年の13歳〜18歳の「ティーンズ」層のオンライン人口は860万人、5歳〜12歳の「キッズ」層が840万人と推計される。 これが2002年には、それぞれ2,190万人(155%増)、1,660万人(97%増)となる見込みだ。 (5) 最近ではこのような動きに対し子供専用の電子決算システムができあがっている。 たとえば、Cybermoola社はティーンエイジャーが直接、自由にオン ラインで買い物ができるよう新しい プリペイド・カード・サービスを開始している(6) また、RocketCash社のサイトではティーンが利用するにあたり健全であると承認されたオンラインショップへのゲートウエイが設定されている。 子供達は自分のIDとPASSWORDを入力することで、 これらのショップで未成年が購入しても問題ない商品を自由に買うことができる。 (7) しかし、それらにも一定の手続きが必要であるし、取り扱う商品も限られてくる また、基本的にパソコンからの入力になるためパソコンを持っていないと オンラインショッピングができないといった問題点がある、安くなったとはいえ パソコンはまだまだ高価だし、インターネットに接続する事から 始めなければならない。 そこで子供のオンライン決済の新しい手段として、携帯電話でのオンライン ショッピング、特に音楽配信は有効だと考えられる。 まず、携帯電話で音楽データなどの有料コンテンツを販売すれば 通話料と一緒に料金徴収ができるから課金がしやすい、 携帯電話は小中学生でも持っており、その代金は親が払っているわけ だが、通話料とコンテンツ料の限度額を親が設定すれば料金を 使いすぎという事もないし、電話番号自体が自分のIDとなるから 認証の問題も少ない、今後は音声認識と指紋認識を組み合わせれば、 他人が勝手に使用する事もできなくなる。 今より、便利にしかも安く「音楽」を買えるのであれば、確実に 携帯電話を使い「音楽」をオンラインで購入する方法が増える。 そうなれば、今よりもオンラインショッピングに抵抗を感じなくなり より本格的にオンラインショップを利用するようになると思われる。 日本でのオンラインショップの利用はなかなか進んでいないと言われているが これからのオンラインショップの利用は、意外にも携帯電話が握ってい るのではないだろうか。 |
(2)CDショップでの音楽試聴ソニーのターミナスという試聴器がバーコードを利用して旧譜を試聴できるようにしている。
(3)オンラインショッピングが普及するも、電子決済利用はわずか
(4)オンライン・ショップに集まるティーンエイジャーたち
(5)子供向けオンラインショッピング市場
2002年には13億ドル規模に
(6)ティーンズ向け、Webショッピング・カード登場
(7)RocketCash
リンク確認は9月18日です。