「Yahoo!」巨大ポータルの行方。はじめに 「インターネットに接続したのに自分のページがあるかわからない時どのようにするか? 雑誌に載っているURLを入力する前にインターネットの「検索エンジン」サイトを使う人が多いだろう。検索エンジンサイトは大小合わせて様々ななサイトがあるが、その中でも特に強い影響力を持っているのが「Yahoo!」である。 「Yahoo!」は一億円を突破した株の銘柄として、または一日に一億ヒットのプレビューがある日本で最も人が訪れているホームページとして、他の検索サイトと比べて圧倒的な知名度トブランド力を持っている。 なぜ、これほどまでにYahoo!は大きな力を持っているのだろうか? その裏にはただの「情報検索サイト」から様々なサービスを統合した「ポータル」へと急速に変化した事があげられる。 Yahoo!は早くから自分のサイトに検索の他にも様々なサービスを追加した。例えば、ユーザーにwebメールアドレスを提供する「Yahoo!メール」ユーザーのスケジュールを管理する「Yahoo!カレンダー」オークションサイト「Yahoo!オークション」様々なオンラインゲームが楽しめる「Yahoo!ゲーム」など様々なサービスを追加している。 なぜ、Yahoo!は検索サイトに飽きたらず、これらの様々なサービスを追加したのだろうか?それは、Yahoo!のページにより多くの人達を集めるのと同時に一秒でも長く自分達のページに引き留めるためである。より多くの人達を自分達のページ集め、バナー広告などの広告表示を長くさせるために、様々なコンテンツを追加しているのだ。 ただの検索サイトならば、ユーザーは情報を検索すればすぐそのサイトに行ってしまうため、Yahoo!はただの「入り口」に過ぎない。しかし、Yahoo!のサイト自体に様々なコンテンツを用意する事によって、ユーザーを他のサイトに移動させる事なく、Yahoo!のサイト内に引き留める事ができるようになる。 さらに、Yahoo!はより多くのユーザーを獲得するために他のインターネット企業を次々と買収もしくは提携している。例えばYahoo!が買収した企業の一例をあげると、インターネットでの動画放送を行っているブロードキャストコム、ホームページ開設サービス「GeoCities」、モバイルコンテンツを開発する「P.I.M」、無料メーリングリストサービス「eグループス」これらのサービスを自分達のページに追加している。 今回のレポートはこのようにYahoo!のこれまでの道のりと、現在の戦略、そしてYahoo!の未来について考察してみようと思う。 1 Yahoo!への道のり。Yahoo!はもともと、スタンフォード大学院生だった。ジェリーヤンとデビットファイロがWWWで効率的な情報検索のために訪問したサイトを記録し分類し、それが終わると数十個のカテゴリーを2、3の大まかなカテゴリーにまとめあげた。 当時のインターネットは現在とは比べ物にならないくらい狭かったが、現在のような検索サービスがなかったために、当時のインターネットユーザーはすぐにヤンが作ったサービスにとびついた。1994年末には一日に10万人のユーザーがYahoo!を訪れようになった。 ヤンは既にこの時「Yahoo!」がただの通過点以上の存在になる事を気づいていた。ヤンとファイロは大学院を休学し、買収の話を断り、ベンチャーキャピタルを探し求めた。 そして、95年8月Yahoo!を広告収入のサイトとして生まれ変わらせ、その後ニュースや天気予報、などのコンテンツを次々に開設した。 これは、前述した通り、Yahoo!がただの「通過点」になるのではなく。様々なニュースや天気情報などの様々なコンテンツを提供する事によって、ユーザーを長くYahoo!のサイト内に止まらせ、より長く広告を表示させるためである。Yahoo!の経営はバナー広告など広告費を頼りにしているため、せっかく多くの人達がYahoo!を訪れていてもすぐに出て行ってしまうようでは、あまり広告を見て貰う事ができない。それよりも、自分達のサイトにコンテンツを使いユーザを自分達のサイトに引き留めより長く広告を見て貰うようにしたのである。 Yahoo!は「検索」という大きな武器を持っていたので、検索を目当てにYahoo!を訪れたユーザーを確実に自分達のコンテンツに引き込む事ができた。もしYahoo!がただの「検索サービス」に終わっていたら、確実にインターネット上の「通過点」となり現在ほどの影響力を持つ事はなかったであろう。 蛇足になるが、このようにユーザーが確実に訪れる「武器」を持っていたのにも関わらずその武器を使えず自滅した企業も少なくない。例えばNetscapeは リリースしていたブラウザのスタートページにNetscapeのページが表示されていたのにも関わらず、そのページに対してかなり長い時間「無関心」であった。 現在はその価値に気づき「ネットセンター」というポータルページを開設しているが、昔ほどの勢いは感じられない。もしNetscapeがブラウザのトップページの意味に気づき、ブラウザのトップページを初期の段階で様々なコンテンツを加える努力をしていれば、AOLに買収される事くも、Yahoo!以上の影響力を持っていたかもしれない。 Yahoo!がすぐれていたのは多量のコンテンツを初期の段階から持っていたという事では無いYahoo!は多量のコンテンツ持っているのにも関わらず、表示するページはグラフィックを減らし、ユーザーがすばやく表示できるようにした。 現在では54kbps程度が標準となり、回線速度もそれなりに上がったが。当時の平均的な速度は14.4〜28.8kbps程度と極めて貧弱で、webページを表示するだけでもそれなりの時間を要した。その中でYahoo!のコンテンツは極めてシンプルな作りで表示するのが早かった。それなのでスピードを求めたユーザーはYahoo!のコンテンツを見るようになったのである。当時はどの検索エンジンも極めてYahoo!に似た作りにもなっている事からもYahoo!のwebデザインが優れていた事がわかるだろう。 このように、「検索エンジン」をメインコンテンツとしつつも、周りを様々なコンテンツで固め、「検索エンジン」を利用しにきたユーザーをYahoo!のサイト内に引き留める事でYahoo!は成長をしてきた。しかし、他の企業も当然ただの指をくわえてYahoo!の成長を見てきただけでない、LYCOS やディズニー傘下のGo(日本ではInfoseek)、Excite、アルタビスタ、gooなどの他の検索エンジンをはじめ、AOLやMicrosoftなどの企業も猛烈な勢いでYahoo!を追っている。次にYahoo!が他のポータルサイトとどのような戦いを演じているのか見てみよう。 2.ポータル戦争。 98年頃からポータルという言葉がインターネット上で聞こえるようになった。そもそも「ポータル」という言葉は「玄関」を表す意味でCNETの創設者であるHalsey Minor氏が「Snap! Online」を立ち上げる時に掲げたビジネスモデルで、当初はプロバイダーと結びつき、インターネットの入門者を囲い込むという色合いが強かったがYahoo!をはじめ、様々な「検索サイト」がこのポータルを構築し、様々な情報を提供する。総合情報サイトとしての意味合いが強くなった。 Yahoo!は前述したとおり、ニュースや株価情報や天気予報などの様々なコンテンツを自身のサイトの中に取りいれ、訪れたユーザーを様々なコンテンツを使って囲い込んでおり、まさにこのポータルの概念を取り入れたサイトだったが、Yahoo!の様々なライバル企業もYahoo!の後を追うために様々なコンテンツを追加しはじめた。 特にMicrosoftとAOLはYahoo!には無い独自の「武器」を使ってYahoo!追撃しようとしていた。まず、AOLの武器は世界で2400万人いる圧倒的な会員数だ。AOLの会員を自分達のポタールサイトに取り入れる事でYahoo!をしのぐアクセス数をとる事もある。そして、AOLが持っている最大の武器はIM(イスタントメッセンジャー)である。IMというのは、相手と短いメッセージを交換できるソフトである。セッメージを交換するだけなら電子メールでもできるが、電子メールとの大きな違いは相手が今オンラインなのかオフラインなのかをはじめ、相手の様々な現在の状態(今忙しい、ただいま外出中など)を表示できるという事だ。 ただし、このIMを使うには相手が自分と同じIMを持っていなければならない。自分がIMを使っていても、相手が同じIMを持っていなければ意味がない。そうなれば、ユーザーは一番普及しているIMを選ぶ事が多くなる、つまり、もともと数が多い場所がますます数が多くなるという仕組みになる。このような状況はAOLにとって非常に有利 な点だ。なぜなら、AOLはAIMとICQというIMの中で一番人気と二番人気のソフトを押さえているからだ。 このソフトはAOLの会員でなくても使えるため、両者のユーザー数を合わせるとユーザー数は一億人を突破し、IMで交換されるメッセージ数は去年の時点で8億通である。ちなみに、AOLの会員がやりとりするメッセージは1億通である。日本ではまだあまり大きな存在になっていないが、IMの影響力がいかに大きなものかわかるだろう。AOLはこのAIMとICQを自分達のコンテンツと結びつけようとしている。既にAIMの新しいバージョンではAOLが提供しているニュースサイトと連携している。現在はAIMで表示されたヘッドラインをクリックするとAOLのニユースサイトに行くという仕組みだが、TIMe WarnerとAOLとの合併により、TIMe Warnerが持っているCNNなどのコンテンツとの連動も考えられるだろう。 AOLは、ブラウザのトップページだけでなく、IMを使って新しいユーザー層を獲得している。既にYahoo!にとって大きな脅威となっている。 一方、Microsoftの一番の武器はOSとブラウザである。Microsoftはオフィスやブラウザ の機能を巧みにWindowsに組み入れる事で発展してきたが、Yahoo!や他企業とのポータル戦争でもWindowsを「ポータルのためのポータル」として利用している。例えば、日本ではWindowsの最新版である。「Windows ME」が9月下旬に発売するが、この中にも様々なMicrosoftのポータル「MSN」に接続する様々なツールが入っている。例えばMicrosoftのブラウザ「インターネットエクスプラローラー」の初期設定ではブラウザを立ち上げた最初のページは「MSN」に接続するように設定されている。(プリインストールパソコンの場合、設定がその会社のページに行くこともある。)また、Windowsに標準装備されている電子メールソフト、「アウトルックエキスプレス」は自分のメールアカントの他にも電子メールサービス「Hotmail」を使えば、新しいアカントを追加する事ができる。通常Hotmailはwebメールサービスなので、通常の電子メールソフトのようには扱えないが、「アウトルックエキスプレス」を使えば通ジョン電子メールのように使うことができる。 ここまでは現行のバージョンである「Windows98 セカンドエディッション」でもできたが、「Windows ME」はさらに様々な機能を盛り込んでいる。例えばIMソフトの「MSNメッセンジャー3.0」もそのうちの一つだ。Microsoftは1999年の夏、「MSNメッセンジャー」をリリースした、その最大の機能はAOLの持っている、AIMと互換性があるという事だったが、AOL側は「MSNメッセンジャー」と「AIM」との通信ブロックした。Microsoft側は何度かAIMに接続できるように「MSNメッセンジャー」を改良したが、その度にAOL側にプロックされ、ついにAIMとの互換性を持つ「MSNメッセンジャー」の開発をあきらめた。さすがの帝国「Microsoft」もAOLの圧倒的なユーザー数には敵わなかったのである。 しかし、MicrosoftはIM界に進出する事をあきらめなかった、WindowsMEのリリースに先駆けMSNメッセンジャーの最新版、「MSNメッセンジャー3.0」をリリースしたのである。「MSNメッセンジャー3.0」の特徴は「インターネットエクスプローラー」や「アウトルックエキスプレス」への連動やIP電話を使い北米に電話をかける事のできる機能など様々な機能を搭載した。しかし、「MSNメッセンジャー」の最大の特徴は、「Windows ME」に標準装備された事だろう。これによって今後パソコンを買えば自然に「MSNメッセンジャー3.0」が付いてくる事になる。アメリカでは既にAIMの普及率が最も高いが、まだIMが普及していない国(例えば日本。)ではAIMよりも普及する可能性がある。そうなれば、Microsoftが持つポータルサイト「MSN」にとってる「MSNメッセンジャー」の大きな武器になるだろう。 このように、Yahoo!の様々なライバル企業達がポタール争いに参加している。トップを走るYahoo!もこのようなライバル企業の動向に対しさらに多くのコンテンツをYahoo!に取り入れる、さらに従来の幅広いポータルとは違った動きも同時にするようになった。 まずYahoo!は98年ゲームや宝くじで有名なYoyodyne社を買収した。かれらの持っているコンテンツを吸収し自社のコンテンツの増強という面ももちろんあるがYoyodyne社が持っている顧客情報を利用しYahoo!に広告を掲載するメーカーとYahoo!を使い広告を見るユーザとのマツチングをはかるためである。Yahoo!はコンテンツ強化と個人情報収集のためにさらに様々なコンテンツを買収している。例えばYahoo!は無料でホームページが開設する事ができるサービスを提供している。GeoCitiesを1999年1月28に買収したと発表している。この買収によってYahoo!はGeoCitiesのユーザーをYahoo!のポータル内に組み込むことが可能になり、より広く広告契約を結ぶ事も可能になった。 さらにYahoo!はリッチメディアコンテンツ集約サイトを運営するBroadcast.comも買収した。Yahoo!側から見れば様々なリッチメディアをBroadcast.comを買収するのはごく自然の事だろう。なぜなら、きたるべきブロードバンド時代には文字や画像の方にも、ショックウェーブやストリーミングといったリッチコンテンツが一般のwebにも普及する事は間違いがないからだ。Broadcast.comを買収した事でYahoo!は広帯域時代にふさわしいコンテンツをユーザーに配布する事ができるようになる。 さらに、Yahoo!はIMにも進出している。Yahoo!は早くからIMに注目しYahoo!ブランドのIM「Yahoo!ページャー」(後にYahoo!メッセンジャー)をリリースしている。さすがにユーザー数では業界最大手のAOLには敵わないが、Yahoo!の持っている株式情報やYahoo!メールとの連動によってAOLの持っている二大IM(AIM ICQ)の次にシェアがあるIMとなっている。 また、Yahoo!はモバイル分野にも進出している。Yahoo!はiモード向けのサービス「Yahoo! モバイル」を今年の6月に介ししている。内容はYahoo!のカスタマイズサービス「My Yahoo!」内のコンテンツ、リンクと株式情報、さらにYahoo!の検索サービスを始めている。また8月9月には天気予報とYahoo!オークションも加わった。またYahoo!はGeoCitiesのホームページ作成サービスでもIモード向けのサービスを開始している。 正直言ってYahoo!はiモードでは多少出遅れた感は否めない、既に他の大手検索エンジンや個人で運営している検索エンジンが「Yahoo! モバイル」より先行しているからだ。 Yahoo!は今後、急成長するであろうモバイル分野でこりから激しい巻き返しをしなければならない。だが、「巻き返し」のための武器をYahoo!は無数に持っている、それはYahoo!内にある様々なコンテンツである。GeoCitiesでiモードサイトを様々な人達が作ってくれれば、それはそのままYahoo!内のコンテンツになるし、IMT−2000ベースの携帯電話用のコンテンツもYahoo!が持っているBroadcast.comのコンテンツを使用する事で迅速にコンテンツを提供する事ができるだろう。 また、Yahoo!はモバイル向けのコンテンツを開発するために「P.I.M」を買収している。「P.I.M」は携帯電話向けのアプリケーションを開発している企業でYahoo!はこの買収で「Yahoo!モバイル」の拡大を計る。 このようにYahoo!は様々な企業を買収する事で、自分のポータルを強化してきたことで。Yahoo!はトップの地位を守ってきた。Yahoo!は相変わらずインターネットのヒット率では一位であり、買収したGeoCitiesも2位である。 Yahoo!はこれからもコンテンツを追加しインターネットの世界に絶大に影響力を持つだろう。しかし、Yahoo!に弱点は無いのだろうか? これだけ多量のコンテンツを持ち、インターネットヒット率では常に首位の巨大ポータルサイトに弱点は無いように思えるが、Yahoo!には様々な不安材料がある。次はYahoo!の不安材料について考えてみよう。 3Yahoo!の行方。 2000年9月6日にYahoo の CEO、Tim Koogle 氏は、Robertson Stephens インターネットコンファレンスの席で、Yahoo!の短期的な決算についてあまり楽観的ではないコメントをしている。なぜなら9月30日に終わる今四半期の広告収入が問題となりそうなことだ。今までYahoo!は様々なコンテンツを自分のサイトに集め、それらを活用してユーザーを集め、そのユーザーに広告わ見せてきた。 しかし、ここに来て広告だけに頼るモデルは限界に来ている。Yahoo!はオークションやショッピングを中心に広告モデル以外の収入源も確保しなければならない。 また、Yahoo!はモバイルへの対応が多少出遅れた。「携帯電話でのインターネット接続の場合はあまり検索サイトを使わないのでYahoo!の影響力も落ちる」と予想している人間もいるが、既にYahoo!の最大の武器は「検索」ではなく様々なサービスやコンテンツだ。携帯電話の小さなディプレイと10キーでは、サイトからサイトに移動するのは難しい。携帯電話のユーザーはあまりサイト間の移動は好まないだろう。Yahoo!の場合は既に自分のサイトの中に様々なサービスが入っているのでユーザーは様々なサイト間を移動する事なく様々なサーヒズを受ける事ができるようになる。つまり、携帯電話のコンテンツではユーザーの囲い込みはますます、やりやすくなるのである。 しかし、Yahoo!はモバイル分野に進出するのが遅すぎた。既にiモードが1000万台を突破しようとしている時にやっとモバイル分野に進出し始めた。 Yahoo!のブランド名は絶大であり、今ならばまだ十分に巻き返しが可能だろう。 しかし、既にモバイル分野は携帯電話以外にもPDAの分野に進出している。 ソニーのCLIEやhandspringのvisor、など様々なpalm互換機が発売され、かなりのヘビーユーザーがpalm互換機などのPDAを手に入れている。IMT−2000と現在の携帯電話コンテンツを結ぶPDAコンテンツは決して軽視できない分野であり、Yahoo!もこのpalmコンテンツの作成に力を注がなければならなくなるだろう。(既に本国ではpalm版のIMソフトを提供を始めている。日本でもpalm端末へのコンテンツ提供を早急に考えるべきだろう。)また、Yahoo!や大手ポータルが目指してきた「囲い込み」も難しくなってきている。 例えば、現在インターネットを騒がしている。NapsterやGnutellaというソフトがある。これは、P2P(ピアツゥーピア)という技術をベースにしているソフトで、これらのソフトを使えば中央サーバーを通さずにクライアント同士の通信できる。そして、これらのソフトを使うと無料で音楽データをダウンロードする事が可能になる。例えば、私がある音楽データを持っているとして、世界中からそのデータが欲しいユーザーがいるとする。今までは私がとあるサーバーにそのデータを置くしかなかったが、NapsterやGnutellaを使えば、世界中のユーザーがその曲を検索し私のハードディスクからその曲をコピーする事ができるようになっている。いわば、自分の持っているデータを世界中のユーザーで共有する事ができるのだ。 Napsterはその手軽さから2400万人ものユーザーを集めた。ちなみに日本のインターネット人口は2000万人、世界最大のプロバイターのAOLも2500万人である。 いかにNapsterの影響がすさまじいかわかるだろう。 現在はこれらのソフトを利用して共有ファイルは限られているが、もしさまざまなコンテンツがNapsterやGnutellaのようなP2Pソフトを使って「共有」されれば、わざわざYahoo!や大手ポタールを通らなくとも様々な情報を入手する事ができるのである。 しかも、これらの技術を使った検索エンジン「InfraSearch」も公開されている。Yahoo!は既に検索エンジンだけのサイトではないがまだ「検索」が大きな影響力を持っている事は確かだ。Yahoo!の集めてきたコンテンツがP2Pソフトによって共有されれば、Yahoo!の囲い込み戦略は通用しなくなる恐れがある 。モバイルの波とは違い、P2Pの革命がインターネットにやってくるのはまだ当分先の事だろう。(詳しくは述べないが、P2Pはセキュリティやブロードバンドなど、様々な解決するべき課題が残されている。)しかし、Yahoo!の囲い込みがいつまでも通用する事は無いだろう。「広告への依存」「第2.のモバイル」「P2P」とYahoo!には大きな課題に加えMicrosoft、AOLなど他ポタールとの競争も残っている。Yahoo!がインターネットの世界で大きな影響があるのは間違いがないが、決してその地位が安泰というわけではないだろう。 作成・横田真俊 |