極楽
「どうしたんだ、それ?変わった花だな。」
「気に入ったんで、貰ってきたんです。」
「『極楽鳥花』だな。珍しいじゃねぇか。」
「知ってんのか?」
「ああ。南国の花でな、『極楽鳥』っつー鳥に似てるから、その名が付いてんだそうだぜ。」
「へえ…『極楽鳥』ねえ…大層な名だよな。」
「ねえ、ビクトールさん…」
「おう?」
「『極楽鳥』って言うからには、その鳥は極楽に住んでるのかな?」
「…まあ、極楽みたいなトコだろうな。」
「…だったら、…は、今頃本物の鳥を見てるのかな…」
「……」
「ああ。見てるかもな。」
「そうだね…」
「ヤマト、あのっ、その…」
「心配しなくていいよ、フリックさん。」
「いやその…っ」
「ただ…前みたいに、同じものを見ていたなと思っただけだから。それだけ。」
「そうか…」
「そうだよ。」
「…見てるさ…きっと。」
「うん。そうだね…」
暗いまま終わる…
2004.08.03