Kidoダイアリー (2004年3月〜5月分)

Kidoワイナリーのワイナリーと日記のダイアリーをかけました城戸亜紀人の日記です。
くだらないとお思いでしょうが、内容もくだらないです。
興味のない方は、絶対見ない方がいいです。
ワインのこと、ブドウのこと、醸造家仲間のことなどなんでもありで書いていきます。

2004年5月18日 「ワイナリー訪問」
本日、山梨県の2件のワイナリーを訪ねた。
1件目は山梨市にある金井醸造、2件目は塩山市にある奥野田葡萄酒を訪ねた。
金井醸造は家族で経営しているワイナリーで現在、金井一郎さんが醸造栽培責任者でがんばっている。
私のところも同じくらいの経営規模になるので経営的なことをいろいろとお聞きした。
次に訪ねた奥野田葡萄酒は16年前に中村雅量さんが独立して作ったワイナリーで、私と境遇が似ているので以前から一度訪ねてみたかった。立ち上げ当時の苦労話をいろいろとお聞きした。
私はここ1、2年いろいろなワイナリーを訪問し、製造免許のこと、醸造機械のこと、経営的なことなどさまざまなことを教えてもらった。単なる見学ではなく相談しに行ったという感じも多かった。どの方も隠し事なく丁寧にお話をしてくれた。大変感謝している。

ここ1、2年で訪ねたワイナリー
ソレイユワイン、池田ワイナリー、丸藤葡萄酒、シャトレーゼ勝沼ワイナリー、機山洋酒、
ドメーヌQ、ココファーム、小布施ワイナリー、メルシャン勝沼ワイナリー、ボーペイサージュ、
山辺ワイナリー、ソーリュウ葡萄酒、ダイヤモンド酒造、原茂ワイン、金井醸造、奥野田葡萄酒

2004年5月17日  「果実酒製造免許の本免許申請」
本日、松本税務署に果実酒製造免許の本免許申請書を提出した。
ワインを造るには果実酒製造免許が必要である。酒を製造販売すると酒税という税金がかかるためこの製造免許を取得するには財務省管轄の元、各地方の国税局と税務署の許可が必要になる。
酒の販売のみの免許は最近、コンビニやホームセンターなどでも酒が売られているようにかなり簡単に免許が取れるようになったが、製造の免許取得はそう簡単ではない。
製造免許を取得する方法は2段階になっており、まず内免許(ないめんきょ)申請をする。申請書の中味は事業計画(ブドウ原料の調達方法から予定製造販売計画、資金計画など)、予定設備状況書、製造責任者の経歴書、土地や会社の登記簿謄本などたくさんの書類がある。
書類を揃えるだけでも大変であるがその条件をととえることはかなり難しい。
私の場合は家がブドウ農家であり原料の心配をしなくてもよいなど条件的には恵まれていた。
内免許の書類審査が終わり、内免許が取得できると実際に醸造機械の購入や工場の建設にとりかかる。
私の場合は昨年7月に内免許を取得していた。
ワイナリーの建設工事も半ば進み内免許の申請どおりに機械や工場が揃うめどがついたので本日、本免許申請をした。これで実際に設備が揃った時点で税務署の方が確認の検査を行い、本免許が取得できる見込みである。
ワイナリーを立ち上げるにはこの製造免許の申請以外にも、土地や建物に関する農地転用許可申請や開発行為許可申請、保健所の食品営業許可申請、排水に関する特定施設設置の届出書など多くの許可申請が必要である。
私もこれらの申請に関して最初はどう進めて行けばいいのか分からず、いろいろな人に教えてもらった。
もし、ワイナリーを立ち上げたいという人が出てきたら少しでもアドバイスできればと思う。

2004年5月13日 「契約栽培」
Kidoワイナリーではを自社農場のブドウを中心にワインを醸造していく予定である。しかし、自社分だけでは少々ブドウが少ないので、メルローとシャルドネを熱意を持って栽培してくれる契約農家の方を探していた。
桔梗ヶ原ではメルシャンがメルローの契約栽培をひろげ、収量制限を徹底するなどの厳しい栽培管理を農家の方にお願いし、そんな努力の結果、日本を代表する赤ワイン「シャトーメルシャン 信州桔梗ヶ原メルロー」が生まれている。
確かにメルシャンの契約栽培家がつくるブドウはすばらしいと私も以前からそのブドウ畑を見て感じていた。
そんなこともあり、メルシャンの方にいい栽培家の方を紹介して頂けないかとお願いしていた。
先日、メルシャンの方から電話が入り、Kidoワイナリーにブドウを出してもいいと言う栽培家の方が見つかったから一度あってお話して欲しいと連絡があった。その方はメルシャンの契約栽培家の中でもかなりいいブドウを造る方らしい。偶然にも畑もKidoワイナリーのすぐ近くであった。
昨日、その栽培の方とお会いして畑を見せてもらった。
畑を見せてもらって驚いた。それは、一文字短梢という仕立てをしていたからだ。
一文字短梢とは、従来の棚栽培のエックス仕立てとは違い、ある一定の規則性を持たした栽培方法で言ってみれば垣根仕立てがそのまま棚の上に乗っかっている感じだ。
この仕立ては従来のエックス仕立てより収量が上がらないので普通は農家の人はやりたがらないのだ。
この畑を見てまさに私が探していた栽培家の方だと思った。お話してみて非常に熱意があり、お人柄もいい。
こんな人を紹介してくれるメルシャンもすばらしい。大変感謝している。
Kidoワイナリーに心強い栽培家の登場である。
2004年5月8日 「風邪でダウン」
ゴールデンウィークは風邪で寝こんでいた。
ようやく体調が戻ってきた。
4月30日から喉が痛くなり、薬を飲んで寝ればすく治るだろうと簡単に考えていたのだが、
近年まれにみるクセモノの風邪で喉が痛くて夜がほとんど眠れなかった。
つばを飲み込むだけで痛くて目が覚めてしまった。
1週間ほどこんな状態が続き、ブドウも芽が伸び始めていて心配であったが身動きが取れ
なかった。
昨日から体調も良くなり、1日中ブドウ畑の草刈りを思いっきりやった。
ブドウの木も2本ほど刈った。
畑で汗をかくことはとても気持ちがよかった。
今さらながら健康あってのワイン造りであると実感した。

2004年4月26日  「一発屋」
今日、工場の土間コンクリートが打たれた。
そこで貴重なものを見させてもらった。それはコンクリート一発仕上げの職人さんのワザだ。
彼らは建設業界では一発屋と呼ばれている。
広くコンクリートが打たれた床を何度も何度もコテで平らにし、鏡のようなピカピカの床に仕上げてゆく。
広い面積の床を1回で平らに仕上げるというのは非常に難しいことらしい。一発で仕上げる以外の方法としてコンクリートが乾いたあとでモルタルで修正する方法もあるようだが、仕上がりのきれいさでは一発仕上げとは比較にならない。
彼らはまるで彫刻でも作っているかのようにみごとに床を仕上げていく。見ていてとても気持ちのいいものだった。
コンクリートが流し込まれた後、大きなトンボのようなもので平らにならしていきます。
時間が経つと固まり始めるので時間との勝負でもある。
一発屋の仕事は非常に肉体労働であるため、若い人でないと厳しいらしい。
コテの1かき1かきに魂を込めて、まさに真の職人である。

2004年4月17日  「ミーハーワイン会」
今日は城戸家にボーペイサージュの岡本君と小布施ワイナリーの曽我君が来てミーハーワイン会をした。
ミーハーワイン会とは有名な銘柄のワインを純粋に楽しむ企画である。
大学生時代に今回来た2名やソレイユワインの鈴木君とよくワイン会をした。
その時は有名なドメーヌのグランクリュをないお金を出しあって「このワインはスゲー」とか言いながらワインを楽しんだものである。
しかし、時は流れ自分たちでワインを造るようになった今このようなミーハーワイン会はしなくなった。
今のワイン会といえば、自分たちが造ったメルローやシャルドネを持ち寄り、海外の有名なワインとブラインドテースティングして勝った負けたという闘志ギラギラの気合の入ったワイン会ばかりである。
そんな中、9年前にフランスへの卒業旅行で買ってきたラモネのワインをそろそろ飲もうではないかという話が持ち上がりミーハーワイン会をすることになった。
この卒業旅行は岡本君と曽我君といっしょに20日間ほどフランスとカルフォルニアのワイン産地を旅した一生の思い出となる旅行であった。
特に曽我君に関しては私と岡本君より1年年下であるため本当は卒業でないのに研究室の先生に一言も言わずに無断で行ってしまった人生をかけた旅行であった。
帰国後の曽我君がどんな処分を受けたかは、有名な話です。
そんな思い出の旅行でラモネのヴィアンヴィニュ バタール モンラッシェ 1991を買って今まで私の家のセラーで寝かしていた。
岡本君はワインはドメーヌ ラローシュ シャブリ グランクリュ 1997を、曽我君はルイカリヨンのピリュニーモンラッシェ ペリエール 1995を持ってきたので、じゃあブランドにしてラモネがどれか当てようということになった。
当てれなかったらその人はラモネを飲めないことにしようと決まった。
テースティングの結果、3人とも意見が分かれた。
すぐに、やっぱり外れてもラモネが飲めることにしようということになった。
3人とも一番いいと思うワインは一致したがそれがラモネかどうかで意見が分かれた。
オープンの結果、一番良いのはルイカリヨンだった。
驚いたのは一番古いビンテージのラモネが一番若かく感じた。
翌日、飲み残したワインをもう一度一通り飲んでみた。ラモネ以外は酸化的になっていたがラモネだけは翌日の方が美味しかった。
恐るべしラモネ。
抜栓した当日はいまいち華やかさがなく、まだ閉じていたラモネのワイン。
2日目に本領を発揮していた。
造られてから13年経ってもまだ若かった。
久々のミーハーワイン会であった。


2004年3月2日 「勉強会」
今日は栃木県足利市にあるココファームワイナリーにてJYWGA(日本ヤングワイングロワーズ協会)主催の醸造用ブドウに関する勉強会が行なわれ、出席した。
今回集まったメンバーは、「テロワール」というブドウ栽培者がお互いに情報交換しているメーリングリストに入っている人たちが中心でココファームの曽我貴彦君がリーダー的存在となってまとめてくれている。

集まったメンバーは以下のとおりである。
ココファームより越智さん、ブルースさん、若田部さん、柴田さん、荒井さん、矢野さん、そして曽我貴彦さん(弟)。
北海道から北海道ワインの中沢さん夫妻、太陽ファームの近藤さん。
山梨よりルミエールの小山田さん、勝沼醸造の小林さん。
長野県よりヴィラデストの小西さん、塩尻の坪田さん、オブセワイナリーの曽我彰彦さん(兄)と私です。

昨年末より「テロワール」に所属しているメンバーで自分たちの畑の土壌分析を同じところで分析して
もらって、その畑からの剪定枝重量も調査し、土壌中のどんな成分が不足しているのかあるいは
多すぎるのかを知り、それがブドウの木や出来上がるワインにどのような影響を及ぼしているのかを
調べてみようということになりました。
そこで、今日は各自が分析結果とその畑から出来たワインを持ち寄りディスカッションしました。
デスカッションは白熱し予定時間をかなりオーバーした。
日本にもすごい人たちがいるもんだと驚きを覚えた。
次の日はココファームの畑を案内してもらい、またそこでも熱いディスカッションが繰り広げられた。
まさに異常な人たちの集団だと思った。
とても有意義な2日間だった。
1日目ココファームのゲストルームにて各自の土壌分析結果について
議論をかわす。
エーザイ生科研から来た椎名先生もこのような雰囲気に戸惑いの様子。
2日目ココファームの畑にて現在取り組んでいる栽培方法(PRDシステム)に
ついて説明を受ける。
曽我貴彦君の栽培に対する熱意は本当に凄かった。

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